啄木鳥探偵處(小説・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『啄木鳥探偵處』とは、東京創元社より発売された伊井圭による日本のミステリー小説。第3回創元推理短編賞を受賞。2019年に開催された東北新社の声優オーディション「キミコエ・プロジェクト」がTVアニメ化を発表。2020年4月から6月までTOKYO MXほかにてアニメが放送された。舞台は明治の終わり、文明開花で華やぐ東京。金欠の天才歌人・石川啄木はある殺人事件をきっかけに探偵稼業を始める。啄木をほっとけない金田一京介が助手となり、他の文士仲間も巻き込んで様々な事件を解決に導くミステリー。
キリスト教の幾つかの教派において、罪の赦しを得るのに必要な儀礼や告白を行う部屋のこと。
『啄木鳥探偵處』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
金田一京助「死ぬことだけは許さない」
自分を見失って、突如として故郷に帰った石川を追いかけてきた金田一は、城の石垣から飛び降りようとした石川に「死ぬことだけは許さない」と言う。金を求められればどんな時でも渡し、自身の大切にしていた本を売ってまでも石川を支え、なんでも許してきた金田一が珍しく「許さない」と言った瞬間だった。
石川啄木「身の回りのほんの小さな煌めきを形にして、捕まえておきたいから」
出典: news.mynavi.jp
愛した環には詩ではなく、小説で文才を社会に生かすように言われた石川だが、思うように小説を書くことはできなかった。環を失った悲しみと、彼女の望んだ文章も書くことのできない自分に嫌気がさし、加えて結核で体調も優れない。憔悴しきった石川はやけになって金田一にもぶっきらぼうに当たっていたが、自分の詠む詩と自分自身を「かけがえのない」と言ってくれる金田一に次第に心が救われていく。そして、なぜ詩を詠むのかを「身の回りのほんの小さな煌めきを形にして、捕まえておきたいから」と金田一に伝え、自然でありのままの自分を表現することを思い出していった。
石川啄木「不来方のお城の草に寝転びて 空にすわれし十五の心」
「不来方のお城の草に寝転びて 空にすわれし十五の心」は、もともと思春期の若い心を石川が詩ったものだが、本作では加世に贈った詩として登場している。不来方(こずかた)は石川の故郷である岩手県盛岡市のことを指し、空に吸い込まれそうだと思う素直で純粋な瑞々しい感情が表現されている。幼い頃に愛されていたと思っていた母に裏切られ、ひとりぼっちになった加世。石川の住む下宿の女中として働くも、まだまだ10代半ばの少女だった。数々の殺人の手引きをしていた彼女も、石川の澄んだ詩を詠みながら物語の最後は青い空を眺めていた。
『啄木鳥探偵處』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
アフレコ現場はまるでミルクホール
アフレコ現場の様子を聞かれた浅沼は、「本や映画好きの多い現場」と答える。櫻井や津田が映画について話を始め、音響監督の清水洋史がそれに加わる。文学好きの斉藤が文豪の話を皆に紹介したりと和気藹々とした、さながら作中の文学仲間が集まるミルクホールのようである。物静かな萩原を演じる梅原は、役柄同様に積極的に加わるのではなくその様子を外から見ていたりと、キャラクターをそれぞれに感じる場面も多い。
アニメ化のこだわり
アニメ化にあたって、シリーズ構成を担当した岸本卓は、「石川啄木が歌人であることが”設定”にならずに、物語としても意味のあるのものにしたい」と本作で心掛けたことを話している。ミステリーというだけあって、事件の解決が物語を進めていくことに変わりはないが、石川啄木にとって「書くこと」「歌を詠むこと」とは何かも作中では幾度となく考えさせられる。アニメ化にあたって追加された文学仲間たちも、それぞれの作品にちなんだ詩やセリフが入れられているため、実在する作品にも視聴者は興味を持てるように仕上げられている。
オーディションで選ばれた新人声優
今回のアニメ化のキャスティングは、主要キャラクターの一人を「キミコエ・オーディション」のグランプリが特典として演じることが決まっていた。見事、芥川龍之介役を勝ち取った林幸矢は、自身の声が地上波で流れることに「不思議な感覚」とコメントしている。また、オーディションの見届け人で、本作にも出演している津田は「恐る恐るになっているから、もっとバンといっちゃえばいいのに」と先輩としてアフレコの様子を振り返る。芥川はミルクホールで他のキャラクターとの絡みもあるため、林は「緊張と嬉しさがある」と津田や他の声優陣との共演に喜びのコメントもしている。
『啄木鳥探偵處』の主題歌・挿入歌
OP(オープニング):古川慎「本日モ誠ニ晴天也」
若山牧水役の古川慎が歌う、モダンでハイカラな印象の曲。ジャズテイストな曲調の中に、物語に登場する啄木をはじめとした登場人物に因んだ歌詞もポイントである。
ED(エンディング):NOW ON AIR「ゴンドラの唄」
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目次 - Contents
- 『啄木鳥探偵處』の概要
- 『啄木鳥探偵處』のあらすじ・ストーリー
- 探偵、石川啄木の誕生
- おえんの身請けと仲違い
- 環との出会い
- 誘拐事件と歌人石川啄木
- 告発者Xの正体
- 石川の死
- 『啄木鳥探偵處』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 石川 啄木(いしかわ たくぼく)
- 金田一 京助(きんだいち きょうすけ)
- 文学仲間
- 野村 胡堂(のむら こどう)
- 平井 太郎(ひらい たろう)
- 吉井 勇(よしい いさむ)
- 萩原 朔太郎(はぎわら さくたろう)
- 若山 牧水(わかやま ぼくすい)
- 芥川 龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)
- その他の人物
- 加世(かよ)
- お滝(おたき)
- 山岡(やまおか)
- おえん
- 季久(きく)
- 泉若(せんじゃく)
- 環(たまき)
- 鑑(かがみ)
- 成田屋(なりたや)
- お蝶(おちょう)
- 『啄木鳥探偵處』の用語
- 浅草十二階
- 幻燈師
- 傀儡館
- 告解室
- 『啄木鳥探偵處』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 金田一京助「死ぬことだけは許さない」
- 石川啄木「身の回りのほんの小さな煌めきを形にして、捕まえておきたいから」
- 石川啄木「不来方のお城の草に寝転びて 空にすわれし十五の心」
- 『啄木鳥探偵處』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- アフレコ現場はまるでミルクホール
- アニメ化のこだわり
- オーディションで選ばれた新人声優
- 『啄木鳥探偵處』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):古川慎「本日モ誠ニ晴天也」
- ED(エンディング):NOW ON AIR「ゴンドラの唄」