失われた記憶の先にあるものとは。映画「LOST MEMORY B7」
失われた記憶の手掛かりは、たった1冊の手帳。過去が明らかになるにつれて現在の状況が判明していき、そして全てが理解できたとき、本当の物語が始まります。果たして失われた記憶に宿っているものとは一体何なのか。映画「LOST MEMORY B7」をご紹介致します。
あらすじ・ストーリー
地下鉄で目覚めたサムは自分の名前も分からず、混乱している最中、警察に拘束されそうになり逃亡する。ポケットに入っていた名刺のレストランに逃げ込んだ彼はトイレでノートを発見し…。
複雑そうに見えて、実は単純な構造をしている映画
現在の時系列で手に入れた手帳を基に、過去を回想していくストーリー。最初の90分ほどはほぼ過去の回想。時系列を行ったり来たりというわけではなく、たまに現在に立ち戻るものの、話の主軸はほとんど過去にあります。過去の出来事が現在の状況に影響を及ぼすという設定から、伏線が張り巡らされているのではないかという懸念を抱きましたが、そんなことはなく、注意深く見ていなければ分からないというシーンもありませんでした。
過去と現在を行ったり来たりするのならばもっとストーリーを絡めて、思わせぶりなシーンを増やしてほしかったものです。奥行きのある描写がないせいで緊迫感も薄れ、一体これからどうなるのだろうかというワクワク感もいくらか減退してしまいました。設定の都合上、こういった手法を取らざるを得なかったのは分かりますが、それならそれでもっとラインをがんじがらめにして視聴者を混乱させる勢いあっても良かったのかなとも思います。分かりやすさを重視し過ぎて、肝心の面白さをどこかに置いてきてしまったような映画でした。
驚愕のラストと銘打たれたもののほとんどにある意味驚きを禁じ得ない
映画を観てもらう為には惹句が必要ですが、それもやりすぎると観た時のがっかり感が倍増してしまいます。この映画もその一種。驚愕のラストという惹句によって手を取ったものの、その惹句のせいで物語をあまり楽しめないというジレンマに陥ってしまいました。何も知らないで観たらもっと楽しめたのかといえば決してそういうわけではないのでしょうが、やはり評価を下げる要因にはなっているでしょう。
ラストには特にビックリしません。登場人物が少ないからなのか、物語の中盤である程度の予測は立ちます。そしてその驚愕の事実が明かされた時の危機感のなさといったら、呆れ果ててしまいました。真実の中身は映画を観ていない方がいることを考慮して言及しませんが、後から考えれば腑に落ちないことだらけ。細かいところが気になる人は物語に集中できないかもしれません。とりあえずカートの中に成人男性が入っていたら、いくら何でも気づきますよね、ということだけは言っておきます。
まとめ
洒脱なパッケージと、ありきたりだけど効果抜群な惹句に打たれてレンタルした今作ですが、予想以上にハズレでした。これがB級感丸出しならば良いのでしょうが、きちんと作っているだろうと感じられるのが低評価加速の原因となっています。ちゃんと作るなら作れと言いたいし、遊びたいなら遊べと抗議したい。中途半端が過ぎて、どうにも残念な作品となってしまいました。観れる作品ではありますが、驚愕のラストなるものにはあまり期待しない方が良いでしょう。