2016年カンヌに出展が決まっている黒沢清監督の岸辺の旅。妻を演じる深津絵里のもとへ、3年前に失踪した夫が突然戻ってくるところから物語は始まります。
夫は自分は死んだと告げ、死ぬ前に訪れた場所をめぐる夫婦の旅が始まります。3年前に夫が失踪したとき、妻はその行方を方々探し回りました。そこで知りたくない事実もたくさん知ることになります。しかし再開後に始まったその旅を通じ、夫婦はどのようなラストを迎えることになるのでしょう。今年のカンヌでどういう評価を得るのかとても楽しみな作品です。
実在したモナコ公妃、グレース・ケリーを題材とした映画「グレース・ケリー 公妃の切り札」。グレース・ケリーと言えばアメリカを代表する女優でもあります。カンヌ映画祭でモナコの大公に見初められ、モナコの公妃となり、世界中の女性が憧れた彼女の人生が描かれています。
華やかな世界の中で、モナコの国際的危機を通じて女優ではなく公妃として成長していくグレース・ケリーの姿に胸を打たれることでしょう。主演を務めたニコール・キッドマン麗しい姿は本物のグレース・ケリーに引けをとりません。
2014年のカンヌで大きな話題となった「ザ・トライブ」。全編吹き替えなし、手話のみで構成された衝撃の映画。手話で構成されているので、もちろんセリフはなし。音楽もほとんどない映画ですが、その表情や動作から主人公たちの繊細に揺れ動く感情を感じ取ることができます。
物語の主人公となるのは聾唖者専門の寄宿学校に入学したセルゲイ。しかしその聾唖学校は暴力に支配された日常が繰り返されている世界でした。カンヌに出品され、多くの人の目に触れることで、聾唖者に対しての健常者の意識を大きく変え、映画というものの概念を大きく壊した作品となりました。
17歳、高校生のイザベルが初体験を期に、自分の年齢を偽り買春をするようになります。同世代の男性には眼もくれず、自分の父親ほどの買春しながら、イザベルは自分の中の空っぽの部分を埋める何かを探しているようでした。
買春を続けていくうちに、イザベルはある初老の男性と定期的に関係を持つようになります。しかしある日、その男性との行為の最中に彼は死んでしまうのです。その事件が発端となり、イザベルが買春していたことが家族のもとにも知らされることとなります。17歳、まだ若い彼女は何を探し求めていたのでしょうか。美しいフランス映画の良さがたくさんつまった作品です。