プリクラにピアス。乃南アサが描く、チャラい新米巡査の大人気ポリスコメディ
シリーズ化にもなり大人気の「新米巡査・高木聖大シリーズ」は、乃南アサの小説作品です。小説だから堅い内容なのでは?なんて思わないで下さい。警察手帳にプリクラを貼っていたり、仕事中にピアスをしていったりととにかくチャラい!警察志望動機も軽く、同期にも追い越され自暴自棄になりながらも”警察官”の職務に目覚めていく話で、若い方にも読みやすい小説です。
作者-乃南アサ
広告代理店勤務を経て、1988年に『幸福な朝食』で日本推理サスペンス大賞の優秀作を受賞しデビュー。1996年に『凍える牙』で第115回直木三十五賞を受賞。2011年に『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞を受賞。2016年に『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。他の作品に『花盗人』、『団欒』などがある。
出典: ja.wikipedia.org
シリーズ紹介
◆ボクの町(2001年12月発売 新潮文庫)
高木聖大、大卒23歳。ふられた彼女を見返してやるため、警察官になりました!
◆駆けこみ交番(2007年9月発売 新潮文庫)
着任早々大手柄! しかも運だけで。『ボクの町』の高木聖大巡査のずっこけ気味の大活躍。
◆いつか陽のあたる場所で(2010年2月発売 新潮文庫)
ズッコケ新米巡査のアイツも登場。
作者からのサービス
――『ボクの町』の主人公、高木聖大が芭子に思いを寄せるというサブストーリーもあります。
乃南 それはまあ、私の作品をいろいろお読みくださっている方へのサービスということで……。二人の結婚? ありえないです。警察官と結婚したら前歴を洗われるでしょうし(笑)。
「ボクの町」「駆けこみ交番」での主人公・高木聖大が、乃南アサの”芭子&綾香シリーズ”である「いつか陽のあたる場所で」に、作者からのサービスで登場しているので、高木シリーズファンには嬉しい内容となっています。
あらすじ・ストーリー-ボクの町
警視庁城西署・霞台駅交番に巡査見習いとして赴任した高木聖大は、警察手帳に元カノとのプリクラを貼り、それが上官にバレたことで叱られ、仕事中にピアスを付けて行ったことで市民から「ピアスを付けた警察官」と呼ばれるなど、今時の若い風貌の新米警察官見習いだった。仕事と言えば上司と一緒に自転車を漕ぎ、暑くて汗びっしょりでも事件・事故があれば寝る間も惜しみ、喧嘩・酔っ払い・道案内・落し物…そんな毎日が続いていた。とある住民からの依頼で自殺体を発見すると、その仕事の辛さを痛感した。聖大には彼女がいなかった。フラれたのだ。元はと言えば彼女にフラれたことがきっかけで警察官を志望した聖大。こんな志望動機と辛い仕事ないように自暴自棄になる聖大の同期・三浦が事件に巻き込まれひき逃げにあい、生死をさまよう重体になる。畜生、どうする?同期の無事を願いながら、必死に犯人を追う聖大の身に何かが起こる!
あらすじ・ストーリー-駆けこみ交番
警察学校を卒業し、聖大は世田谷区等々力交番に赴任した。東京といっても近くは神奈川県で、大きな事件もない静かな場所だ。パワーが漲っている聖大は、不謹慎ではあるが渋谷や新宿から無線で入る派手でドラマチックな大事件の数々にうずうずしていた。そんな等々力交番に、毎夜のように不眠症のおばあさん・神谷文恵が雑談をしに来ていた。文恵の話相手をしているうちに彼女と仲良くなった聖大は、文恵が有する「とどろきセブン」なる老人クラブに度々呼ばれることになった。老人クラブと言っても、7人の彼等には各々に特技があり、人生経験を活かした活動をしていた。彼等に待望の彼女を紹介してもらえる!張り切っていた聖大だったが、彼等からもらったのは町の不審に思っている情報だった。投げやりな気持ちになりながらも、その情報を元に手繰っていくと予想外にも事件に繋がっていたのだ。手柄を上げていく聖大と、裏の顔を持つ”とどろきセブン”両方の活躍から一時も目が離せない!
シリーズを通しての読みどころ
誰もが共感する部分がある中でも、こちらが読みどころ!
◆警察官だって彼女が欲しい!やっと友人から誘われた飲み会に、まさかの元カノ登場!
◆機嫌が良い時は喋りが止まらずひたすらウザい、機嫌が悪い時はネチネチとしていて結局ウザい、そんな上司や、後輩の手柄を良く思わずやっかむ先輩など、縦社会でありそれぞれに個性がある職場。
◆大きな事件・事故ばかりでなく、落し物1つでも沢山の書類を書き、交番だよりまで書かないといけない職務の大変さ
◆定年間近の大先輩刑事との私服張り込み時の聖大の服装「胸元にシルバーのボールチェーン・クロスペンダント、ヘアワックスを使って髪にアクセント、革ジャン」
◆真面目でないながらにも「こんなはずじゃなかった」を「こんなはず」に持っていく聖大の潜在能力の強さ