その人生から編み出されたメッセージ・日光東照宮の秘密

徳川家康公没後400年。彼を祀る「日光東照宮」は修学旅行や観光地として人気。「立派」というだけではなく、「待つ」武将、家康公の人生観やメッセージ、願いが込められたものなのです。

日光東照宮全体図

神君徳川家康公を祀る日光東照宮。「修学旅行で行ったなー」程度の認識でした。しかし!実は結構深いメッセージ、そして家康公の人柄がよく分かる場所でもあったんです。

大体の地図です。

実は「未完成」。そのわけは…?

「完成したら、壊れてしまう」。そこで終わり、後は崩れるのみ。だから、あえて「未完成状態」になっている場所があるんです。

よく見たら模様が逆。「敢えて柱を逆にした」バージョン。「完成したわけじゃないからね」という、一種の願掛けですね。陽明門にあります。また五重塔もありますが、こちらも一番上だけデザインが少し違っていたり、不完全さが出ています。

虎と兎と龍が並んでいるわけ

五重塔と言えば、もう一つ。実はここには十二支の動物が彫られているのですが、何故か寅、卯、辰の順。これは、家康が寅年、二代将軍秀忠が卯年、三代将軍家光が辰年であることにちなんでのことです。

大河ドラマ『葵徳川三代』でも、干支に関する会話がありました。「ウサギの子なんて御免だ」と言うような、若き日の家光のセリフが…あった気がします。

夢を食べる架空生物を置いたわけ

獏と言ったら小説家の夢枕獏先生…ではなく、中国の想像上の動物で、悪い夢を食べるとして知られています。が、他に鉄などを食べるともされています。「何でそんな動物の彫刻を置いとくのよ?もっとおめでたい動物にしたら?」とお思いでしょうが…。

実は獏さんが食べる鉄などは、鉄砲、刀といった武器を思い起こさせます。つまり、武器を食べてしまう。平和な世を願ったというわけです。

三猿だけじゃない!?猿たちの物語る「人の一生」

「三猿」と言えば、「見ざる、言わざる、聞かざる」ですが、じつはこれはほんの一部でしかなかったという…。

神厩舎という(神に仕える馬用の厩舎)建物を取り囲むように、猿の彫刻が施されているのですが、実はそれが人生を表しているという。

1:誕生。親猿に守られている小猿。
2:三猿。「悪いことを言わない、診せない、聞かせない」という意味だそうです。
3:巣立ちの前。自我の芽生えという奴でしょうか。
4:親元を離れて色々なことに挑戦。木に登っている猿が見られます。
5:挫折と励まし。木から落ちた猿と、それを励ます一匹が。自身が苦労の連続だった家康のこと、若くなくなっても挑戦を続けたのは、支えもあったからなんでしょう。
6:恋。しかし、それは必ずしも甘美なものではなく苦しみも付きまとうもの。
7:結婚。二匹の猿が協力し、波を乗り越えます。
8:妊娠。子供が生まれて、最初に戻る。
仏教的というか、深いです。

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