シガー・ロス (Sigur Rós)はアイスランドのポストロックバンドです。
ビョークなどを輩出したアイスランドからまた新たに幻想的な音楽を奏でるバンドが登場し、その素晴らしい音楽性はレディオヘッドのトム・ヨークなどにも評価をされ、一躍彼等の名前は世界へと広まりました。
そのバンドのフロントマンであるのが、ヨンシー・ビルギッソンです。その限りなく透明な世界観、そして、アイスランド語で歌う幻想的楽曲は唯一無二とも言え、今ではポストロックの至宝とも称されています。
そのヨンシーが2010年に発売したソロアルバムがまた素晴らしい仕上がりとなっています。シガーロスの時にはあまり見られなかったポップさを前面に出た楽曲を発表してくれました。聴く者をキラキラとさせるその幻想的ポップは、ここ日本でも非常に高い評価を得ました。
以後、彼の2枚目となるソロアルバムが発表される事は現時点では無いのですが、唯一リリースとなった1stソロアルバム『Go』に収録されているオススメの楽曲を何曲かご紹介したいと思います。
Jónsi「Go Do」
ソロアルバム『Go』のオープニングトラックです。始まりから徐々に駆け上がっていく高揚感、そしてサビでの音の洪水…しかし不思議とすんなり耳へと入ってくる、その透明感。全てが圧倒される一曲です。ヨンシーのソロアルバムを聴いた人は、まずこの一曲目に良い意味でやられてしまうでしょう。PVも非常に個性的であり、シガーロスではそこまで前面に出していなかった「ヨンシーそのもの」というのを見せてくれています。
Jónsi「Animal Arithmetic」
1曲目の「Go do」の勢いをそのまま引きずって行く2曲目である。そのポップさ、高揚感は更に加速していきます。そして、シガーロスを敬愛していたリスナーなら必ず思う事。「こんなヨンシーも居たのか…」と。それほど、シガーロスでは見られないヨンシーの姿を垣間みれます。しかし、バンドとは全く違う事をソロではやろうという明確な意思も感じ取れる一曲であります。
Jónsi「Tornado」
全編POPな要素が強いヨンシーソロ。そんな中でもシガーロスを意識される一曲がコチラ。この美しい旋律はシガーロスを感じさせます。余談ですが、ヨンシーソロの注目すべきポイントは、シガーロスとは違い、歌詞を英語にしているという所。ここにもバンドの時とは違った意外性を感じられます。そして、楽曲について言えばポップさも去る事ながら、そのアンサンブル感。多種多様な音を、一見無秩序にも見える程、思いのままに響かせている楽曲 (しかし、ちゃんと一つにまとまっている所はさすがのヨンシー)。間違いなくシガーロスとは違う、ヨンシーが自由に描いた世界がそこには広がります。