「変わった社員」が出る二つのシュール漫画
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就職氷河期なんて言われていますが、人によっては新たな職場でスタートを切る人も多いでしょう。で、「会社」と呼ばれる場所を舞台にした二つの作品をご紹介。両方とも作者は別人ですが、絵が似ています。そして、ある「共通点」というか、対になる点を見つけました。
『サラリーマン山崎シゲル』
珍妙な言動を繰り返す社員、「山崎シゲル」と上司「部長」の掛け合いを描いた作品。
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キュウリの才能って…。
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よく首にならないもんです。もっとも、彼が首になったら話終わっちゃいますが。もしかするとたまに変になるだけで普段は優秀なんでしょうか。まさかコネ入社なんてことはないと思いますが…。
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この本を見た時、思ったものです。「あの漫画に絵画似ている」と。
『GoGo!アリクイ編集者!』(『王様はロバ収録』)
タイトル通り、アリクイが勤める編集者を舞台にした、おまけ4コマです。
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ホントは1巻に載ってるんですが。
掲載されているのは『王様はロバ』という漫画。もう20年以上も前の作品です。
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何か「山崎シゲル」に絵柄が似ていませんか?別にパクリだって言ってるわけじゃありませんよ。で、問題の「アリクイ編集者」。
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下の名前は分かりませんが、「山田さん」というそうです。
「漫画を見る目」を持っているためか、某編集者に勤務。担当作家との価値観の違いに悩んだりしつつ、概ね天然系統の言動が多いです。しかし、「山崎シゲル」と違って常識人ですし、優秀です。持ち込みや担当の作家に、作品のどこがダメなのかを言ったり、時に励ましたり。
「新入社員の目線」in『アリクイ編集』
『アリクイ編集者』の主人公は、山田さんと見せかけて新入社員の林さんです。画像の彼女です。年齢から言って恐らく新卒。大学出なのかは知りませんが、その学生時代にはアルバイト経験もあるでしょう。しかし、アルバイトと正社員は違います。林さんは立派な社会人になったのです。そして、「先輩」の中に「変わったひと」がいた。それが山田さんなのです。
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エレベーターの中で、山田さんはアリクイではどの種類が好きかさらっと聞いてきたり、「僕にも名前があるんだからアリクイって呼ばないで」と難色を示したりもします。同じ部署に同名の社員がいるため、電話を取り次ぐ際もうっかり「アリクイの山田さん」なんて言ってまたも気分を害したり。「どう付き合ったらいいんだろう」なんて悩むのです。いかにも新入社員といった感じです。「世の中」に漕ぎ出したばかりの林さんですが、そんな「若手社員」の象徴に思えました。
「若手社員が分からない」in『山崎シゲル』
山崎さんの正式な年齢は分かりませんが、部長とは20歳くらい年が離れているように思います。で、太古の昔から言われてきたこと。「まったく最近の若い者は」。部長は怒鳴りこそしませんが、山崎さんのすること、やたら足の長いネコなどに対し若干「引いて」いるように思えます。あきらめの境地すら感じます。「若手社員が何を考えているか分からない」。そう考えている上司も多いのでは?
片や「新入社員」、片や「中間管理職」の目線で見た「変わった社員」は、実は「優秀だけどどこかずれた先輩」と「よく分からない若者」だったのかもしれません。まあ、「ギャグ漫画なんだから笑って読んどけ!」と言われたらそれまでですが。