リアリティと感動のミリタリー映画十五選 WWⅡ編
戦争映画は映画のジャンルの中では、大きなジャンルでは無く、人を選ぶジャンルではありますが、その中にはニュースでは分からない、本にも書いてない、現実では考えられないリアリティと戦争とはほど遠い感動が秘められていたりします。
そこでオススメのミリタリー映画を紹介したいと思います。
プライベート・ライアン
1998年 監督:スティーヴン・スピルバーグ 製作:アメリカ 主演はトム・ハンクス
キャッチコピーは「選ばれた精鋭は8人── 彼らに与えられた使命は 若きライアン2等兵を救出する事だった……」
史上最大の作戦と呼ばれる「ノルマンディー作戦」を生き残ったミラー大尉(トム・ハンクス)にジェームズ・ライアン上等兵(マッド・デイモン)を発見し、本国へ送還せよと命令が下りる。ライアン上等兵の二人の兄は戦死してしまった為、ライアン上等兵だけでも母親の元へ返すべきとの軍上層部の考えだった。
モデルとなったのはナイランド兄弟事件、映画開始20分間のオハマビーチのシーンは想像を絶する戦場のバイオレンスさをリアルに再現しており、また物語の所々で出てくる人間性の崩壊も戦場の不条理さがあると高い評価を得ている作品です。
トラ・トラ・トラ!
1970年 監督:リチャード・フライシャー、舛田利雄、深作欣二 製作:日米合同
キャッチコピーは「太陽は昇った-昭和16年12月8日、その真紅の朝焼けは血と炎のドラマにふさわしく大空をそめた。」
1941年、アメリカの軍上層部は楽観的な判断から日本からの奇襲の兆候に気付きつつもその事実を黙殺した。その頃日本では閣議決定に沿って真珠湾への奇襲の為、艦上機を発艦させていた。数時間後、日本はとうとう太平洋戦争への火蓋を切ることになる。
真珠湾攻撃をモデルとした映画であり、日米合作での作品の上、珍しく感情的な映画ではなくアメリカの危機管理能力の薄さ、日本の奇襲による圧倒感等平等的な観点で描かれた作品となっています。その為か、アメリカでは上映当初不評であり日本や当時ベトナム戦争中の東南アジア各国などでは高い評価を受けています。
またCGを使っていない為、本物の戦闘機等を使っており、映画の中ではアクシデントで死人がでかけたシーンをそのまま使うなど製作陣のこだわりが強い作品となっています。
戦場のピアニスト
2002年 監督:ロマン・ポランスキー 製作:フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス 主演はエイドリアン・ブロディ
キャッチコピーは「魂を揺さぶる真実の物語」
1930年代後半、ポーランドでピアニストとして活躍していたユダヤ人のシュピルマンは、第二次世界大戦によるナチスドイツのポーランド侵攻によって生活を壊されていく。
ユダヤ人収容所の鋒起、ポーランド人のワルシャワ鋒起とその顛末を目の当たりし、戦火の下を逃げ惑いながらシュピルマンは想像のピアノを演奏しながらなんとか生きていく。
ある日、食べ物を漁っていたシュピルマンはとうとうナチス将校に見つかってしまう。ピアニストだと証言したシュピルマンに将校はピアノを弾くように命じ、その美しい音色とドイツの敗退を予感していた将校はシュピルマンに密かにライ麦パンと缶切りを渡すのだった。
モデルは「ある都市の死」、実在したピアニストの体験を元にしており、戦争による国や軍による不条理さ、犠牲になった家族や友人の悲劇、そんな中での人々の暖かさ等戦時下での社会のリアルさ、そしてピアニストとしての音楽への思いは高い評価とカンヌ受賞が裏付けていると言えます。
戦場のメリークリスマス
1983年 監督:大島渚 製作:日本、英国、オーストラリア、ニュージーランド合作 主演はデヴィッド・ボウイ
キャッチコピーは「男たち、美しく…。」
1942年、ジャワ島の日本軍英国人捕虜収容所で起こった事件によってロレンスとハラ、所長ヨノイと新しく収監されたジャック、それぞれの国の宗教観・道徳観・組織論等が違う中、お互いに奇妙な尊敬の念や友情などが芽生え始める。時は流れクリスマスの日、各人に運命のプレゼントが待っていた。
モデルは「影さす牢格子」と「種子と蒔く者」、作者の体験記を基に書いた作品であり、大きな賞の受賞は無いが、出演者にデヴィッド・ボウイ・ビートたけし・坂本龍一等一流のアーティストでありながら演技経験が皆無な出演者の使用や宗教観・道徳観等の演出の拘りはさすが大島渚監督と高い評価を受けている作品です。また使用された楽曲は全て坂本龍一が作曲しており、Movieサントラとしても高い評価を残しています。
スターリングラード
2001年 監督:ジャン=ジャック・アノー 製作:アメリカ、ドイツ、イギリス、アイルランド合作 主演はジュード・ロウ
キャッチコピーは「愛するターニャ、今日も僕は君のために、またひとりナチを撃つ」
1942年、ドイツによるスターリングラード侵攻の頃、羊飼いで狙撃の腕が優秀なヴァシリは政治将校ダニロフと共に赤軍に身をおいていたが、赤軍の突撃をドイツに撃退され二人は前線の中に取り残されてしまう。狙撃の不慣れなダニロフの代わりにヴァシリはその場でドイツ将校達の狙撃に成功し、目の当たりにしていたダニロフのお陰でヴァシリは一躍英雄となる。しかし、女兵士ターニャの出現と共にふたりの間には軋轢が生まれる。そしてその頃、ドイツは狙撃のスペシャリストをヴァシリ排除のために派遣した。
実在のスナイパーをモデルとしたフィクション映画であり、スナイパーを主人公にしている為か地味な演出が目立つ所があるが、それが戦場の狙撃手のリアルさを物語っていると思える。また、ドイツ人スナイパーがわざとヴァシリと仲良くしていた少年を囮と使うなど残虐性の表現も評価が際立っています。
大脱走
1963年 監督:ジョン・スタージェス 製作:アメリカ
キャッチコピーは「20世紀最大の娯楽大作が5大スターと共にいま爆発!」
第二次世界大戦化のドイツで、脱走常習犯に手を焼いたナチスドイツは脱出不可能な収容所を作り、そこに脱走常習犯を集めて監視しようとした。しかし、そこに集められたのは脱出のエキスパートだらけ、3本の地下トンネルによる250人に及ぶ囚人の前代未聞の大脱走が始まった。」
モデルは「The Great Escape」、作者の収容所での脱走計画の詳細に書かれたミリタリー映画としては異色の作品で、キャッチコピーの5大スターと書いてある通り、スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン等、当時活躍したスターが多数出演しており、また音楽の『大脱走マーチ』は人気を博しており、スティーブ・マックイーンがバイクに乗って草原を疾走するシーンと共に未だに代表的な音楽と映像として使われ続けている。
ヒトラー 〜最期の12日間〜
2004年 監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル 製作:ドイツ、オーストリア、イタリア合作
キャッチコピーは「彼の敵は世界」
1945年のベルリンを舞台に敗戦が濃厚となったナチスドイツの総統の地下塹壕での12日間に及ぶ悲愴な最期を描いた作品である。
モデルは『ヒトラー 最期の12日間 Der Untergang』、20世紀最大の戦争犯罪者と呼ばれるヒトラーを主役に置くというタブーにも近い題材にチャレンジした作品で、国際映画100選に選ばれたり、多数の賞を受賞しています。監督のオリヴァー・ヒルシュビーゲルは『ヒトラーは誰でも知っているが、誰もその実像を知らない』とコメントし、更に「この映画を契機に若者が過去の歴史的事実について考えてくれれば」ともコメントした。
眼下の敵
1957年 監督:ディック・パウエル 制作:アメリカ 主演はロバート・ミッチャム
第二次世界大戦下の南太西洋、単独航行中のアメリカ駆逐艦が浮上航行中のドイツ潜水艦を発見し、駆逐艦と潜水艦の一騎打ちが始まった。潜水艦の進路を予測し先手を取る駆逐艦艦長のマレル艦長、しかしドイツ潜水艦艦長シュトルベルク艦長は逆転の一手を思いつく。共に戦争に批判的だが義務感で戦う両艦長は、知力を尽くして戦う内に奇妙な尊敬の念を覚えていく。
モデルは「水面下の敵」、作者の体験記を基に作られた作品で、実際の駆逐艦を使い砲撃や爆雷なども実際の物を使った為、評判となりました。また、ドイツアメリカ両国を平等に描いているためのも高評価を受けている。