ハッカー同士の頭脳戦!? 映画「ブラックハット」が思ってたのと違う!
「ヒート」「コラテラル」など、様々な名作を世に送り出したマイケル・マン監督が手掛けた映画「ブラックハット」はブラックハット=コンピュータやネットワークに攻撃するハッカーを描いたものです。ハッカーといえば頭脳対決。もちろんそれを期待して観たのですが、実際は……? 映画「ブラックハット」をご紹介致します。
あらすじ・ストーリー
ネットワークに不法侵入されたことで香港の原子炉が破壊されてしまい、さらにアメリカの金融市場も被害を受ける。アメリカと中国の合同捜査チームは事件解決のため、現在獄中生活を送るすご腕ハッカーで天才プログラマーのニコラス(クリス・ヘムズワース)に協力を要請。犯人は以前彼が開発したプログラムを応用しており、正体・目的共に不明の犯人のしっぽをつかむべくニコラスは捜査チームと一緒に世界中を駆け巡るが……。
単なるクライムアクションものでした
ハッカー同士の対決ということで頭脳戦を期待していたのですが、期待外れというか、思わぬ肩透かしを喰らってしまいました。ハッカー映画=頭脳戦という、安易な考えをした私も悪いのですが、それにしてももうちょっと頭脳戦めいたものがあっても良いのでは、という感じ。クライムアクションというジャンルということもあり、とりあえず肉弾戦メインです。ハッカーってこんなに武闘派だったんだへえ、と思わず感心してしまいます。もちろん悪い意味で。
また、展開にも難があり、序盤に原発炉が破壊されるという、日本人には身に痛い描写がなされるのですが、それの必然性があまり感じられませんでした。とりあえずでかいことしとこうぜ的な思惑が働いているみたいで、終盤になるにつれて序盤のあの展開は何だったのだろうという思いが強くなっていきました。テロリズムという分かりやすいものでもありませんでしたからね。なんならいっそのことテロに対抗する、という主旨でも良かったのでは、と思う次第です。
恋愛描写の薄っぺらさと、ラスボスの小物感
こういう映画には恋愛要素がつきものです。それは私も分かっているのですが、今作に関してはかなり雑でしたね。何の前触れもなく、画像に映る2人がキスを交わします。男と女なんてこんなもんだろ、と投げ出したかのように唐突なキスシーン。そこは何かしらの事件があってしかるべきでしょう。というか、何か絡めればもっと深く描写できただろう、とツッコまざるをえません。そしてその雑に作りだされた恋愛要素はラストまで続きます。そこまで引き延ばすのならもっと繊細にやれよという感じでしたね。
加えて、ラスボスの小物感がすごい。噛ませ犬だろうなと思ったら、本当にラスボスでした。黒幕にはそれ相応の風格を求めたいものですが、出てきたのは小太りの、どこにでもいそうなひげもじゃオッサン。威厳もクソもありません。着てるの普通のシャツだし。人を見た目で判断してはいけないことは重々承知しているのですが、それにしてもひどい配役でした。噛ませ犬がラスボスって、ある意味驚きましたけどね。
まとめ
あまり観る価値はありませんでしたね。タイトルがカッコ良かったのでつい手に取ってしまいましたが、中身はかなりお粗末。あ、でも主要キャラが普通に死んでいくのは一種の清々しさを感じました。メインは大体生き残ることが多いですからね。でも賞賛すべきはその点くらいですかね。あとは特に面白味がありません。観た翌日には記憶からもう記憶から薄れてしまっているような、そんな映画でした。観たい方はぜひどうぞ。主役はとりあえずカッコ良いので。