7つの顔をもつ男——トッド・ラングレンの全貌にせまる(80年代編)

2015年にフジロックに出演し、67歳にして萌えダンサーとともに踊り狂って話題をさらったロック界の大御所トッド・ラングレン。クラシカル・ロックから打ち込み系のエレクトロニカに移行する80年代についてお届けします。

80年代

80年代初頭はニューウェイヴ、ポストパンクが席巻していた時代です。その影響もあってかトッドも打ち込みによる作品をリリースします。一方、プロデューサーとしも活躍し、高野寛、レピッシュなど日本のアーティストもプロデュースします。

ヒーリング~トッドの音楽療法

「癒し」をテーマとしたコンセプト・アルバムです。特にLPサイド2の大部分を占める「ヒーリング・パートⅠ」~「ヒーリング・パートⅢ」では、トッド・ラングレンズ・ユートピアで試みたようなプログレ的なアプローチが見受けられます。

2010年に行われた「ヒーリング」再現ツアーの一部です。

トッドのモダン・ポップ黄金狂時代

大半が打ち込みですが、内容はかなりポップで、ややアコースティックな趣さえあります。トッド節炸裂というところでしょうか。

時代はMTV全盛期。トッドもPVを作っています。

ア・カペラ

日本での「ハモネプ」や、アメリカでの「グリー」などの流行のはるか以前に、ほとんどトッドの声のみで作られているアルバムをリリースしています。サンプリングの技術が発達したおかげもあります。

やや画質が荒いですが、これは当時のライブのようです。

ニアリー・ヒューマン

80年代の終わりに、それまでの打ち込みを中心とする音作りから一変して、「サムシング/エニシング?」のサイド4でやったような、ミュージシャンを集めて「せーの」で一発録りする手法に回帰しています。これに続く「セカンド・ウインド」も同じコンセプトで作られていて、録音の時にはお客さんを入れて公開したそうです。

これは日本公演の映像です。コーラス・ガールの真ん中にいるミッシェルは後にラングレン夫人になります。

まとめ

80年代は概ね「打ち込み」「宅録」の作品が多く、エレクトロニクスへの傾倒が見られます。実際、トッドはYMOの大ファンで「高橋幸宏のアルバムは全部持っている」のだそうです。しかしながら、80年代終盤でバンド・サウンドに回帰しているのは、トッドのバランス感覚なのでしょうか?

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