人生とは何か? 『ベンジャミン・バトン~数奇な人生~』を観てじっくり考えてみる。

80歳の姿で生まれ、歳を重ねるにつれ若返っていく1人の男の一生を描いた物語。笑いあり、涙あり、感動あり。周囲の人間とは違う運命を辿りつつも人生を謳歌するベンジャミンを、主演のブラッド・ピットが演じる。

作品情報

2008年に公開されたアメリカのヒューマンファンタジー映画。日本での公開は2009年。
原作はF・スコット・フィッツジェラルド氏の短編小説。
第81回アカデミー賞では全13部門にノミネートされ、美術賞・視覚効果賞・メイクアップ賞を受賞した。

あらすじ・ストーリー

『生まれたときと同じように何も持たずに死んでいく。私の一生を覚えているうちに書いておく。
私の名はベンジャミン・バトン。人とは違う星の下に生まれた…』。

出典: eiga-kaisetu-hyouron.seesaa.net

2005年、ニューオーリンズにはハリケーンが接近していた。
人生の幕引きを間近に控えた一人の老婆は、
とある病院のベットの上で娘のキャロラインに日記帳を読み聞かせて欲しいと頼む。
キャロラインが読み上げる日記。

それは『ベンジャミン・バトン』という、数奇な人生を辿った男の手記だった――。

時は遡って1918年。
第一次世界大戦が終了した日の夜、ニューオーリンズで老人施設を経営する黒人夫婦が保護したのは、
老人に酷似した姿の生まれたばかりの赤ん坊だった。
夫婦は驚きのあまり言葉を失ったが、妻のクイニーは赤ん坊が神の子である事を確信し、
夫の反対を押し切って自らの手で育てることを宣言する。

老人の姿をした赤ん坊は「ベンジャミン」と名付けられた。
幸いだったのは、ベンジャミンの赤ん坊ならざる容姿を軽蔑し、
避けようとする者が施設内には居なかったという点だろう。
ベンジャミンは施設の老人たちに暖かく迎え入れられ、祝福を受けたのだった。

ベンジャミンの幼少期(外見は80代の老人)は、死を間近に控えた老人たちと共にあった。
優しい人々に囲まれ、幼い頃から「老い」や「死」に触れ体験する中で、
彼の穏やかで優しい人格は形成されていく。

そしてこの期間の見所は、身体機能の弱さゆえ車椅子で生活していたベンジャミンが歩行できるようになるシーンだろう。感動的になるはずのシーンは極めて喜劇的に描かれており、何とも言えない笑いが自然とこみ上げてくるのである。
その後もベンジャミンの容姿や体はゆっくり若返りながら、彼が12歳になる頃には杖を使って歩けるまでになった。

1930年。ベンジャミンは老人施設の感謝祭に参加していた入居者の孫であるデイジーと出会う。
(多少ネタバレすると、)これはお互いにとって運命の出会いであった。

デイジーはベンジャミンが老人ではないことを見抜き、それなりに話を弾ませるが
外見があまりにも違い過ぎた2人の仲はそれ以上進展する事なく、疎遠になっていった…。

1936年、17歳も終わりに近づいたある日、若返りを続け元気になったベンジャミンは、
世界を知るため、船に乗って旅立つことを決意する。
ベンジャミンは船乗りとして働くかたわら、滞在したホテルで人妻との恋、そして切ない別れを経験する。

出典: ja.wikipedia.org

そして勃発する太平洋戦争。
ベンジャミンの乗る船は、予想外のテンションで戦争の後方支援をすることになる。

船の旅を終えてからも、ベンジャミンはどんどん若返っていった…。

そして感謝祭以降も何度か顔を合わせるベンジャミンとデイジーだが、すれ違いの連続で
その仲は進展したり停頓したりを繰り返し、見ていてなんとなくもどかしい気持ちになる。
が、若返るベンジャミンと歳をとっていくデイジーが同じくらいになった時、
2人の運命は再び交差し始めるのだった。

自分だけが若返り、周りは皆老いていく。
そんな運命を定められたベンジャミンは、ひとり孤独に苛まれながら生きていくしかないのだろうか?それとも…

さいごに

これはどの映画にも当てはまる物だが、見終わった時に”どんなことを感じるか” ”何を思うか”は人それぞれ違うのだという。例えばこの作品を見て、
「ベンジャミンは(他の人とは同じ運命をたどれず最後まで孤独な)可哀想な人だった」と思う人もいるし、「色々あったけど(大切な人と最後を迎えられて)、ベンジャミンの人生は幸せだっただろう」と思う人もいるかも知れない。

筆者は感受性が乏しいので、〈製作陣が作品に込めたメッセージ〉というものを
率直に感じ取れたことがないのだが(´・ω・`)、
それでも映画を見終わった時には「人生は儚くて美しいな」とか思ったり、
物語冒頭と最後の場面の対比にはとてつもなく心揺さぶられたりした。
また所々に散りばめられたジョークが、重みのある内容との相乗効果で際立って面白く感じられたが、そのジョークの中にも人生について考えさせられるものがあり、抜かりがないのである。

上映時間は165分と長めに作られている為、途中中だるみを感じた事は否めない。
しかしそれを補う内容の濃さで、充分満喫できる作品だった。
独断と偏見による筆者の評価は【星5つ】。もちろん5つ満点である。
キャストにしろ、物語の展開にしろ、映像美にしろ、若輩者には勉強になるものがたくさんあった。

「ベンジャミンバトン」を見終えた後、心には何が残っているか?
それが映画の面白さを左右するのではないかと、なんとなく思う。

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