【閲覧注意】ヤクザ・暴力団の都市伝説まとめ!心霊現象より怖い話を紹介
ヤクザや暴力団に関する都市伝説を集めました。Aの命を奪ったのは一体誰なのかという疑問が残る「リンチ」や、追手に捕まった男の悲惨な末路を綴った「蟹のドラム缶」といった話を掲載。心霊現象よりも怖い噂を紹介していきます。
リンチ
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私は30代前半、中国地方のとある県に住む会社員です。
話は私が16歳の頃です。
高校を中退し仕事もせずに遊びまわっていた私はAという3つ年上の先輩とツルむようになりました。
Aは150cm程の小柄な男で、笑っちゃううくらいの鬼ゾリ&パンチパーマで、私達後輩には横柄な態度を取り、同学年や先輩にはヘコヘコするような嫌われ者でした
ある時期から私はAと一緒に地元の暴力団の事務所に出入りするようになり、テキ屋の手伝いや事務所の掃除などをするようになりました。
私はまだほんの子供で兄さん方からとても可愛がられていましたが、Aは一度話をすればわかるのですが非常に頭が悪くハッタリやすぐバレるような嘘ばかりつくので兄さん方からしょっちゅう苛められておりました。
ある日、シンナーでラリったAがXという組員の囲っている水商売の女に強姦未遂をおこしました。
激昂したXはAを呼び出し、女のアパートでボコボコに殴りました。
そばで見ていた私が小便をもらす程です。
灰皿で殴った頭が陥没し、そこから頭蓋骨が見えていました。
暴行は4~5時間にも及びAはすでに虫の息でした。
ぐったりしたAをワゴンに乗せ、私とX、Xの後輩Zと隣の市の山奥にある運送会社の倉庫跡地へ運びました。
到着したのは午前2:00頃。
私はそこでXに「Aの首を絞めろ」と命じられました。
私が泣きながら拒否すると、興奮したXは私の髪の毛を掴み引きずりまわしながら10分以上も殴り続けました。
突如Aが「キェー」という奇声を上げ、大笑いを始めました。
それを見たZが用意していた木製バットで耳の辺りを思いっきり殴りました。
倒れたBをXも一緒になり何度も何度もバットで打ちつけていました。
しかしAはなかなか息絶えないようでした。
「まだ動くどこいつ」「首絞めぇや」「車に縄入っとるで」「持ってこい」
「あんガキどうするんや」「口止めできるんか?」
私はその辺りで記憶が飛んでいます。
次に覚えているのは事務所の中です。
次の日、Aの事が新聞に載っていました。
「シンナー遊びの少年、飛び降り自殺」
私はAの葬式にも出席しました。
私はその後ある恩人に拾ってもらい、まっとうな道に戻る事が出来ました。
実はこの話は最近になるまで完全に記憶から抹消されていました。
Aが亡くなった事、いやAの存在自体記憶に無かったのです。
先日古い写真を整理していた所Aの写真が出てきてその瞬間全てを思い出しました。
忘れたい出来事として脳がシャットアウトしたのでしょうか?
それともAは本当に自殺でテレビや小説で見た話を自分の記憶が上書きしたのでしょうか?
正直真実を知る事が怖いです。乱文、長文すみませんでした。
蟹のドラム缶風呂
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まあ聞いてくれ。
俺は霊感とかそういうのは持ち合わせちゃいない。
だけど恐怖と言う意味では、幽霊なんぞよりもよっぽど恐ろしいモンがある。
昔、小さい印刷会社みたいなとこで働いてた。
ホントに酷い会社で、筋モンの作る偽物の株券とか、政治団体の中傷ビラとか、法律にひっかかる様なことをフツーにしてた。
でも悪い事ばっかじゃないのもあった。
小学生の女の子が親と一緒に来た。
猫を探すために持って来た手書きで書いた紙。
コレをたくさん印刷して欲しいって。
ぶっちゃけ個人の依頼なんざ受けてないし、「コンビニでコピーした方がよっぽど安上がりだ」とわざわざ上司が教えてあげてたんだが、「貯めたお年玉全部出すから」ってきかねえんだよ、そのがきんちょ。
馬鹿だよな、こんな怪しい会社に要りもしないビラ代取られるのなんて。
でも、多分、あんときは皆一丸となったね。
この子を助けてあげようっていう何だか分からん義務感。
色々手直しして、それは立派なビラを大量に刷ってやった。
猫の写真とか借りて、手書きじゃなくてカラーに写真入印刷した。
で、納入日。
上司がその親子に頭下げんだよ。
ビビッタね。
モンモンにも絶対に引かない鬼みたいな上司だったから。
最初、何で頭下げんのか、馬鹿な俺は分かんなかった。
でも他のみんなは気付いてたと思う。
「誠に申し訳ありません。プロとしてやってはいけないことをしてしまいました。原本を無くしてしまいました」
だとさ。
何言ってんだこの人、とか思ったよ。
でもその後に出た言葉が痺れたね。
「お詫びと言っては何ですが、代わりを用意しました。もちろん御代は結構です。契約不履行ですのでペナルティーとしてビラの配布も手伝います」
もちろん無くしてなんかないし、むしろ、作業室の壁際にずっと貼ってあった。
コイツなら掘られてもいいやってマジ思ったね。
ま、そん時仕事なくて、ヒマしてたってのも大きいんだがな。
ん? 猫ちゃん見つかったよ。
ちょっと離れたところにあるアパートで婆さんに餌付けされてた。
ビラのおかげか、婆さんが連絡くれたんだってよ。
まあ、そんな感じの倒産寸前のアホだらけの会社だったんだよ。
ゴメンな話逸れちまった。
そんで、こっからが怖い話なんだわ。
前置きなげーよな。
まあ男は長持ちする方がいいって言うだろ。
カンベン。
当時、あるチンピラがどっかの事務所の金ちょろまかしたらしいんだよ。
まあ良くある話。
んで、風俗とかサウナとか焼肉屋とかラブホとかあっち系列の店に配るためのビラの仕事が来たんだわ。
大概は探偵とかそういうので探して見つけ出して、かっちり追い込みかけておしまい。
でも今回は人海戦術ってやつでいくらしいんだとさ。
なんでも下の奴らの忠誠度を試したいんだってよ。
ウチの会社が儲かるから事情はどうでもいいんだけどな。
最悪なのは俺とソイツがスロ仲間だったこと。
連絡先も家も知ってたんだよ。
写真見せてもらった時、ヤバイって思ったね。
マジで悪魔と天使が頭の中でケンカしたよ。
俺が一言言えばこの話はそれで終わりだ住所と電話番号いま言えばすぐ終わる多分ボーナス出るぞ、って悪魔が言うんだよ。
いやまてそれでもお前は男か短い付き合いでも仲間は仲間だろ台譲ってもらったりメシおごってもらったりしただろ、って天使が反論。
グダグダ頭の中で考えてる内にもう受注してたよ。
後悔ってよりも、しーらねとかそれぐらいにしか考えてなかった。
でもまあ仲間ってのは嘘じゃないって後で証明されたんだよ。
俺が仲間だと思ってるってことは向こうもそう思ってたってことだ、残念ながらな。
次の次の日くらいかな。
夜中にそいつが俺んち来たんだわ。
ピンポンピンポンほんとうるさくて、苛立ちながらドア開けたら、そこにゴリラみたいないかついアイツがいやがった。
ああ、もうこの際こいつゴリラな。
で、ゴリラが事情を説明するんだけど、もうこっちは帰って欲しい気持ちで一杯。
大体俺、ゴリラ語わかんねーし。
まあ冗談は置いといて、事情勝手に話すんだよ。
ウチに上がりこんで。
すっげーありきたりな理由。
借金だって。
病弱な妹がいるとか、潰れそうな施設に寄付するために必要ってんなら俺も同情したよ。
だけど、そいつは女がらみだった。
身の程知らずにも高級クラブのおねえちゃんに金貢ぎ続けて、借金しまくったんだとさ。
今更、その女に騙されたとかウホウホ言っても意味ないし。
それより早く出て行って欲しいって気持ちがデカかった。
俺がマークされてるとは思えないが、万が一ってことがある。
溺れるものは藁をも掴むって格言、誰が考えたんだろうな。
ゴリラは俺を渾身の力でガッシリ掴みやがった。
もしここから追い出してオレが捕まったら共犯者としてお前の名前出す、って脅し始めた。
マジどうすりゃいいんだよ。
今になって思い出すと、さっさと筋モンに引き渡せば良かったと思うし、それが出来ないなら誰かに、例えば上司とかに相談すれば良かったって思う。
でも俺はそいつをかくまっちまったんだ。
おかげで足の小指を無くしちまうんだが、それは後で話す。
それから数日間は精神的にきつかった。
昼は仕事でゴリラの顔を刷る。
筋モンが新しい情報をいれろってんで、次々に新しいビラを作るんだよ。
疲れてアパートに帰ったらゴリラがいる。
もう俺の生活ゴリラだらけ。
ここはどこの動物園だっての。
最初の内は畜生でも罪悪感があったのかゴリラは大人しかった。
だけど部屋にこもるのが飽きたのか、色々注文つけるようになった。
やれコーラが飲みたいとか、雑誌買って来いとか、ラーメン食いたいとか。
早く出てって欲しかった。
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まあ流れ的に分かると思うけど、ゴリラは背中に絵が描いてある怖い飼育員たちに捕獲されたんだわ。
ある日、部屋に帰ったんだよ。
玄関開けた瞬間に、いきなり部屋の中に引きづりこまれたんだ。
ガチャッグワッって感じ。
わけも分からず口にガムテープ、手と足には多分梱包用のビニールヒモ。
あれ手に食い込んで痛いし、何か熱持ってるみたいになるよな。
手と足のビニールヒモで一つに縛り上げられて、ゴロンって床に転がされたんだわ。
ホント手馴れてたって思うよ。
抵抗しようと思う前に手と足の動きが封じられてた。
やばいやばいって気持ちが頭ん中で一杯だったんだが、ゴリラがいないのが気になった。
で、その中の責任者みたいな男が床に転がった俺の目を見て話し始めた。
妙な発音の異常に甲高い声で耳にキンキン響く声だった。
悪魔の声ってのは、ああいう声なんだと思う。
「お前、アイツの仲間か?」
俺は大袈裟に首を横に振った。
床に頭がゴンゴン叩きつけられたけど、そんなのに構ってる場合じゃなかった。
「ここお前の部屋だろ、仲間じゃないなら何なんだ?」
説明しようにも口にガムテープがグルグル張られててモガモガ言うことしか出来なかった。
まあ向こうも俺の存在は謎だったらしい。
「取りあえず場所変えるぞ」ってさっきの甲高い声の男が周りの男に指示した。
真っ黒い窓のないバンみたいなのに乗せられて、タオルかなんかで目隠しされた。
時間間隔とか良く分からん。
一時間くらいは走ってたと思う。
バンを降りて、歩かされて、タオル取られたら目の前に全裸のゴリラがいた。
コンクリートの床に寝転がされたゴリラはうーうー唸ってた。
たまにごほごほ咳き込んでたんだが、意識は混濁してたんだと思う。
鼻の位置と頬の位置が同じに見えるくらい顔がパンパンに腫れてた。
体中が青とか黒とか様々な色の斑点が出来てた。
多分殴られすぎて、色々なところが内出血してるんだと思う。
こっちには気付いてないみたいだった。
俺はガムテープを一気に剥がされ、さっきの男にまた耳障りな声で質問された。
「おい、お前コイツとどういう関係なんだ?」
多分、ここの答えを間違ったら俺もゴリラみたいになるってことは良く分かった。
俺はゴリラとパチ屋で知り合って、その縁から俺の家に居座られたことを説明した。
甲高い声の男はあまり聞いてないように見えた。
「本当か? 助かりたいからって嘘ついてねえか?」
俺は全力で否定した。
「確かにスロ仲間でメシ食いにいくくらいの仲の良さではあったが金を盗んだりはしてない」ってことを強調した。
だがこれが裏目に出た。
「なんでお前、コイツが金パクったって知ってるんだ?」
自分が墓穴を掘ったことを理解して、俺は黙ってしまった。
数日も一緒にいるんだからソイツが何をしてどんなヤツに追われているかぐらいは知っていてもおかしくないだろ?
だけど俺はビラ刷りの会社の社員だったからもっと細かい内情を知っていた。
それの罪悪感から黙ってしまった。
「まあいいや、おい」
甲高い声の男は近くにいた男たちに声を掛けて、何やら準備し始めた。
そいつらはゴロゴロ何かを転がして、ゴリラの近くにそれを置いた。
ドラム缶だ。
「まさかこいつらゴリラをコンクリート詰めにでもするのか」とか俺はお気楽なことを考えていた。
コンクリート詰めで済むのなら良かったんだよ、ホントに。
男たちはゴリラをドラム缶に四人がかりで入れていた。
ゴリラは全く抵抗をしないで、すんなりドラム缶に入れられてた。
アイツがやったことはうーうー唸るだけだった。
「いいこと教えてやるよ、お前らが捕まったのはコイツのせいだ。デリヘリ頼んだんだよ。笑えるだろ? 自分から俺たちに場所を知らせてくれたんだわ」
俺はゴリラの厚かましさに呆れると同時に、無用心さに腹が立った。
「逃げている最中に何てことしやがるんだ」と。
「あんな端金はもういい。コイツには落とし前をつけてもらう。俺たちをおちょくりやがったってことが大問題なんだ。俺たちはなめられたら終わりなんだよ。なあ、おい。お前がどこの誰かなんてことはどうでもいいんだ。コイツと一緒に俺たちをコケにしたのかどうか、それがききてえんだよ。お前がウチの事務所から金をパクってないってどうやって証明するんだ? これからお前はコイツとしばらくいてもらう。その後にもう一度だけ質問する。いいか? どれくらい掛かるかわからねえけど、しっかり考えろよ? まあ個人的には同情するぜ」
甲高い声の男は一気にそうまくし立てると、傍らの男に声を掛けてそこから出て行った。
俺はこれから始まることへの不安から、震えちまった。
もう心の底からブルっちまった。
無理矢理椅子に座らされて、例のビニールヒモでグルグル巻きにされた。
そのまま二人の男に椅子ごと抱え上げられて、ゴリラが入っているドラム缶の前に置かれた。
ゴリラの顔の前から50センチくらいしか離れていなかった。
こんな不幸なお見合いはないだろ?
ゴリラはうーうー唸ってた。
俺も抵抗する気は起きなかった。
ただ早く開放されることだけを祈ってたよ。
五人の男たちが俺たちの周りで作業をしてた。
いかにもな風貌の男たちは嫌々動いているように見えたのは気のせいじゃないと思う。
ドラム缶の中に太いホースが突っ込まれた。
そうだな、ちょうどコーラの500mlの缶ぐらいの太さだと思う。
間抜けにも俺は「ああやっぱりコンクリートか」ってビビッてた。
そのホースは変な容器に繋がってた。
服とか小物を入れるでっかいプラスチック製の容器あるだろ?
あんな感じの容器が頭についてる俺たちの身長くらいの足の長いキャスターに繋がってたんだわ。
おい何だよ、何すんだよ、ってつま先からつむじまでブルってた。
作業が終わったのか、最終チェックみたいなことをした男たちは俺に目線を向けた。
そして意外なことを言った。
「おい、きつかったら目を閉じてろよ。頑張れ」
一体何が始まるのか、何でそんなお優しい言葉をかけるのか分からなかった。
ドラム缶のゴリラ。
その目の前にいる俺。
「じゃあ俺たち行くわ、頑張れよ」と言って男たちはそのキャスターに付いていたレバーを引いてそそくさと出て行った。
ここがどこなのか、あの容器が何なのかを知らなかった俺たちだけになった。
ボトッと、コンクリートにしては固い音がした。
その塊が落ちてきたのを皮切りに、ざざざざざざっ、と流れるように何かが容器から落ちてきた。
ゴリラはうーうー唸るのをやめ、今度はぎゃあぎゃあ叫びながら身をよじるのに必死になっていた。
最初はホースがドラム缶の中に突っ込まれていて、何が中を満たしているのか分からなかった。
だがすぐにドラム缶が一杯になり、その正体が分かった。
蟹だ。
こぶし大から、小指の爪くらいのサイズの蟹が溢れんばかりにゴリラの入っているドラム缶を満たしたんだ。
何でこんなことをするのか最初は分からなかった。
たかが蟹が何だってんだ。
ゴリラと蟹の味噌汁でも作るのか、とそれはそれで怖いことを想像した。
だがしばらく身をよじっていたゴリラが咆哮にも似た叫び声を上げ始めた時に、俺はその恐ろしさを目の前で、本当に50センチくらいの目の前で意味が分かった。
「おい、おい!!! 助けてくれ!! コイツら、オレの中に入ってきやがった!!!!」
ゴリラは脂汗を流し、耳をつんざくような大声で叫びながらも俺に助けを求めた。
蟹がゴリラの体を食い破り、内部に入ってきただと?
ゴリラは俺が動けないにも関わらず、ケツがいてえ! とか、足が足が! とか身体のパーツをことさらに強調した。
やめてくれ。
想像したくねえ。
だが、目の前にいるゴリラは最早叫び声とは言えない雄たけびを上げ続けてた。
そしてゴリラは何時間も叫んだ。
いや良くわかんねえ。
何時間とか何分とかどれらいの時間が経ったのかは。
口の中に泡と血だまりができて、目と鼻から血が出ていたが、それでもゴリラは叫び続けた。
顔が赤から真っ青になっていき、血反吐を蛇口の水みたいにげえげえ吐き始めたころに、蟹たちは次の侵入場所に気付きやがった。
蟹たちはゴリラの顔めがけ、ギリギリと変な音を出しながら口や目に纏わり付いた。
ゴリラは叫び、首を振り続け、ドラム缶に頭を叩きつけるが、蟹たちは許してくれなかった。
見ちゃいられなかったが、どうすることも出来ない。
身をよじって、よじった。
固定された椅子ごとドラム缶に体を叩きつけたが、ゴリラの体重と蟹どもの体重のせいでビクともしなかった。
俺の耳がゴリラの絶叫で痺れ、音が聞こえ辛くなった。
最後に、げへ、という何とも間抜けな音を出し、ゴリラは静かになった。
ガサガサとドラム缶の中で音が鳴り続けている。
ゴリラは痙攣したようにビクビク動いているが、ゴリラが動いているのか、中にいる蟹が動かしているのか区別が付かなかった。
目玉を押し出し中から蟹が出てきたところで俺の意識も限界を迎えた。
ガサガサという音で気付いた俺は昔ゴリラだった何かが蟹の動きに合わせて動いているのを見て吐いた。
地獄がどんなところか知らないが、あれより酷いところだとは到底思えねえ。
蟹どもはゴリラの体に纏わりつき未だに齧っていた。
ゴリラの体が傾き、俺めがけて首が折れた。
その拍子にドラム缶から蟹があふれ出て、目の前にある生きた獲物に標的を変えた。
俺は絶叫した。
足元にボトボト蟹どもが落ちてくる。
足に纏わり付く。
最初はくすぐったいくらいで、次にかゆくなってきた。
椅子ごと体をよじってもあいつらはどんどん俺の足に纏わり付く。
その内、小指に激痛が走り、俺の中にも蟹が侵入してきたことに気づいた。
ドリルで穴を開けられるほうが万倍もマシだろう。
爪をちょっとずつ引き剥がし、俺の中に入る努力をしている。
脱糞し、失禁したが、蟹は許してくれない。
ノドがぶっ壊れようが、絶叫が何の意味もなかろうが、俺は叫んだ。
が、蟹どもは俺の体に入ろうとした。
気が狂うと思った、もう気が狂ったと思った。
甲高い声が聞こえて、何人かの男たちが叫びながら蟹を払い飛ばした時、俺は安堵からか、ブツリと頭の中で音が聞こえて、気を失った。
「おい、生きてるか!? おい!!」
頬を張られる感触で起きた。
目の前にいる甲高い声の男が天使にも神にも見えた。
足の小指がジュクジュク痛む。
小指だけで済んだことを歓喜して涙を流した。
「起きたか?」
甲高い声が俺に質問する。
俺は、あうあうと声にならない音を上げた。
「質問に答えろ。お前はコイツの仲間か?」
ドラム缶を指差し、甲高い声の男は俺に質問した。
ねじ切れるほど首を横に振り、鼻水と涙とよだれで窒息しそうになったが、違うことを伝えようとした。
甲高い声の男とその取り巻きどもは、流石に納得し、俺のビニールヒモを解いた。
足腰に力が入らなかったが、小指の痛みで足がまだあることが分かった。
その後、バンに詰め込まれ、アパートの前で蹴り出された。
一週間以上、何も食べれなくなり、外に出れなかった。
どういう理由か分からないが、バイト先の上司が見舞いに来て、茶封筒を置いて出て行った。
中には札束が入っていた。
幽霊なんぞ可愛いもんだ。
蟹のドラム缶風呂以上に恐ろしいモンがこの世に存在することを俺は知らない。
生き埋め
トラウマ
学生時代のこと。
友人二人で居酒屋のカウンターでまったり飲んでいた。
二つ離れた止まり木に、30前半位のそれはそれは綺麗なお姉さんが一人で盃を傾けていた。
おおよそこんな、すすけた店には似合わないいでたちで身なりもよく、そこだけ雰囲気が違っていた。
何と言うかとにかく美人で、女優のようにも見える。
俺らは、気になって声をかけようかとも思いながら結局何も出来ないでいた。
一人の男が店に入ってきた。
40位のちょっとガタイのいいリーマン風のその男は静かにその女の方に近づいていった。
ああ、待ち合わせだったのか…、声かけなくてよかったと思っていたら…
いきなりその女の顔面を殴った。
平手とかでなくて腰の入ったパンチ。
声も出す間もなく女は派手に椅子から転げ落ちると、男はすかさず馬乗りになりさらに続けて殴った。
店内が凍りついた。誰も声を出さなかった。いや出せなかった。
その位、突然の出来事だった。
男はさらに渾身の力を込めて殴りつづける。
静かな店内に、鈍い音が響き渡る。
女は半ば意識を失いかけているのか
時たまかすかな唸り声を上げるだけで何も言わない。
なおも執拗に殴りつづける、それが5分だったのか10分位だったのかやたらと長い時間のように思えた。
女の顔はもはや原形をとどめていなかった。
床も男のワイシャツも、そこいらじゅう血だらけだった。
もうそんなに殴ったら死んでしまうよ…。
でも、俺らも含め店内にいた人間は何も出来なかった。
ただただ恐ろしかった。
やっと男は立ち上がり女の襟元を掴み上げ、無理やり女を立たせようとしたその時、ゴトっと何かが床に落ちた。
男のズボンのポケットから落ちたそれは黒光りするリボルバーだった。
男はそれを拾うと、女を引きづりながら何も言わずに店を出て行った。
今でもトラウマ
ヤクザの世界
俺が高校のころ、よくツルんでた所謂不良グループみたいなのがあった。
半分族で、半分仲良しグループ、という感じ。
そのメンバーのうちの1人の兄貴のケンジさんって人がバリバリの893。
といっても俺らには優しかったし、俺らもその人を親しみを込めて「ケンジさん」って呼ばしてもらってた。
ケンジさんは、あっちの世界の色々な話を聞かせてくれた。
その中の一つ。
彼がまだ準構だった頃の仕事と言えば、兄貴分たちのお使いばっかりだったそうだ。
やれタバコ、やれビール、やれマッサージ。
族に居た頃は使う方だったケンジさんは、それはもうストレスが溜まって仕方なかったそうな。
元々別に893になりたかったわけじゃないし、(半分無理矢理ならされた)
「辞めようかな…」
なんて思ってたそんなある日。
「ケンジィ~、頼まれてくれっかぁ~?」
いつものように兄貴分がパシろうとしてきた。
断るという選択肢は無いので、内容も聞かずに二つ返事で承諾したらしい。
「はい、じゃあこれ。」
車のキーを渡してきた兄貴分。そんな事は初めてだった。
「何すか?これ。」
ケンジさんがそう聞くと、兄貴分がニタニタ笑いながら
「お前の初仕事。」
と言ってきた。
とにかくその車を、20キロ離れた山奥にある産廃処理場(不法)に持っていけ、との事。
ケンジさんは訳も分からないままキーを受け取り、古めのマークⅡを運転して処理場に行った。
すると、そこで数人の男たちが待ち構えていた。
「おう、○○(兄貴分)のコレだべ?鍵渡せ、鍵」
男のうちの1人がそう言った。
ケンジさんは何のことか分からず、適当に相槌を打って(よく分からない時は、受け流すのがこの世界の鉄則だそう)キーを渡した。
男は車に乗り込むと、そのまま鉄板と鉄板に挟まれたスペースに車を動かした。
男は車を降りると、「おーい、ええぞ。」と、いつの間にかそのスペースの横にある操作室みたいな所に移動していた別の男に声をかけた。
「ガガガガッガッガッガガガァァンン」
車を挟んでいた鉄板が、突然動き出し、そのまま車をペシャンコにしてしまった。
-----ケンジさんはここまで話し終えると、タバコに火をつけた。
「それ、ただ単に中古車処理頼まれただけなんじゃないの?」
一緒に聞いていた、ケンジさんの弟が言った。
確かに、別にわざわざ俺たちに話すような内容でもない。
するとケンジさんは笑いながら言った。
「いや、車が潰れる凄い音の中に、女の悲鳴が混じってた。間違いなくな。
しかも、鉄板と鉄板がイケるとこまで接近した瞬間、ブヂン!て凄い音がしたんだ。
あれは鉄が潰れる音じゃねえ。」
俺とケンジ弟は少し嫌な気分になった。
ケンジさんは続けた。
「そのオッサンたちにも、兄貴にも何も聞かなかったけどな。
まあ、俺も最初から何となく分かってたから、トランクは見なかった。」
ケンジさんは笑っていた。
俺とケンジ弟は、凄く嫌な気分になった。
生コンで…
建築現場でアルバイトしてた時に仲良くなったおいさんがいました
そのおいさんは流れ者で関西の方から来てたらしいです
元は生コン車の運転手をしてたらしいです
ある日、893と飲み屋で意気投合し顔見知りになり友達になったらしい
賭場や麻雀に誘われ負けが込んできた時、借金を作ってしまいどうにもならなくなった
その893に相談すると300万程気前良く貸してくれたんだって
最初は利子も取らずに返済の要求もなかった
ある日、夜中に電話があり事務所に呼び出されて行ってみると
893が3人とズタ袋に入った長さ1.7メートルの物体が転がっていた
「これを処分したいからお前も手伝え。生コン車を持ってこい。」
おいさんはコレは死体だと直感し勘弁してくれと頼んだ
すると893は今まで見せた事ない鬼の形相となり怒鳴り散らされた
仕事を手伝うか金を全額すぐに返済するかどっちか選べと
しぶしぶおいさんは生コン車を出し893の仕切るマンション現場に行った
おいさんがオロオロしていると893が袋を基礎の中に投げ捨ててしまった
そしておいさんは生コン車のレバーを押し生コンが注がれていった
帰り際5万ほどもらったらしい
それ以来、数ヶ月に一度同じ事をやらされ続けておいさんの神経も麻痺し
借金が減るんなら何も考えずに手伝おうと思い始めていた
そして運命の日
いつものように現場に行くと袋ではなくボロボロに殴られて生きているおっさんがいた
893は生きたまま基礎に投げ捨てニヤニヤしながら早く生コンを注げと言う
おいさんはどうしてもレバーを押すことが出来ずに泣きながら勘弁してくれと謝り続けた
イライラしてきた893はおいさんを押しのけレバーを押した
基礎の中から聞こえる断末魔はこの世の者とは思えなかったらしい
そしておいさんは逃げた
借金は残っていたがいつか自分も殺されると思ったらしい
この話をするおいさんは真っ青な顔して体が小刻みに震えていたので嘘とは思えない
マンションの基礎に死体を捨てるの発覚しにくい確実な方法なんだって
数十年後に解体することになっても骨とコンクリがバラバラに混じって見分けもつかないらしい