めしぬま。(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『めしぬま。』とは、日本の漫画家・あみだむくが2016年から『月間コミックゼノン』にて連載しているグルメ漫画。日常生活の中で日々の疲れを感じる主人公の飯沼が、食事を行う中で美味しさや喜びを全身で表現していく。繊細なキャラクターの描写と、細部まで描き込まれた料理と食事のシーン、そして飯沼の食事をするときの恍惚な表情が話題を呼ぶ人気作品だ。
『めしぬま。』の概要
『めしぬま。』とは、あみだくむによるグルメ漫画。元々はコミティアで発売されていたオリジナルの同人誌が原型である。2016年1月25日から『月間コミックゼノン』で連載され後にアニメ化もされている。どこか冴えない若年サラリーマンの飯沼(いいぬま:主人公)が、会社でのストレスや悩みを抱えながら生活する中で食事の時間だけは至福の時を過ごしながら、食事をしていく漫画である。庶民的な食べ物から、高級料理に至るまで様々な物を食べていくうえでその喜びを全身で表現しており、同人からの出発作品ならではの人物描写や、物の書き方に読者が引き込まれる作品となっている。作中非常に多くの食べ物が描かれており、その中には地元に根付く郷土料理なども含まれていて該当県に居住する読者がいるのであれば、漫画と楽しむ敷居がぐっと低くなるだろう。また、料理とった形式上店舗での供給が多く描かれている作品だが、会社の休日などに飯沼が自宅で過ごしている際には自宅で自分ように食事を準備する工程なども描かれており、興味のある料理の場合は真似することも出来るよう描写されている。
アニメに於いては飯沼:羽多野渉(アニメBeans)、花江夏樹(声優GATARI)、笹原幸恵(ささぬまさちえ):渡辺けあき、花山先輩(はなやませんぱい):神尾晋一郎、夏花(なつは):内山茉莉という声優陣で行っている。
本作は2018年8月10日にアニメ配信アプリアニメBeansにて配信されている。
※「声優GATARI」とは。株式会社GATARIが提供するサービスの一つ。GATARIは、Mixed Reality(MR)技術を活用したエンターテイメントやインフラを提供するスタートアップ企業の一つである。
『めしぬま。』のあらすじ・ストーリー
「そうだ、カツ丼を食べよう…。」
飯沼(いいぬま)は仕事でミスをしてしまい、上司から叱責される。「今週やった仕事、一から全部見直してこい!」と言われ、休憩なしで作業を行いあっという間に外は暗くなってしまった。「お昼が食べられなかった。」と気を落とす飯沼だったが、作業を完了させ「終わりました…すいみませんでした。」と上司の机に書類を置き、会社を後にする。帰り道の最中、「何か…何かこう…がっつりしたものが食べたい。」と考える飯沼の目の前に、暖簾を片付けようとしているお食事処「味よし屋」が見えてくる。店の店員らしき人が暖簾を持ちながら「あら…もしかしてお客さん?」と聞いてくる。店内に入った飯村に店員が「なぁに?今から夕飯なの?あらあら」と尋ねる。続けて店員は「軽いものもあるけど…ご注文は?」と飯村に声をかけ、「…カツ丼…ご飯大盛ってできますか?」と注文する飯村。
飯沼の前に、湯気の立つ大盛のカツ丼とみそ汁、付け合わせのサラダが運ばれてくる。「あなた、見かけによらないわねぇ本当に食べられるの?」と少し心配しながら聞いてくる店員。むわっとした湯気を浴び、眼鏡を整える飯村。「いただき…ます」の言葉と一緒にほかほかに湯気の立つカツ丼に箸を伸ばし、カツを一切れ持ち上げる。大ぶりのカツから滴る肉汁と油、せりあがる湯気をみた飯村は「うわ…うまそう…」と唾をのみ涎をたらす。カツを口に運び、さくっとした歯切れの後、間髪入れずに米を口に運んでいく。「うっま…」とカツ丼の美味しさを味わう飯沼は、恍惚とした表情を浮かべながら「ああ…やっぱうまいなぁ…カツ丼」と思いながら、丼を持ち上げ残りもかきこんでいく。そんな飯沼の食事の様子を見て、店員は作業を中断し見入っていた。「ごちそう様でした」と食事を終え店を後にする飯沼、飯沼が店を出たあと店員は「やだ、あの子すごくかわいい!えーーーー…また来てほしい」と飯沼の食事する姿を気に入ってしまった。「ここ、おいしかったな」とメモを取り出し、店先でメモに書き記していく。店を後にしながら「はぁ…満たされた。明日はお昼食べられるといいな」と思いながら再び帰路につくのだった。
「…肉っ。」
デスクで頭を抱える飯沼。同僚が気付き「どうした?何かなやみごとか」と飯沼に聞く。「いえ大したこ事じゃないので…」と答える飯沼。「何だよ行ってみろって」と再度聞き返す同僚。「無性に…肉が食べたい。」「本当に大したことじゃなかった。」とやり取りをする。少し呆れながらも「そういえばこの間 家族で行った焼き肉屋さ 食べ放題が安いんだよ~」と飯沼に話す同僚。それを聞いた飯沼は「夜は焼き肉 終わったら焼き肉だ」と自分を鼓舞し業務に取り掛かる。肉のことだけを考え業務を完了した飯沼は、退社し同僚に聞いた焼き肉やに駆け足で入店した。入店した飯沼は「で…どうしよう」とメニューを見ながら悩む。他人が注文したものを食べることが多い飯沼は、何を頼めばいいかよくわからなくなってしまいとりあえず注文することに。
「とりあえず、ライスの大とメニューにある肉全部一皿ずつで」と頼む飯沼。「嘘だろ?」と度肝を抜かれる店員。暫くして卓上を埋め尽くす肉の皿の数々と、それを見て驚いた様子の他のテーブルの利用客。他の視線を他所に、牛カルビを焼いていく飯沼。表裏両面をしっかり焼き上げ、焼き肉のタレを肉に絡め、ご飯の上に一度着地させ肉を見つめる。<ごくり>という唾を飲む音と共に大きな声で「いただきます!」と肉を口に運ぶ飯沼。それを皮切りに豚トロ、タン塩、牛ハラミと次々と色々な肉を食べていく飯沼。「んぁーーー…肉 最っ高…」と蕩けた表情で食べ進める飯沼のテーブルの周りには人だかりが作られ、「すげーー…。」「ユーチューバーとかかな…。」と様々にささやかれていた。結果、この店の最高記録を平らげた飯沼は確りと肉を堪能したのだった。
「チャレンジ!大盛りかた焼きそば」
会社のコピー機の前で作業する飯沼。「やっと金曜… 早く帰りたい」と疲れを見せる飯沼の背後から「飯沼先輩 ちょっといいですか?」と後輩の川田が現れる。「川田君…?」と驚く飯沼。川田は「先日のコンビニで俺が言ったこと覚えてますか?」と飯沼に質問する。うっすらと思い出しながら、アレかな?と思う飯村だが、その内容は<飯沼の胃袋の限界に挑戦する>というものだった。川田に連れられて飯沼は「福福飯店」へ赴く。「こんにちはー!」と川田が元気に挨拶すると「あらーあらあら!まぁ!」と店のお母さんが顔をだした。「もしかして竜馬君じゃない!?久しぶりねー!」と川田を温かく迎えてくれた。そんな川田の陰に隠れるように、一緒に入店する飯沼。<いい雰囲気の店>と飯沼が思っていると、店の奥から店主が顔を出した。「竜馬~?誰だっけな竜馬… あーーー!泣き食いの竜馬か~‼なんだよ懲りねぇ奴だな~」とからかうように川谷声をかけた。昔の話も程々に、早速デカ盛りにチャレンジする二人。暫く待って登場したのは総重量2キロのスペシャルかた焼きそばだった。「それを20分で食えたらタダにしてやる!」と不敵な笑みをこぼしながら言い放つ店主。スタートの号令と共に食事を始める飯沼と川田。パリパリの麺に熱々のあんかけが絡んだかた焼きそばを口に運ぶ飯沼。パリパリの部分と、あんを吸って柔らかくなった部分を口に入れかた焼きそばを堪能する飯沼だった。10分が経過した頃、川田の胃袋に限界が見え始め、それと同じくして飯沼の箸も動きを止めていた。ニヤっとした表情で見つめる店主だったが、飯沼はテーブルの上にあった酢に手を伸ばすと、自分のかた焼きそばに回しかけ食べることを再開した。「うま…」と終始堪能する飯沼だったが、あえなく20分で完食の壁は超えられずチャレンジは失敗に終わってしまった。時間が切れた後にも食べることをやめない飯沼は、しっかりと完食し店の店主も「完食しやがった!大したもんだな」と感心する様子を見せた。飯沼は「早食いって考えてやったことなくて…大変なんですね。」とチャレンジの大変さを語った。店主は「まぁまぁいいじゃねぇか 懲りずにまた来い!」と締めようとしていたが、ここで飯沼があることを言い出した。「あの…すみません 追加で…頼んでもいいですか?」と申し訳なさそうに右手を挙げながら伺う飯沼。川田と店の店主は!?といった表情で飯沼を見返していた。そんな二人を他所に「エビチリと…どうしようかな」とメニューを吟味する飯沼。全部気になると言いながら、結局エビチリと回鍋肉を注文する飯沼さらに注文した際「あ…両方大盛りで」と言い放つ。運ばれてきたエビチリと回鍋肉をほおばりながらご満悦の飯沼を見て、そんな飯沼の姿を尊敬する川田と「今回は あいつらの勝ちでいいかもしれん」と驚愕の色を隠せない店主なのであった。
「大人でこどものオムライス」
仕事で外出していた飯沼だったが、先方に用事が入り急遽1時間程度の待ち時間ができてしまった。どうやって時間を潰すか悩んでいる飯沼の目に小洒落た喫茶店が映り込んだ。店内に入り、席に着きコーヒーを注文する飯沼。静かなBGMとコーヒーの香りに包まれながら、外出前に職場で同僚と話していたことを思い出す。「あっという間に 春だな…」とこぼす同僚。時間の流れを感じ、自分たちがどんどん年を重ねることに落胆していた。喫茶店で音楽とコーヒーに包まれ有意義な時間を過ごす飯沼は「こういう気持ちを持てるのも大人ってことなのかな…」「だとすると おっさんになるのも悪くないかも」と考えていた。少し小腹がすいた飯沼は、ふとメニューに手を伸ばす。昼食を済ませていた飯沼はトーストやサラダなどの軽めの物を探してメニューを見ている。「あ。」と思わず口にした飯沼の目に<オムライスセット>の文字が飛び込んでくる。色々考える飯沼だが、欲望に負けオムライスを注文してしまう。暫くして飯沼の前に、オムライス・サラダ・スープのセットが到着した。その風体に「ああ 正に あのオムライス…」と歓喜する飯沼。スプーンをオムライスに差し込み、卵にケチャップがかかっている部分をライスごと救い上げる。オムライスを口に運びながら、童心に帰る飯沼は食べながらハッとし「おかしいな 大人の時間を楽しんでいたはずなのに… まぁいいか」と少し前まで思っていたことを他所にオムライスを食べ進めるのであった。
めしぬま。の登場人物・キャラクター
主要人物
飯沼(いいぬま)
CV:羽多野渉(アニメBeans)/花江夏樹(声優GATARI)
本作の主人公。どこか冴えない若輩サラリーマン。怒られている時ですら頭の中は夕食等食事のことで持ち切りである。駄目なキャラクターなのかといったらそうではなく、一般的な極々平凡なサラリーマンである。日頃パッとしない彼だが、食事の際に見せる恍惚とした表情は周りにいるものを引き込み魅了していく。
花山先輩(はなやませんぱい)
CV:神尾晋一郎
飯沼の同僚で、会社一のイケメン。飯沼と食事をする仲。ゲーム好き。
飯沼とは正反対の性格をしており、社交的で陽気な性格。とある人物の息子であり、度々作中にも出てくる。
飯沼との食事を通じて職場の上下関係に関係なく、友情が芽生えている場面が多く描かれている。
夏花(なつは)
CV:内山茉莉
主人公、飯沼の妹で大学二年生の女の子。
飯沼と同じで食いしん坊であり、兄と一緒に食卓を囲む場面も時々描かれている。
身内ということもあり、飯沼自身も妹と食事をする際にはかなりフランクな感じの風体になる。
家族ならではの自宅で餃子パーティをする様子や、無病息災を願っての豆まき(飯沼が鬼)の様子などアットホームな一面もある。
二人で北海道に旅行に行く場面があるが、二人とも大食いの為終始食べ物が尽きることは無かった。
川田(かわた)
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目次 - Contents
- 『めしぬま。』の概要
- 『めしぬま。』のあらすじ・ストーリー
- 「そうだ、カツ丼を食べよう…。」
- 「…肉っ。」
- 「チャレンジ!大盛りかた焼きそば」
- 「大人でこどものオムライス」
- めしぬま。の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 飯沼(いいぬま)
- 花山先輩(はなやませんぱい)
- 夏花(なつは)
- 川田(かわた)
- 社長(しゃちょう)
- その他の登場人物
- 笹原(ささはら)
- 竹谷先輩(たけやせんぱい)
- 『めしぬま。』の用語
- めしぬま。
- 沼る
- 穴場の名店
- 恍惚な表情
- 『めしぬま。』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 第一話で登場する本誌初めての食事
- 飯沼が食べているときの口元の描写
- カツ丼を食べてるときに飯沼が初めてみせる恍惚な表情
- 飯沼の食べっぷりに見惚れる周りのキャラクター
- 『めしぬま。』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作者は同人作家
- 『めしぬま。』で伝えたいことは食べることの喜び
- グルメ漫画以外にはボクシング漫画も