突然ですが、明日結婚します(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『突然ですが、明日結婚します』とは、宮園いづみが『プチコミック』で2014年から2018年にかけて連載した恋愛漫画、および、それを原作としたドラマである。過去の不倫経験から「結婚したくない男」名波竜と、仕事は好きだけど「結婚して専業主婦になりたい女」高梨あすか。結婚観の違う2人が織りなす不毛な恋愛バトルを描く。価値観の違いや周囲の期待、ライバルの登場や何度も訪れるトラブルを2人がどう乗り越えていき、解決していくかかが見どころ。女性だけでなく男性からも支持された作品である。

『突然ですが、明日結婚します』の概要

『突然ですが、明日結婚します』は、宮園いづみによる漫画で、2014年から2018年まで『プチコミック』で連載された。また、この漫画を原作としたドラマ版では、西内まりや、山村隆太、山崎育三郎、中村アン、森田甘路らがメインキャストを務め、2017年1月23日から2017年3月20日にかけてフジテレビで放送された。

「結婚して専業主婦になりたい女」高梨あすか(たかなしあすか)は、館大銀行のキャリアウーマン。一方、「結婚したくない男」名波竜(ななみりゅう)は、大手テレビ局PTVの人気アナウンサー。過去の不倫が原因で結婚に対して否定的な考えを持つ竜。全く違う結婚観を持った2人は友人の結婚式で出会う。あすかは新婦の友人として、竜は新郎の友人として司会進行をしていた。あすかにとって竜は、ちょっと言葉を交わしただけの有名人のはずだった。

偶然の再会を経て互いに惹かれていく2人。だがあすかは「結婚して専業主婦になりたい女」。結婚に否定的な男との恋愛に未来はない。それでも、惹かれあう2人は互いに相手の結婚観を変えるため、恋愛バトルを始める。

『突然ですが、明日結婚します』のあらすじ・ストーリー

「結婚したくない男」と「結婚して専業主婦になりたい女」

高梨あすか(たかなしあすか)は結婚を夢見る女性。彼女の憧れは、専業主婦として愛いっぱいの家庭を築くこと。仕事は順調で、館大銀行の営業としてバリバリ働くキャリアウーマンだ。しかし、彼女の理想は家を守り家族を支える母。母のように素敵な専業主婦になることが夢だった。そんな彼女の目下の関心事は、彼からのプロポーズが近々あるのではないかということ。

名波竜(ななみりゅう)はPTVの人気アナウンサー。女優、桜邑子(さくらゆうこ)との不倫がバレてニューヨークに転勤させられていた。邑子が夫とのすれ違いに苦しんでいたことを知っていた竜は、「結婚することで好きな人が苦しむのなら結婚なんてしないほうがいい、結婚が幸せだとは思えない」という結婚観を持っている。

全く相容れない価値観を持つ2人は友人の結婚式で出会う。あすかは新婦の友人として、竜は新郎の友人として司会進行をしていた。あすかにとって竜は、ちょっと言葉を交わしただけの有名人のはずだった。

二度と会うはずのない有名人に再会する切っ掛けは、あすかが何年も付き合ってきたコーイチにフラれたことだった。コーイチからのプロポーズを待っていたあすかは、突然別れを告げられ落ち込んでいた。落ち込んでいるあすかを慰めようと、会社の先輩である小野が飲みに誘い、酔いつぶれたあすかを小野は自宅に泊めたのだった。翌朝目覚めたあすかは、竜と再会することになる。なんと小野と竜は親友でルームシェアをしていたのだ。

その後、何度も偶然が重なり次第に竜に惹かれていくあすか。しかし、竜は結婚したくない男。「好きになっても未来がない関係に現を抜かしている暇はない!」と、あすかは婚活に励む。周囲からも、婚活先でも「いまどき専業主婦になりたいなんて、あり得ない」と、否定されるが、竜だけは、そのままでいいと言う。好きになっても先はないとわかっていながらも、竜のことを好きになっていく。一方、竜はあすかと話をするうちに、仕事もプライベートも実はしっかりとした考えを持つあすかに惹かれていく。だが、「結婚したい女との恋は面倒だ、恋愛は成立しない」と考えていた。それでもあすかと一緒にいたくなった竜は、あすかの考え方が変われば良いと思い始める。互いに相手の考え方を変えれば良いとの結論を出した2人は、付き合いながら相手の結婚感を変えさせようと奮闘する。「結婚したくない男」と「結婚して専業主婦になりたい女」の不毛な恋愛バトルが始まった。

恋敵は結婚に利益を求める男

付き合い始めた2人だが、竜はPTV大音楽祭の司会に抜擢され大忙し。あすかも、なかなか時間が取れず会うこともままならない。ようやく竜の時間が取れたかと思えば、急遽、北海道への出張が決まりドタキャン。さらに、電話越しで喧嘩をし、結局会えないまま時が過ぎてゆく。喧嘩した手前、自分から連絡しないと決めてはいても、連絡がこないと会いたさが募る。北海道から戻った空港であすかに電話をする竜の目の前に、出迎えに来たあすかの姿があった。ようやく素直に相手と向き合うことができた2人は、さらに関係を深めていく。

次々と仕事が舞い込む超人気アナウンサーの竜は、カップルへの街頭インタビュー中に、たまたま通りすがった、あすかと知らない男に結婚の予定を聞く羽目になる。男があすかの肩を抱き、彼女が望むなら明日にでも結婚すると答える姿に憤りを感じていた。相手の男はソサエテジェネラル銀行のトップ営業マンの神谷暁人(かみやあきと)といい、結婚に利益を求める男だった。仕事のできる女と結婚し、家庭、仕事をそつなくこなす優秀な妻を求める彼は、妻には専業主婦になってサポートしてもらいたいという結婚観の持ち主。

あすかの親友の工藤莉央(くどうりお)に、あすかの条件と一致する好条件な男だと言われたことで、あすかも神谷と同じ、竜に結婚したいと押し付けていたのだと気が付く。

そして、神谷は条件に合う女が近くにいたと、あすかにプロポーズするのだった。

元不倫相手・桜邑子との関係

さらに、2人の間に新たな問題が発生する。竜の先輩アナウンサーである三上響(みかみきょう)と、PTVのやり手プロデューサーの氷室(ひむろ)に嵌められ、かつて竜が不倫をしていた桜邑子(さくらゆうこ)とレギュラー番組で司会をすることになってしまう。

あすかが他の男にプロポーズされているとは露知らず、竜は記者会見で桜邑子をかばい、「桜邑子と結婚できるなら彼女と別れる」と軽口を叩いてしまった。竜はすでに過去のことと割り切り、あすかに説明の必要はないと考えていたが、あすかは小野から邑子が不倫相手であったと知らされ気持ちが揺れる。あすかには、竜が「結婚したくない男」になったのは、邑子との不倫が原因だと思えてならなかった。

かつて邑子が結婚に縛られ苦しんでいたことを知っている竜は、結婚が幸せになることだとはどうしても思えなった。「もしも、あすかが一緒にいることよりも、結婚を選ぶならその時は別れる覚悟がある」と抱きしめる。あすかが好きだから、あすかの幸せを考えての発言だった。その言葉を聞いたあすかは、「竜だから結婚したい、竜が幸せでないなら結婚する意味がない」と伝え、さらに2人の関係は密度を増していくのだった。

手放したくない、手放せないと思う気持ち

竜はあすかが自分と一緒にいる時間よりも、結婚という形にこだわるならば、別れてあげようと考えていた。だが、偶然テレビ局で会った神谷に、あすかにプロポーズしたことを知らされ心穏やかではいられなかった。竜は家に帰り、あすかに神谷に会ったことを伝えたが、プロポーズされたことを話さないうえ、竜を拒絶するかのような態度をとる。すでにあすかの心は神谷に移ったのかとショックを受けた竜は家を飛び出してしまう。あすかが結婚を選ぶなら別れる覚悟をしたはずだったが、手放したくない、手放せないと思う気持ちが自分の中にあることに気が付くのだった。

恋人は名波竜

急に雪が降る街に飛び出して行ってしまった竜をコートを持って追うあすか。自分はコートも着ず薄着なまま追いかけてきたあすかを竜は抱きかかえて家に帰る。だが、有名人との恋は一筋縄ではいかない。 せっかく仲直りしたのも束の間、翌日にはあすかを抱きかかえる竜の姿がSNSにアップされてしまい、落ち着くまでは会えなくなってしまう。あすかと会えない日が続くなか、桜邑子との音楽番組がスタートする。かつて不倫をし、竜の結婚観を変えた女性。結婚に興味がなかった竜は、邑子と付き合ったことが切っ掛けで結婚したくない男になった。竜の人生を変えた女性であることはまぎれもない事実。その2人が仲良さそうに掛け合いをする姿を見て、あすかは動揺を隠せない。たまたま一緒にいた神谷に動揺する様子を見られてしまい、名波竜の恋人はあすかだと感づかれてしまうのだった。

あすかとの関係を神谷に知られてしまった竜は、あすかの彼氏だと神谷に告げ、けん制するが神谷は気にするふうもなく宣戦布告してくる。神谷自身、気がついていないようだが、本気であすかに惹かれているようだった。神谷は事あるごとにあすかにちょっかいをかけてくる厄介な存在。恋敵の出現に、心穏やかではいられない竜だった。

彼氏の存在

仕事帰りに実家に寄ったあすか。家族に彼氏のことを聞かれるが、話すことができない。そんな時、父が仕事上の知り合いとして家に連れてきたのは神谷だった。竜のことを話せず、紹介できないような人なのかと聞かれ困るあすか。言いたくても言えない苦しい気持ちを察した神谷は、「彼氏はできた男だ」と助け船を出してくれる。あすかは、神谷を交えた家族団欒を楽しいと感じていた。以前のあすかなら、家族団欒に理想の家庭を重ねていたかもしれない。現に、あすかの弟の高梨奏(たかなしかなで)は神谷のいる状態を、あすかの理想の家庭だと感じていた。

彼氏のことを話さないあすかを心配した弟の奏は、神谷に連絡を取り探りを入れるが、神谷からは何も聞き出せない。どんな男なのか意地でも言わないあすかを心配な奏は、あすかの家に押しかけてきて泊まると言い出すのだった。一方、風邪を引いた竜は、あすかにうつさないように小野の家に帰っていた。しかし、あすから「絶対に帰ってこないで」というメールを受けた竜は、あすかがを怒っていると勘違いしてしまう。竜は急いであすかの家に戻り、待ち構えていた奏と鉢合わせてしまうのだった。竜は弟の目の前であすかを抱きしめると、奏に同棲を宣言し、自分はPTVのアナウンサー名波竜であると名乗るのであった。

あすか・竜、それぞれの転機

心機一転新しい家で同棲を始めた2人。しかし、同じマンションに神谷が住んでいることが分かり、新しい生活は波乱の予感。神谷はあすかのことが本気で好きになり、仕事の上で必要な結婚という考えを改め、竜に遠慮することなくあすかに気持ちをぶつけてくる。あすか、竜、神谷の三角関係に拍車がかかるなか、あすかに新プロジェクトチームでの仕事話が舞い込む。今後10年を見据えた経営戦略プロジェクトに抜擢されたあすかは、喜んで引き受ける。そして、竜にもワシントン支局への転勤の話が進んでいて、ようやく2人で暮らす未来が見えてきた矢先のそれぞれの転機。あすかが安心するならと、とうとう竜は結婚しない意志を変えプロポーズをするが「同情は違う、竜が結婚したいと思うまでは結婚しない」と告げるあすか。恋も仕事も全力投球で手を抜かない2人が選ぶ決断は遠距離恋愛だった。

ワシントンと東京。離れ離れの2人の隙間に神谷の存在が少しずつ影響を与えてきているのを感じた奏は竜に電話をし、本心を言えと迫る。

決断

東京とワシントンの遠距離に寂しさを感じながらも、心にとどめ何も言わないあすか。つらい気持ちを誰にも相談できないあすかを、神谷は仕事面で精神面でサポートする。

そんな時、小野と廊下で交わした「専業主婦になりたい」という会話を新プロジェクトの関係者に聞かれてしまい、あすかはプロジェクトから外されてしまう。落ち込んでいるあすかに追い打ちをかけるように竜のワシントン滞在が延期になる。打ちひしがれて、無理に笑うあすかを神谷が優しく包む。あすかは神谷を拒否しながらも都合よく頼り、甘えてしまった自分を嫌悪する。悪いと思いながらも竜に会いたい気持ちが抑えられない。

会えないことで少しづつズレていく会話と感情。様子のおかしいあすかを心配する竜は、ワシントン勤務の延長をやめようとする。しかし、遠距離恋愛のつらさを実感したあすかは、竜の足かせになってはいけないと別れを決意する。

別れと旅立ち

自分のためにあすかがしてくれたように、あすかのために何ができるかを考える竜。ようやく休みを取って日本に戻るが、あすかは仕事。偶然会った神谷には、「嘘つき」と言われあすかを泣かせたことを責められる。

どうしても会って話がしたい竜だが、会社からの呼び出しで、ワシントンに戻らなくてはならなくなる。ギリギリまでマンションの前で待つが、あすかは戻らない。空港に移動し搭乗ギリギリまで待つ竜のもとにあすかが走りこんでくる。竜はやっと会えたあすかを人目も気にせず抱きしめた。あすかは新プロジェクトのメンバーに抜擢されたことを伝え、もう連絡はしない、それぞれ仕事を頑張ろうと告げる。

だが、竜は「明日からは俺がお前のことを待ってる」と仕事に専念するあすかをずっと待つという。「私は待たない」と別れることを譲らないあすかに「俺が勝手に待つだけだ。大丈夫、絶対2人に戻る」といい、ワシントンに戻って行った。

再会

別れから3年。小野と莉央の結婚式で再会するあすかと竜。あすかは、出合った時と同じように結婚式の司会をする竜の声を、懐かしくもあり、厚みの出た竜の声を心地よいとも感じ、いい恋だったと思い返していた。

そんなあすかに竜は「お前に会うために精一杯仕事と向き合ってきた」と告げる。あすかは「結婚はしたいが、結婚退職は考えられない。今は仕事を頑張りたい」と以前とは心境が変わったことを伝えた。出会ってから5年という歳月をかけてお互い変化した価値観。別れてから3年、あすかを思い続けていた竜は、とうとう「お前が俺の帰る家だ」とプロポーズをする。「結婚したくない男」と「結婚して専業主婦になりたい女」の恋愛バトルは、紆余曲折を経て「結婚したくなった男」と「結婚しても仕事は続けたい女」になり、2人の恋は実を結んだのだった。

Joey Tribbiani
Joey Tribbiani
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