ブランクアーカイヴズ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブランクアーカイヴズ』とは、交田稜によるSF漫画であり、講談社の『good!アフタヌーン』に掲載されている作品である。認知拡張症候群(ACS)という他人の思考を読み取り、記憶や認識を改ざんする架空の病気をテーマにしている。主人公の男性の吉野ひばり(よしのひばり)は他人の思考を読み取る能力を持ち、来夏(らいか)は他人に認識されない存在である。二人はACSの治療法を求めて世界を変える冒険に挑む。複雑なストーリーと深いキャラクター描写が魅力であり、読者を引き込む力を持つ作品である。

『ブランクアーカイヴズ』の概要

『ブランクアーカイヴズ』とは、交田稜によるSF漫画であり、講談社の『good!アフタヌーン』に掲載されている作品である。題材の特徴として、認知拡張症候群(ACS)という他人の思考を読み取り、記憶や認識を改ざんする架空の病気が描かれている。この病気を持つ主人公の男性の吉野ひばり(よしのひばり)と、他人に認識されない少女来夏(らいか)が、ACSの治療法を求めて冒険するストーリーである。略称、別名は特にない。重要なキーワードとしては、「認知拡張症候群(ACS)」、「読心者」、「消失者」などが挙げられる。作品の魅力は、複雑なストーリー展開と深いキャラクター描写にあり、読者を引き込む力を持つ。世間に与えた影響としては、SF漫画の新たな可能性を示し、多くの読者に支持されている点が挙げられる。
ACSの症状は個人差が大きく、患者たちは自分が病気だと気づかずに悩むことが多い。社会福祉法人「アーカイヴズ」が、これらの患者の調査と支援を行う様子が描かれている。

『ブランクアーカイヴズ』のあらすじ・ストーリー

見えない者と心が読める者

「アーカイブス」を探しているらいか。

バットを持った、スポーティだけれども薄汚れた格好をした子供が、社会福祉法人「アーカイヴズ」第2一般相談支援事業所にやってきた。ピンポンのチャイムが鳴り、中にいた吉野ひばり(よしのひばり)は見てもいないのに、「知らないやつですね。期待を持ってやってきて、悪意はない」と言う。職員で妻の吉野千景(よしのちかげ)が玄関へ向かうが、そこには誰もいない。ひばりはタバコを買いに外へ出ると、子供が猫を眺めており、千景に「ほら、その子ですよ」と言う。子供は「あたしのこと見えるんだ?」とひばりに近づこうとして、ひばりは逃げ出す。子供は追いかけ、ひばりが路地裏に入っところで近くにあったビールの空き箱を盾にどうしても近づけようとしない。ようやく千景が追いついて、スマホ越しに子供に向かって「その人から離れて!」と訴えた。子供は人の目には見えていなかったのだ。

その子は女の子で、来夏(らいか)と名乗った。落ち着いたところでひばりは彼の架空の病気である認知拡張症候群(ACS)の、人の心を読む力を発揮してらいかの心を読んだ。らいかは学校へ行っても誰からも無視されていた。しかしらいかにとってそれはいつもの通りのことだった。最初に気づいたのは、唯一必要とされる居場所の野球場でだった。そこでも無視されて、「学校の奴らが来たの?ここではそういうの関係ないって言っていただろ!」とバットを地面に叩きつけると、そこにいた人たちが「何もないところからバットが現れた」と言った。らいかが近くにいた者の背中を引っ張り倒すと、「幽霊がいる」と言われた。ひばりとらいかのACSの違いにらいかは「アンタとあたしは本当に同じなのか?」問うと、ひばりは「認知拡張症候群(ACS)の患者は他人の脳にアクセスできる。それが人によっては心が読めたり他人から見えなくなったりするということだ」と説明する。

らいかはカメラなどには映るので、千景は数日間彷徨っていたスマホや鏡を使って風呂に入れ、髪を切り、服を着せたが、お嬢様な服だった。千景は靴下を忘れたといって買いに行ったところで個人の相談事を超えた頼み事をしに来た先客に誘拐される。ひばりは追いかけようとして、置いていかれると思ったらいかは「おいてかないで!!」と彼の腕を掴むと、事切れたように気絶してしまった。しばらくしてひばりは起きて、「触られると入力される情報が処理しきれなくなって気絶する」と説明してくれた。それと「迂闊に近寄ってくる子供は狂気と同じだ」とも加えて言う。攫われた千景を救出するため、ひばりは一計を案じる。誘拐犯のところへひばりとらいかで赴き、らいかが出入り口のシャッターのスイッチ押してひばりも侵入する。千景を返すこととこれ以上手出ししないことの交渉をしながら、ひばりが指示した相手をらいかがバットで殴り倒す。計は功を奏し、誘拐犯たちは怖気付いて千景を引き渡し、引き下がった。
帰りにらいかは野球場に寄って、スピーカーで「私は幽霊だった!世話になったな。最後に一打席打たせてくれ!」とかつての仲間と別れの親交を交え、最後の友情を飾ったのだった。
らいかはひばりからACSを治すACSを持った存在のことを示唆され勇気づけられる。
らいかの冒険は始まったばかりだ。

カーナビ女子の逃亡

病院からスケボーに乗った1人の女の子・萩本紫苑(はぎもとしおん)が逃げ出した。ACSの疑いがあるとして、発信機付きのバンドをつけさせて軟禁していたのだ。紫苑は自由を望み、外でバンドを切断する道具を得ようとしていた。ひばりとらいかは病院に赴き、紫苑がどんな症状なのか見極めようとしてわざと泳がせた。紫苑はまるで先の道がわかっているかのように逃げてゆく。そこからひばりは紫苑が周りの人の脳から情報を取得して先の空間を知るカーナビ女子だと判断する。紫苑はらいかを人質にするが、らいかはACS患者には見えるが普通の人には見えないためにこの作戦は失敗し、全ての逃げ道を塞がれて捕まることになった。
捕まった紫苑は少年院へ行く代わりに事業所で働くことになり、一職員となった。

死なない少年

不良学校で有名な大内北高校(おおうちきたこうこう)で騒ぎを起こしている少年・重光隆臣(しげみつたかおみ)がいるとひばりの元へ報せが来た。ひばりとらいかと紫苑が行ってみると、少年は不良相手にタイマンをしている。ひばりが紫苑のACSを使っている心を読むことで事態を把握し、彼のACSが自分が絶対に助かる動作の流れを創り出す「殺陣(たて)」であると見抜いた。隆臣はとうとう番長まで下し、頃合いを見たところでひばりは隆臣とコンタクトを取る。隆臣は自らがACSであることを自覚し、おとなしくなった。隆臣にはこのまま学校にいてもらい、ひばりたちが経過観察することで決着することとなった。

教授の世界

ひばりとらいかと紫苑はとある元商店街の地下へ行くことになった。そこには「教授」と呼ばれるACSの患者が住んでいるのだが、数日前から連絡が取れないという。教授の住んでいる元商店街の地下へらいかが先に入ると、そこには何故かジャングルが広がっていた。突然のことにらいかは迷ってしまう。実はこれが教授のACSで、幻覚を見せ実際の空間よりも広く感じさせたり、時間の経過の感じさせたりするものだった。らいかは迷う中、幻覚キノコを食べて倒れていた教授と遭遇。教授は彼の住処へらいかを案内してくれた。ひばりと紫苑も、紫苑が幻覚の中で足を踏み外したせいで別々になってしまったが、ひばりは教授の住処へと辿り着いていた。このまま紫苑を放っておくと幻覚の中で彷徨い続け、死にかねない。そこでひばりは強力な薬を教授に飲んでもらい、意識を失ってもらって能力をオフにして幻覚を消し、紫苑を救助した。らいかは教授に「寂しくないの?」と聞くと教授は「確かに寂しい」とらいかとハグし合う。
後日らいかと教授は会話可能なオンラインゲームで友達となったのだった。

盗聴少女

外で紫苑はスマホの知らない番号から連絡があり、「ACSのことで話がしたい」と言われ、自分のACSを使って相手を探そうとしたが見つからなかった。同じく事務所に電話がかかってきた。しかしひばりは嫌いなしめじを出されたことでらいかにつっかかられて気絶していたため出ることができなかった。代わりにらいかが電話に出ると、相手はらいかのことを知っているらしかった。その声の女性は「ACSの発症前に事件に巻き込まれなかったか」と聞いてきた。らいかが「そんなことはない」と言ったタイミングでひばりが気絶から回復し、電話を代わると報酬がまだ振り込まれていないと言って通話が終わった。紫苑がACSの当たりをつけ、その者と2人きりで交渉することになる。彼女のACSは「盗聴」。範囲内の人の聴覚を自分の聴覚のように聞くことができるのだ。患者の名前は板橋稀理子(いたばしきりこ)といい、女子学生ぐらいの歳でこれまで情報提供という形でひばりに協力してきたという。板橋はACSは感染するんじゃないかと予測を立てていた。その考えを確かなものにするため、これまで協力して情報を集めていたのだ。接触感染でもなく、空気感染でもない。でもそれなら千景が感染しないのはおかしい、という段でひばりがタバコを吸いながらすぐ近くにいることに気づく。板橋が逃げ出そうしても紫苑が先回りして捕まえ、男性恐怖症な板橋にひばりが壁ドンすることで逃げる気を喪失させた。紫苑が「アーカイブズは案外私たちを助ける気があるのかもしれないよ」と説得し、考えた末に板橋は男性を近づけさせないという条件付きで協力するのを了承する。

後日寂しがって1人野球場で泣いていたらいかにひばりは気絶覚悟でハグをした。らいかは病院内の学校で知り合った女の子と、教授の力を借りてその子にも見えるようにお互い出会う機会を設けてくれ、友情を深め合うのだった。彼女は少なくとも1人ではない。

アーカイブズの活動は患者がいる限り続くのだ。

『ブランクアーカイヴズ』の登場人物・キャラクター

主要人物

吉野ひばり(よしのひばり)

社会福祉法人「アーカイヴズ」第2一般相談支援事業所所長の成人男性。メガネで長髪が特徴。タバコ好きでヘビースモーカー。他人の心が読める「読心者」だが、触れられると読み取れる以上の情報が脳に入り込んで負荷がかかり、気絶してしまう。なのでそういう状態から逃れるため、自動車免許は持っておらず、触ってこようとする子供は特に避けている。
ACS患者に理解があり、出来るだけ力になろうと動く。

来夏(らいか)/神沢冬美(かみざわふゆみ)

いつからからか周りに認識されなくなった女の子。家庭事情も複雑で、学校でもいじめられていて居場所が野球場のグラウンドだったが、そこが最初に自分が周りから見えていないと気づくきっかけだった。ひばり達の支援を受けて懸命に生きていこうとする。明るく振る舞っているが寂しがり屋。本名では不当に扱われてきたので、自分で「来夏(らいか)」と名乗って違う人生を送ろうとしている。

「アーカイヴズ」の関係者

吉野千景(よしのちかげ)

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