封仙娘娘追宝録(封娘)のネタバレ解説・考察まとめ

『封仙娘娘追宝録』(ふうせんにゃんにゃんついほうろく)とは、ろくごまるにによるライトノベル。『水滸伝』に着想を得た作品で、人間界に散らばった仙人の手による道具・宝貝の回収劇を描いている。長編シリーズが全11巻、『ドラゴンマガジン』で連載された短編シリーズが全5巻という内容で、90年代のライトノベルの中でも特に人気の高い作品の1つ。略称は『封仙』または『封娘』。
人間界に726個の宝貝をバラ撒いてしまった見習い仙人の和穂は、唯一逃亡しなかった意志ある宝貝・殷雷と共に、宝貝の回収に人間界へと赴く。

護玄(ごげん)

龍華の友人。良識的かつごく真っ当な仙人で、奔放な龍華にたびたび振り回されてはその後始末に奔走している苦労人。
欠陥宝貝たちが人間界に逃走した際は、殷雷に和穂の護衛を依頼。その際、「いずれ殷雷が破壊される」ことを見越して、彼を修復する材料となる仙界の金属を棍(こん)の形で彼に持たせた。

人間界(にんげんかい)

柳梨乱(りゅう りらん)

職人の一族に生まれた、和穂と同年代の少女。欠陥宝貝回収の旅を続ける和穂と知り合い、友人となる。村長代理の人柄を気に入り、彼に好意を抱く。
若いながら職人としてはすでに一流で、人間でありながら殷雷の持つ棍が彼の修復用の材料であることを見抜いている。

村長代理(そんちょうだいり)/張良(ちょうりょう)

梨乱の村にやって来た旅人。若くして温厚かつ聡明、公平かつ剛毅にして果断な人物。何者かが用いる宝貝によって泥の中に沈められた梨乱の村で、腰を痛めた村長の代理で村人を率いていた。
その正体は数百年もの過去の時代から宝貝の力でやってきた人物で、「張良」と呼ばれているシーンがある。漢王朝の設立に大きく寄与した人物と同じ名前だが、本人かどうかは不明。

夜主(やしゅ)

人間界で活動する盗賊。和穂や殷雷も「どうしてここに龍華が」と勘違いするほど龍華に瓜二つだが、全く無関係の別人である。
地上にバラ撒かれた欠陥宝貝の力に魅せられ、これを集めることを目的としている。その中で和穂たちに借りを作り、梨乱に捕まり、「力になってほしい」と頼まれて渋々ながら欠陥宝貝の回収に協力するようになっていった。

鏡閃(きょうせん)

人間の女性に恋して仙界を飛び出した元仙人。龍華の欠陥宝貝が物語の過去の時間軸にまで逃走していったために家族の存在も子孫たちまでも人間界に“最初からいなかった”ことにされてしまい、「龍華と和穂こそが我が一族の仇である」として彼女たちに強い憎しみを抱く。
和穂たちへの憎悪を別にすれば悪性の人物ではなく、龍華が大暴れして人間界が危機に陥った時には「自分のせいでとんでもないことになった」、「なんとしても龍華を止めなければ」と和穂と一時休戦した。

宝貝(ぱおぺい)

恵潤(けいじゅん)/恵潤刀(けいじゅんとう)

龍華が使った刀の宝貝。正式名称は恵潤刀だが、作中では恵潤と呼ばれることが多い。殷雷と同時期に作られた宝貝で、彼同様に持つ者を操る力と、人間の女性に変身する能力を持つ。
強い母性を持ち、子供や幼い外見を持つ宝貝に対して同情し戦闘放棄する悪癖を持つ。物語の中盤でいくつかの宝貝とむりやり融合させられ、より強大な力を得るが、代わりに武器として重要な柔軟さを失ってしまう。

静嵐(せいらん)/静嵐刀(せいらんとう)

龍華が作った刀の宝貝。正式名称は静嵐刀だが、作中では静嵐と呼ばれることが多い。殷雷と同時期に作られた宝貝で、自身を持つ者を操る力と人間の姿に変身する能力を持つ。性格は呑気でボケボケで全く空気を読まず、殷雷からは「全てが欠陥品」と呆れられている。

流麗(りゅうれい)/流麗絡(りゅうれいらく)

龍華が作った織機の宝貝。正式名称は流麗絡だが、作中では流麗と呼ばれることが多い。人を苛立たせることを好むひねくれた性格で、陰鬱な物腰もそのためにわざとやっているもの。
計算能力に優れ、鏡閃の企みをも朧気ながら見抜いている。

轟武(ごうぶ)/轟武剣(ごうぶけん)

龍華が作った剣の宝貝。正式名称は轟武剣だが、作中では轟武と呼ばれることが多い。自分の意志のままに動く人形を作り出す能力を持ち、これをさらに発展させるべく密かに仙術を学び、魂を複製する技術を習得する。これが「禁忌に触れた」と見なされて討伐され、その際に自分の相棒を死に追いやった殷雷に強い恨みを抱いている。

『封仙娘娘追宝録』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

和穂「私は仙人をやめて人間に戻ります。それで人間界に戻り、宝貝を回収します」

欠陥宝貝による人間界の大混乱と、それによって生じる不可逆の変化を「仕方のないこと」と受け入れようとする仙人たちに対し、和穂は「それでは筋が通らない、まだできることがある」と主張。「仙人が回収に赴けばかえって混乱を大きくする」との指摘に、「私は仙人をやめて人間に戻ります。それで人間界に戻り、宝貝を回収します」との言葉を返す。
和穂たちの壮大な旅の始まりを告げる言葉であり、同時に彼女の途方もない意志の強さを感じさせる言葉である。

梨乱「この人になら裏切られてもいい、そう思うからこその信頼でしょう?」

BOTAnNABE
BOTAnNABE
@BOTAnNABE

目次 - Contents