レッド(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『レッド』とは、講談社の漫画雑誌『イブニング』で2006年より連載された山本直樹の漫画作品。1969年から1972年にかけて日本で起こった、革命を夢見た若者たちを描いた青春群像劇。2006年から2013年にかけては『レッド』、2014年から2016年にかけては『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』、2017年から2018年にかけては『レッド最終章 あさま山荘の10日間』というタイトルで連載された。

『レッド』の概要

『レッド』とは、講談社の漫画雑誌『イブニング』で2006年より連載が開始された山本直樹の漫画作品。1969年から1972年にかけて日本で起こった、革命を夢見た若者たちを描いた青春群像劇。本作は極左テロ組織「連合赤軍」およびその母体となった「共産主義同盟赤軍派」、「京浜安保共闘革命左派」をモデルにし、団体名、個人名は仮名が使用されているが、人物名については姓はほとんどが山にちなんだ仮名に変更されており、名は読みが同じで漢字のみ変えられている(例:永田洋子→赤城容子)。
フィクション作品という注意書きが連載および単行本には書かれているが、作者の山本直樹は「基本的にはあったことほぼそのままを描いてこうとは思っています」と述べており、当時の連合赤軍関係者への取材によって事実をかなり忠実に描いたものとなっている。
2006年に連載を開始し、2013年第86話で一旦連載が中断。2014年より『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』として新章がスタートし、2016年まで連載。2017年から2018年に連載された『レッド最終章 あさま山荘の10日間』をもってシリーズ連載が終了。
2010年には第14回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で「優秀賞」を受賞。
2022年11月29日より、3タイトル計13巻分を全4巻にまとめて収録した新装版『定本 レッド 1969 - 1972』が太田出版より刊行された。

『レッド』のあらすじ・ストーリー

革命者連盟と赤色軍の同盟

高度経済成長期真っ只中の日本。世間ではアニメ『ひみつのアッコちゃん』報道開始、東名高速道路の全線開通、『8時だョ!全員集合』の放送開始などに湧きたっていた。
そんな中、1969年の東京大学安田講堂の陥落を境に全共闘運動は勢いを失いつつあった。631人もの逮捕者を出し、青森の大学でもバリケード封鎖は盛り上がりに欠けたまま立てこもった学生の退却で結末を迎える。
革命の衰退に抗うようにダイナマイト使用による非合法的な闘争へと傾倒していく革命者連盟(モデル:革命左派)のメンバーだったが、リーダーである筑波ら多数のメンバーが逮捕され組織崩壊の危機に直面していた。
筑波奪還のため、鋼板を襲撃して拳銃奪取を画策するも警官の発砲によりメンバー2名が重体、2発の銃弾を受けた赤石が死亡。
この作戦を契機に革命者連盟はもう一つの急進的極左集団「赤色軍(赤軍派)」との同盟を結び、さらなる闘争へと突き進む。

赤色連盟の結成とあさま山荘

銃砲店の襲撃やG作戦と言われる銀行や郵便局を狙った強盗により、武器と資金を手にした革命者連盟は、1972年榛名ベースにて赤色軍と「赤色連盟」を結成。
実験は赤色軍のリーダー北が握り、革命者連盟のリーダー赤城はナンバー2の座に就いた。ベースに集結した20名あまりの同志たちは革命戦士となるため合同で訓練を開始するが、そこでは自らが犯した過ちに対し「総括」という名の暴力が横行。リーダー北が学生時代に剣道部で体験した“気絶後に生まれ変わったような気持ちになった”という体験を元に、気絶するまで殴り、目が覚めた時革命戦士として生まれ変わるという到底理解しがたい理論による実質“リンチ”に等しいこの行為によって、多くの仲間が仲間の手によって殺害される。
1972年残り9名となったメンバーは、警察の包囲網を突破するため決しの山越えを断行。命からがら成功したのも束の間、地図に無い謎の町に迷い込み脱出を試みるも岩木ら4名が軽井沢駅で逮捕。
残る5名が警察との銃撃戦の末たどり着いたのは「あさま山荘」だった。管理人婦人を人質に立て籠もり、彼らは壮絶な籠城戦を繰り広げる。

『レッド』の登場人物・キャラクター

『レッド』登場人物相関図

赤城容子(あかぎようこ)

出典: ohtabookstand.com

赤城容子(あかぎようこ)。元「革命者連盟」リーダーで、「赤色連盟」ナンバー2

モデルは永田洋子。女性活動家で本作中心人物の1人。赤色連盟ナンバー3の谷川の妻である。
病院に勤務する薬剤師だったが活動のために退職。ゲリラ闘争が唯一の道と信じ、熱心に活動にすべてを捧げるが、しばしば連盟内のメンバーと衝突し感情を露呈する。
1970年、精力的な活動が評価され組織のリーダーに就任。
赤色連盟発足後はナンバー2の座に就き、「総括の援助」という名のもの繰り返された“リンチ行為”を先導。
カンパ集めのため都内アジトへ潜入作戦を行った際、リーダー北と結婚し同時に夫である谷川との離婚を宣言。妙技ベースに向かう途中、警察隊に包囲され呆気なく逮捕された。

谷川(たにがわ)

谷川(たにがわ)。元「革命者連盟」の中心人物であり、赤城容子の夫。「赤色連盟」のナンバー3。

モデルは坂口弘。革命者連盟の中心人物であり、赤色連盟のナンバー3。
同志が次々と逮捕されて行く中、潜伏生活に疲弊した組織の活動拠点を山に移すことを提案した人物。赤色連盟結成後はエスカレートする苛烈な「総括」に対し疑問を抱くが、自分に矛先が向くことをおそれて自らも加担。しかし度重なる仲間の死によって自責の念にかられた末、そんな立ち居振る舞いを問題視され妻の赤城から離婚と総括を要求された。
その後、逮捕された北、赤城に代わってメンバーの指揮を執り山越えを断行。あさま山荘立て籠もりまで生き残った一人。

北盛夫(きたもりお)

「赤色連盟」のリーダー北盛夫(きたもりお)。

モデルは森恒夫。「赤色軍」のリーダーであり、組織再編後「赤色連盟」のリーダー。
かつて“中央派”との闘争から怖気づいて闘争した小心者だったが、組織上層部メンバーが次々と逮捕されたため獄外メンバーでリーダーの座を掴み取る。
「赤色連盟」では赤城と覇権を争いつつも、自らの反乱分子ととれる行動をとる者に対し、「共産主義化」の名のもとに「総括」という名のリンチを仕向け、多くのメンバーを殺害した首謀者。
最後は結婚を宣言したばかりの妻赤城とともに警察隊に呆気なく逮捕された。

天城(あまぎ)

モデルは遠山美枝子。ロングヘアが特徴的な美人で、後に「山」に加わる。

『レッド』の用語

革命者連盟

毛沢東思想に基づきゲリラ闘争路線をとる、神奈川に拠点を置く新左翼組織。モデルになったのは「日本共産党(革命左派)神奈川委員会」。
1969年末、リーダーの筑波ら主要メンバーが多数逮捕され壊滅的な打撃を受ける。
先鋭的かつ特異な活動方針により、大衆からの孤立を懸念して他党派からひんしゅくを買っていたが、1970年の交番腫撃事件敢行により一躍新左翼内部から注目と支持を集めることとなる。
組織の正式名称は「革命者連盟神奈川委員会」だが、中心メンバーの青阿木と谷川のアジトは茨城にあり、たびたび周囲にはその事を揶揄されている。
闘争時に使用するヘルメットは白い無地に「革」の文字が書かれおり、機関誌としては「革命の鐘(モデルは解放の旗)」を刊行している。

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