フラウ・ファウスト(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『フラウ・ファウスト』とは、ヤマザキコレにより2015年から『ITANコミックス』にて連載されたファンタジー漫画。物語の舞台は、18~19世紀頃のドイツをモデルとした世界。契約していた悪魔から不老不死の呪いを受けたファウストが、悪魔メフィストフェレスと再会するまでの100年の物語である。ファウストがメフィストフェレスを捜す理由とは何なのか、人や悪魔たちの複雑な心情が絡み合う様が魅力的な作品だ。

悪魔

この世界では人と非常に近く、また遠い存在である。
ハイリスク・ハイリターンで願いを叶えられる存在だが、油断すると理不尽な死を迎えるし、魂を取られて苦しい思いをすることも珍しくない。
基本的には悪魔が気に入った人物の願いを叶える契約をし、その契約が完遂されたら契約者の魂をもらい受けるという仕組みになっている。
稀にメフィストフェレスやアスのように、契約と関係なく人と共にいることを望み選ぶ悪魔も存在する。

フラスコの中の小人・ホムンクルス

ヨハンナたちが生み出した生命体。
フラスコの中から出ることはできないが、はっきりと自分の意思をもった存在である。

自動人形

西の国から伝わった、自動で動く人形の総称。
ニコはその外郭にフラスコの中の小人を接続して、肉体として動かしている。
自動人形の為頑丈だが、体内の循環液が漏れると体を動かせなくなる弱点がある。
また、年月によって部品が劣化するので、定期的に丁寧なメンテナンスをしても100年でガタがきてしまう。

不老不死の呪い

メフィストフェレスがヨハンナに掛けた呪い。
損傷する度に、その削れた部分を補うように他の部分を削って回復するため、有限の不死である。

魔獣

森に住まう狂暴な獣。
森の中の獲物が少なくなると、稀に人里にも降りてきて壊滅的な被害を出すこともある。

『フラウ・ファウスト』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ヨハンナ「いきものは死ぬんだよ!!どんな奴でも!どんな獣でもだ!!だからしがみついて精一杯あがいて生きられるんだろうが…!!」

主教(左)を一喝するヨハンナ(右)

主教の「死なない者に、全てを壊される恐怖は分からない」という言葉に、ヨハンナは「いきものは死ぬんだよ!!どんな奴でも!どんな獣でもだ!!だからしがみついて精一杯あがいて生きられるんだろうが…!!」と一喝するのだった。

主教は、妻と娘の死という突然世界の全てが壊される恐怖耐えられず、悪魔の誘いにのって契約をしてしまった。
その結果が娘を悪魔にすることになり、妻や娘の為であったのだと言い訳をし続ける主教に、ヨハンナは「自分が見て見ぬふりをした罪をなくしたいだけだ」と指摘する。
「死なない者には、全てを壊される恐怖は分からない」と訴える主教に、ヨハンナは「生き物はみな死ぬ」のだと一喝し、「終わりが見えない道なんて、つらいだけじゃないか」と独白するのだった。
死なないからこそ長い年月人の生死を見続けてきたヨハンナの、厳しくも的を射た言葉である。

サラ「さみしいだろうから、同じ分だけ生きてあげようって思うくらいには」

マリオンからヨハンナとの付き合いの長さを聞かれたサラは、「さみしいだろうから、同じ分だけ生きてあげようって思うくらいには」と答えるのだった。

メフィストフェレスから不老不死の呪いをかけられたヨハンナは、多くの命に先立たれてきた。
ヨハンナが独りにならないように、寂しくないようにと、ただそれだけのためにサラは首から下を人形に変えてでも長生きをする。
サラの、ヨハンナへの想いの深さが分かるセリフである。

サラ「あたし、恋われたいんじゃないのよ。愛したいの」

ヨハンナへの想いを成就してやろうというアスの誘いを断るサラ

「ヨハンナへの想いを成就してやろう」と契約を迫るアスに、サラは「あたし、恋われたいんじゃないのよ。愛したいの」と契約を断るのだった。

サラは、密かにヨハンナへ想いを寄せていた。
男の人を愛せないが故に故郷を追われたサラにとって、新たな地でできた友人であり同居人であるヨハンナはとても大切な存在であった。
そんなサラに対してアスは「ヨハンナへの想いを成就してやろう」と契約を迫るが、サラは「契約で無理矢理に好意を返されるのでは意味がない」のだとはっきりと契約を断る。
サラのまっすぐさが分かる、かっこいい言葉である。

言葉を拒絶するメフィストフェレスに行動で伝えるヨハンナ

聞く耳を持たないメフィストフェレス(右)に強引に口づけをするヨハンナ(左)

言葉を拒絶するメフィストフェレスに、ヨハンナが行動でその想いを示すシーン。

1回目の死の間際、ヨハンナはメフィストフェレスに「おまえを愛していたよ」と告げた。
そして2回目の死の間際にも何かを伝えようとしたヨハンナだったが、メフィストフェレスはそれを聞くことを拒絶する。
ヨハンナは「言うな」と拒絶するメフィストフェレスに無理矢理口づけを送ると、「ざまぁみろ!今度はお前の番だ」と笑顔で告げて消えていくのだった。
明確に言葉にしなくとも、互いを想っていた2人がすれ違い、永遠の別れをする場面でもある。

ヨハンナの100年の孤独を理解するメフィストフェレス

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