タヌキツネのゴン(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『タヌキツネのゴン』は、集英社のWeb漫画アプリ『少年ジャンプ+』に掲載されている漫画作品。作者は日本の漫画家・メガサワラである。2022年8月11日から2024年1月11日の間連載していた。
人間が存在しない妖怪の世界が舞台。主人公のゴンはタヌキの父とキツネの母の間に生まれたタヌキツネの子供。タヌキとキツネがいがみ合う世界で生まれたゴンは、家族の深い愛情によって心優しく育っていく。本作はそんなゴンが家族や友達と織りなす、ほっこりな日常を見ることができる漫画作品である。

『タヌキツネのゴン』の概要

『タヌキツネのゴン』は、集英社のWeb漫画アプリ『少年ジャンプ+』に掲載されている漫画作品。作者は以前『少年ジャンプ+』で『スライムライフ』を連載していた日本の漫画家・メガサワラ。かわいらしい画風のキャラクターが織りなすほっこりな漫画に定評がある。2022年8月11日から連載を開始。2024年1月11日に更新した72話にて完結した。

人間の住む世界とは別に存在している妖怪の世界が舞台。本作の舞台である妖怪の世界では、タヌキ(化け狸)とキツネ(化け狐)がいがみ合っていた。主人公のゴンはタヌキの父・とっくりとキツネの母・ツヅラオの間に生まれた、タヌキとキツネのハーフ・タヌキツネである。ゴンは家族の深い愛情によって心優しく育っていく。何故タヌキとキツネがいがみ合うのか。本作はそんなシリアスな展開を挟みつつ、ゴンが家族や友達と織りなす、ほっこりな日常を見ることができる漫画作品である。

『タヌキツネのゴン』のあらすじ・ストーリー

妖怪学校に入学したゴン

タヌキ(化け狸)とキツネ(化け狐)のハーフであるタヌキツネのゴンは、優しいタヌキの父・とっくり、2人のタヌキツネの姉センとキコに囲まれて幸せに暮らしていた。日々あった楽しいことなどを、亡き母・ツヅラオの映る写真に話すのもゴンの日課である。

そんなゴンは妖怪学校へ入学することになった。ゴンは妖怪カマイタチの先生・暦(こよみ)のクラスになり、生徒達は自己紹介をしていく。ゴンは元気よく自分がタヌキツネであると言った。するとクラスの中がざわめいた。タヌキとキツネの仲が悪いというのは、妖怪では知らないものがいないほど有名な話。子供達にとってタヌキツネという存在は珍しく、また同時に”変”な存在でもあった。ゴンはそれに激しく動揺してしまい、落ち込んだ。そんなゴンに暦は声をかけ、お弁当に入れていた羊羹を分けてくれる。ゴンは思い切って暦に「ボクってへんなのかな…」と涙目になりながら尋ねる。暦はそれに対して、「いいえ 君は素晴らしい」とゴンに返した。暦もタヌキとキツネの仲が悪いことは知っており、双方がわかり合うことはないだろうと思っていた。しかしタヌキツネのゴンに会って、その考えを改める。暦はゴンの両親であるタヌキとキツネは古い価値観を壊してくれた存在であり、とても素晴らしいと褒め称える。しかし幼いゴンには暦の言っていることがまだ少しわからなかった。そんなゴンに暦は「困ったときは どうか私を頼ってくださいね」と声をかけ、ゴンはそれに「…うん」と返事をするのだった。

帰ってきたゴンの元気がなかったので、とっくりは学校で何があったかを察した。タヌキツネの自分は変なのだろうかと悩むゴンに、とっくりは昔は自分も理由なくキツネを嫌っていたことを打ち明ける。そして母・ツヅラオのおかげで、その決まりのほうが間違いだったことに気づいたともゴンに教えた。とっくりはゴンのことを「タヌキとキツネの『仲良し』の印だからな!!」と伝える。それを聞いたゴンは、「いいかも!!!」と笑顔を見せるのだった。

タヌキとキツネのいがみ合い

キツネとタヌキの歴史を語る父・とっくり(右)とそれを聞くゴン(左)。

ゴンは幻の唐揚げを食べるために父・とっくりと一緒に町へとでかけた。しかし幻の唐揚げはとある事情で売り切れになっていた。キツネの主人がやっているその店の唐揚げは、タヌキのお店で売っているスパイスが必要だった。しかしキツネが自分の店のスパイスを使っていると知ったタヌキの主人が怒り出し、スパイスを売らなくなってしまったのだ。ゴンととっくりは仕方なく別の店で食事をする。すると町で火事が起きた。タヌキの店は炎に包まれ、このままでは伝統のスパイスが燃えてしまう。しかしやってきたキツネの消防団員は、相手がタヌキだからと消火を後回しにしようとした。唐揚げ屋のキツネの主人は火傷を負って重症。タヌキの主人の娘が「タヌキの秘薬」が効くかもというのに、タヌキの主人は相手がキツネだから助けないという。

そんな光景を見て、ゴンは「おかしいとおもう!!!」と叫んだ。そして「キツネとタヌキがなかよくしちゃいけないの…おかしいとおもう!!」と続ける。”仲良くしてはいけない”。そんな理由で店がなくなり、誰かが死ぬかもしれない。ゴンの「なかよくしちゃいけないきまりは…『だれ』のためにあるの!?」という叫びは、その場にいたタヌキとキツネの心を動かした。火は無事に消し止められ、キツネの主人は「タヌキの秘薬」のおかげで回復へと向かう。ゴンはタヌキとキツネが協力し合う姿を見て、「みんな たすかってよかったね!!」と笑顔を見せるのだった。

とっくりとツヅラオの出会い

ゴンは夜中に父・とっくりがおばけの出ているテレビ番組を偶然見てしまった。おばけが怖くてたまらないゴンは、夜中とっくりにしがみついて震えながら眠る。翌日学校でおばけの話になり、ゴンは友人の鬼童丸(きどうまる)におばけが怖くないのかと尋ねた。それに対して鬼童丸は、「そのおばけがイイおばけだったら怖くないと思う」と答える。それを聞いたゴンは、亡くなった母親・ツヅラオがおばけになって自分に会いに来るのを想像した。それはたしかに怖いことではなく、むしろ幸せなことだった。ゴンはそのまま暦のところに行き、どうすればおばけに会うことができるか尋ねる。暦はしばらく考えた後、妖怪の伝統行事「灯籠流し(とうろうながし)」について教えてくれた。「灯籠流し」とは、灯籠を川に流し、死者の冥福を祈り、先祖を祀る行事。おばけに会えるかはわからないが、一度行ってみるといいと暦はゴンに勧めた。

ゴンは家に帰った後、とっくりに「灯籠流し」について話した。それを聞いたとっくりは十数年前、ゴン達の母親・ツヅラオと出会った「灯籠流し」の日のことを思い出すのだった。昔とっくりは他のタヌキと同様、キツネを憎んでいた。ある年の「灯籠流し」でとっくりはキツネのツヅラオに出会い、未来の子供達にまで争いを受け継がせたくないというその思想に共感するようになったのだ。そして2人は結婚。セン、キコ、ゴンというタヌキとキツネの絆の証であるタヌキツネの子供達を授かったのだ。

「灯籠流し(とうろうながし)」の当日

「灯籠流し」当日、ゴン達は一家で灯籠を流す川へと行った。その川には「東の川辺は狐の侵入を禁ず 西の川辺は狸の侵入を禁ず」という立て札が立っていた。東の川辺に行ったゴン達はそこにいたタヌキ達に何故キツネがいるのだと絡まれた。センやキコは母親のツヅラオに似て、見た目はキツネに近いからである。そこでゴン達は立て札に書かれた決まり事のことを知り、タヌキもキツネもいていい場所があるはずだと別の場所を探すことにする。

川には橋がかかっていた。そこであればきっとタヌキでもキツネでもいていいはずだとゴン達は橋へ向かう。しかしそこにはキツネ達がいた。そしてこの橋はキツネのものだと言い出す。それを聞きつけたタヌキ達も集まってきて、キツネとタヌキは一触即発の事態に陥る。そこにゴンが割って入った。ゴンはタヌキとキツネの大人達に向かって「ちゃんとはなしあわないと…ダメなんだよ!!」と訴える。しかし大人達は、話し合いでどうにもならないこともあるとゴンに言った。ゴンはそれに対して「じゃあ けんかしたら よくなったの!?」と続ける。さらに「けんかしたら…なかなおりしなきゃだめなんだよ!!」と言った。大人達はその言葉を聞いて何も言えなくなってしまった。そこに現れたのはタヌキを取り仕切る大親分ギョウブとキツネを取り仕切るキュウビだった。ゴンは2人に言いたいことがあると言い、「タヌキとキツネが仲良くして良い場所はどこか」と尋ねる。それを聞いた2人は橋の上をタヌキとキツネの友好の場所にするとその場で宣言した。みんなと仲良くしたいというゴンの願いが叶ったのだ。橋の上に残ったのはゴン達以外にいなかった。しかし少しずつ、タヌキやキツネが橋の上に集まってくる。ゴンは手作りの灯籠を川に流し、家族で「灯籠流し」を楽しむことができた。

その夜、ゴンは母・ツヅラオの写真に今日のできごとを話してから眠りについた。夢の中にはツヅラオが現れて、ゴンを抱きしめて「大好き」と言ってくれた。翌朝目を覚まして、ゴンは夢でツヅラオに会ったことを父・とっくりやセンやキコに報告する。すると全員がツヅラオの夢を見たという。それを聞いたゴンは嬉しそうに「ママがみんなに…あいにきてくれたんだよ!!」と笑うのだった。

『タヌキツネのゴン』の登場人物・キャラクター

主人公

ゴン

本作の主人公。タヌキ(化け狸)の父とキツネ(化け狐)の母の間に生まれたタヌキツネの子供。本作の開始時点では人間でいうところの幼稚園児ぐらいで、のちに学校に通うようになる。小さい頃に母・ツヅラオを亡くしており、作中で度々母親を思い出すシーンがある。とても心優しい性格で、他人を思いやる心を持つ。何故タヌキツネという種族が少ないのかということに疑問を持っており、みんなが仲良くできれば良いのにと思っている。

ゴンの家族

セン

タヌキ(化け狸)の父とキツネ(化け狐)の母の間に生まれたタヌキツネの子供。ゴンの上の姉で、「セン姉」、「セン姉ちゃん」などと呼ばれている。温和でのんびりとした性格で、ちゃっかりした一面もある。普段は糸目だが、何か悪巧みしている時などは目を開いた表情が描かれることが多い。料理や裁縫などが少し苦手で、母・ツヅラオほど器用にいろいろできないことにコンプレックスを抱いているが、それでも褒めてくれるゴンに助けらている。

キコ

タヌキ(化け狸)の父とキツネ(化け狐)の母の間に生まれたタヌキツネの子供。ゴンの下の姉で、「キコ姉」と呼ばれている。やんちゃな雰囲気を持つ女の子でゴンの扱いがうまい。人間でいうと女子高生ぐらいで、学校に通っている。なんだかんだとゴンに甘く、一緒になって悪巧みをすることも多い。やんちゃな見た目をしているが、読書好きで勉強もできる。

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