はめつのおうこく(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『はめつのおうこく』とはyoruhashiによる日本の漫画作品。『月刊コミックガーデン』にて2019年より連載されているダークファンタジー。2023年にはTVアニメ化が決定した。同作者の前作『剣の王国』と入れ替わるように連載が開始され、設定的にもつながりがある。魔女による魔法が存在する世界。超産業革命により発達した科学の力を手にした人間は、魔法を排除するため、魔女を弾圧し始める。師匠である魔女を殺された人間の少年アドニスは、復讐の魔法使いとして世界へと戦いを挑む。

『はめつのおうこく』の概要

『はめつのおうこく』とはyoruhashiによる日本の漫画作品。マックガーデンより刊行されている『月刊コミックガーデン』にて2019年より連載が開始され、配信サイト『MAGCOMI』でも配信されている。愛する人を失ったことにより、復讐を誓う主人公アドニスの復讐劇を中心としたダークファンタジー作品。復讐を果たそうとするアドニスの容赦ない心理描写や戦いを、壮大なスケールで描いており、2023年にはTVアニメの放送も決定した。アニメの制作は横浜アニメーションラボが担当し、2023年10月より毎日放送・TBSの「アニメイズム」枠にて放送される。本作は、同作者による『剣の王国』をと入れ替わりで開始された作品であり、『剣の王国』とは設定的につながりが存在する。

神に生み出された魔女の力が存在する世界。超産業革命により発展した科学を手にした人々は、魔女狩りとして魔法を弾圧し始める。氷結の魔女クロエ・モルガンに拾われて育てられた少年アドニスは、魔女狩りによって目の前でクロエを殺されたことで人間への復讐を誓う。それから10年後、帝国によって身柄を拘束されていたアドニスは、魔女ドロカによって封印を解かれたことにより再び自由の身となる。復活したアドニスは人類への復讐を開始、リディア帝国の首都を破壊し始めるのであった。

『はめつのおうこく』のあらすじ・ストーリー

アドニスの復讐の始まり

神に生み出された魔女の力が存在する世界。長らく魔女の力に護られて生きてきた人々は、超産業革命による科学を手にすることでその力を恐れる様になった。世界最大の勢力を誇るリディア帝国の皇帝ゲーテは魔女狩りと称し各地の魔女を弾圧し処刑していた。人間の少年アドニスは、師匠である氷結の魔女クロエ・モルガンとともにリディア帝国の国家保安局によってとらえられてしまう。処刑のための断頭台にたったモルガンはアドニスを守るために、「アドニスは自分が勝手に攫って奴隷にしていただけ」と言い彼の命を助ける事を懇願して処刑される。目の前で師匠を殺されたアドニスは人間や帝国への復讐を誓うのであった。アドニスは魔女に関わった重要参考人としてメイヘム捕虜収容所に幽閉されることとなった。

それから10年後、メイヘム捕虜収容所に捕らえられていた魔女の1人であるドロカは、人間へ献上するための性奴隷に選ばれてしまう。看守によって連れ去られたドロカは隙をついて逃げ出した先で、幽閉されていたアドニスの封印を解くのであった。10年ぶりに目覚めたアドニスは復讐のため、記述式魔法を使い、巨像兵を召喚し首都を破壊してまわる。破壊と殺戮を繰り返すアドニスを見たドロカは、それを止めようとする。復讐にとらわれたアドニスはドロカの静止の言葉に耳を貸さない。ドロカはアドニスの魔力と記憶があればクロエをよみがえらせることができると言う。その話を聞いたアドニスは我へとかえるが、その瞬間警備局のエーコートの狙撃がドロカを直撃し、彼女は息絶えてしまう。

クロエの言葉を最後まで聞くことができなかったアドニスに帝国の攻撃が続く。ドロカの死によりさらに復讐心を強くしたアドニスは帝国の追手を殺していく。保安局の副長のユキは魔法光子抑制装置を起動させようとするが、科学局の局長シータは抑制装置から放たれる核光子の人体への悪影響があるとして起動を阻止する。兄ヤマトの役にたちたいと思うユキは強引に装置を起動させようとするが、抑制装置の核光子を浴びて重傷を負ってしまう。シータに叱責されたヤマトはリディアの兵士を集めアドニスを総攻撃する。敵の猛攻にアドニスはリディア帝国の女兵士により遂に討たれその首をとられる。戦いが終わり、平和となったリディア帝国には元の日常が戻ってきた。アドニスの死体はリディア帝国により回収される。しかし解析されたアドニスの死体は模造品(ダミー)であった。

魔女の国 月園(ルナミリア)へ

アドニスを打ち取った女兵士は、実はドロカの仲間の魔女のアンナであった。アンナは元々アドニスを助け出すためにドロカと共にリディア帝国に潜入していたのであった。アンナは複製魔法により、アドニスの死を偽装し彼を助け出す。アンナは魔女クロエをよみがえらせるにはアドニスの力が必要だとし、彼を魔女の国である月園(ルナミリア)へと連れていく。魔女の国で魔女のリーダーであるオフィーリアと出会うことになったアドニス。オフィーリアは魔女を生む樹である生命樹(ミト)へとアドニスを連れていく。アドニスの記述式魔法でクロエの記憶を生命樹へと送り込めば、クロエをよみがえらせることが可能だというのだ。

オフィーリアは儀式の準備を始めるが、アドニスはドロカの死に際の言葉を思い出す。ドロカはクロエをよみがえらせるのは利用するためだと言い、よみがえらせるた後は逃げるように促していた。ドロカの最期の言葉から、アドニスは宇宙空間で生きられる魔女が、わざわざ月園を作ったのは、人間を捕らえるものだと推測する。数で劣る魔女が戦うための戦力として記述式魔法を人間に教え込ませる。そのための羽根筆(クイル)を作るためにクロエをよみがえらせ利用するつもりだと考える。アンナはドロカが犠牲になったことや人間の勝手さの事でアドニスを糾弾する。だが、アドニスは自分を利用するつもりでいる魔女達も同類だと返し、「クロエは生き返らせるが魔女は敵だ」と言う。

クロエを生き返らせるための儀式が始まる。術式によりクロエとの記憶に触れるアドニス。「こんなクソッタレな世界に彼女の居場所はない」と思ったアドニスは術式を中断、記憶召喚の切換を行い、クロエではなくドロカを生き返らせるのであった。アドニスの独断にオフィーリアは怒りをあらわにし、ドロカを糾弾する。だがアドニスは幽閉時から埋め込まれていた追跡装置(GPS)を使い、リディア帝国の兵士達を呼び寄せる。リディア帝国の兵士達は生命樹を焼き払い、魔女たちを虐殺していく。魔女たちも抵抗をするが、リディア帝国の物量戦に抑え込まれ、遂にはオフィーリアも戦死する。先のアドニスの襲撃で妹が重傷を負ったヤマトは魔法の存在を恨み、襲撃部隊のリーダーとして魔女たちやアドニスを追い詰めていく。戦いの中で親友のアンナを目の前で殺されたドロカは人間と魔女、両者の戦いを止めるために愛の魔法である束縛(マンドラゴラ)を発動させる。束縛の魔法にかかったヤマトはドロカの命令を聞き、兵士を引き上げようとする。そしてドロカはヤマトと和平を結ぼうとするが、その隙をついてアドニスはヤマトを殺害する。アドニスは「その力で共に人を滅ぼそうと」ドロカを復讐の旅へと誘う。

リディア帝国では皇帝ゲーテが月園の陥落を聞き歓喜していた。魔女を滅ぼしたと喜び錯乱状態となっているゲーテに対し、妃のアンドロメダは愛の魔法束縛をかけて城から転落死させる。アンドロメダの正体は多重奏宇宙(アンサンブルバース)駆ける未知の魔女ドロテーア・グレーテであった。愛の魔法は女には効かないため魔女の始末を命じたのはアンドロメダであった。ドロカに瓜二つの容姿である彼女は受肉首(インカーネーション)であるアドニスの首を求める。

アドニスとドロカ 放浪の旅

ドロカの力が復讐に利用できると思ったアドニスは、強引に月園から連れ出そうとする。ヤマトの声を模写し、転送装置を起動させたアドニスは再び地球へと帰還する。追手を避けるために、リディア帝国から離れた南半球に転送されたアドニスとドロカは誰もいない砂漠の真ん中へとたどり着く。ドロカは「魔女と暮らしたアドニスなら人間との懸け橋になれると思ってた」と言い、復讐をやめるべきだとアドニスを諭す。
しかしアドニスは聞く耳を持たず「既に自分には失うものなどない」と言い、復讐を続けようとする。自分には何もないと命すらも軽んじるアドニスに対し、ドロカは「クロエが護ってくれた命がある」と言う。「復讐を続けるとアドニスの心はいつか壊れてしまう。どんなに世界が残酷でもクロエを奪った人間のような心に染まっては駄目だ」と続ける。アドニスは「復讐は存在証明であり、クロエと生きた証である」と語り、復讐をやめることで彼女のいた痕跡が消えてしまいそうだと恐怖を吐露、さらには月園での戦いによる出血のひどさから気を失って倒れてしまう。
アドニスは難民や脱走した奴隷たちが身を寄せあって暮らす廃材平原で目覚めた。傷だらけの2人を拾ったのは廃材平原に住む汚染民のリーダーのパンチであった。汚染民たちはアドニスとドロカを歓迎し宴を開く。しかしアドニスは宴の酒に睡眠薬を混ぜ汚染民を眠らせ、廃材平原から立ち去ろうとする。彼らの好意を無駄にするアドニスをドロカは諭す。だがアドニスは、仲間を失ったのに宴を楽しむドロカの事を「根本的に相いれない」と拒絶し「相容れないなら俺のようにはなるな」と突き放し1人で旅に出る。置いてきぼりとなったドロカだったが、アドニスの別れ際の言葉に隠された優しさを感じ取っていた。さらには目が覚めたパンチから、クロエと幼少期のアドニスの話を聞いたドロカ。アンナや魔女の仲間を守れなかったドロカは「もう誰も死なせたくない」と決意を固め、アドニスだけは失いたくはないと思い、彼の後を追いかけ、共に旅をすることを決める。パンチから譲ってもらったバイクを使い、アドニスに追いついたドロカは再び彼と共に旅に出る。

諜報局主幹シロウサギとの戦い

アドニスはドロカの同行を許し再び復讐の旅が始まる。リディアを目指すべくバイクを走らせるアドニスは都市国家マムタに辿り着く。だが、マムタには人がいなくなり朽ち果てた廃墟と快楽を満たすための愛玩人形が残るだけであった。超産業革命により愛玩人形が流行ったマムタは人形を買うために国中の女を出荷、新しい命の生まれなくなったマムタは滅んでしまったのだ。人の身勝手さを再確認したアドニスは記述式召喚魔法を使い、愛玩人形の機能を停止させる。機能停止する人形たちの安らかな顔を見たドロカは「アドニスがいてよかった」と思うのであった。人形たちを埋葬する墓を作ったドロカは、その近くに月園の仲間達の墓も作る。

再び旅を続けるアドニスとドロカの元に、リディア帝国の諜報員であるシロウサギが現れる。アドニス達のバイクを破壊したシロウサギは彼の首を狙い、戦いを挑む。ドロカは束縛の魔法をかけるが、既にドロテーアの束縛を受けているシロウサギには通用しない。束縛が通用しない中、苦戦を強いられるアドニスとドロカ。シロウサギは戦いの中でドロカの眼球を抉り出した。怒りを露わにするアドニスは記述式召喚魔法で巨象兵を召喚し、シロウサギの打倒を誓う。だが記述式魔法の弱点である、発動の遅さすらも知るシロウサギによって巨象兵も破壊され、だんだんと追い詰められていく。アドニスは最後の手段としてドロカに自分に束縛をかけるように指示する。束縛を受け力を増したアドニスは、シロウサギの力を上回り、形勢を逆転させる。アドニスはクロエより受け継いだ絶対零度の記述式召喚魔法「はめつの式」を発動させ、ついにはシロウサギを撃破するのであった。シロウサギは消滅前にアドニスとドロカが「あの御方と若き日の女王にそっくりだ」と言い残すのであった。

医療の国マークポイントへの旅

ドロテーアは四大国(クラウンズ)にアドニスの包囲命令を下す。一方、ヤマトの死を知ったユキは仇を獲るべくアドニスの打倒を誓う。四大国はドロテーアの要請を受け、リディアとの友好のため、または己の野望のためなどといったそれぞれの思惑を持ちつつもアドニスの討伐へと乗り出す。
視力を失ったドロカの治療のために、医療の国マークポイントを目指すアドニスは、海を渡るために埠頭国キーファンネルを訪れる。海を渡る客船を避け、貨物を運ぶ飛空艇(スカイギア)を探すが、なかなか見つけられずにいた。そこに声をかけてきた高速貨物のパイロットのテルモンと取引し、無事にマークポイントまでの飛空艇を確保する。飛空艇での旅の途中、テルモンとの世間話でアドニスはゲーテ皇帝が死亡し、リディア帝国に新たな皇帝ドロテアーテが即位したことを知る。無事にマークポイントについたアドニスはドロカを看護師に預け手術の準備に入る。ドロカの様子を見た看護師ソワレは、アドニスがただならぬ存在だと思い、マークポイントの地下深くに隠された秘密である人工細胞(オルガノイド)を見せる。怪しさを感じつつも、手術を待つアドニスとドロカであるが、待機していた部屋に催眠ガスがまかれる。既にドロテーアからアドニス討伐の命を受けていたDr.ハイドラは、テルモンやソワレを使い初めからアドニスを捕らえるつもりであった。しかし、その事に気づいていたアドニスはここにくるまでの各所に仕掛けをほどこしていた。各種術式が発動し、混乱するマークポイント。アドニスは自分とドロカの束縛を解き、ソワレに仕掛けておいた術式からハイドラの場所を特定し、ドロカの目を治すように強要する。Dr.ハイドラは抵抗するが、ソワレや、隠し持っていた試作型のソワレを全て破壊され、しぶしぶとその要求を呑むのであった。ドロカの手術をしながら、ハイドラはマークポイントの再生医療の真実を語る。かつて魔女狩りで捕まえた魔女たちを効率よく処刑するための処刑場、それがマークポイント収容所であった。殺された魔女たちの残骸を集めたものが人工細胞であり、その人工細胞を使った医療が再生医療だったのだ。Dr.ハイドラの手術が終わる。しかしドロカの目に埋め込まれたのはただの義眼であり、視力は回復していなかった。アドニスは騙されたと怒るが、Dr.ハイドラは「魔女を治しては再生医療の根底を否定することになる」と言い残し、息絶える。そこに四大国の1つである軍産国家ミカの軍艦がマークポイントを強襲する。マークポイントに出し抜かれたことで大国の威信が揺らぐと思った将軍ビシャス・ダブルガンは、アドニスを奪う為に強襲をかけてきたのだ。アドニスはドロカの目を治すために自分の片目をドロカへと移植させる。そしビシャス・ダブルガンの戦艦と戦いを繰り広げる。

『はめつのおうこく』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

アドニス

CV:石川界人、寺崎裕香(幼少期)
本作の主人公。孤児であったところを魔女クロエにより育てられる。クロエに託された羽根筆を使うことで記述式召喚魔法を使う事ができる。魔女狩りによってクロエを目の前によって殺された事により、人間達を憎み、世界への復讐を誓う。リディア帝国に幽閉されていたところをドロカによって封印をとかれたことで復活、再び復讐を開始する。月にある魔女の国でクロエの蘇生を行うが、彼女の記憶に触れ、既にこの世界に彼女の居場所はないと思い、リディア帝国の戦いで死亡したドロカを復活させる。リディア帝国と魔女たちを争わせ脱出し、ドロカと共に再び復讐の旅へと出る。

ドロカ

CV: 和氣あず未
本作のヒロイン。魔女の国の魔女であり、人間の男を支配する愛の魔法、束縛(まんどらごら)の使い手。明るく人一倍優しい性格であるが、その能力ゆえに魔女たちからも忌み嫌われ疎まれている。そのためか、人一倍立派な魔女になるための使命感が強い。アドニスの封印をとくためにリディア帝国へと潜入、その際にエーコートの狙撃を受けて死亡するが、後にアドニスによって蘇生される。月園が崩壊した後はアドニスと共に旅をする。

クロエ・モルガン

CV:白石涼子
アドニスを育ての親である魔女。氷結の魔女と呼ばれ氷を操る魔法を使う。アドニスに魔法を教え込み、魔法を使える羽根筆(クイル)を与え、弟子として育てるが、その事が原因で魔女の国を追放されている。アドニスと共に旅をする途中で帝国に捕らえられ、首を切り落とされ処刑された。モルガンの三大魔女と呼ばれる1人である。

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