3×3EYES 幻獣の森の遭難者(サザンアイズ)のネタバレ解説・考察まとめ

『3×3EYES 幻獣の森の遭難者』とは高田裕三によるアクション伝奇ロマン漫画である。WEB漫画サイト『ヤングマガジン海賊版』にて2014年第35号~2015年第35号まで、『eヤングマガジン』では2015年第36号~2016年第33号で連載された。作者の代表作である『3×3EYES』の正統続編作品である。主人公・藤井八雲は宇宙ステーションで獣魔の卵の駆除をしている最中に獣魔女王・エキドナに遭遇したことをきっかけに、とある事件へと巻き込まれていく。獣魔や呪文を使ったアクションが魅力となっている。

鈴鈴が社長を務める香港の出版社。季刊のオカルト雑誌『妖撃』を出版していたが、現在は闇の怪物関係の仕事を請け負う会社に変わっている。八雲やハーン、スティーブなどが所属している。

九頭龍将

ベナレスが組織した戦闘専門のチーム。現在メンバーは舞鬼しか残っておらず、ほぼ壊滅状態。ゲゲネイスは九頭龍将の配下だった。パリでのベナレス戦後に、ゲゲネイスとノルマルテは九頭龍将のメンバーへと迎えられた。ベナレスは九頭龍将を組織として復帰させることを考えているようで、八雲をその首領に据えようと狙っている。

『3×3EYES 幻獣の森の遭難者』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

パイ「逃げるつもりはないよ。八雲にふりかかる火の粉はパイがはらう。たとえそれで世界が滅んでも」

真ん中がパイ。下がセツ。左下コマ内が美智瑠

ノルマルテによって攫われたパイが「八雲を争いに巻き込まないでほしい」と言ったときに、ゲゲネイスが今までたくさんの殺し合いを経験して、血に濡れた手で今更争いから逃げられると思っているのかとパイに反論する。パイはゲゲネイスに「逃げるつもりはないよ。八雲にふりかかる火の粉はパイがはらう。たとえそれで世界が滅んでも」と言った。

パイは「サンハーラ」以降、何かが欠けてしまったものを求めるような八雲のことをずっと気にかけていた。そして、その欠けてしまった何かが争いであった場合に、八雲がベナレスのように闘いに重きを置いた存在になってしまうことを恐れていたのである。パイは常に八雲のこと考えており、八雲が穏やかに過ごせるように守るという決意を固めている。そのためならば、世界が滅ぶことも厭わないという考えは、ノルマルテの美智瑠という小さな世界の滅亡の考えと対極的である。
大きな犠牲を厭わないパイのセリフは八雲への気持ちの強さを表したものとなっている。

感情が希薄化した八雲が怒りを見せたシーン

ゲゲネイスがベナレスを呼ぶためにパリ市内で暴れているのを八雲は止めようとするが、獣魔の操作権をゲゲネイスと共有形になってしまったためうまくいかずにいた。そんな状況でも無理に笑う八雲に、パイは三只眼がエキドナの召喚方法をゲゲネイスに教えてしまったこと、「サンハーラ」のときに八雲1人で送り出したこと後悔している旨を語る。八雲はパイを心配させまいと笑顔を見せるが、パイはこういった状況では「怒ればいいんだよ」と泣いて諭す。感情が希薄化している八雲は怒りという言葉は理解できるが、怒りの感情は薄いままであった。しかし、パイの言葉で、八雲は「今は怒る時」だと、怒りの表情を見せた。
「サンハーラ」以前の八雲は感情豊かであったが、本作では危機的状況下でも笑っているだけのことが多く、以前の八雲とは明らかに違うという描写が沢山あった。そのなかで、パイに促されたとはいえ以前の八雲に戻ったかのような感情が乗った表情は、どこか読者に安心感を与えた。

甲子美智瑠「たとえ幻でも忘れない。ありがとうみんな」

男性がノルマルテ。テーブル左から唯華、美智瑠、沙雪、千夏

すべての真相を知った美智瑠はノルマルテ達とベナレスを退けるために、自身に施された合成を放棄することを決める。美智瑠は今まで一緒に過ごした親友たちに向けて「たとえ幻でも忘れない。ありがとうみんな」と言った。

美智瑠はノルマルテの作り出した幻の中を何も知らずに生きてきた。それは、両親が不和な現実よりも美智瑠にとって幸せなことであった。しかし、いつまでも幻の中では生きられない。美智瑠は幸せな幻をくれたノルマルテに感謝をして、幻を捨てることを選んだ。これまで、幻の中でぬくぬくと生きてきた彼女が現実を直視するという成長が見られるセリフとなっている。

『3×3EYES 幻獣の森の遭難者』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作者は『3×3EYES』の続編を描くつもりはなかった

作者は『3×3EYES』完結後は、『3×3EYES』を描くことは2度と無いだろうと考えていた。しかし、2010年頃に大都技研から『3×3EYES』のパチンコ化のオファーがあり、編集部が喜ぶならと4コマ漫画を描こうかと提案したという。それから、編集部と打ち合わせをしたりなどの紆余曲折の末に、本作を描くことになったという。

三只眼吽迦羅の眼(ヤン)の発音は間違い

本作の重要キーワードのひとつである三只眼吽迦羅の眼(ヤン)の発音は北京語のピンイン「yan」の発音を「ヤン」と誤訳されたまま使用されている。本来の発音は「エン」となるが、長い連載で馴染んでしまっているため、本作でも「ヤン」のまま使用されている。

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