Get Ready?(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『Get Ready?』とは2019年より南マキがLINEマンガにて連載している青春漫画。主人公の園村涼がメイクとYouTubeでの動画投稿を通して自分の自信を取り戻し成長していく人間ドラマである。作中に登場するコスメはすべて実在する商品。実際の美容系YouTubeさながら使い心地や使用方法などを作中で紹介されるのも魅力のひとつとなっている。メイクアップシーンはカラーで描かれるのもLINEマンガならではの演出である。

『Get Ready?』の概要

『Get Ready?』とは2019年より南マキがLINEマンガにて連載している青春漫画。主人公の園村涼がメイクとYouTubeでの動画投稿を通して自分の自信を取り戻し成長していく人間ドラマである。作中に登場するコスメはすべて実在する商品。実際の美容系YouTubeさながら使い心地や使用方法などを作中で紹介されるのも魅力のひとつとなっている。メイクアップシーンがカラーで描かれるのもLINEマンガならではの演出である。
主人公の園村涼(そのむらすず)は容姿に自信が無いがコスメに対する情熱と探究心は人一倍強い大学生。ある日YouTubeで見つけた美容系YouTubeチャンネル「イチカチャンネル」に惹かれ、DMを送ったことをきっかけに、イチカ本人の動画アシスタントを務めるようになる。イチカはプロフィールを明かしておらず、アシスタントを任されるようになった涼もイチカのことをほとんど知らなかった。
イチカの正体は三浦龍之介(みうらりゅうのすけ)という男子中学生だが、その事実を知っている者はごく一部の人間だけである。正体を明かさずに活動をしている理由は、コスメの世界で仕事をしたいという夢を親族から否定され「自分の夢を実現したければ高校生になるまでに、正体を隠してチャンネル登録者数100万人達成する」という制約があるためである。
自分に自信が持てない涼と、正体を隠しながら活動するイチカがコスメを通して成長し、周囲の人間たちの心も開いていく物語である。

『Get Ready?』のあらすじ・ストーリー

涼とイチカの出会い

園村涼(そのむらすず)はコスメのマーケティング研究をするゼミに所属する大学2年生。コスメに対して誰よりも研究熱心だが、容姿に自信がないため自身は常時すっぴんである。その風貌に幼馴染で同じゼミに所属する多和田颯真(たわだそうま)からは常日頃「ブス」とかわかれ、涼は多和田と距離を取っていた。
ある日涼はイチカチャンネルというYouTubeチャンネルを見つける。涼はメイクの紹介方法やメイクテクニックに魅力を感じイチカにDMを通して動画の感想を送るようになる。涼の熱意に感銘を受けたイチカは一視聴者だが涼のDMに返事をするようになる。涼のコスメに対する的確な分析力や、商品の効果や強みを理解しているところに一目置いたイチカは自身の動画配信のアシスタントを依頼し、涼は承諾する。あくまで動画制作のアシスタントとして企画の立案や撮影の補助を担い、動画には一切姿を出さない約束でのふたりの動画制作がはじまった。

涼がイチカチャンネルでのメイクの解説を手掛けるようになるとチャンネル登録者数は6,000人から4万人に増加していた。涼に絶大な信頼を寄せているイチカは涼にも動画に一緒に出演するように何度も懇願するが、容姿に対する自信のなさから断り続けていた。
そんな中、イチカの初めての生配信でイチカが咳込み話せなくなるというアクシデントが発生する。激しく咳込む様子に視聴者からは「ブス」というコメントが並び配信が荒れ始めてしまう。イチカを庇うため、頑なに動画出演を断ってきた涼が、突如カメラの前に立ち「真打のブスです」と言いながら登場する。イチカに代わってコスメの説明を一通り終えたあと、あとはいつも通りイチカがメイクをするという段階になったところでイチカが涼にメイクを施す。すると、見間違うほど美しく変身を遂げる涼。その様子に視聴者からは高い評価を得て、一気にSNS上で話題に上がることとなる。涼のイチカチャンネル出演は涼の大学でも話題となり、周囲から動画を視聴したと声を掛けられるほどで、多和田もイチカチャンネルを目にしていた。
アクシデントから涼の機転の利いたフォローに、イチカは正式に涼にふたりでチャンネルに出演してほしいと懇願する。男性であるイチカは声変わりを迎え喉に違和感を覚えていた。涼にも男性であることを隠しているイチカは「喉の調子が悪いので動画で解説役が欲しい」という理由から動画出演を依頼。イチカからの要望に応えて涼は正式にイチカチャンネルへの出演を承諾した。

ふたりでの動画配信を正式に発表したが、登録者数が激減。なぜ登録者数が減ってしまったのか涼は分析したところ、地味な女性がイチカのメイクテクニックにより大変身を遂げるというコンセプトに好印象が持たれたことが判明。このことからイチカチャンネルの方向性を、すっぴんに白衣といういかにも研究者な出で立ちの涼が淡々メイク道具の仕様や効果を説明し、イチカが涼にメイクを施し可愛く変身するというコンセプトを確立。このコンセプトが視聴者の心を掴みチャンネル登録者数の回復に成功した。

はじめてのコラボ動画

涼のゼミではマーケティング研究の一環として化粧品会社「黒泉堂」の御手洗(みたらい)が頻繁に訪れていた。熱心な涼に一目置いていた御手洗はイチカチャンネルに、黒泉堂主催のユーチューバーイベントの出場や黒泉堂主催のレセプションパーティーへの参加を打診。
ユーチューバーイベントとレセプションパーティーの説明のため、涼とイチカは黒泉堂のオフィスを訪問する。黒泉堂は多和田の父親が経営する会社である。イチカがどうやって涼と出会い、自己肯定感が低い涼が動画に出演するようになったのか疑問を持ち始めた多和田。涼と社内で遭遇した多和田は、いつものように涼をからかい、イチカがその現場を目撃する。イチカは多和田に強く叱責をし掴みかかる。その力の強さから多和田はイチカに対して違和感を覚え始めた。

イチカは動画のアシスタントとして対面する前から、涼と出会っていた。しかしイチカの姿ではなく三浦龍之介として対面していたため、そのことを涼にはひた隠しにしている。イチカは、涼は「大切な恩人」のため涼に対して向けられる誹謗中傷から守りたいと思っていた。イチカが「黒泉堂で涼に絡んでいた男は誰なのか」と問うと、涼は「初恋の相手だ」と打ち明ける。

レセプションパーティー当日、友達作りに意気込んでいる涼だがユーチューバーたちにどう話しかければ良いか戸惑っていた。そこに参加していた多和田が助け舟を出し、無事に参加者たちと打ち解けることに成功する。
さらに、元アイドルで人気ユーチューバーのキラリから、黒泉堂のユーチューバーイベントで一緒にコラボしないかと誘われる。しかしコラボには条件があり、キラリと涼がふたりで撮った動画の視聴回数が50万回再生を達成することだった。無理難題を課すキラリだが、涼はイチカチャンネルの知名度アップのチャンスと考え共演を承諾。
涼の動画のアイディアはキラリに似せたメイクを自身にするというものだ。この動画が高嶺の花のキラリにメイクによって自分も近づけるかもしれないという視聴者の共感を呼び、再生回数は瞬く間に50万回を突破した。自分の引き立て役として涼を呼んだはずが涼の方が注目を浴びたことによりキラリの顰蹙を買うことになる。

キラリは暴露系ユーチューバーのキトリと手を組み、涼を辱めるための動画を公開する。キトリが公開した動画は「一番ブスな美容系ユーチューバーは誰だ!」という悪質なもので、サムネには涼の写真が使われていた。涼はいやがらせを気にしないように振舞っていたが、徐々にいやがらせはエスカレートしていった。キラリが開催した食事会でキトリが涼に直接接触してくる事態になる。その場に同席していた多和田が涼を連れ出し大事には至らずに済んだ。多和田が涼を庇うように食事会を抜け出しことで、さらにキラリは涼を嫌厭する。

キトリはキラリに、黒泉堂主催のユーチューバーイベントの会場で、涼の過激な暴露動画を流出させるという提案をする。しかし会場に流れたのは涼の暴露動画ではなく、キラリが裏でキトリと手を組み、涼への嫌がらせの首謀者だという盗撮動画だった。会場は一気にキラリに対するブーイングで溢れる。涼は「コスメイベントの会場で人を悪く言うのは自分の顔をゆがませる行為だからやめよう」と会場全体に呼びかけた。その後、涼の機転で来場者へメイクアップをするというコーナーを設けてイベントを何とか続行することが出来た。
イチカはキラリに対して涼に酷い仕打ちをしたのだからブスと言われて当たり前と考えたが、涼の行動を見て自身の考えを反省。また、そのようなことを考えてしまったことを、涼に打ち明け「自分を嫌いにならないで」と弱音を吐く。涼は自分のために怒ってくれたのだから嫌いにならないと笑顔で答えた。

イベント終了後、涼はなぜ自分がキラリから嫌われていたのか知りたいと思い、キラリの楽屋を訪れる。そこにキラリの妹であるアカリが登場する。アカリは幼少時代から真面目で勤勉なため、両親からの厚い信頼を寄せられていた。キラリは幼い頃から「顔だけが取り柄」と周囲に言われ続け、妹への劣等感を持っていた。そんな中、涼の真面目で勤勉なところがアカリと重なり涼を一方的に嫌っていたのだ。
アカリはキラリの行いを涼に土下座をして謝罪をする。しかし、深々と頭を下げているアカリの口元はキラリに対する優越感で笑みを浮かべていた。それを見逃さなかった涼は「アカリからの謝罪は不要なので退席してほしい」と告げる。
再び二人きりになった涼はキラリに、キラリはコスメを愛していてコスメに対していつも真剣で凛としてかっこいいこと、顔だけが取り柄ではないことを伝える。その言葉にキラリは固く閉じていた心を涼に開いて涙を流し、ふたりの間に友情が生まれた。

イチカチャンネルの事務所所属

ユーチューバーが多く在籍している芸能事務所、KAI-NOMI株式会社にスカウトされたイチカと涼。本格的に動画配信での活動が生活の中心となってきた涼だが、一緒にいる時間が長いイチカのことを何も知らないということを自覚する。またイチカも自分について詮索をしてほしくないとやんわり涼からの質問を受け流していた。
そんな中、同じ事務所に所属している人気ユーチューバーのところてんチャンネルからコラボの誘いを受ける。ところてんチャンネルはミチルとツカサの男性二人組のユーチューバーであり、女性人気が高い。チャンネル登録者は300万人を超える。イチカチャンネルとはファン層が違うことからコラボの誘いにイチカは躊躇する。
イチカはイチカの正体を知るメイクアップアーティストの来久敦(らいくあつし)のメイクスタジオを尋ねていた。ところてんチャンネルとのコラボを受けるかどうか悩んでいることを敦に相談する。敦からは、イチカチャンネルはまだ登録者数が10万人にも届いていない現状を鑑み「今までと同じことをただ繰り返すだけでは登録者数は増えない」と言われる。また黒泉堂の仕事で敦のスタジオを訪問していた多和田と鉢合わせることになったイチカだが、素の姿だったためただ目が合うだけだった。しかし、多和田はただの男子中学生のはずの三浦龍之介を見て違和感を覚える。またイチカは多和田が黒泉堂の社長の息子であることを知った。

コラボ動画のためにところてんチャンネルからプレゼンをしたいと持ち掛けられたイチカと涼はKAI-NOMIを訪れていた。そこでミチルが冗談で「付き合うなら涼の方が良い」と発言。その発言がところてんチャンネルの視聴者に聞かれておりSNSで拡散されてしまう。ところてんチャンネルは女性ファンが多いためたちまち炎上騒動となり、イチカチャンネルは誹謗中傷の的となる。炎上騒動によりところてんチャンネルからはコラボの白紙も提案されたが、黙っていても鎮静化しないだろうと考えたイチカと涼はコラボ企画を承諾することとした。
涼はところてんチャンネルが好かれる理由のリサーチを開始。誹謗中傷の内容もコラボ動画のアイディア作りのための研究材料に昇華させた。
イチカと涼のアイディアにより、コラボ動画は「ところてんチャンネルの二人に女装メイクをして街に出るとナンパされるのか」というものに決まり、ところてんチャンネルの生ライブイベントで動画を配信をした。動画終了後に、男装したイチカと涼が改めてところてんチャンネルのふたりに女装メイクをライブ上で施し、会場を沸かせた。イチカと涼の考えによりあくまでところてんチャンネルの二人を主役に置き、女性ファンからの反感を最小限に抑えるという作戦は成功。ライブイベント終了後、涼の力量に感服したミチルは改めて涼に告白をするが、涼は過去のいじめが脳裏をよぎり告白を断る。
ところてんチャンネルでのコラボ動画とライブイベントの甲斐がありイチカチャンネルの登録者数は10万人を達成した。

黒泉堂でのコラボ商品企画に向けた動画バトル

黒泉堂が主催のコラボ商品企画が開催されることになる。黒泉堂から出題されたテーマをもとにコスメ動画を撮影し、特設サイトで視聴者とメイクのプロから投票してもらう。得票数が多いチャンネルが、黒泉堂とのコラボ商品企画を獲得できるというものである。この企画には多和田の推薦によりイチカチャンネルも選出されることになるが、多和田からの推薦ということはイチカと涼には伏せられいた。
イチカチャンネルの他に黒泉堂から選出したユーチューバーは豆山明日香(まめやまあすか)、三笠聡美(みかささとみ)、瀬木花澄(せきかすみ)、桃山ちか(ももやまちか)の4人だ。イチカチャンネル以外は皆、チャンネル登録者数が100万人前後の知名度の高いユーチューバーだった。そのため、最近ようやく登録者数が10万人に届いたイチカチャンネルがなぜ選抜されたのか、黒泉堂の社内や参加者たちの間では「イチカチャンネルは新人生贄枠」という事実無根の憶測が飛び交うことになる。
参加者全員が集まる打ち合わせの場で聡美は、「新人生贄枠という盛り上げ要素が必要なほど自分たちに力量が無いということか」と黒泉堂の社員へ詰め寄る。イチカと涼は、自分たちの噂について全く把握をしていなかったので、聡美の圧に圧倒されそうになる。しかし涼は直近の動画のリピーター数の割合が今回参加するユーチューバーの中で一番高いということを説明し、自分たちにも強みがあり新人生贄枠ではないと弁明。打ち合わせは事なきを得たが、聡美からは敵対視される形となった。

企画動画の本番前に、企画のPRとして黒泉堂が経営するホテルで、ユーチューバーたちの日常風景に近いVlog撮影を行うことになる。1泊2日の動画撮影の間、ユーチューバーそれぞれが自身の特性を生かした撮影が進んでいった。撮影終了後、参加者全員で打ち上げをおこなうことで、互いにライバルではあるが同業者として自然と打ち解けていた。
1泊2日という長い時間をイチカとともに過ごした涼は、イチカのことを何も知らないという事実が寂しいことをイチカに零す。イチカも自分の素性を明かしたい気持ちがあるが、自身の夢のために今すぐ涼に伝えることができないことをもどかしく思っていた。涼に本当の自分を見せるために、いち早くチャンネル登録者数を100万人にしようと意気込みを新たにしたイチカだった。

Vlog動画が公開されると、当初予定になかった投票コンテツンが追加されていた。Vlog動画で獲得したポイントが本選動画にそのまま追加得点されるという仕組みとなっている。企画を盛り上げるために後付けで作られたルールとなっていた。このVlog動画のランキングがイチカチャンネルにとって初めての勝敗が決まる動画となる。結果は最下位に終わってしまい、涼は動揺する。「自分のアイディアのせいで動画が最下位になってしまった」とショックを受ける涼はイチカに「自分を見捨てないで」とすがりつく。イチカはそんなことで涼を手離さないから本選に向けて二人一緒に頑張ろうと励ました。

黒泉堂から提示された本選動画のテーマは「お姫様」だ。涼は普段イチカに対して自分にメイクで魔法をかけてくれる魔法使いみたいだという思いから動画作りのヒントを得る。動画の内容は、野暮ったい女の子がメイクの力でまるで魔法のようにお姫様に変身をするというコンセプトに決定した。そのコンセプトに視聴者からは「動画を見るとコスメが欲しくなる」と好感触を得る。
最終順位は2位となり、コラボ商品企画の権利は獲得出来なかった。しかし視聴者投票だけを見ると得票数が1位だったため、自分たちのコンセプトが視聴者に響いたという自信に繋がることとなった。さらにチャンネル登録者数は30万人を超えた。

事務所主催のクリスマスパーティー

KAI-NOMIが主催するクリスマスパーティーに参加すこととなったイチカと涼。事務所に所属しているタレントだけではなく、他事務所のタレントや関係者など多数参加するため、挨拶用のプレゼントをいくつか用意しておくと良いとキラリからアドバイスを受ける。そんな中、日に日に身長が伸びていることを自覚しているイチカは、自身が男性であることが周囲に知られないように今まで以上に注意をするようになる。
クリスマスパーティーにはキラリ、ところてんチャンネルの二人、黒泉堂のコラボ商品企画で一緒になった豆山、聡美、花澄、桃山も参加しており、涼は今年1年仲を深めた友人たちと楽しい時間を過ごした。ところてんチャンネルのミチルは未だに涼に対して恋愛感情を諦められずにおり、今回のクリスマスパーティーでもアプローチを掛けるが涼はそれを受け取ることを躊躇っていた。

クリスマスパーティーには多和田も参加しており、イチカ個人に二人で話がしたいと呼び出す。多和田はこれまでの違和感や、敦の事務所で遭遇した三浦龍之介を照らし合わせ、イチカが男ではないかと確認をする。イチカは何のことかわからないと白を切った。それでも確信がある多和田はイチカが困ったときに助けになると提案。多和田の真意がわからないイチカは警戒心から断る。
多和田との話を終わらせた直後、今度はキトリがイチカに接触を図ってくる。キトリの視聴者から三浦龍之介の盗撮画像がリークされ、これはイチカではないかと揺さぶりかけてきたのだ。立て続けに自分の正体を探られ動揺したイチカだが、多和田が駆け付けキトリを追い払う。
キトリが会場に潜入していることを知った涼は、被害を受けていないか心配になり、イチカの元へ向かう。涼はイチカと多和田が一緒にいるところに合流する。キトリから守られた上、涼の前ではさきほどイチカに男ではないかと問うたことは触れなかったため、多和田は本当に自分に危害を加える気がないのではないかとイチカは考え始める。

クリスマスパーティー終盤、バラマキ用に用意したプレゼントが1つ余った涼は多和田にそれを渡す。これまで自分からは多和田へ関わることを避けてきた涼だが、キトリからイチカを守ってくれたこと、以前にも黒泉堂のレセプションパーティーやキトリからの嫌がらせの時に自分を助けてくれたことの感謝を述べる。多和田はこれまで涼に対し「ブス」を罵ってきたこともあり、涼から感謝をされるとは思ってもいなかった。

知名度アップによる弊害

年末年始を迎えたイチカと涼。これまで頻繁にイチカと会っていた涼は、年末年始のたった数日間イチカに会えないだけで寂しさが込み上げ「イチカ中毒」と自嘲する。また、過去に同級生からいじめを受けてきた涼は、恋愛に対して消極的になっていた。そのため、ミチルから好意的に見られていることを自覚していたが、恋愛に発展しそうな話題になると受け流してしまっていた。

多和田はクリスマスパーティーで涼から受け取ったプレゼントへのお返しを用意する。しかしこれまで涼に対しておこなってきた誹謗中傷を考えると、直接渡す勇気が無く、多和田は御手洗を通じて涼へプレゼントを渡した。多和田の中で、涼に対して距離を取るべきだという思いから隣に立ちたいという気持ちへ変化が起きていた。

ある日イチカチャンネルの撮影部屋に見ず知らずの人物が訪ねて来た。このことからイチカと涼は撮影部屋の防犯強化を考えはじめる。さらに後を付けられる可能性があるため、涼はドラッグストアでのアルバイトも辞めることを決意した。
しかし、撮影部屋に訪れてきたのはかつての涼の同級生たちであった。いじめをしていたグループのリーダー格である大杉麻友(おおすぎまゆ)は涼がユーチューバーとして知名度が上がりはじめたため、イチカや多和田に取り入ろうとするが相手にされなかった。また多和田はイチカへ「MAYUというインフルエンサーからコンタクトをはかってきても、関わらないように」と忠告をする。
麻友とその他の同級生達は、バイト終わりの涼を待ち伏せしイチカチャンネルでコラボしようと持ち掛けるが涼はきっぱりと拒否した。激昂した麻友達は涼に掴み掛かり「ブス」を暴言を吐くが涼はそれを否定する。涼は無理やり押さえつけられた手を振り払い、麻友達の前から立ち去った。
撮影部屋に訪れた涼の様子がいつもと違うことからイチカは涼を心配する。涼は思わず涙を流すが「たまたま昔の同級生と鉢合わせして嫌なことを思い出しただけ」と全貌は伏せた。しかしイチカは多和田からの忠告を受けたMAYUに関係していると考え、涼のために多和田へ連絡を取る。

多和田と面会したイチカは何故多和田が自分に協力的なのかを聞いた。多和田と御手洗は新たに化粧品会社を設立し、イチカチャンネルの二人をイメージモデルに起用したいためと打ち明ける。しかし、多和田と涼の間にわだかまりがある以上、協力はしないとイチカは断る。イチカは「これまで多和田の身勝手で涼を傷つけ、『謝って許される資格はない』と言うのはただの自己満足に過ぎない」と多和田の事を許せなかった。イチカは一方的に面会を終わらせようとした時、多和田宛に同級生の森本(もりもと)から「麻友達が涼を呼び出し、暴力行為をでっち上げようとしているから助けて欲しい」と連絡が入る。緊急事態に多和田は急いでイチカに状況を説明し「涼へ連絡を取るよう」に頼むが、イチカも連絡が繋がらない状況だった。森本から涼を呼び出した場所を知らされたイチカ、多和田、御手洗は急いで現場へ向かう。
一方、涼は指定された公園で麻友達と相対する。そこには呼び出しの手紙が脅迫であると言うことからイチカチャンネルのマネージャー、椎名(しいな)を同伴していた。麻友達は一人で来るようにという指示を無視した涼へさらに罵声を浴びせる。

そこに駆け付けた多和田が麻友達の前で涼にこれまでの誹謗中傷に対する謝罪をする。小学生の時、涼と二人でコスメの会社を作りたいという夢を持っていた多和田。しかしいじめグループからの誹謗中傷のため涼は「自分には向いていない」と多和田を拒否するようになる。多和田は涼に裏切られたと感じそれから涼に対して酷い態度を取るようになっていたが、イチカと出会い変わっていく涼に対してまたもう一度夢を追いたいと思うようになっていた。そして涼は多和田の謝罪を受け入れたのだった。

椎名マネージャーによりいじめグループは連行され、今後イチカと涼に接近した場合は法的措置を取るという誓約書にサインを書かせた。そのことでいじめグループは亀裂が入り、グループの一人がキトリにMAYUの裏アカウントや誹謗中傷の音声データをリーク。それにより麻友は炎上することとなった。
イチカは三浦龍之介として涼のアルバイトの最終出勤日に花束をプレゼントしに行く。アルバイトの後、涼はイチカの撮影部屋へ花束を持って行く。花束をプレゼントしてくれた相手が、イチカであることに気づいていない涼は「大切なお客様からもらった」と嬉しそうに話す。その姿を見て、イチカは幸せを噛みしめるのだった。

イチカと涼の誕生日

撮影部屋の引っ越し先を探している中、2月4日にイチカ、2月5日に涼の誕生日を向かえる。涼自身は自分の誕生日に無頓着だったため、当日はいつも通り動画の撮影することしか考えていなかった。イチカは涼にも誕生日を明かしていないため仕方がないとは思っていたが、同級生から自身の誕生日を祝われたことで涼にも祝ってほしいという思いが募っていた。

あまり自分の誕生日にはしゃぎたくはなかった涼だが、ケーキくらいは食べても良いだろうと思った。こっそりケーキを買って撮影部屋に到着した涼だが、イチカからこれから買い物に行きたいと言われ、外出することになる。どこに行くのか知らされないままタクシーに長いこと乗っていたが、イチカは到着するまで目的地を教えてくれなかった。タクシーを降りると目の前にはハウススタジオがある。「買い物のために出掛けたはずなのに」と戸惑っていると、イチカが涼を連れ立って玄関を開けた。すると中からサプライズで涼の誕生日を祝うために駆け付けた面々が待っていたのだった。キラリ、ところてんチャンネルの二人、桃山、豆山、花澄、御手洗が涼のためにクラッカーを鳴らして出迎える。突然のことに困惑する涼だが、イチカが涼のために内緒で誕生日パーティーを企画していたのだ。
イチカは涼と二人きりで誕生日パーティーをしたいのかと思っていたとキラリが問うと、イチカは肯定。しかし涼が喜ぶことを考えたら、皆からお祝いされた方が嬉しいだろうと考えたイチカは、今回のパーティーを企画したのだ。

イチカは涼に誕生日プレゼントとしてバレッタを贈る。今年はサプライズでのプレゼントだが来年は涼の欲しいものを教えて欲しいと言うイチカに対し、イチカの誕生日を知りたいと遠慮がちに答える。「誕生日を教えることは出来ないが欲しいものなら言える。来年の昨日になったら一番におめでとうと言って欲しい」と回りくどい方法だが涼に誕生日を打ち明けたのだった。

イチカの秘密が危ぶまれる

イチカチャンネルの登録者数が49万人に達していた。イチカは今まで以上に自分の正体がバレないように、三浦龍之介として生活している時は目立たぬように行動していた。しかし同級生の葛西雫(かさいしずく)がたまたまメイクに興味を持っているところを、龍之介が学校で目撃してまう。葛西は「自分のキャラクターではメイクに興味があるのを周りに知られるのが恥ずかしい」と思いひた隠しにしていたが、龍之介は否定しなかったことで、こっそりと龍之介にメイクの成果を知らせるようになっていた。だが、ある日メイクに失敗した際の写真を同級生に見られて周囲からからかわれてしまう。龍之介はその様子が涼と重なり思わずフォローに入る。
葛西は龍之介に対して好意を持つようになる。龍之介も葛西からの好意に気づいてはいたが答えるつもりはなく、あえて冷たく突き放すことにした。しかし葛西はめげずに龍之介を追うようになっていく。

アジアンスイーツ博というイベントにて、イチカチャンネルとところてんチャンネルの再びのコラボが実現する。ステージ上では漢服に身を包んだ4人。イチカがところてんチャンネルの歌唱中に、二人に女装メイクを施すという内容となっていた。限られた時間内でメイクを仕上げることが出来るかという緊張感と、完成した時の達成感でショーが終わったあともしばらく高揚していたイチカは、メイクの世界で生きていくことを強く誓う。しかし、偶然イベントに来場していた葛西がイチカのショーを観覧していた。イチカのパフォーマンスに感銘を受けた葛西から、イチカは直接話しかけられてしまった。

『Get Ready?』の登場人物・キャラクター

主要人物

園村涼(そのむら すず)

メイクが好きな大学2年生。コスメのマーケティング研究をおこなうゼミに所属するほど熱意のある学生だが自分の容姿には自信がない。ある日偶然YouTubeでイチカチャンネルを発見する。イチカのメイクテクニックに感銘を受け、感想のDMを送ったことからイチカとの交流が始まる。イチカとのDMのやりとりをするうちにイチカの動画のアシスタントを務めるようになる。イチカからは涼がコスメの解説を考えるようになってから動画の登録者数が増えたと信頼を置かれている。涼もイチカのメイクテクニックを尊敬し、自分を可愛く元気にしてくれる存在として大切に思っている。
幼い頃、黒泉堂の基礎化粧品を使った母の肌荒れがたちまち良くなったことからコスメに魅了されている。偶然同級生に黒泉堂の社長の息子である多和田颯真がいたことから、一緒にコスメの会社を作りたいと夢を語っていた。しかし同級生からブスと言われことをきっかけに、自分には向いていないと思い多和田とも距離を取るようになる。さらに涼から距離を取られたことにより、涼に酷い態度を取るようになった多和田とは高校が別だったものの大学で再会することとなる。多和田は大学生活当初、涼に対して悪態をついていたが、イチカチャンネルへの出演を機に外見も内面も変化していく涼に好感を持ち、過去の振る舞いを謝罪。二人のわだかまりは解消された。

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