MAD GOD(マッドゴッド)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『MAD GOD(マッドゴッド)』とは、「特殊効果の神」と呼ばれたフィル・ティペットが監督を務め、30年の歳月をかけて完成させたストップモーション・アダルト・アニメーション・エクスペリメンタル・ホラー映画。
緻密なストップモーションアニメにCGや実写も交えた、シュールかつ悪趣味な唯一無二の世界観を実現している。
日本では2022年に公開され、上映館は少なかったもののストップモーション愛好者やフィル・ティペットのファンを中心に話題になり、注目を浴びた。

外科医がアサシンの体内深くから取り出した赤ん坊。
アルケミストに運ばれて地底世界の奥深くへ向かう。

アルケミスト/ALCHEMIST

地底世界の最奥で実験を行う、浮遊する錬金術師。ペストマスクが特徴。
看護師からミートボールを受け取り、その体から作った魔法の粉末で世界を創造する。

インプ/THE IMP

多くのペットを飼っている小人。残忍な性格で、ペットが苦しむところを見るのが大好き。
アルケミストの助手のようなことをしている。

『MAD GOD』(マッドゴッド)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

叫ぶ猿

無言で去っていくアサシンに絶望する猿。

地底世界の表層近く、アサシンが下へと降りる通路を探す途中で、行き止まりの部屋を発見する。中には手術台に拘束された猿がいて、アサシンを見て悲鳴をあげる。アサシンは部屋が行き止まりであることを確認すると、扉を閉めて立ち去ろうとする。猿は悲痛な叫び声をあげてアサシンを引き留めようとするが、無情にも扉は閉まり、猿の悲鳴は途絶える。
『MAD GOD』はまったく台詞がない映画のため、キャラクターは悲鳴や咆哮、笑い声しか発しない。その中でもこの猿の表情と叫びは、恐ろしい状況から逃れられない恐怖と悲哀がこれでもかと表現されていて、視聴者の印象に残る場面になっている。

『MAD GOD』(マッドゴッド)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

スタジオの若手スタッフが再始動させた『MAD GOD』

アサシンが生きたまま切り開かれるシーンのセットで、フィル・ティペット(中央で立っている白髪の男性)と製作スタッフの記念撮影。

「特殊効果の神」と呼ばれ、『ロボコップ』や『スター・ウォーズ』でその名を轟かせたフィル・ティペットだったが、CG技術の隆盛と共に彼の技術は過去のものになっていく。それが決定的になったのはスティーヴン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』だった。もとは恐竜の動きをティペットの主導するゴー・モーションで制作する予定だったが、ILMが試作したコンピュータグラフィックスが素晴らしかったためにティペットは降板となってしまった。ティペットは自分の技術が過去のものとなってしまったことに深く絶望し、病気で寝込んでしまうほどのダメージを受けたという。作中の「私は失業(絶滅)だ」という台詞は、ティペットがCGの恐竜を見た時に呟いた言葉から取られたものだ。
『MAD GOD』はティペットが1990年に着想した作品だったが、資金的な問題でとん挫し、人形やセットは彼のスタジオの倉庫に長い間眠っていた。あるとき、彼のスタジオの若手スタッフが倉庫から古いセットを発見し、ティペットがライフワークとして取り組んでいた『MAD GOD』の存在を知る。彼らはティペットに働きかけて、クラウドファンディングを使って資金を集めることを提案し、『MAD GOD』の再始動にこぎつけた。
『MAD GOD』が「30年かけて制作された」という売り文句はまったくの嘘ではないが、資金難でプロジェクトが停止していた期間も含めた年月なのだ。

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@shuichi

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