ブランクスペース(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブランクスペース』とは、熊倉献が2020年から『ふらっとヒーローズ』で連載をスタートした漫画。不思議な力を題材に、2人の少女の友情と成長の物語が描かれている。ある雨の日、女子高生の狛江ショーコは同級生の片桐スイが不思議な力を持っていることを知る。2人の出逢いをきっかけに、やがてひとつの街を巻き込んだ空白をめぐる物語が動き出す。宝島社の「このマンガがすごい!2022」オンナ編で第6位にランクインしている。続きが気になると話題になったSFガール・ミーツ・ガール作品。

都立空代高校に通う高校生の女子。前髪をピンで止め、後ろ髪を一つに束ねた地味な風貌をしている。非常に内気で、おとなしい性格をしているが、目に見えない物体を作り出せる不思議な能力を持つ。学校からの帰宅中に自らが作り出した見えない傘をさしている姿をショーコに見られ、自身の秘密を話した。親にも秘密にしていたことをショーコに話したことを後悔し、1度はショーコと距離を置こうとする。しかし自分に興味を抱いたショーコの本気なアプローチに負け、友達になった。
近くに大きな図書館があるという理由だけで高校を選んだほどの熱心な読書家で、暇さえあれば図書室や古本屋に足を運んでいる。文学のジャンルにも造詣が深い。本気で人を好きになった経験がなく、恋愛全般にほとんど興味がない。明るく能天気で惚れっぽいショーコとは真逆の人生を歩んできたが、それが逆に不思議なほど馬が合う結果となっている。
知識に裏打ちされたビジョンが脳内にあれば大抵のものは能力で作り出せるため、出したいものがあればその都度図書館などに足を運んで勉強していた。作り出したものはスイ自身の作った記憶が曖昧になると少しづつ消えていく。精神的に不安定になると見えない風船を作り出し、それを割ることでストレスを解消している。
夏休み明けの新学期にショーコと別のクラスになってしまい、新しいクラスメイトから陰湿ないじめを受けるようになる。そのため、すっかり心が病んでしまい、無意識に見えない鋭いナイフを作り出したり、見えない弾丸で体育館のガラスを割ったりするようになる。奇行は徐々にエスカレートしていき、凶暴な飢えたオオカミを作りつつ、自分達が通う学校の校舎に見えない巨大な斧を落とす計画を立てていた。しかしスイの様子がおかしいことに気づいたショーコにその計画がバレてしまい、ショーコが考えた彼氏を作ろうという提案を受け入れ壊滅的な計画を放棄する。その後は人体について徹底的に勉強した末、ついにテツヤという見えない彼氏を作りだすことに成功している。

スイが作り出した人物

テツヤ

姿が見えない男性の透明人間。スイが自らの特殊能力で作り出した理想の彼氏で、鉄をもじってテツヤと名付けられた。スイの話をしっかり聞き、優しくて包容力がある性格をしている。
いじめを受けて精神が不安定になったスイを心配したショーコから、「彼氏を作ればいい」という提案に乗ったスイが、試行錯誤の末に作り上げた初めての人間。人体の構造を徹底的に勉強したスイが体育の授業でインスピレーションを得た事でようやく完成した。彼氏として多くの時間をスイと過ごし他愛もない会話をし、一緒に買い物したりしているが、たまに思い出したように1人でどこかに出かけてしまう。その間にテツヤが何をしているかはスイも知らない。当初はショーコに怖がられていたが、スイを含めた3人で遊ぶ事でショーコからも徐々に信頼されるようになる。

『わが空白』関連の人物

時田(ときた)

映像関係の仕事をしている男性。メガネを掛けており柔和な雰囲気を漂わせている優男。とある古本屋で見つけた『わが空白』という不思議な私小説に魅せられ、仕事の合間に世間的には無名な作者の中道ゴロウについて調べていた。通いつめているファミレスのゴメタ珈琲店で『わが空白』の調査をしている最中に、偶然ゴロウの遠い親戚である若い店員の中道と出会い、それ以来ゴロウの過去や素性、そして『わが空白』について熱心に語り合うようになる。

中道(なかみち)

小説家志望の男性。地味な風貌をした目立たない青年で、引っ込み思案でおとなしい性格をしている。小説が大好きでファミレスゴメタ珈琲店で働きながら小説を書いている。自分と同じ小説家志望で、若くして病死した遠い親戚の中道ゴロウのことが気になっており、彼が住んでいた空代市に引っ越した過去を持つ。店に客としてやって来た時田が、偶然にゴロウの著作である『わが空白』を読んでいた事がきっかけで時田とゴロウや『わが空白』について語り合うなかになる。

中道ゴロウ(なかみち ごろう)

仕事をしながら小説家を志望している男性で、故人。小説を書き続けているが応募した賞には全て落選している。実家とは絶縁状態であり、恋人も友人もいない孤独な日々を送っていた。孤独に耐えかね、想像上の恋人のイチコと暮らしていたが、とある日にイチコが実態を持ったことに気づく。写真には残らない2人の思い出を残すため、『わが空白』とういこの世に1冊しかない私小説を上梓する。数十年前に40代で病死し、その孤独な生き様が親戚筋では悪い意味で広がっている。

イチコ

中道ゴロウの私小説『わが空白』に登場する女性。孤独に耐えかねたゴロウがの脳内で生み出した想像上の人物だが、ある日突如として実体化した。名前は苺(いちご)をもじったもの。実体はあるが姿は見える事ができず、声も聞こえない。ゴロウはイチコと喫茶店に入り3人分のコーヒーを注文して店員に怪訝な顔をされるのが日課となっていた。のちに『わが空白』に興味を抱いた時田と中道に姿見せる。

『遺失物粉砕所』の関連人物

鈴白アキラ(すずしろ あきら)

高校生の男子。黒髪で細身の体型をしている。年齢は15歳。心優しい性格で感受性豊かである。祖父が古書すずしろを経営しており、時間が空いた時に店を手伝っている。とある漫画雑誌で新人賞を獲得した読み切り作品「遺失物粉砕所」を気に入り、会ったこともない作者の今給黎モモの素性に思いを馳せていた。読書中に寝落ちしてしまう癖があり、その度に「遺失物粉砕所」の舞台である謎の砂漠でモモと会い、取り留めのない会話をする奇妙な夢を見ることになる。

今給黎モモ(いまきいれ もも)

7oamachi771
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