エリート(海外ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『エリート』とは、Netflixで配信されているスペインのTVヒューマンドラマである。エリート階級の学生達の通う高校が舞台のエロティック学園サスペンスである。エリート階級の私立高校に転校してきた、労働階級のサムエル達がある事件をきっかけに殺人事件に関与していくストーリー。サムエルの兄・ナーノが殺人犯として警察に捕まってしまい、サムエルが兄の冤罪を証明するために動き出す。本編は学園で起こる事件はもちろん、生徒達がそれぞれ性や宗教などの悩みを抱えており、多様性を尊重した物語となっている。

『エリート』の概要

『エリート』とは、スペインを舞台としたティーンドラマ・ウェブTVシリーズである。2018年10月5日からシリーズ1がNetflixで配信開始されている。その後、シーズン2が2019年9月6日に始まり、シーズン3が2020年3月13日に公開された。2021年6月18日からシーズン4、2022年4月8日にシーズン5が配信されている。2018年10月に配信開始した後2019年1月には月に2000万人以上の視聴者を達成した。スペインで莫大な人気を得て有名になった『ペーパーハウス』のキャストが複数人出演していることでも有名になった。

カルロス・モンテロとダリオ・マドロナが制作・脚本を担当し、ラモーン・サラザールとダニ・デ・ラ・オルデンが監督を担当する。ダリオ・マドロナは同じく学園サスペンスドラマの『ワン・オブ・アス:誰かが噓をついている』の製作総指揮を担当している。主人公のサムエルを演じるのは、2020年公開の『イドゥン・クロニクルズ』でJackの声を担当したイツァン・エスカミーリャである。サムエルの恋人となったマリナ役を演じたのは、2017年配信開始の『ペッパー・ハウス』でアリソン・パーカー役のマリア・ペドラザである。

労働階級のサムエル達がエリート階級の学園に転校するところからストーリーが始まる。身分の違う生徒の登場にエリート階級の生徒達は良く思わないが、その中でマリナはサムエルに優しく接してくれた。マリナと仲良くなったサムエルだったが、ある日開催されたパーティーでマリナが殺害される事件が起こる。学園サスペンスドラマであるが、登場するキャラクターがそれぞれ悩みを抱えている。宗教やLGBTQ、HIVなど現代社会でも問題視されている様々な悩みに向き合う少年少女が描かれている。

『エリート』のあらすじ・ストーリー

ラス・エンシナス高へ転校

転校してきたサムエル(写真左手前)とナディア(写真左奥)とクリスチャン(写真右)。

サムエル達は通っていた公立高校が崩落したため、建築会社の計らいでスペイン隋一のエリート私立高校へ奨学金をもらって転校することになる。転校初日から場に馴染めないサムエル達だったが、生徒の1人であるマリナがサムエルを気にかけてくれた。交流を通して徐々に仲良くなっていったサムエルとマリナ。しかし、サムエルの兄であるナーノとマリナが仲良くなる。ナーノは借金を抱えており、多額の借金を返すために金持ちであるマリナに近づいた。一方、ナディアは学校側からスカーフの着用を禁止され、悩みを抱えることになる。クリスチャンは持ち前の明るい性格でクラスのムードメーカーとして場を盛り上げていた。

マリナの兄であるグスマンはマリナにサムエルと関わるのは辞めるように話すが、マリナは人に身分を付けることが気に入らないと反発した。それが原因でグスマンはサムエルを敵対視するようになる。そんなグスマンはナディアのことをからかっているうちに彼女が気になり始める。

ナーノは一刻も早く借金を返さなければと焦っており、マリナはそんなナーノにある提案をする。それは、マリナの親友であるカーラの父親が持つ腕時計を盗むことだった。マリナの助けをかりてナーノは腕時計を手に入れることに成功する。しかし、マリナのドラッグが見つかり、さらにナーノと関係を持ったマリナの妊娠が発覚してしまう。

マリナ殺害事件

マリナと口論になり、頭に血が上ったポーロは銅像でマリナの頭を殴ってしまう。

マリナはドラッグで身体はボロボロになり、妊娠によって精神も弱っていた。ナーノはマリナと関わっていく内にマリナを愛すようになり、妊娠したマリナをこの街から逃がして2人で遠くで暮らそうと提案する。マリナは初め、「行けない」と断るも何度も頼むナーノの真剣な姿を見て一緒に街を出ることに決める。

マリナがナーノと共に街から出て行く前に学校のパーティーが開催された。パーティーの最中にマリナはナーノに連絡をする。マリナがプールサイドでナーノの迎えを待っている間に、クラスメイトでカーラの恋人であるポーロと口論になる。口論の末、ポーロは怒りを抑えられずに学園の像でマリナの頭を殴ってしまう。その場に倒れたマリナは動かなくなってしまう。ポーロは怖くなり、急いでトイレに駆け込むが、その途中でクリスチャンとカーラに遭遇する。2人はポーロのシャツについた大量の血を見て急いで着替えるように指示した。カーラとクリスチャンは誰を殺したのかポーロに問いただし、マリナと聞いて絶句する。マリナに連絡をもらい、パーティー会場に駆け付けたナーノだったが、マリナはすでに亡くなっていた。警察の取り調べを受け、決定的な証拠が出てこなかったため、犯人として有力候補だったナーノがマリナ殺人の犯人として警察に逮捕されてしまう。

サムエルの失踪

マリナが亡くなった後、学園の空気は重く、特にグスマンは妹を亡くしたショックと怒りで自暴自棄になっていた。クリスチャンは真実を知りながら、親友のサムエルに本当のことを言えず苦しんでいた。サムエルはナーノが犯人でないことを確信しており、真犯人を探すために学園内で調査を行っていた。まずはマリナに近しい存在のカーラに接近することにする。

グスマンは酒やドラッグに溺れてしまい、それを心配したナディアはグスマンを気づかうようになる。ポーロは自分が犯人でありながら、冤罪でナーノが逮捕されたことやそのせいでサムエルが周りから白い目で見られる様子を見て心が揺らぐ。とうとうポーロは親友のアンデルに本当のことを話す。アンデルは自白するようにポーロを説得したが、カーラから父親がどうにかするから黙っておくようにと言われていたポーロは迷ってしまう。アンデルはポーロから聞いた真実をグスマンに話すか迷う。そんな時、グスマンにポーロがマリナを殺したという噂を聞いたと言われ、アンデルは動揺する。グスマンの精神がボロボロな状態であったことも考えて本当のことは言わないでおくことにする。しかし、サムエルの境遇も考えて、アンデルはサムエルに協力するようになる。

カーラに近づいたサムエルはカーラが何か隠し事をしていると考える。同じく、グスマンはアンデルの態度やポーロの様子がおかしいことからも噂が本当なのかを疑うようになる。その後今度はサムエルが行方不明となってしまう。

新たな事件と真相

サムエルの失踪にはグスマンが関わっていた。グスマンの使われていない別荘に身を隠し、その間に1人行動を取るサムエル。グスマンはポーロがマリナを殺した犯人であることを信じ、サムエルの計画に協力していたのだ。サムエルの失踪により、カーラは動揺しクラスメイト総出でサムエルの行方を探すことになる。

サムエルが発見された後は普段通りの学校生活が始まるが、ポーロが犯人であることが学校中に知れ渡っていた。グスマンはサムエル達と行動するようになり、ポーロは学校で浮いた存在になってしまう。カーラに自首すると話すが共犯になることが怖いカーラは簡単に承諾しなかった。

グスマンはポーロに家に来るように誘う。ポーロはグスマンが自分のことを許してくれたのかと考えるが、家に連れてきたポーロを拘束し、ポーロが犯人であることを自首するよう脅した。一方、アンデルが白血病であることが発覚し、治療に専念していた。アンデルは同性愛者のオマール(ナディアの弟)と付き合っているが、自分の寿命が長くないと知り別れることを提案する。

卒業式を迎えたナディア達。サムエルやグスマンは進級できずにまだ学園に残ることが決まっていた。卒業式の後のパーティーにポーロが登場し、驚く一同。ポーロは自分が犯した罪を自白し、自首するつもりでやってきていた。しかしグスマンの元恋人のルーは大学の奨学金を白紙にされた件や、学園生活をめちゃくちゃにしたポーロに腹を立て、彼と口論を始める。揉み合っているうちに手に持っていたボトルの破片がポーロの胸に突き刺さってしまう。我に返ったルーは動揺したが、ポーロは胸から血を出しながらも歩き出す。そのまま、身体を支えられずにガラスに向かって倒れてしまい、2階から1階へと転倒する。急いで駆けつけたグスマンがったが、ポーロはすでに出血がひどく瀕死の状態だった。意識がはっきりしないポーロはグスマンに許しを請う。グスマンは必死にポーロに話しかけるがポーロは命を落とす。

警察が駆け付け、事情聴取が始まる。ルーが犯人だとばれてしまうとルーの大学進学は取り消されてしまう。サムエル達はポーロ殺害の犯人がルーだとばれないように作戦を練る。それぞれが証言を偽り、事件を混乱させることでルーの犯行であることがばれることはなかった。

新しい学園

学園の秩序が守られなくなったことによって新たな校長のベンジャミンが配属されることになった。校長には3人の子供がいて、彼らも学園に通うことになっていた。さらに、1国の王子・フィリップ王子が転校してくる。アリとパトリックの双子はそれぞれ学校やクラスに慣れていく。一方で、メンシアは夜な夜な外に遊びに行く生活を送っていた。そんなメンシアはクラスメイトのレべカに興味を持ち、仲良くなる。次第に2人は関係を持つようになる。

一方、サムエルは英語の討論会に出場することが決まり、アリと討論することになる。しかし、当日に兄のナーノのことを持ちかけられ、サムエルは居ても立っても居られなくなりその場から逃げ出す。グスマンはアリに好意を抱いているが、サムエルのことは友人だと話し討論でナーノの話を持ち出すのは卑怯だと告げる。

その後、グスマンと関係を持っていたアリはサムエルにも手を出し始める。サムエルとの関係がグスマンにばれてしまい、アリは選択を迫られる。アリはどちらかを選ぶことはできないと2人に話し、グスマンはそれを聞いてサムエルとの友情関係をきることを選んだ。

新年を祝うパーティーに参加した一同。サムエルはアリにグスマンが好きだと言うように話す。その頃、メンシアは夜遊びで関係を持った男・アルマンドと言い争いをする。レべカがその様子を発見し、急いで止めに入る。アリはメンシアをアルマンドから守るためにベンジャミンに電話して状況を話そうとするが、アルマンドと争いになり湖に落とされてしまう。救急車で運ばれたアリは一命を取りとめる。グスマンは自分が嫉妬に駆られて我を忘れていたことに気づき、サムエルに謝罪する。

守るべきものは家族か友人か

アンデルとグスマンが世界1周の旅に出かけた後、新たな事件が起きる。フィリップ王子がレイプしたという情報が学内に知れ渡る。それぞれが悩みを抱える中、フィリップ王子が国に帰ることになる。さらに、アルマンドが失踪したことで学園に警察がやってくる。メンシアはアルマンドに性的暴行を受けていたことを警察に告白した。

サムエルの働くバーで行われたパーティーに集まった生徒達。しかし、パーティーの最中にオマールが行方不明のアルマンドの死体を見つける。サムエルはアルマンドを殺した犯人がグスマンであることを告げ、なんとかして死体を隠そうとするが、最終的に警察に通報することになる。アルマンド殺害に生徒やベンジャミンが関わっていることがばれないようにサムエルは自分が犯人だと告白し、罪を背負うことを強いられる。メンシアはアルマンドの殺害で父親を起訴できる証拠を手に入れるが、家族を見捨てることができずに葛藤する。

一方、警察はサムエルに交換条件をする。ベンジャミンが殺人に関係している証拠をサムエルに探すよう話す。サムエルはメンシアが手に入れたSIMカードを手に入れるために話をつけて家に入れてもらい、レべカと共にSIMカードを探すことにする。レべカがカードを探している間にメンシアに見つかってしまうが、メンシアはカードをレべカに渡す。サムエルはカードを手に入れたがそれを知ったベンジャミンはサムエルの将来を約束する代わりにカードを渡すよう交換条件をを出す。しかし、サムエルはベンジャミンが自らの手で人を殺めることはできないと言い、カードを持って帰ろうとする。ベンジャミンは焦ってカードを取り返そうとしたが、その際にサムエルをプールに突き落としてしまう。カードを入れたリュックごとプールに落ち、サムエルはプールサイドに頭を強く打ち付ける。頭から血が出たサムエルは意識が朦朧としてその場に倒れてしまう。言い争いを聞いたパトリックが様子を見にやってきたが、すでにサムエルは倒れており、ベンジャミンが犯人であることはあからさまだった。しかし、ベンジャミンは救急車を呼ばないでくれと頼みだす。家族が壊れるのは嫌だと懇願するベンジャミンだったが、パトリックは救急車を呼ぶ。さらに駆け付けたアリやメンシア、オマール、レべカがサムエルを見て急いで駆けつけてくる。メンシアは警察に連絡を入れ、その間サムエルの意識をなんとか保たせるオマールとレべカだったが、サムエルは意識を失ってしまった。

『エリート』の登場人物・キャラクター

転校組

サムエル(演:イツァン・エスカミーリャ)

主人公。引っ込み思案だが、賢く他人想いな性格。ナーノという兄がいる。ストーリーが進むにつれて、勇敢な性格になっていく。マリナやナーノのために危険も顧みずに行動する心優しい人物。奨学生であるため、アルバイトをしてお金を稼いでいる。

ナディア(演:ミナ・エル・ハマニ)

sakura1986103
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