ねこ・ねこ・幻想曲(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ねこ・ねこ・幻想曲』(ねこ・ねこ・ふぁんたじあ)とは高田エミによる漫画作品。タイトルの「・」部分は、猫の足跡模様が用いられている。集英社『りぼん』で連載された。本誌での連載期間は第1部が1986年6月号〜8月号・1986年11月号〜1992年5月号、第2部が1994年3月号〜8月号となっている。単行本は全16巻。
人間に変身できる不思議な力を持つ黒猫・シロが仲間や飼い主・里子(さとこ)と過ごしていくファンタジーコメディである。

『ねこ・ねこ・幻想曲』の概要

『ねこ・ねこ・幻想曲』(ねこ・ねこ・ふぁんたじあ)とは高田エミによる漫画作品。集英社『りぼん』で連載された。タイトルの「・」の部分は猫の足跡模様が用いられている。
本誌での連載期間は、猫のシロが主人公の第1部が1986年6月号〜8月号・1986年11月号〜1992年5月号、シロの娘・ルルが主人公の第2部が1994年3月号〜8月号となっている。
また単発掲載として『りぼんオリジナル』1986年6月号、1994年夏休みおたのしみ増刊号、1995年冬休みおたのしみ増刊号への掲載がある。単行本は全16巻、文庫版が全8巻。1991年にOVA化もされている。
物語は人間に変身できる不思議な力を持つ黒猫・シロが周囲の猫たちや飼い主・樹村里子(きむら さとこ)ら人間たちと様々な出来事を通して絆を深め、成長していく笑って泣けるファンタジーコメディである。
人間に変身したシロたちが猫の本能丸出しで画面いっぱいに走り回るシーンや、猫嫌いの里子のパパが猫に飛びつかれ叫ぶシーンは笑えるポイント。また猫たちと過去の飼い主のエピソードや、シロの出生の秘密など切なく泣ける話もたくさんあり、見所はたくさんだ。

『ねこ・ねこ・幻想曲』のあらすじ・ストーリー

黒猫シロと里子の出会い

主人公の黒猫シロは、箱に入れられて川に流されていたところを高校生の樹村里子(きむら さとこ)に助けられた。里子が猫嫌いのパパを説得してシロは樹村家の一員となり、幸せに暮らしていた。
シロは人間に変身することのできる「銀のしずくの力」という不思議な力を持っていた。お月様にお願いするとシロは人間に変身することができ、大好きな里子やパパ、ママの役に立とうと奮闘するが、中身は猫のままのためいつもトラブルばかり起こしてしまう。

シロの出生の秘密

シロは仲間猫のサスケに「きみが…月の降る夜に生まれた猫?」と問われる。シロは初めて自分が特別な猫だと知り「銀のしずくの力」の由縁が知りたいと、自身が生まれた月見町のボス猫であるボス(本名:トム)に尋ねると、母猫・ルナについて教えてくれる。
ルナは元々人間に飼われていたが、飼い主が転居する際に捨てられ野良猫になっていた。その後シロを身籠るが難産となってしまう。ルナや見守る仲間たちが、産まれてくる子が幸せに生きていけるようお月様に願うと、お月様は産まれてきたシロを光で包み込み「銀のしずくの力」を与えた。ルナは最後の力を振り絞り、シロをみかん箱に入れ川へ流すと仲間に見守られながら、息を引き取るのだった。

パパの猫嫌いの理由

里子のパパは猫嫌い・猫アレルギーである。それは子供の頃の悲しい経験が原因だった。パパが子供の頃は戦時中で食べる物も満足にない時代だったが、神社で見つけた猫の親子にこっそりと自分の食事を分け与え可愛がっていた。ある日空襲警報が鳴り、パパは猫の親子を抱き抱え防空壕に逃げようとするが、子猫を落としてしまう。すると母猫はパパの手を振り解き子猫の元へ行ってしまった。追いかけようとしたパパだったが親に防空壕へ戻されてしまう。猫たちの無事を願いながら敵機が去るのを泣きながら待つパパ。しかしようやく防空壕から出ることができたパパが見たものは、変わり果てた猫の親子の姿だった。

シロと里子の絆

ある時サスケが行方不明になり、シロが探し回るも見つからない。町内の猫たちの様子もいつもと違い、シロと里子は戸惑う。町の猫たちは闇の国から来たという猫・ジェドに魔法で操られていたのだ。ジェドの目的は猫の世界を支配すること。サスケはジェドへの忠誠を拒否したため、魔法で石にされていたのだった。
更にジェドはシロの「銀のしずくの力」で変身し、人間をも支配しようとするが、「風の猫」と名乗る猫・ケンが助けに現れ2匹は戦いを始めた。
その頃、里子はシロを探しに、町のおじいさん猫・長老と共にジェドのアジトにやってきていた。人間の姿のシロは里子と合流し、捕らわれていた子猫チビとサスケを助け出す。しかしジェドの魔法がアジトの建物に当たり、建物が崩れてしまう。
里子はシロを庇い瓦礫の下敷きになった。シロは里子を助けるため里子の目の前で猫に戻る。「銀のしずくの力」は人間に知られると消えてしまうのだが、シロは大切な里子の命を守ろうとしたのだった。ルナや仲間に心の中で詫びながら急いで助けを呼びに行くが、里子は絶命。そしてジェドとの激しい戦いを制したケンも命を落としていた。
シロと集まった猫たちは、里子とケンに自分たちの命を少しずつ分けるようお月様に願う。お月様は里子とケンを生き返らせ、里子には「ムーンクリスタルのブレスレット」を与える。お月様はシロと里子の絆を認め、里子は猫たちと会話ができるようになり、シロの「銀のしずくの力」も失われることはなかった。

風の猫ケン

ジェドとの戦いの後、しばらくシロの町に滞在することにしたケン。嬉しそうに町を案内するシロの様子を見ながら、ケンは思わずシロの母猫・ルナの名前を呟く。実はケンはシロの父親だったのだ。
しかしケンは「風の猫」という闇の国と戦い続ける宿命を負っているため、シロには本当の事を明かさずにいた。真実を知ったサスケはシロに伝えようとするも、ケンの悲しそうな顔を見て言い出せずに終わってしまう。
ケンはシロと人間の姿でサーカスへ行ったりと楽しい思い出を作り、最後まで自分が父だとは明かさないまま町を去るのだった。

青いスズランと盲目の猫ミリィ

ある日、シロは猫の言葉がわかるカン吉という少年にミリィという猫の目を治してほしいと頼まれる。長老によると「青いスズラン」があれば目を治せるかもしれないという。
シロとカン吉らは早速青いスズランを探しに山へ出かけた。しかしやっとの思いで見つけた青いスズランは触れると白くなってしまい、雨が止むとたくさん咲いていたはずの花が一斉に消えてしまったのだった。
シロたちの帰りを待つ里子や長老らに、ミリィは自分を助けてくれ、愛し合っていた猫カイの話をする。そしてある時からカイはいなくなってしまったのだった。
帰ってきたシロとカン吉らに長老は「深く愛し合っている猫たちでなければ、青いスズランの力を使うことはできない」と告げる。そして「おまえさん達でちょいとその花を触ってみてごらん」と話す。雨が止む前に1輪だけ摘むことができた白いスズランにカン吉とミリィが触れると、その色は青く変化しミリィの目が見えるようになった。
実はカン吉の正体はカイだったのだ。ミリィのために食べ物を探していたカイはその途中で事故死してしまい、その魂が人間の少年に乗り移っていたのだ。そしてミリィの目が治り安心したカイの魂は空へと上って行くのだった。

運命が見える猫

里子がブレスレットを失くすことを予言する猫が現れた。その後里子は本当にブレスレットを失くしてしまうが、それを拾った転校生の少女・淳子(じゅんこ)がシロたちと交流を持ち、同級生と仲良くなることができた。
そしてブレスレットは無事に里子の元に戻ってくるが、再び予言猫が現れる。鍵しっぽのその猫はシエルという名で、過去も未来も見ることができる。
シエルは月見町の猫だったが「長老が死ぬ未来」が見えたため、ボスと共にシロたちの町にやってきたのだった。その頃、町では長老の住んでいる空き家が取り壊されることになり、人間に変身したシロらが阻止しようとしていた。
シロたちの奮闘も虚しく、空き家の取り壊しが始まる。長老はかつての飼い主だった葉子(ようこ)との思い出が詰まったその家を離れることができずにいた。そこへ降ってきた瓦礫からシエルが身を挺して長老を守る。
シエルが勇気を出したことにより、長老の死ぬ未来はなくなった。シエルも目を覚ますが、過去や未来を見ることはできなくなっていた。

シロの命を救う旅

ある日シロは大怪我をしてしまう。割れた鏡の上に転びそうになった仲間猫のララを庇ったのだ。シロは意識を失い、傷口からは光が流れ出て鏡に吸い込まれていく。シロの命は銀のしずくの力とともに吸い込まれてしまっているのだ。光が全て吸い込まれるとシロの命も失われてしまう。
お月様はシロを助けるためには、八角島(はっかくとう)にあるヒカリ池の水が必要だという。サスケとシロをめぐるライバル・セディは早速ヒカリ池に向かうが、凶暴な山猫たちに行く手を阻まれる。崖に追い詰められる2匹。そしてセディはサスケにシロ救出を託し、サスケを庇うように崖の下へ落ちていった。
サスケは1匹でなんとかヒカリ池を探し当てるが、再びそこに山猫が現れる。山猫と対峙したサスケは勇気を振り絞って撃退。シロの命が尽きる直前、池の水は無事に届けられるのだった。

シロとサスケ、新たな家族

セディも無事に島から生還した後、ボスの結婚式が行われることになった。
セディはサスケの勇気を認め、シロをサスケに任せるという。シロもサスケを意識し始めており、サスケはついにシロにプロポーズをする。シロもそれを受け入れ2匹は幸せに包まれた。
しかしサスケが家に戻ると飼い主のチヨから「引っ越すことになったのよ。サスケ」と伝えられる。それを聞いたシロは落ち込み悩む。その姿を見て里子も思い悩んでいた。
そして引越の当日。その日まで2匹は思い出をたくさん作っていたが、サスケの乗った車が去っていくのを見て、シロはたまらず叫ぶ。その姿を見た里子は「あなたはサスケの元で幸せになりなさい!」とシロをサスケの元に行かせるのだった。

そして時は流れ、ある日里子の元に1通の手紙が届く。それはチヨからだった。手紙にはシロとサスケの間に子供が生まれたので、1匹もらってくれないかという嬉しい内容だった。

『ねこ・ねこ・幻想曲』の登場人物・キャラクター

主要な猫たち

シロ

kou_ilk8
kou_ilk8
@kou_ilk8

目次 - Contents