続きが気になってたまらない!イギリスの連続ドラマ「ダウントン・アビー」

イギリスの連続テレビドラマ「ダウントン・アビー」をご存知でしょうか?20世紀初頭、イギリスの貴族の館で繰り広げられる群像劇を描いた長編ドラマです。イギリスでは2010年の放送以来、高視聴率を誇りシーズン6まで製作が決定しています。日本ではNHKでシーズン3まで放送され、2015年秋からシーズン4の放送が開始されます。「ダウントン・アビー」の見所をご紹介します。

イギリスの階級社会

「ダウントン・アビー」の面白さは、日本人にはあまりなじみがないイギリスの伝統的な階級社会を分かりやすく描いた点にあります。主人である伯爵とその家族や親戚は、豪華な衣装を着て贅沢な物を食べ領地や使用人の上に君臨しています。婦人や娘たちは一日に何回も豪奢な衣装に着替え、社交に明け暮れています。対して使用人は早朝から深夜まで働きづめ。しかし、それが当たり前で不満を唱えることなどほとんどの人が考えないような社会でした。

身分の細かさや決まりごと・タブーなどは支配者階級である主人たちよりも、召使である使用人たち同士のほうが厳しかったといえます。使用人の長である執事や女性使用人のトップである家政婦長は、ときとして主人に意見することもできました。しかしもっと身分が下になると、主人から声をかけられるまで話しかけることもできない使用人までいました。最下層の使用人は主人に姿を見られることまで禁じられ、まるで幽霊のように主人一家に隠れてコソコソと汚れ仕事に励んでいたのです。

あらすじ・ストーリー

イギリスのイングランド北東部ヨークシャーのダウントン村(モデルはオックスフォード州コッツウォルズにあるバンプトン村)にあるカントリー・ハウス「ダウントン・アビー」。その持ち主のロバート・クローリーは、グランサム伯爵でありクローリー家の当主である。彼には先代グランサム伯爵夫人である母バイオレット、アメリカの富豪の娘である妻コーラ、妻との間に生まれたメアリー、イーディス、シビルの三人の娘がいる。当時の法律では、最近縁の男系男子一人だけに爵位と財産のすべてを相続させる「限嗣相続制」が定められていたため、ロバートの後継ぎはいとこのジェームズであり、娘たちは爵位も財産も継ぐことはできない。そこで長女のメアリーはジェームズの一人息子パトリックと婚約し、財産と爵位は子孫が継ぐ予定であった。

男子しか爵位も財産も継げない

当時のイギリスの法律では、貴族は一番近い血縁の男子にしか爵位も土地も財産も譲ってはいけないことになっていました。大昔の殿様ならお妾さんにたくさん子供を産ませていたので問題なかったのでしょうが、さすがに20世紀になると貴族も跡継ぎが少なくなります。クローリー家には三人の娘しかおらず、息子はいませんでした。そこで伯爵は、親戚の息子を養子に迎えて長女・メアリーと結婚させようとしていました。ところがその親戚の息子・ジェームズが、あの有名なタイタニックの沈没事故で死んだという知らせが入ってきたのです。

クローリー家の人々と、使用人たち

相続人が死んだことで、クローリー家の莫大な財産は顔も見たこともない伯爵の遠縁の青年の物になってしまいます。彼の名前はマシュー・クローリー。中産階級の弁護士です。何とか彼に財産が渡ってしまうことを阻止しようとするクローリー家の人々。しかし法律は無常です。でも、マシューはその人柄と好青年ぶりで周囲の人から受け入れられるようになっていきます。貴族のしきたりを嫌っていたマシューもまた、周りに心を開いてゆくのでした。そして、気位が高い長女メアリーとマシューは、しだいに惹かれあってゆきます。

シーズン1ではクローリー家の後とり問題とマシュー親子の登場、マシューとメアリーの恋のゆくえが描かれます。使用人たちの間では、主人のクローリー伯爵がボーア戦争に従軍した時の従卒・ベイツが呼び寄せられ従者として取り立てられます。そのことで、使用人の間ではベイツへの攻撃が始まります。下僕のトーマスと奥方の侍女オブライエンは、執拗にベイツをいびって追い出そうとします。人間ドラマにはつきもののイジメ役にも注目です(笑)

「ダウントン・アビー」の特徴的なところは、“主人公”が存在しないことです。群像劇であることを最大限に活かし、支配階級と使用人含め登場する全てのキャラに平等にスポットがあたるように工夫されています。

クローリー伯爵の母親ヴァイオレットは、泣く子も黙るゴッドマザーです。その辛らつな物言いは周囲の人を滅多切りにし、息子である伯爵はもちろん誰も逆らえません。しかし、その心根は実は人情家。だからこそ、憎めないいいキャラになっています。

気位が高く頑固な長女メアリーと実直な青年マシューは、まさにお似合いの美男美女。しかし二人の仲には相続問題とともに、見ているこっちがハラハラするような問題がいくつも持ち上がってなかなか進展しません。

「ダウントン・アビー」の“イジメ役”名コンビ。下僕のトーマスと侍女のオブライエンは、いつも使用人たちが使っている裏のスペースでコソコソと悪巧みをしています。その策略はときとして伯爵一家を脅かすことも。

メイド長のアンナは、主人から信頼される新参の従者ベイツに心惹かれてゆきます。二人ともこのドラマの良心とも言うべき存在です。

“古きよき時代”の伝統を守る執事のカーソンは、主人であるクローリー伯爵に絶対の忠誠を近い、伯爵から絶大な信頼を寄せられています。家政婦長のヒューズさんとは、長年苦楽をともにした背中を預けあえる相棒ともいえる間柄。

豪華絢爛なファッション

「ダウントン・アビー」の人間ドラマ以外の見所は、なんといってもファッション。1914年に物語が始まったときはレースやフリルを使ったフェミニンなファッション。ですが第1次世界大戦が始まると、女性たちの服装も少し質素になります。そして狂乱の1920年代になりスカート丈が短くなるなど、細かく時代考証されたキャストの衣装を見ているだけでワクワクしてきます。

とんとん
とんとん
@tonton

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