戦争は女の顔をしていないのネタバレ解説・考察まとめ

『戦争は女の顔をしていない』とはスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチによるノンフィクション小説、またこれを原作とした漫画。第2次世界大戦の独ソ戦争に参加した従軍女性のインタビューをまとめたものである。原作は1985年発行され、2015年にノーベル文学賞を受賞。その原作を元に小梅けいとが作画を担当した漫画が、2019年から電子コミック配信サイト『ComicWalker』にて連載を開始した。

パルチザン

アントニーナ・アレクセーエヴナ・コンドラショウ

パルチザンで斥候を担当していた女性。自国のためにある任務を遂行した結果、自身の村に住めなくなったためパルチザンに入隊した。村に弟と母親が住んでいた。しかし、自身がパルチザンに入隊したことでドイツ軍がやってきて母親が連行されて拷問を受けてしまい、最終的に母親はドイツ軍により射殺されてしまった。母親の死の知らせを聞いて慌てて死んだ場所に向かった。遺体は対戦車防衛壕に埋められてしまったため、掘り起こして土塗れの遺体を水できれいにした。この時使った水の入った瓶はいまだに持ち続けているなど母親の死は心に深い傷となって残っている。パルチザンに入隊したのは自国を荒らして、村の人間に残酷な仕打ちをしたドイツ軍が憎くてたまらなかったためである。自身の村に駐屯していたドイツ軍人が子供の足を掴み、井戸に落とした光景、子供の声を忘れることができず、戦争が終わったあとも大きなトラウマとして残っている。年老いた今では死後の世界の本を読むのが好きになり、死後の世界で母親に会えることを期待している。

マリヤ・ワシーリエヴナ・パーヴロヴェツ

パルチザンで医者を務めた女性。1945年、終戦を迎えたため自身の村に帰ってきた。村で待っているはずの娘を迎えにいったが、兵隊服を着てやってきたマリヤの姿に娘が怯えてしまったことに心を痛めた。村に帰ってきたことを知った母親が畑から駆けてきたきた姿を見て、記憶よりも老け込んでしまったことに驚きながらも、キスを交わして再会を喜んだ。

『戦争は女の顔をしていない』の用語

ソ連

正式名称をソビエト社会主義共和国連邦という。略称はソビエト連邦、ソ連、CCCP(ロシア語でエスエスエスエルと読む)。1922年に複数の共和国が合併してできた連邦国家であったが、内政は中央集権的であり、1990年まで共産党による独裁国家であった。1991年に新連邦条約締結に向けて準備が進められている中で起きたクーデターが原因で共産党の権威が失墜。これにより、共産党は事実上の解散状態に追い込まれた。さらに、管理するソ連共和国がいなくなったことで各共和国の首元が権威を持ち始めて、独立を開始。バルド三国に続いてウクライナも独立したことをきっかけにソ連は崩壊していくことになる。そして、ベロヴェーシ合意にてロシア、ウクライナ、ベラルーシが連邦を独立して、独立国家共同体(CIS)を新たに設立したことで、1991年12月26日ソ連は崩壊した。

独ソ戦争

独ソ戦、または東部戦線とも呼ばれるソ連VSナチス・ドイツを主軸にした枢軸の戦争のこと。第二次世界大戦中の1941年から1945年の4年間に繰り広げられた。大戦がはじまったときはソ連とドイツは共にポーランドを占領下においていたが、ドイツがソ連に侵入したことで開戦した。当時のソ連はこの戦争のことを大祖国戦争と呼んだ。一時ソ連はモスクワまでドイツの進行を許したものの、西側連合国と組むことでドイツに勝利した。本作に出てくる女性たちが戦った戦争である。

共産青年同盟

共産青年同盟(コムソモール)とは、マルクス・レーニン主義党、または共産党による青年組織のことをいう。共産党に協力するボランティア組織で、15歳から35歳の人たちで構成されており、主な活動は汚職の告発または密告者を育てることであった。また、党の路線の学習、学園や労働組合青年部で党の路線の宣伝、共産党少年団の指導などもおこなっていた。数多の人たちを告発して強制収容所送りにしていた。当時の青年たちにとって共産青年同盟の仕事は祖国に役立てる素晴らしい仕事であり、共産主義革命への忠誠心をなにより優先しており、家族などへの情は二の次の扱いであった。ソ連の解体後、ロシア連邦共産党の指導下に入り、名前を変えて活動が続いている。

パルチザン

戦争時などに抵抗運動をすることを指す。第2次世界大戦時のソ連で活動していたパルチザンは赤軍パルチザンまたはソビエトパルチザンと呼ばれた。赤軍パルチザンはソ連政府からの指示を受けて、ドイツ軍の後方支援、輸送機関の破壊を最大の目的として活動していた。所属していたのは共産党員、共産主義青年同盟、ソビエト活動家などであった。

共産党

ソビエト連邦共産党とは、ソ連を支配していた政党である。影響力が強く国際共産主義運動を指導し、政治行動に深く関わった。独ソ戦争においては連合国からの歓心を得るために共産主義インターナショナルを解体して世界革命を拒否するなどをした。また、共産党は独自の軍隊を所有しており、独ソ戦争にも参戦している。共産党員の主な任務として、物質的・技術的基礎の創出のために戦うことがあげられる。共産党員に入るためには共産青年同盟員3名からの推薦が必要と党費が必須である。共産党員になると特級階級を獲得して、生活や教育などあらゆる面で優遇された。

『戦争は女の顔をしていない』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

エフローシニヤ「あたしは夫を葬るんじゃありません。恋を葬るんです」

共に戦争に参加していたエフローシニヤの夫が撃ち込まれた砲弾の破片で死亡してしまい、遺体を祖国で埋葬するために上官を説得しするときにエフローシニヤが「あたしは夫を葬るんありません。恋を葬るんです」と言った。本来、戦時中に敵国で死亡した場合は遺体は、その場で合同埋葬される決まりがあった。エフローシニヤの夫も例にもれず、合同埋葬の予定であったが、祖国ベラルーシに帰したい気持が強かったためエフローシニヤは上官たちの説得に奔走した。エフローシニヤは夫を失って狂った女性だと思われながらも、ついに前線の総指揮官と話す機会を手に入れた。そして、総指揮官に自身たちには子供がいないこと、家も写真もないこと、夫を祖国に埋葬すれば戦争が終わった際に自身が帰る場所になることを訴えて、無事に夫の遺体を祖国に連れ帰ることができた。

ローラ「戦争で一番恐ろしかったことは…男物のパンツを穿いていることだよ」

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