【都市伝説】山にまつわる不思議な話まとめ!猟師・マタギから聞いた逸話を紹介
日本の猟師・マタギに伝わる話や、山にまつわる都市伝説をまとめました。山で行方不明になった後、そのまま自然の中に溶け込み暮らす「山人」の伝説や、山中を歩いていると、人が住めないような場所に突然家が現れる「迷い家」など、不思議な話を紹介していきます。
・山刀
出典: www.odclub.net
ガキの頃、よく山の爺ちゃん家に泊まってた。
遊び疲れて夜寝てたら、弟がドタバタと泣きながら戻ってきた。なんでもウンコしてたら外から気味の悪い声がしたとか。
俺はその話を聞いて弟をバカにしつつも、実はガクブルで弟にくっついて寝た。
朝起きたら爺ちゃんがなんかボヤいてる。気になって見てみたら、何かを新聞紙に広げて首を傾げていた。自分もすぐにおかしいと気付いた。
いつも納屋に掛けてある爺ちゃんの大事な山刀がボロボロに錆びていた。
とても古いやつで日本刀を改造して(昔は普通だったらしい)拵えたやつだと聞いていた。
『一晩の内にこんな錆びるなんてありえへん。どないなっとるんや。』
そう爺ちゃんは呟いた。俺はふと昨日の弟の話を思い出し、話してみた。
『ほう、こいつがユーレイと戦って追い払ったんちゃうか。ガハハ』
そう言って爺ちゃんは山刀をポンポン叩いた。
ちなみにそいつは今も捨てられずに取ってある。
・あっちの方を食うとしようか
出典: ryousen.main.jp
田舎で聞いた話です。
田舎で聞いた話。老人から聞いた話なので昭和初期か
大正頃の話だと思います。
ある猟師が山で獲物を追っていました。
足跡や通った跡から考えると、かなり大きな熊のようです。
当時、熊の胆は漢方薬として高値で取引されていたので
その猟師は「これは良い儲けになる。」と思い、広い山の中を
二日間も獲物を追っていました。
二日目の夜、獣が警戒するので焚き火も出来ず、茂みの中に身を
隠して手持ちの食料で夕食を済ませましたが、一向に空腹が収まりません。
空腹と、いつまで経っても姿を現さない獲物に対する苛立ちで、その場に
ゴロンとなり「あ~あ、干し肉ちょっとじゃ腹の足しにもならん。」
とつぶやくと、どこからか声がしました。
「うん、確かに。ワシもお前だけじゃあ腹の足しにならん。あっちの方を
食うとしようか。」
と、山のどこからか野太いような地響きのような声がしたそうです。
猟師はそのまま恐怖で固まってしまい、翌朝、日が昇るまで動けなかった
そうです。
日が昇り、あたりが明るくなったころ、猟師は帰ろうと来た道を戻っている と、茂みに熊がいました。「もしや、俺の追っていた熊か?」と思い、銃を構えましたが、その熊は動きもせず、なんとも様子が変だったので、石を当てると、倒れてしまいました。
「死んでいたのか?」と近寄ってみると 、
中身が無くなって、皮だけになった熊の死骸だったそうです。
猟師は昨日の声を思い出し、大急ぎで逃げ帰ったそうです。
・狐の頼み
知り合いに趣味で狩りをしている方がいまして
その方から聞いた山での不思議なおはなしをかきます。
少し地味です。
彼は趣味といえど狩歴20年のベテランで主に道東(北海道の東のほう)をホームグランドに鹿狩りを行っており、狩猟期間が解禁になると毎週のように山に分け入る生活をしています。
ある秋のに体験したおはなしになります。
早朝から山に入り慣れた森林に踏み入りました。
散弾銃と鉈と少しの食料と秋といえど北海道は寒いので防寒対策は怠らず、2日前より風呂に入らない。
これは、げんかつぎと石鹸臭さは野生動物に臭いで感づかれないためらしい。
足跡などの痕跡を見逃さぬようそしてなるべく音をたてないよう、慎重かつ大胆に一時間に2km歩く速度で移動します。
痕跡はみつかるが古いものばかりでそうこうするうちに昼近くになるころに足跡とは違う痕跡を見つけました。
獣臭がする。
間違いなくヒグマの臭いです。
やばい。
彼に言わせればヒグマは特に珍しいものではないのですが秋口と春先のヒグマは冬眠前後は凶暴になる可能性が高いので困るらしい。
ほどなくして獣臭のもとを見つけました。
木の袂に土を掘った形跡がありキツネが中途半端に埋められていました。
木には爪を研いだあととヒグマの体毛と糞尿らしき形跡。
マーキングです。
これは警告です。
ここはおれさまのもので近づくことまかりならんということだそうです。
そしてまずいという理由がもうひとつありました。
彼はヒグマに対抗する手段をもっていません。
散弾銃は持っているが弾は四発だけです。
重くなるのを嫌い最小限の装備でさらに鹿用の散弾しか所持してません。
ヒグマのぶ厚い皮膚と筋肉を貫通し致命傷を負わせるには心もとない。
彼はあきらめて帰ることにしました。
ほどなく帰り道で正午をむかえました。
昼食のため彼は適当な場所をさがすと座れそうな倒木をみつけました。
ここで座って食事となりました。
リュックからパンと麦茶をとりだします。
もぐもぐごくりとやっていたところ突然あしもとに気配を感じました。
みると子ギツネが二匹靴にじゃれついていました。
どうやら倒木の根元に巣穴があるらしくそこから出てきたようだ。
まだ産まれてまもないのだろうか、ころころのもはもはである。
パンをひとつまみして子ギツネにあたえてみるとひと嗅ぎしてむさぼる。
サバ缶も開けてあたえてみるとなかなかの食いつきであった。
そのとき横目に映った。
しまった油断しすぎた。
約5m先のやぶからヒグマが現れた。
風下から接近されたので臭いで気づくことができなかった。
しかも成獣だ。
銃は手元にはない。
一足等の距離にあるが動けない。
いや、動いてはいけないのである。
急激な動作はヒグマを刺激する。
この距離で飛びかかってきたら銃を手にした時にはズタズタにされる。
それ以前に弾がこめられていない。
左胸ポケットに四発おさまっている。
まず目が離せない。
ヒグマもこちらに目を合わせいる。
子ギツネがキューと鳴く。
まずい(冷や汗)
そのときいきなり背後に気配を感じた。
なんだこの気配は?
今まで感じたことのない寒気がはしる。
背後を見たい衝動にかられたとき
「動かないで」
女性の声がした。
心臓がくちからとびだすかと思うぐらい驚いた。
そのときヒグマが立ち上がった。
体長2.5mはあろうか。
威嚇している。
鼻からブフーッと息をもらし興奮しているようだ。
背後の気配がいきりたつ。
周囲の気温がいっきに下がったように感じた。
ヒグマが四つ足をつき目を離した。
おびえている。
子ギツネがキューと鳴いた。
ヒグマは回れ右で再びやぶの中に消えていった。
しかし彼はまだ動けない。
背後の気配がまだ消えない。
「たのみます」
また女性の声がした。
同時に気配も消えました。
子ギツネが靴ひもにじゃれついている。
彼はその場にへたりこみました。
彼は混乱する頭をかかえそして空気的に二匹の子ギツネをかかえて下山。
帰りのクルマのなかで子ギツネが癒やします。
二匹は養うことに決めました。
そうしなければならないと感じたそうです。
そんな彼ですが定職はありません。
この事件のあとパチプロとして生計をたてています(現在も)
不思議とギャンブル運に恵まれるようになり、バカ勝ちしないが1日の儲けは地味ながら五千円~一万円でその事件以降はパチンコで負けたことはないそうです。
おれも二匹のキツネには会わせてもらいました。
同居して五年くらいになるそうです。
キツネなのにかなりデブちんで人なつっこいやつらでした。
・ヨウコウ
出典: pds.exblog.jp
俺の爺ちゃんは猟師なんだけど、昔その爺ちゃんに付いて行って体験した実話。
田舎の爺ちゃんの所に遊びに行くと、爺ちゃんは必ず俺を猟に連れて行ってくれた。
本命は猪なんだけど、タヌキや鳥も撃ってた。
その日も爺ちゃんは鉄砲を肩に背負って、俺と山道を歩きながら、
「今日はうんまいボタン鍋くわしちゃるからの!」
と言っていた(実際撃ったばかりの猪は食わないが)。
そのうち、何か動物がいるような物音がした。ガサガサって感じで。
俺は危ないからすぐ爺ちゃんの後ろに隠れるように言われて、すぐ爺ちゃんの後ろに回って見てたんだけど、爺ちゃんは一向に撃つ気配がない。
いつもなら俺を放っておくくらいの勢いで
「待てー!」
と行ってしまうのだが、鉄砲を中途半端に構えて固まってしまっている。
俺はその頃は背が低くて茂みの向こうにいる動物であろうものはよく見えなかった。
俺は気になって爺ちゃんに
「何?猪?タヌキ?」
って聞いた。
しかし、爺ちゃんはしばらく黙っていて、茂みの向こうをじっ…と見ていた。
「あれは…」
と爺ちゃんが口を開いた瞬間、急に茂みがガサガサと音を立てた。
「やめれ!」
と言い放ち、爺ちゃんはその茂みに一回発砲した。
そして俺を抱えて猛ダッシュで逃げ出した。
※
俺は何がなんだか分からず、ひたすら怖くて今にも泣きそうになっていたが、爺ちゃんが撃ったのは何なのか気になり後ろを振り返った。
すると、遠目に毛のない赤い猿のような動物がこちらに向かって走っている。
爺ちゃんは俺を抱えて走りながらも鉄砲に必死で弾を込めていた。
弾を込め終わると爺ちゃんは俺を抱えたまま振り向きざまに発砲した。
すぐ隣で発砲されたので、俺は耳が「キーン」ってなって、色んな音が遠く聞こえた。
爺ちゃんは走りながらまた新しい弾を込めている。俺は怖くてもう振り返ることはできなかった。
後ろで
「ケタタタタ!ケタタタタタタ!」
というその動物の鳴き声らしい声が聞こえ、爺ちゃんが小声で
「助けてくれ…助けてくれ…この子だけでも…」
と呟いていた。
山を降り切っても爺ちゃんは止まらなかった。俺を抱えてひたすら家まで走った。
家に着くなり、爺ちゃんは婆ちゃんに
「ヨウコウじゃ!!」
と叫んだ。
婆ちゃんは真っ青な顔で台所に飛んで行き、塩と酒を持って来て、俺と爺ちゃんにまるで力士が塩を撒くように塩をかけ、優勝した球団がビールかけをやっているみたいに酒を頭から浴びせた。
その後、それについて爺ちゃんも婆ちゃんも何も話してくれなかった。
間もなくして爺ちゃんは亡くなってしまい、その時婆ちゃんが俺に「ヨウコウ」について話してくれた。
「○○ちゃんが見たのはのー、あれはいわば山の神さんなんよ。
わしらにとってええ神さんじゃないがの。爺ちゃんはあんたのかわりに死んだんじゃ。
お前は頼むから幸せに生きておくれよ」
爺ちゃんが死んでから、婆ちゃんも後を追うように亡くなってしまい、俺は20代後半でピンピンしている。
俺が見たのは、村で言い伝えられる妖怪の類だったのかもしれないけど、今でも親戚の人にこの話をするとしかめっ面をされる。
福井県の某村の話。
・鉛球
知り合いの話。
猟師を長く務めていた彼の曾祖父、その葬儀でのこと。
火葬場で納骨する際、お骨と遺灰に混じって、何やら丸い小さな粒が沢山見つかった。
金属の玉みたいだが、数十個にものぼるその正体が、家族の誰にも見当が付かない。
かつての猟仲間だった老人がポツリと言った。
「鉛玉だな。昔は皆、こういうのを自分で作って使ってたモンだ。
まぁ、このお人は特に業が深かったからなぁ」
曾祖父は腕が良く、他の猟師が呆れる程、沢山の動物を殺めてきたらしい。
遺族は鉛玉を骨壺には納めず、別口で供養してから山に埋めたのだそうだ。
・夜の山を巡回し続けるもののけ
もののけの話
大昔、曾爺さんが猟師をしてた時に体験したという話 。
年上の猟師、若い猟師、曾爺さんの3人で山に入った。
しかし獲物が全く捕れないまま迷ってしまい、しかも若い猟師が足を怪我してしまった。
仕方なく野宿をする事にした。たき火とか猟師メシとかそんな物は無く、ただ横になって朝を待つだけだったらしい。
空腹に眠れず、ゴソゴソと寝返りを打ってると、落ち葉が風に舞うような、しゃらしゃらと音がする。でも風など吹いていない。
奇妙に思い、耳を澄ませていると、その音は近づいてくるようだ。
真っ暗闇の中、年上の猟師を手探りで探し、起こそうと揺すってみると、彼も目を覚ましており、
「音の事だろ、ワシもさっきから聞こえてる。今は詳しい事は言えない。ただな、いいか、絶対に目を開けるなよ」
音はどんどん近づいて来る。
曾爺さんは怖くて怖くて、歯を食いしばりながら恐怖に耐えてた。
ふと音が止まった。その何かは去ってしまったのかと、片目だけ薄く開けてみた、すると…
闇の中に、さらに濃い雲のような闇の塊があり、それには対ではない巨大な人間の目が何十個も付いていて、一つ一つがキョロキョロと眼球を動かしていた。
そして一瞬の後、全ての目が曾爺さんを見た。虚ろな視線で。
曾爺さんは悲鳴を上げる事なく気を失い、その「闇の目」を見た片目の視力も失ったらしい。
年上の猟師曰く、「人が居てはいけない夜の山を巡回し続けるもののけ」らしい
・サカブ
秋田のマタギたちの間に伝わる話に「サカブ」というのがある。
サカブとは要するに“叫ぶ”の方言であるが、マタギたちがいう「サカブ」とは
山の神の呼び声を指すという 。
山の神は時たま、その神力を持ってマタギたちに「サカブ」ことがあるという 。
秋田県は北秋田市に住む山田岩蔵という老マタギの表現によると、山の神の声は
「細く堅い声で、遠い遠い処で響く鉦の音に」似るという。岩蔵マタギは人生で二回、
この山の神の声を聞いたそうで、頭を強打して気が遠くなった時のような、耳鳴りのような、
どちらかといえば振動、あるいはテレパシーのようなものであったそうである 。
山の神の「サカブ」はだいたい吉祥であり、しかも集団で狩りをしていても全員には聞こえず、
その狩猟組の頭領(スカリ)か、もしくは一、二を争って腕の立つ者にしか聞こえない 。
東方より聞こえる「サカブ」が最も良く、その方向に進むと必ず獲物を授かったという 。
あるとき、大平山奥地のイグス森という場所で、あるマタギがこの「サカブ」を聞いたという .
それから「サカブ」の示した方角に二里余り進むと、果たしてそこには今までに見たことがないような巨熊が居り、 捕らえてみると七尺五寸を超える、ツキノワグマとしては規格外の大物であったという。
また不思議なことに、この「サカブ」はマタギだけでなく、留守を待つ村の者たちにも時折聞こえる 。
そんなときは必ず猟の成果があった時であるので、そんなときはいち早くマタギ衆を迎える準備をするという 。
山峡の人々に聞こえる不思議な神の声の話