ただ離婚してないだけ(漫画・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ただ離婚してないだけ』は本田優貴が手掛けた日本のサスペンス漫画。『ヤングアニマル嵐』と『ヤングアニマル』で連載された。2021年、Kis-My-Ft2の北山宏光が主演のドラマがテレビで放送された。家庭内別居の状態が続いていた一組の夫婦は、互いの関係改善を図ろうとしていた中、夫の不倫相手が家に押し掛け刃物を振り回す。必死に抵抗した夫婦はこの女性を殺してしまう。遺体を自宅敷地に埋めることを決めた夫婦。殺人を隠しながらの生活が始まった。

『ただ離婚してないだけ』の概要

『ただ離婚してないだけ』とは本田優貴が手掛けた日本のサスペンス漫画。『ヤングアニマル嵐』と『ヤングアニマル』連載された。2021年7月からKis-My-Ft2の北山宏光が主演を務めるドラマがテレビで放送された。ヤングアニマルを出版する白泉社による2020年度白泉社電子書籍大賞で優秀賞を受賞している。ストーリーは計4巻で完結するが、電子版限定で別のストーリーが描かれた5巻が配信されている。

結婚から7年目、柿野正隆(かきのまさたか)と妻の雪映(ゆきえ)の関係は冷え切っていた。一つ屋根の下で暮らしているが会話はない。不妊治療が上手くいかず2人の間に子供ができなかったためだ。そうした中、正隆は新聞の配達員の夏川萌(なつかわもえ)と不倫関係に落ちる。デザイナーの仕事をしていた正隆は在宅で仕事をしており、教師の雪映がいない間に自宅に萌を呼び逢瀬を重ねていた。雪映は正隆の愚行に気付いてた。一方、正隆も不倫がバレているであろうと感じていた。しかし、仮面夫婦の2人は互いに深入りをしないように決めていた。ある日、正隆は萌から「妊娠した」と告げられた。家庭から抜け出す決心ができなかった正隆は、萌に堕胎するよう願い出る。

同じころ、雪映は抑えていた気持ちが爆発させる。正隆に不倫などへの怒りをぶつけた。正隆はこれをきっかけに雪映とふたたび向き合うことを心に決めて、萌との関係を解消した。その後、正隆と雪映の間に待望の妊娠が分かる。幸せな生活を送ろうとしていた2人だったが運命はそう甘くなかった。一方的に関係を切られた萌は精神状態が不安定となり、正隆の家に押し掛けるようになる。そして、ある夜に刃物を持って2人の前に現れた萌は、雪映の膨らんだ腹を見て激高し襲い掛かる。無我夢中で抵抗した2人は、近くにあった電気コードで首を絞める。まもなくして雪映は動かなくなった。警察に電話しようとした正隆に対して雪映がそれを止める。「お腹の子供を殺人犯の子供にしたくない」と言うのだ。考えた末に2人は萌の遺体を自宅の敷地内に埋めることを決める。殺人事件を隠しながらの2人の生活が始まるのであった。

『ただ離婚してないだけ』のあらすじ・ストーリー

仮面夫婦の日常

柿野正隆(かきのまさたか)と妻の雪映(ゆきえ)は結婚してから7年を迎えた。テーブルに並べられた料理を黙々と食べる2人。会話のない毎日が続いていた。正隆はフリーのWEBデザイナー、雪映は高校教師だ。一つ屋根の下で暮らしているどこにでもいそうな夫婦だが、ただ離婚していないだけの家庭内別居の状態だった。正隆は、割り切った関係を続ければいいと考えていた。そうした関係でもストレスを感じていた正隆は、新聞販売をしていた17歳の女の子と不倫していた。妻が学校に出かけたあと、家に呼び込み何度も身体の関係をもつ。女の子の名前は夏川萌(なつかわもえ)。正隆は、ストレスを発散するためだけの関係と考えていたが、萌はひそかに正隆に好意を抱ていた。

ある夜の食卓、珍しく雪映が口を開いた。「新聞の女の子、可愛いよね。どこで何しようと自由だけど迷惑はかけないでね」と言う。正隆はバレているのではと心の中で焦っていた。しかし、互いに干渉しないという夫婦の関係だ。正隆は、やけくそになって萌に「箱根旅行に行こう」と誘うのであった。楽しそうにはしゃぐ萌と正隆は非日常を楽しんでいた。宿泊施設の内風呂でくつろぐ2人は身を寄せ合う。何気ない会話をしていたなか、萌は「できちゃったかも赤ちゃん」と驚きの事実を打ち明ける。正隆は突然のカミングアウトに言葉を失った。

旅行から戻った正隆の自宅に1通の明細書が届いた。箱根旅行の費用を支払ったクレジットカードの明細だった。雪映には出張と告げていた。2人分の宿泊費が引き落とされているということを問い詰める雪映に対して、しどろもどろになる正隆だった。2人の関係がさらに冷え込んだ瞬間だった。一方の萌は正隆の関係を続けたいため、子供をおろすことを決める。しかし、17歳の未成年のために費用は堕胎費用は正隆がもつことになった。萌は堕胎の手術を受けた。手術は無事に終えたが萌は「私が産むって言ったらどうしていた」と考えるなど、この頃から精神状態は不安定となっていった。正隆は20万円という大金を支払うことで、これまで通り都合の良い関係を続けられると考えていた。

手術を終えた萌と別れて自宅に戻った正隆は、真っ暗闇の中で部屋に座り込む雪映の姿を見て驚く。家は掃除もされず散らかり放題の状態。「また家の預金からお金を引き出してどういうつもり」と雪映が正隆に聞く。これまで干渉してこなかった雪映の口調を不思議に思いながら正隆は家の電気を付けた。雪映は泣いていた。「幸せにするって言ったのに」。正隆はこの時、プロポーズしたときのことを思い出した。正隆と雪映は結婚時の仲は良好だった。しかし、子どもができにくいことを知る。不妊治療を進めたが子どもができなかった。これがきっかけとなり関係が悪くなったのだ。想像していなかった雪映の涙を見て、正隆は雪映の腕を引っ張り抱きしめた。元の仲の良い関係に戻ろうと心に誓うのであった。

正隆は、萌との関係を解消することを決め、「妻にバレた。さようなら」とメッセージを送る。正隆は少しずつ雪映との関係を修復するために積極的に話しかけたり、家事を手伝ったりする。3か月後、これまでできなかった雪映との間に妊娠が発覚する。2人は涙を流しながら喜んだ。

始まった殺人共同生活

初めての妊娠が分かり、幸せな夫婦生活を送っていた2人だったが、このころから自宅に無言電話がかかってくるようになった。ある日には、マイカーのワーゲンのボンネットが傷だらけになっていた。正隆は「萌の仕業ではないのか」と嫌な予感がしていた。正隆は、妻の雪映に萌を妊娠させたことや中絶させたことを打ち明ける。同じタイミングで自宅の電話が鳴り響いた。子機を取る正隆は、無言電話の相手に「話しがしたいんやけど」と語り掛けた。しかし、電話先の相手は萌ではなく、「萌と付き合ってる者だけど」という男の声だった。

正隆は言葉を失う。さらに、タイミングよく自宅のインターホンが鳴った。モニターには萌の姿が映っていた。「正隆さんと不倫交際していた夏川萌でーす。奥さん知っていますかー?」。何度もインターホンを鳴らした。正隆は男との電話を切り、玄関に向かおうとする。ドンと扉をたたく大きな音がした。正隆は恐怖を感じながら扉を開けた。その瞬間、萌が正隆の胸に飛び込んできた。やつれた顔の萌がいた。雪映の膨らんだお腹を見て錯乱状態に陥った萌が隠し持っていた包丁を取り出し、正隆の手のひらを刺す。「その女にも同じ気持ち味あわせてやるから」と包丁を構えながら、雪映に突進する。逃げて警察を呼ぶように指示する正隆だったが、萌は勢いよく室内に入り込み雪映を追いかけまわす。ナイフで怪我を負わされた正隆だったが、暴れる萌をなんとか静止しようと無我夢中で近くに合ったコードを引っ張る。そのコードは萌の首にかかっていた。雪映も必死に反対側のコードを引っ張る。足をばたつかせる萌は間もなくして動かなくなった。

目を見開く萌を見て、正隆は錯乱状態に陥った。叫ぶ正隆に対して、「少し黙って」と制する雪映。自宅の電話が鳴る。「急に切るなんてヒデーじゃねーか」と電話口からは男の声が聞こえた。萌の彼氏を名乗る佐野からの電話だった。雪映は両手で顔を覆い、じっと死体を見つめた。そして、無言で萌の身体を触り始め、服のポケットから萌のスマートフォンを取り出した。正隆は涙を流しながら自分の携帯を取り出し110番を押した。「はい、こちら警察です」という声が聞こえた瞬間、雪映は正隆の通話を止めた。「お腹の子の未来を優先したい。殺人犯の子どもにしたくない」と訴えた。正隆は間違い電話だったと伝えて、通話を終了した。2人は自宅軒先の土を掘り、萌を埋めた。人殺し生活1日目が始まった。正隆は「ごめんなさい」と何度も心の中でつぶやいた。

翌日、正隆と雪映は自宅で夕食を共にした。テーブルにはうどんや卵焼きが並ぶ。「ケガは大丈夫?」との雪映に対し、正隆は「夫婦喧嘩で刺されました」と言う。「えー最低―」と何もなかったかのような会話が続けられた。あまり感情を表に出さない雪映に対し、正隆は大きな不安に襲われていた。「捜索願が出ているのか」「彼氏ってどんなやつなんや」「これからどうなるんやろ」など正隆は、ベッドの上で眠れないでいた。その時、自宅の電話が鳴る。佐野だった。「500万円の慰謝料を払え」と佐野が言う。正隆は怖くなり電話を一方的に切った。

不安と希望が入り混じる日々

「神様…どうかお願いです…この先…何もなく…平穏に過ごせますように…」。正隆は心で強く願った。雪映も妊娠初期の辛さに加えて、心の状態が不安定になり実家に帰ると正隆に告げる。自宅で1人過ごす正隆は萌のスマートフォンの電源を入れた。4ケタのパスワードを求める画面が表示される。考えた末に「0828」という数字を打ち込んだ。正隆と萌が初めて身体の関係を持った日が設定されていた。正隆がLINEのアプリを開くと、佐野の名前があった。「生きている証拠になる」と考えてメッセージを送る。「仕事も無断で休んじゃって。会って話がしたい」と打ち込むと、佐野からの折り返しの電話がすぐにかかってきた。殺人してから5日目のことだった。

正隆は、佐野が指定してきたガールズバーに訪れた。萌が働いている店だった。正隆が入店してから間もなくして佐野がやってくる。そして、女性スタッフから連絡先の交換を求められた際、スタッフが「お客さん、かきのって言うんだ」と口にした。佐野はその言葉を聞き店を出た。萌の相手の男だと気づいたからだった。正隆は慌てて店を出ると、佐野が待ち伏せしていた。その時に正隆の電話に雪映の実家から電話がかかってきた。「雪映が飛び降りた」と義母から衝撃の事実を明かされた。佐野に捕まれていた正隆は無我夢中で振り払い雪映のもとに向かった。

一命を取り留めた雪映の姿を確認した正隆は、この日は帰路についた。しかし、このとき萌の携帯電話をなくしたことに気づく。佐野から逃げる時に落としていたのだ。タクシーが自宅に着く。佐野が待ち伏せしていた。「家に入るぞ」という佐野。正隆は佐野を自宅に入れた。無言で2階に上がろうとする正隆に対して、佐野は「まさかとは思うが、殺したんじゃないよな」と肩をつかんだ。その言葉にパニックに陥った正隆は、佐野の手を振り払った。そして階段から突き落とした。頭を打った佐野は動かなくなった。無事に退院することになった雪映が自宅に戻った。ドンドンと2階から音がするのに気づいた雪映。正隆の制止を聞かずに2階の部屋を開けた。頭に紙袋をかぶせられ、四肢を拘束された男の姿が目に入った。佐野だった。

自分が入院している間に佐野を監禁するという「トラブル」を起こしていた正隆に怒りをぶつける雪映は、息を吐いて気持ちを落ち着かせた。決してバレてはいけないはずの殺人が佐野という第三者に知られたことを冷静に分析。自宅で監禁続けることを決める。そして、雪映は「これからは些細なきっかけから命取りになるかもしれないので、今日みたいなことは二度としないように」と正隆に釘を刺した。そこから、雪映は佐野の監禁を徹底して行うことになる。「早く出せ」と騒ぐ佐野に対して、雪映は傘の柄の部分で足を殴打した。悶絶する佐野。正隆もまさかの行動に言葉を失った。雪映は正隆を一瞥して、「分かった?しつけの仕方」と淡々とした口調で伝えた。佐野にオムツを穿かせたうえで、足枷をつけての監禁が完了した。場所は2人の自宅2階1室だ。正隆と雪映の「殺人共同生活」は9日目を迎えていた。すると、2人は殺人事件や監禁は起きていなかったかのようにふるまい始めていた。

夕方、学校の勤務を終えた雪映から正隆に電話がかかってきた。「買い物するけど何がいい」と言う雪映に対して、「肉がいい、肉」と答える正隆だった。2階に佐野を監禁していたが、いつも通りの日常が送られていたのだ。

本当の幸せ

ベランダで服を干していた雪映の頬にハエが止まった。ふと下を見るとたくさんのハエが舞っていたのだ。雪映は雨の日に掘り起こして、もっと深く埋めるように正隆に指示をした。あまりにも冷静に指示する雪映にどこか怖さのようなものを覚える正隆だった。殺人から12日、雨が降った。正隆は意を決して、萌を埋めている土を掘り返した。しばらくすると土の中から指が見え、損傷が激しい顔が出てきた。「ごめん萌ちゃん」と正隆は心の中でつぶやいた。

妊娠から9か月を迎えたころ、雪映の短めの髪は肩ぐらいまでに伸びていた。2人は信州に旅行に来ていた。周囲から見ると、どこにでもいる仲の良い夫婦だった。正隆は車に乗り込みスマートフォンの画面を見つめる。「問題なし」。2人は遠隔カメラで佐野を監視していた。「2人で行く旅行は最後だね」と雪映が言った。

「殺人共同生活」から240日を超えた。監禁していた佐野は瘦せ細り、髪が抜け落ちていた。もう言葉を話すことができない。餌とも思える食事を毎日与え、家畜のような状態にしていたのだ。与えられた食事を貪り食う佐野だった。目の前にはリアルタイムで監視するカメラが置かれていた。しかし、佐野はまだあきらめていなかった。食事を食べるふりをして、身体を拘束している首輪を近くにあった石で壊そうとしていた。ついに首輪を壊した佐野は2階の窓から脱出することができた。2階から音が聞こえたため、カメラを確認すると佐野の姿はない。

正隆と雪映は慌てて外に出て佐野を追った。ガリガリの男がオムツ姿で街を徘徊する異様な光景にも関わらず周囲の人は佐野を助けることはしなかった。なぜなら、この時はハロウィンの日で、街中を歩く人たちは佐野がゾンビのコスプレをしていると考えていたのだ。佐野自身も監禁生活が長く体力が減っていたことから、助けを呼ぶ声も出すことができなかった。正隆と雪映はなんとかバレずに佐野を捕獲。自宅に連れ帰った。そして、これ以上の監禁は難しいと考え、2人は佐野の首を絞めて殺害するのであった。

そして、2人の間に子供が生まれた。新しい人生をスタートさせたいと佐野の遺体は萌を埋めた場所に埋めた。食卓を3人で囲んだ。正隆は不安を抱えながらも「いまが一番幸せだ」と感じていた。結婚から9年目を迎える年だった。「ただ離婚していないだけ」の夫婦だったにも関わらず、2人の間には会話が生まれていた。そんな幸せを感じていた時、自宅のインターフォンが鳴った。「警察です。2年前から夏川萌さんの行方が分からなくて知りませんか」と1人の男性警察官が話した。正隆の目から自然と涙が流れた。雪映ははじめ、「気分が悪くなった」と取り繕うとしたが、正隆は「ごめん」と言う。目を合わせる2人。雪映はすべてを受け入れ、正隆に向かって「その新聞配達員の人を知っているの」と話した。正隆は1人で罪をかぶることを決意していて、「全部話します」と警察に伝えるのであった。

『ただ離婚してないだけ(電子限定)』のあらすじ・ストーリー

もしあの時に殺人を犯していなかったらどうなっていたのか。物語は2年前にさかのぼる。

結婚してから7年目を迎える柿野正隆と妻の雪映。雪映は、夫が新聞配達員の17歳の女と不倫しているのに気づいていた。「ただ離婚していないだけ」と雪映は心でつぶやいた。高校教師の雪映は、学校で教育実習生の男性の指導役に選ばれた。男性の名前は前園健。若い前園は人懐っこい性格で、雪映にも親しげに話していた。

ある日、前園から食事に誘われた雪映は、久々の男性との食事に浮足立っていた。久々のアルコールを口にして気持ちも大きくなっていた。前園は、雪映の腰に手を添えて身体を引き寄せキスをした。2人はホテルで身体を重ねた。雪映は「不倫する女なんだ」と自分自身を驚いた。ホテルから出る2人。たまたま、正隆の浮気相手で新聞配達員の夏川萌が目撃していた。萌は、この時、正隆の子を身ごもっていた。しかしこの妊娠がきっかけとなり正隆から別れを告げられた萌は、正隆と一緒に暮らしている雪映への怒りがうまれて自宅まで押しかけた。「わたしに正隆さんを欲しい」と萌は言った。雪映は心の中では動揺していたが、「夫婦にはいろいろある」と平静を装い家の中に入った。萌は正隆の子どもをおろさずに生むことを決めた。

倉庫の一室。ある男がホースを口に入れられて拷問を受けていた。その様子を見ていた佐野義文は怯えていた。拷問をしていたのが仁科と呼ばれる反社会勢力の男だった。仁科は、部下に高圧洗浄機を口に入れろと指示。拷問を受けていた男は内臓が破裂して死んだ。佐野は仁科から多額の借金をしており追い詰められていたのだ。金を返さないと自分も仁科に殺されるため、金策をとるために奔走していたのだ。

佐野は、拠点としている場所に戻った。そこには前園がいた。実は前園は佐野の仲間で、違法なアダルトビデオを作製していた。雪映も知らず知らずにこの被害者となり、前園とのセックスの様子を盗撮されていたのだ。盗撮された素材はアダルトビデオとして編集されて売られようとしていた。一方、佐野は仁科に金を返すために必死になっていた。そこで思いついたのが、萌の不倫相手の男から慰謝料として金をとることだった。このとき、萌の不倫相手が正隆だとは知らなかった佐野は、前園に不倫相手を探すように指示していた。そして、ネット技術に長けた前園はすぐに柿野の自宅を突き止める。

佐野は、いよいよ金のめどをつけることができると考えていたが、仁科から「あと3時間しか待たない」と迫られる。命の危険を感じた佐野は柿野家に押し掛ける。窓ガラスを割り自宅に侵入した佐野は「こっちは時間がないんだ!17の女に手を出しているだろ!嫁の方もだ。教育実習生の若い男と寝た証拠を持っている」と叫んだ。正隆と雪映はそれぞれタンスなどに身を隠していた。遠くからサイレンの音が聞こえる。これに気付いた佐野は諦めて逃げることに。仁科からも逃れるために姿を消そうと考えるが捕まってしまう。そして、高圧洗浄機を口に入れられた。

「心当たりはないですか」という警察官に対して、2人は「知らない」と話す。2人は口にはしないものの、互いが不倫していたことを胸の内に秘めていた。そして、いつも通りの何気ない生活を送り始める。「ただ離婚してないだけ」の生活が再び始まった。そのころ、萌は正隆との子どもを出産していた。一方的に別れを告げられたが、弟と子供の3人で幸せな生活を送ろうとしていた。

『ただ離婚してないだけ』の登場人物・キャラクター

主要人物

柿野正隆(かきの まさたか/演:北山宏光)

物語の主人公。フリーのWEBデザイナーで自宅で仕事をしている。妻の雪映とは結婚してから7年目を迎えるが家庭内別居が続いている。そうした中、正隆は17歳の新聞配達員の夏川萌と不倫関係にあった。優柔不断な性格である正隆は、妻と萌との関係も中途半端だった。人の顔色を気にする一面があるうえ、自分に不都合なことがあるすぐに顔に出てしまう。嘘をつききれない性格でもある。

柿野雪映(かきの ゆきえ/演:中村ゆり)

正隆の妻。高校教師をしている。普段は感情を表に出さず冷静な性格の持ち主。正隆の不倫にも気づき知らないふりをしていた。夫の非情な行動を許せないと考えていたが、謝罪する夫に向き合い再び夫婦生活を送ろうと決めるなど献身的なところがある。一方で、不倫相手の夏川萌の遺体を埋めようと考えたり、佐野を拷問をしながら監禁する方法を考えたりするなど常人ではない一面もある。

夏川萌(なつかわ もえ/演:萩原みのり)

新聞配達員。柿野正隆の不倫相手。母子家庭で弟との3人家族。しかし、母は交際相手のもとに行ったきりでほとんど自宅にはいない。萌は、新聞配達のほかにガールズバーでも働いて生活を支えながら、弟の世話もしている。

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