『破戒』(はかい)とは、1906年に出版された島崎藤村の長編小説および、それを原作とした実写映画、ドラマ作品。古くから続く身分制度を基準とした差別が根強く残った明治時代、自身の出自を隠しながら長野県の飯山で小学校の教諭として暮らしている1人の男が、自分というものを深く見つめ直す姿が描かれる。原作小説は差別的な表現が多いとして度々取り沙汰されてきたが、実写作品の題材としては屈指の人気を誇り、1961年には異なるテレビ局で原作を同じくした2作品のドラマが制作されるという、珍しい事例も発生している。
土屋 銀之助(つちや ぎんのすけ)
2022年実写映画版の銀之助
1948年実写映画版演者:宇野重吉
1962年実写映画版演者:長門裕之
2022年版実写映画演者:矢本悠馬
丑松の師範学校の同期で、親友でもある人物。飯山の小学校に勤務する同僚でもあり、いつも何かに悩んでいる様子の丑松を気にかけてくれている。夢は植物学者。
飯山の住人たち
校長(こうちょう)
デスクを前に座っているのが校長(2022年実写映画版)
1948年実写映画版演者:東野英治郎
1962年実写映画版演者:宮口精二
2022年版実写映画演者:本田博太郎
丑松の勤務先である小学校の校長。新しい教育観を持つ若者である、丑松と銀之助を煙たがって憎悪を募らせ、勝野に弱点を探らせている。
奥様(おくさま)
1948年実写映画版演者:東山千栄子
1962年実写映画版演者:杉村春子
2022年版実写映画演者:小林綾子
蓮華寺の住職の妻。明るく元気で話好きな女性で、丑松のこともよく気にかけてくれる。住職の女狂いに悩まされている。
住職(じゅうしょく)
画像中央が住職(2022年実写映画版)
1962年実写映画版演者:中村鴈治郎
2022年版実写映画演者:竹中直人
蓮華寺の住職。見識高く、檀家の信頼も厚いことから非の打ちどころがない人物のように見えるが、実は色狂いで隠れた異常性癖の持ち主。作中で「破戒」を犯す。
勝野 文平(かつの ぶんぺい)
画像左側に立っているのが勝野(2022年実写映画版)
1948年実写映画版演者:山内明
2022年版実写映画演者:七瀬公
丑松の同僚の教師。伯父が知人であるという関係性から校長とは親しく、丑松や銀之助を不利にする情報を探っている。
風間 敬之進(かざま のりのしん)
画像左が風間(2022年実写映画版)
1948年実写映画版演者:菅井一郎
1962年実写映画版演者:船越英二
2022年版実写映画演者:高橋和也
士族出身の老教師で、お志保と省吾の父。丑松と同じ飯山の小学校に勤務していたが、酒びたりの生活が祟って学校を去ることを余儀なくされる。前妻の死後、再婚した後妻との間の子を多くもうけたため貧苦に苦しんでいる。
省吾(しょうご)
風間敬之進と前妻の間に生まれた息子で、お志保の実弟。丑松の受け持ちのクラスの生徒。年相応に無邪気で温厚な少年だが、継母との間柄が良くないことを丑松は気にかけている。
政治関係者
高柳 利三郎(たかやなぎ としさぶろう)
1948年実写映画版演者:小澤栄太郎
1962年実写映画版演者:潮万太郎
2022年版実写映画演者:大東駿介
新進政事家で、市村のライバルとして選挙に出馬している。選挙資金のため被差別部落の大金持ちの娘を娶るがそれを世間にひた隠しするなど、計算高く、腹黒い一面が目立つ。
目次 - Contents
- 『破戒』の概要
- 『破戒』のあらすじ・ストーリー
- ある教師の苦悩
- 校長との対立
- 猪子蓮太郎との出会い
- 絶望する丑松
- 破戒と旅立ち
- 『破戒』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 瀬川 丑松(せがわ うしまつ)
- 猪子 蓮太郎(いのこ れんたろう)
- お志保(おしほ)/志保(しほ)
- 土屋 銀之助(つちや ぎんのすけ)
- 飯山の住人たち
- 校長(こうちょう)
- 奥様(おくさま)
- 住職(じゅうしょく)
- 勝野 文平(かつの ぶんぺい)
- 風間 敬之進(かざま のりのしん)
- 省吾(しょうご)
- 政治関係者
- 高柳 利三郎(たかやなぎ としさぶろう)
- 市村(いちむら)
- その他
- 丑松の父
- 『破戒』のテレビドラマ版キャスト
- 1961年 NETテレビ版
- 1961年 日本テレビ版
- 『破戒』の用語
- 飯山(いいやま)
- 根津村(ねづむら)
- 蓮華寺(れんげじ)
- 穢多(えた)/新平民(しんへいみん)
- 『破戒』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 瀬川丑松「――実は、私は其卑賤(いや)しい穢多の一人です。」
- 『破戒』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実在のモデルが存在する『破戒』の登場人物
- 『破戒』の原作小説と映画版の違い・相違点
- 1962年実写映画版では蓮太郎の後継者として指名されていた丑松
- 2022年実写映画版では部落出身者に対する呼称が「穢多」に
- 2022年実写映画版の丑松とお志保が2人で与謝野晶子を読むシーン
- 2022年実写映画版では丑松が一番初めに出自を明かすのが銀之助に
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