シュガー*ソルジャー(酒井まゆ)のネタバレ解説・考察まとめ

『シュガー*ソルジャー』とは、ファンタジーと恋愛要素が溢れる酒井まゆによる学園恋愛漫画である。『りぼん』で47回にわたって掲載され、酒井まゆにとって最長寿作品である。平凡な外見の主人公、麻琴は幼い頃からモデルのようにきれいな姉の莉華と比較され、外見コンプレックスを抱えていた。高校に入学し学年でも人気の入谷に恋をする。「努力して可愛くなって、入谷君に告白したい」と奮闘する麻琴の純粋なラブストーリーを描かれている。読んでいると思わず応援したくなるような、麻琴の姿は読者から絶大な人気を獲得した。

『シュガー*ソルジャー』の概要

『シュガー*ソルジャー』は、ファンタジーと恋愛要素で溢れる酒井まゆによる学園恋愛漫画である。恋愛漫画であるが、作者の目線から登場人物にツッコミをいれるウサギがストーリーの節々に登場するという要素がある。平凡な外見の主人公、麻琴は幼い頃からモデルのようにきれいな姉の莉華と比較され、外見コンプレックスを抱えていた。莉華は幼いころから顔だちがよく、周囲に「かわいい」とちやほやされてきて、それとは正反対の態度を取られ続けた麻琴だが、メイクやファッションを勉強すれば必ず可愛くなれると信じている。そして高校に入学して、入学式の初日に入谷瞬に一目ぼれをした。入谷に告白するため、平凡な自分から生まれ変わろうと決意した。 学校で身につけるアクセサリーや、髪型、服も慎重に選び、入谷の彼女として相応しい女子に近づこうとする。ストーリー中では入谷とのキスシーンだけでなく、お互いの気持ちが離れかけている時も描かれており、順風満帆にはいかない恋の様子も、見届けたくなる要素の一つである。麻琴の頑張っている姿は読者から絶大な人気を獲得した。恋愛だけでなく、笑いも誘う工夫は、読者から「細部まで拘っていて面白い!」と高評価を得ている。その人気ぶりから、7巻を発売した時点で累計80万部を売り上げた。掲載誌『りぼん』で47回にわたって掲載され、酒井まゆにとって、最長寿作品である。

『シュガー*ソルジャー』のあらすじ・ストーリー

入谷に一目ぼれ

如月麻琴(きさらぎまこと)は、双子の姉、如月莉華(きさらぎりか)がいる。莉華はスタイルがよく、女性ファッション雑誌であるHEAVENTEENのカリスマ読者モデルで人気を集める。麻琴は幼い頃からスタイルの良い姉と比べられることが多かった。「可愛い」という言葉は今まで姉の莉華にかけられる言葉だったが、麻琴も「可愛くなって、キラキラ高校生になりたい」と思う。
中学を卒業し、小学校からの親友である森永雨季(もりながうき)と同じ高校に通うことになる。入学までの春休みはかわいいメイク、ファッションを研究した。入学式当日には「妹けっこー可愛いじゃん」と言っているのが聞こえ、「頑張ってよかった」と嬉しさをかみしめる。

入学式が終わると、クラスのみんなで親睦会をすることになった。麻琴のクラスの女子生徒は、学年で女子から人気を集める入谷瞬(いりやしゅん)と同じクラスになれたことが嬉しく、親睦会も乗り気だった。麻琴も友達づくりのためついて行くが、門の近くに莉華が立っているのに気づき、足を止める。クラスメイトの視線は一気に莉華に集まり、「並べちゃうと全然違うね。莉華さんきれい」と聞こえてきた。劣等感を感じ、親睦会どころではなくなった麻琴は、突然グループから抜け出してしまう。それに気づいた入谷は麻琴を追いかけた。

入谷は麻琴を見つけた時、同じ学校の上級生の男子生徒が「莉華さんにメアド渡してくれる?」と麻琴に頼んでいるところを見つける。メアドを受け取っていた麻琴を見た入谷は、「無理して姉ちゃんと張り合わなくても、そのままでいいんじゃない?」と声をかけた。しかし、麻琴はどうしても可愛くなりたい理由があった。中学生の時、同級生の渡瀬智也(わたせともや)から呼び出された時があった。麻琴は「どうせお姉ちゃんに関係することだ」と思い込んでいた。「お姉ちゃんなら彼氏いるから!」と渡瀬からの告白を受けずに逃げ出したことに、罪悪感を持っていた。渡瀬はその後転校してしまったため、謝ることはできなかったが、「もっと可愛くなって自信を持ちたい」とその日から思ったのだった。

入谷と話したその日から麻琴は入谷のことが気になっていた。1年生の最初の大きな行事である校外学習で同じ班になったこともあり、距離が少しずつ縮んでいた。同じ班になった白雪ななみ(しらゆきななみ)は入谷と同じ中学校だった。白雪から、入谷は彼女をつくろうとしないことを聞き、その理由が校外学習が終わった後も気になっていた。
麻琴はある日帰宅していると、入谷が駅前で莉華と会っているところを見てしまう。麻琴は「2人は付き合っているのかも」と疑ったが、入谷が莉華の撮影に協力しているだけだった。麻琴もその撮影現場に行くと、記念で撮ってもらう。その写真が雑誌の1面に掲載される。

入谷の過去

雑誌の掲載は雑誌が発売された翌日、学校中で話題になった。入谷と幼なじみである遊佐一誓(ゆさいっせい)も、その雑誌の写真を見るなり麻琴に目を付けた。遊佐は入谷を友達として大好きであるため、入谷の外見だけを見て近寄ろうとする女子が嫌いだった。遊佐は麻琴を敵対視するようになる。麻琴も、遊佐の敵対視する態度に怯えるのだった。

夏休み前のテストが終わると、麻琴、雨季、白雪、遊佐、入谷の5人で白雪の祖母の別荘に泊まることになる。2泊3日の旅行で麻琴は入谷に告白出来るチャンスだった。2日目の旅行の花火大会で麻琴は「好き」と告白をしたが、入谷は「俺も如月のこと好きだよ。でも、付き合うことはできない」と断られる。入谷から「俺が全部偽物だったらどうする?」と言われるが、この時は意味が分からなかった。

夏休み明け、麻琴は雨季、白雪に入谷のバイト先へ連れてかれる。麻琴は2人には入谷に告白してフラれたことを伝えた。麻琴は前を向こうとしており、入谷のことは諦めようとしていた。しかし、入谷も麻琴のことが気になり始めていた。告白を断ったのは、入谷が幼い頃に母親からネグレクトを受けていたことが原因だった。1度好きになった人に嫌われて離れられていくことの辛さをよくわかっていた。麻琴もいつか離れていくことが怖く、付き合うことを断っていた。
入谷は麻琴にそれを伝えた時、麻琴は「いつか入谷君が私のこと嫌いになるまで好きでいさせてください」と、入谷のことが本気で好きなことを伝える。この時はすぐに返事をもらえなかったが、麻琴と入谷は笑顔で別れた。

カップル成立

夏休みが明けて、文化祭が近づいてきていた。麻琴は勢いで文化祭実行委員に立候補してしまい、少し戸惑う。しかし、クラスメイトの出し物もうまくまとめ、莉華にも協力してもらって豪華賞品を用意してクラスの出し物が盛り上がるための工夫を全力で凝らした。結果、文化祭は成功し、大勢に楽しんでもらったのだった。

文化祭が終わると麻琴の誕生日の日がやってきた。その日、入谷は「如月、今日の放課後空いてる?」と誘う。麻琴は告白を期待していた。下校時間になって下駄箱で入谷を待っていると、偶然にも中学生の時に告白されることから逃げてしまった渡瀬と学校で再会する。麻琴との学校と練習試合をするため、下見に来ていたのだった。
その後、麻琴は昔自分を好きだった人に再会したことに動揺している様子だった。それを見た入谷は「無理しないで、渡瀬君のほうに行きたくなったんなら、俺は気にしないから」と気遣ったのだった。麻琴は入谷を不安にさせ、渡瀬の気持ちも放っている状態にけじめをつけることを決意する。

そんな時、渡瀬の彼女である豊田志帆(とよだしほ)から「怪我をしてサッカー部をやめるかもしれない」と知らされる。スポーツ推薦で高校に入ったものの、ケガをしたため特待生でいられなくなりそうだった。さらに、翌日に豊田から「渡瀬が退学したって先生から聞いて、そのまま連絡してもつながらなくて、もし何か良くないことを考えていたらどうしよう」と麻琴は連絡をもらう。入谷にも連絡して協力してもらい、急いで探す。入谷は麻琴と渡瀬の母校の中学校に向かい、渡瀬を発見する。麻琴も後からついてくると、中学生の時に告白の返事をしなかったことを謝った。渡瀬は中学生の頃の告白を、再びすることができ、気持ちにけじめをつけることができた。麻琴も「ごめんなさい」と逃げずに返事をすることができた。

渡瀬と別れて、麻琴と入谷は2人で川沿いを歩いていた。麻琴が渡瀬の告白を断り、入谷は自信を持って「好きです。付き合ってください」と告白できた。この日から麻琴と入谷は付き合い始める。

突然の別れ

麻琴と入谷が付き合い始めて、初めてのクリスマスを過ごせることが麻琴は楽しみだった。入谷へのプレゼントを買うためにアルバイトをしていたが、当日になって体調を崩してしまう。デートは諦めかけていたが、家に入谷がお見舞いに来てくれた。入谷と一緒にいれる時間は少なかったが、麻琴が「入谷君とツリー見に行きたい」と話すと、大きなイルミネーションがかかったツリーが飾ってある場所に2人で見にいった。ツリーの前で2人はファーストキスをしたのだった。

冬が明けて、すぐに春を迎えた。進級してクラス替えが行われると、麻琴は雨季、白雪と同じクラスになる。一方、入谷とはクラスが離れて麻琴は少し不安になる。少し寂しい思いをしたが、一緒に帰ることはできたため我慢することができた。また、麻琴のクラスの担任教師に雨季の恋人である久遠良明(くどうよしあき)がつくことになる。麻琴は新しい春を驚きの連続で迎えるのだった。

2年生で一番の大イベントである修学旅行が近づいてくる。麻琴は雨季に「修学旅行で入谷と夜に抜け出すんだったら協力するから」と言われた日から、急に入谷を異性として意識し始める。また、家で姉の莉華がカメラマンをしている彼氏の仙田尚樹(せんだなおき)とキスをしているところも偶然見てしまったこともあり、入谷と恋人として付き合うことに急に緊張してしまった。麻琴は入谷を意識しているとばれることが恥ずかしく、避けてしまう日が続いた。入谷はその行動から「麻琴に嫌われた」と勘違いをしてしまう。2年生に上がると、入谷は周囲の男子生徒が麻琴を少しずつ女子として意識し始めていることに気付いていた。誰かに麻琴を取られることを恐れていた。修学旅行で同じ班の男子と仲良くしていた時はやきもちを焼いていた。麻琴は「私なんか、誰にも興味持ってもらえない」と自信なさげな態度を取ると、入谷は「麻琴は、麻琴が思っているよりもかわいいんだよ!」と怒鳴るのだった。強引に麻琴にキスしようとした入谷を、麻琴は避けてしまった。入谷と喧嘩をしたまま修学旅行を迎えるのだった。

麻琴は修学旅行中、夜に入谷に謝るため、メールで呼び出した。麻琴は、「入谷君も男の子として性欲出されたらどうしようと思ったの」と避けていた理由を伝える。入谷は拍子抜けしたように笑い、2人は仲直りすることができた。

修学旅行が終わると、入谷の誕生日が近づいてきた。麻琴は手作りのケーキを焼いて麻琴の家でお祝いすることにする。しかし、当日に入谷は熱中症になり、自宅で倒れてしまう。入谷が倒れているところを家の外から入谷の実の母親である入谷史織(いりやしおり)が見つける。
史織は入谷を住んでいたアパートに置き去りにした日、仕事帰りに交通事故に遭っていた。その時に脳に大きな腫瘍ができ、そのせいで長く生きられないことを知った。そのため、死ぬ前に入谷に会いに来ていた。史織は入谷を見つけた時に窓を割って、助けたのだった。

その後、麻琴は入谷の見舞いに行き、どこも異常がないことに安心する。帰るときに病院の外で史織が待ち伏せしていた。麻琴は「一緒に遊ぼうよ!あたしのことは、しーちゃんでいいよ!」と話しかけられ、戸惑った。史織は麻琴の携帯で勝手に入谷に「学校にいる」と伝え、学校に呼び出した。入谷は自分を捨てた親に再会し、怒りを感じていたため「視界から消えろ!」と怒鳴ってしまう。

次の日、入谷は退院することができた。ロビーで警察官である遊佐の叔父から史織の素性を教えられる。入谷は史織が交通事故をきっかけに脳腫瘍ができ、先が短くないことを知ったが、憎くも思っていたため複雑な思いだった。
最後の短い時間を史織と一緒に過ごすならば、史織の実家がある京都で暮らさなければならず、麻琴とは遠距離恋愛になってしまう。それに迷いがあったが、麻琴が「お母さんのところ行って」と背中を押し、京都へ引っ越すことを決めた。

3年生の春から入谷は京都の高校に通うことになり、麻琴とメールや電話でやり取りをしていた。入谷は史織の看病を続けていたが、冬に亡くなってしまう。

麻琴は大学も雨季と同じ学校へ通うことになる。入学式の日、さっそく友達ができると「主席で入った新入生で医学部の子、めちゃめちゃ頭いいらしいよ!」と噂を聞いた。麻琴と雨季は人だかりができている方へ眼を向けると、入谷がいたのだった。麻琴には内緒で同じ大学を受験し、合格していたのだった。麻琴にとってはサプライズだったが、4年間また一緒にいられることが嬉しく、「ずっと一緒にいたい」と思うのだった。

『シュガー*ソルジャー』の登場人物・キャラクター

主要人物

如月麻琴(きさらぎまこと)

CV:水瀬いのり
妄想が激しく、すぐネガティブなことを考えてしまう。幼いころから、スタイルが良い現役読者モデルの姉の莉華と比べられてきた。自分には何も誇れるものがなく、姉と比べられることがひどく嫌だった。その劣等感をなくし、自分磨きをすることで自信をもつため、日々メイクやファッションを研究し、可愛くなる努力をしている。高校では入谷に一目ぼれする。

如月莉華(きさらぎりか)

CV:茅野愛衣
麻琴の姉の莉華は、生まれながらにしてスタイルがよく、顔立ちもいいためカリスマ読者モデルとして活躍している。しかし、小学生の時に男子に「可愛い」とちやほやされたことをきっかけに、女友達が莉華を恨み始めた。それから莉華は友人から仲間外れにされたり、嫌がらせを受けることが増えた。しかし、言われたら10倍にしてやり返すことをしていた莉華は、段々と気が強くなり、友人も大勢は作らないようになった。彼氏も何度か作ったが、莉華は気が強く、あまり甘えてこないことから「可愛げがないっていうか?」と早々に別れを告げられた。周りにのけ者にされている時に、カメラマンの見習いである尚樹に出会う。怒った顔も、笑った顔も莉華のすべてを受け入れてくれる尚樹に惹かれて莉華から告白し、付き合うことになる。

森永雨季(もりながうき)

麻琴と小学校からの友達であり、スポーツ万能でバスケ部ではエースである。小学生の頃は、麻琴がいつもおどおどしており、周りにいじめられているところを見て「面倒くさい」とい思っていた。2人が友達になったきっかけは、発表会で劇の出し物をする際の、役割決めだった。白雪姫をやることになり、くじで麻琴は王子様役をやることになった。しかし、クラスの女子からは「おどおどしてるし、王子っぽくない」と言われる。でも、雨季は朝一番に学校に来て、一人で練習して努力している麻琴を見ていた。そのため、麻琴を「ただの弱虫ではない」と思った。ある日、麻琴はクラスの女子に「髪の毛切れば王子っぽく見える」と言われ、無理やり髪を切られそうになった。それを雨季はかばい、自分の長い髪を切ってショートヘアにしてしまった。麻琴は自分の髪を犠牲にしてまでかばった雨季を尊敬し、雨季も努力家の麻琴を尊敬し、お互い尊敬しあう友達になった。

白雪ななみ(しらゆきななみ)

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