Plague Inc.(伝染病株式会社)のネタバレ解説・考察まとめ

Plague Inc.(伝染症株式会社)とは、イギリスのNdemic Creations社によって開発された基本無料のリアルタイム・戦略シミュレーションゲームである。致死的な伝染病を創り出し、これへ抵抗する全人類をいかに短期間で感染・絶滅させられるかを競う。
対応機種はAndroid・iOS。また、追加機能を実装した有料版が「Plague Inc: Evolved」としてSteamにて配信されている。

このゲームについて、1点、留意しておかなければならない事がある。
それはPlague Inc. が伝染病によって人類を絶滅させるという退廃的、あるいは背徳的、もしくは暴力的と表現できる目的を設定したゲームであり、それについて疑う余地はない。しかしながら、制作陣すなわちNdemic Creations社が生物兵器の開発や、それらを使用するテロリズム・戦争・争乱を煽動・推奨しているわけではなく、また、そのような意図も一切ないという事である。
中華人民共和国のアプリストアからは削除されたものの、それはゲームに問題があったからではなく、国家・社会側に問題があるからだ、という指摘がフリーランスのゲームジャーナリスト小野憲史によってなされている。

また、それらを証明する事実として、同社は公式サイトにゲームのリアリティや教育性を追求したとする声明を発表し、同時に感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)および世界保健機関(WHO)に合計25万米ドル(日本円にして約2800万円)の寄付を行った。また、専門家のアドバイスを受けつつCureモード(感染拡大防止モード、すなわちプレイヤーが人類側に立ち、伝染病防止・病原体撲滅を目指すモード)を無料で追加コンテンツとして実装している。

発表から7年後にアプリランキング1位を獲得

アプリの発表は2012年だが、その7年後となる2019年において日本を含む各国のアプリストアでダウンロードランキング首位を獲得している。
現実の人々の伝染病に対する認識がPlague Inc.への興味を引き立たせ、さらにゲーム自体がプレイヤーの伝染病へ対する理解醸成を促すという、現実世界との強い相互作用を持つ作品である事が伺える。

ゲーム内には英式風刺ネタがあふれる

開発元のNdemic Creations社はイギリスの会社であり、皮肉の効いたブリティッシュジョークすなわちブラックジョークを好むとされる国民性が、ゲーム内にちりばめられた風刺の強いテキスト(例として「ギリシャ、ユーロ離脱か」や「スコットランドはフランスの一部になるべき」や「米国大統領の辞任で副大統領が新たに大統領に」など)などがニュースとして表示される)によく表れている。
また、同社の声明はさておき、ユーザー間ではゲームそのものが最大級のブラックジョークだと捉える向きもある。

また、アプリ発表の2012年は、当時のイギリスで現実味を帯び始めた欧州連合離脱運動に「ブレグジット」という俗称が初めて使われた年でもあり、ゲーム内では早速ランダムイベントのひとつとして取り扱われている。
伝染病の進化状態や感染状況によって、ブレグジットの実施・中止が起きる。また、実施の場合もソフトブレグジットになったり、ハードブレグジットが起こったりと変化に富み、ちょっとしたイースターエッグになっている。

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