隣人13号(隣13)のネタバレ解説・考察まとめ

『隣人13号(隣13)』とは井上三太原作の日本のサイコホラー漫画である。通称『隣13(りんじゅうさん)』と呼ばれている。いじめと解離性同一障害(二重人格)をテーマにしており、カリカチュア化された描き方や個性的な脇役などが特徴な作品である。後に小栗旬(十三)・中村獅童(13号)の主演で実写映画化された。建設作業員の村崎十三は小学生の頃いじめられていた。同級生の赤井トールに硫酸をかけられ、顔を焼かれた。その瞬間から臆病な十三の中に凶暴な別人格「13号」が誕生した。13号は赤井に復讐を目論んでいた。

映画版で小学校の頃にいじめていた復讐をしてきている13号のあまりにも酷い仕打ちに、赤井は「やりすぎだろ!」と言った。赤井は小学校の頃確かに十三をいじめていて、その報復が息子の死だけでは飽き足らないという13号に赤井はこの台詞を放った。もはや復讐というより、憎しみによって生まれた13号の人格が暴走している様だった。結果13号は大勢の人間を殺したものの、赤井本人には手を下せなかった。

13号「サーモンピンク?サーモンピンク?サーモンピンク?」

映画版の劇中劇アニメーションで13号が赤井のキャラを殴り殺しながら言った台詞。映画版では十三が関に13号の存在を打ち明けた時、このアニメで表現されていた。アニメは関が描いたイラストになっている。十三が13号について説明しながら、同時に赤井に対しての恨みがあることも打ち明けた。赤井と思われるキャラが現れると13号は「お前の脳みそは何色だ」と言って殴り続ける。そして13号は「サーモンピンク?サーモンピンク?サーモンピンク?」と脳味噌の色を形容して連呼している。この一見コミカルで狂気じみたシーンが話題になった。

十三の素顔が明かされたシーン

赤井の手で13号のマスクが剥がれ落ちた。

普段はどこから見ても普通に見えるほどのマスクで硫酸で溶けた素顔を隠している十三。しかし、赤井が13号の顔を押し返したときに剥がれてしまった。この姿が本当に素顔なのか、幻覚なのかは定かではない。この後赤井に謝罪された13号は石の様に粉々に砕けていってしまう。

『隣人13号(隣13)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

映画版小屋の描写は十三と13号の精神世界

この世界ではいつも裸の2人のみがいる。

映画版では度々掘立て小屋のようなものが登場する。それは十三と13号だけが存在する世界で、ひとつの体を共有する2人の精神世界を表している。

映画版『隣人13号』は十三の未来予想図

笑顔で一緒に帰っている十三(左)と赤井(中)。

映画版『隣人13号』のラストでは謝罪されて13号が消滅してからのエピローグが追加されている。
そこには赤井にゴキブリを食べさせられそうになった十三は、意を決して赤井を押し返しやり返した。小学校の卒業式を欠席し、補欠の写真だったはずの十三はきちんとみんなで集合写真を撮った。中学生になった十三は赤井や他の同級生と仲良く下校している。その十三の目の前には取り壊しになった「平和荘」があった。その13号室からは13号がなんとも言えない顔で十三を見ていた。
この結末から言われているのは、十三は確かにいじめにあっていたが硫酸をかけられた事実はなく、それ以降の出来事は全て妄想だということだ。いじめられ自分の殻に閉じこもっていた十三は13号という人格を作り、赤井に復讐するストーリーを作っていた。しかし、現実には十三は赤井にやり返し、打ち勝ったことでいじめは無くなった。「もし、このままいじめられ続けていたら」という十三の未来予想図が映画のストーリーだったのではないかと言われている。
原作ではこういった描写がないため、映画版のみの考察となっている。

隣人13号は実話を元にしたストーリー

『隣人13号』は作者の井上三太の実際の体験をもとに作られた話である。
20代の頃、1人暮らしをしていた井上は当時アパートの二階に住んでおり、時々下の階の住人から窓に石を投げられていた。その住人は井上の隣に住む人間と金銭トラブルがあり、部屋を間違えていたのか井上の部屋に攻撃していた。ある日とうとう窓が破られてしまい、危険だと感じた井上はほとぼりが冷めるまで友人の家に住まわせてもらっていた。しばらく経って自宅に戻った井上は、メチャクチャに破壊された玄関の扉のを目の当たりにした。鉄製の扉が金属バットのような硬いもので破壊された様を見て、井上は人の怨恨な様なものを感じたと言う。警察に相談したが、民事不介入とされ取り合ってもらえなかった。不動産屋にも行ったが、やった本人が精神病院に行くなどしない限り何もできないと言われたという。そしてそこでまた警察に相談したら「1000人の人間がいたらそのうちの1%はそう言う人(異常者)がいますよ」と言われた。このセリフは赤井がホクロ田に言われたセリフである。それに対しての赤井の「本当にそれだけなんでしょうか」と言うのは、井上の言葉を代弁しているような台詞だ。自分のすぐ近くに恐怖の対象がいて、勘違いで殺されるかもしれないという現実に井上は打ちのめされた。
引っ越すしか方法がない井上は親戚の漫画家・松本大洋の住んでいる藤沢市に引っ越した。しかし、一度恐怖を経験してからはその後数年にわたり、些細な音に怯える様になってしまったそうだ。当時の新聞拡張員も井上の実体験に基づくエピソードであり、平和荘も実際住んでいたマンションをモデルにしている。

『隣人13号(隣13)』の主題歌・挿入歌

ED(エンディング):平川地一丁目「はがれた夜」

兄弟デュオ平川地一丁目(ひらかわちいっちょうめ)による楽曲である。平川地一丁目は2008年に解散したが2018年の解散後10年ライブを経て、2019年に再結成している。ちなみに彼らが住んでいた平川地(ひらかわじ)という地名は静岡県に存在するが、住所において「一丁目」は存在しない。

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