【演説の達人】口八丁な銀行強盗「響野」の魅力その4

『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎 作中の登場人物、演説の達人「響野」の魅力について語るシリーズ4弾。

3弾:【演説の達人】口八丁な銀行強盗「響野」の魅力その3
https://renote.net/articles/1494

5弾:【演説の達人】口八丁な銀行強盗「響野」の魅力その3
https://renote.net/articles/1508

迷言・迷セリフその7「強いだとか、弱いだとかは何によって決まるんだ?」

強盗仲間の一人である雪子の一人息子・慎一から、身体にハンディを背負う同級生がいじめに遭っていることについて相談を受けたときの台詞。
子供のことは子供が解決しなさい、なんて言うかと思いきや、大人気なく本気で怒りを露わにします。

「強いだとか、弱いだとかは何によって決まるんだ? 草原での噛みつきあい、空中戦、それとも学歴、遺伝子の配列か? 弱肉強食とかほざいてるお前の友達は自分より強い奴に殺されることを良しとしているのか? 体の頑丈さや足の丈夫さで決まるって言うんだったら、慎一、おまえは今から四輪駆動の車に乗って、そいつらをはねてくればいい。『パジェロに潰される弱い奴らは死ぬのが当然だ』と教えてやれ」

のらりくらりと面倒なことを交わしつつ、子供の悩みには真摯に応える喫茶店のオヤジ。
ちょっと響野がカッコ良く見えませんか?

迷言・迷セリフその8「食っても美味くないような中学生が、『弱肉強食』なんて言う権利はないんだよ」

その7と同じく、慎一の相談に乗っている時の台詞。
いじめについてのことから、弱肉強食という言葉の使い方について。話が脱線しがちなのはご愛嬌?

「どうしてライオンがガゼルを食うかと言えば、食わないと死ぬからだ。弱肉強食ってのは食物連鎖に参加している者たちが口にする台詞だよ。自分が死んでも、誰の餌にもならないような中学生が、食っても美味くないような中学生が、『弱肉強食』なんて言う権利はないんだよ」

カッコ良く言いきった矢先、一緒に慎一の相談を聞いていた久遠が一言。

「美味い中学生を食ったことがあるような言い方だ」

響野はきっとドヤ顔で言いきったはず。もう台無し……(笑)

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