お結び(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『お結び』とは2020年4月25日に公開された日下部一製作によるフリーゲーム。ジャンルはマルチエンディング型和風ホラーゲームで操作キャラクターの選択によって5種の結末が用意されている。主人公・日向子には、幼い頃近所の森で迷子になった時、自分が落としたお弁当を届けに来てくれた不思議な存在におむすびを分け与えた記憶があった。時が流れ高校生になった日向子は、車に轢き逃げされて迷い込んだ天国と地獄のはざまの世界・辺獄で、一茶と名乗る不思議な男と出会い、彼の力を借りて現世へ帰る為の冒険を繰り広げる。

日向子は世話になった志鶴に深々頭を下げ、「達者でな」と志鶴も清々しく送り出す。
最後の鳥居をくぐる前に日向子は立ち止まり、「また会えるよね」と一茶に呟く。一茶は「もちろんさね」と頷き、「お前さんがいてくれたから頑張れた」と伝える。「さよならをしても縁は切れない」「おひなが望んでくれるのならアタシ達の縁は結ばれたままさ。絶対に」という一茶の言葉を信じ、日向子は最後の鳥居をくぐる。
真っ暗な細道を歩んでいると両親の声が響く。日向子は辺獄での冒険を両親に伝えようとするが、途中で意識が途切れる。
数日後、日向子は自分の部屋にいた。一階に下りると父親は相変わらずソファーで新聞を読み、母親は台所で忙しく立ち働く。テレビでは早苗と日向子が遭った轢き逃げ事件の犯人が逮捕されたと報じられていた。早苗は死亡したが重傷の日向子は驚異的な回復力を見せ、既に退院していたのだ。
今度は自分が握ったおむすびを持ち、毎朝の日課として森の祠に寄り道する日向子。クロの墓には同級生がおり、日向子の退院を祝ってくれた。
日向子は祠の傍らでひなたぼっこし、美味しそうにおにぎりを食べる。何故かその目には涙が浮かぶ。

俗世での一茶との再会に感涙する日向子。

「そんなところで何してるんだい?」
突然声をかけられ顔を上げると、長い黒髪を結った男性がこちらに歩いてくる。
「こんなところでおむすびなんて、お前さんは俗世でもちっとも変わらないんだねェ」
知らないはずなのに何故か知っている男の声に、日向子の目からはどんどん涙が溢れだす。
「アタシはおひなに……日向子に会いに来たんだよ」
そう伝える男にたまらず駆け寄り抱き付く日向子。一茶は日向子との約束を守り、また会いに来てくれたのだった。

『お結び』のゲームシステム

ダウンロード版、ブラウザ版、アプリ版の全3種が現在無料配布されている。
対応機種はIE以外のブラウザ、iOS9.1以上、推奨環境:Chrome、Firefox、Safari(iOS版)。端末スペックによっては動作が重くプレイが困難になる恐れがある。
ブラウザ版での移動はカーソルキーで目的地をクリック、決定/調べる/話すはENTER/Z/スペースキー。メニュー画面の開閉はX/ESC/右クリック。キャンセルはX/ESC/右クリック。公式サイトでは移動はカーソルキー、スマホ・タブレットは横向きでの閲覧が推奨されている。
なおスマホ版は難易度が低く設定されており、より初心者向けの内容となっている。
ジャンルは探索と逃げをメインとした和風ホラー。『ゲームマガジン』サイトにおいてはフリーゲームの人気作『Ib』に和要素を持ち込んだような、と表現されていた。
賽の河原と思しき序盤の河川敷、画面左端に突如出現する鬼の獄卒から、点在する石塔を躱して逃げるなどのテクニックが要求される。辺獄内では細い通路の途中に窪みがあり、そこへ避難して徘徊する物の怪をやり過ごす場面が多い。また、一本道の通路を右方向へ進む際に画面右端から矢が飛来するので、それを途中の窪みに隠れて避けながら終着点まで突っ切る難所が存在する。
HPや数値の概念がないので、敵と接触すれば一発で即死する。
その場合は前回のセーブポイントからやり直しとなる。
時の神の祠がセーブポイントになるが、日向子が進む部屋には高確率で存在しており、死亡率の高さを考慮したフォローが行き届いている。なお日向子は運動音痴の設定故に走れず、すぐそこに迫った敵から歩いてギリギリ逃げることになる。ぽっちゃりした体型がネックになって壺に隠れられず、敵に追い付かれるタイムリミットが区切られた中で、複数並んだ壺から体型にマッチしたものを捜す必要に迫られたりと、キャラクターの体型や特性にちゃんと意味を持たせた演出が見所。
同種のホラーフリーゲームに多く見かける謎解きや暗号解読の要素はなく、作中で入手できる書籍はフレーバーテキストとしてのみ機能する。
途中の部屋で会う人形にサイコロの目を奇数か偶数かあてる丁半勝負を持ちかけられるが、これを当てないと即死する等、ミニゲーム的な演出面では運ゲー要素も組み込まれている。
マルチエンディング方式で操作キャラクターは日向子だが、冒頭のみ森の祠の傍らに浮遊する何者かを操作し、一番最初の選択肢「日向子と行く」「行かない」を選択できる。「行かない」を選択すると自動的にEND2『断』となる。
結末は5種で、END1は物の怪一茶から逃げきれるか否か、END2・3・4・5は作中選択できる会話と行動で分岐する。

『お結び』のアイテム

おむすび

日向子と一茶、木乃葉と一茶、さらには絹と日向子の絆を象徴する食べ物。日向子の得意料理で好物でもある。
日向子が所有するおむすび辞典には様々な具を入れたおむすびの写真が掲載され、おむすびの名前の由来にも言及されている。古来の日本においておむすびの「び」には魂の意味があり、おむすびは魂をこめた特別な食べ物とされていた。さらにおむすびには良い縁を結ぶ、おにぎりは鬼斬り、即ち禍を退けると言い伝えられていた。
辺獄の炊事場を借りて日向子が握ったおむすびを一茶は喜んで食べた。

べっこう飴

辺獄の部屋を探索していた日向子が、床の間に飾られていた赤い着物の日本人形に貰った飴。食べると怪我が綺麗に治る。

『天国見聞録』

日向子が辺獄の書庫で入手した、天国や辺獄の説明が書かれた本。
俗世に最も近い死語の世界として辺獄が記載され、人ではない者、即ち物の怪や餓鬼が住むと書かれていた。また天国でも地獄でもない混沌とした穢れが満ちている為、長く留まれば穢れに侵され、神であろうと人であろうと自我を失って物の怪に堕ちるとされているそうだ。

『天人類書』

同じく日向子が書庫で入手した本。天国に住む天人の生態や死因を解き明かす。
天人とは天界に住む不老長寿の存在であり、人より優れたものとされてきたが、常に煩悩を纏っている為解脱もできない。天人が死を迎える前兆を小の五衰といい、美しく楽しい声が出せない、身体の輝きが失われる、沐浴した時に水が流れ落ちにくい、目に付くものに執着する、物事に飽きて瞬きの回数が増えることが挙げられていた。しかし善行を積めば助かるなどの内容が書かれている。

『穢れについて』

辺獄に蔓延する穢れについて書かれた本。穢れとは忌まわしく不浄な気をさし、これに触れると神でさえ神通力を失い、土地に溜まれば禍が頻発する。穢れは自然に存在するものであるが、辛い体験や哀しい物事に触れて気力が衰えた際の気枯れ(けがれ)が転じたとする説もあった。

『ありんこと神様』

日向子が行く部屋の机の上においてある本。全三冊。
昔々神様が大好きな蟻たちがいた。ある日大雨に降られるが、神様に助けてもらえず、神様のご機嫌をとる為に神様と一番仲良しの蟻を生贄に捧げる。しかし蟻たちは村を雨から守ってくれていたのが神様ではなく木の葉だと知らなかった上、その木の葉も枯れてしまい結局全滅するという救いのない話が書かれている。

禊の紐飾り

一茶が生前の木乃葉に送った穢れを祓う赤い紐飾り。これを持っていると穢れを退けられるとされた。天界の禊場で発見時に「持っていく」「持っていかない」の選択肢が出る。持っていけば物の怪一茶を元に戻せるが、持って行かないと彼の消滅を防げない。

『お結び』の登場人物・キャラクター

主要人物

森崎日向子(もりさき ひなこ)

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