狼の口 〜ヴォルフスムント〜(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『狼の口 〜ヴォルフスムント〜』とは、2009年2月~2016年10月まで漫画誌『ハルタ』『Fellows!!』で連載された、久慈光久による漫画作品である。
14世紀の西欧地域・アルプス山脈を舞台とし、後にスイス国となる地域がハプスブルグ家の圧政に立ち向かい独立するまでの話を、「狼の口」と呼ばれる関所を中心として描く物語である。緻密な時代考証に基づいた中世の武器や攻城兵器、そしてバイオレンス描写のリアリティが大きな反響を呼んだ。

当作品の主役の一人であるヴァルター

フルネームはヴァルター・テル。アルプス独立の闘士で、弓の名人として世界中にその名を知られた英雄『ヴィルヘルム・テル(ウィリアム・テル)』の息子。幼いころより父から弓、クロスボウ、格闘術、そしてアルプスの山々を渡り歩くクライミング技術を仕込まれており、その腕は盟約者団の闘士たちから一目置かれるほどである。当初は父の偉大な名前を利用されていた面が強かったが、後に名実ともにスイス独立の旗頭となり、強大な権力を持つハプスブルグ家、その圧政の象徴となる『狼の口』に挑んでいくこととなる。自らも家族や仲間を『狼の口』の代官・ヴォルフラムに惨殺されており、その復讐に燃えている。重い使命を負った青年であるが、素は美しい女性にドキドキしてしまうような普通の若者である。
志を継ぎ盟約者団の旗頭として攻城戦を指揮し、仇敵ヴォルフラムを追い詰めた。モルガルテンの戦いでも重傷を押して参戦し、公弟レオポルトを震え上がらせる。戦いの後、エーゲリ湖に浮かぶ姿が描かれたが、その生死は謎に包まれている。

グレーテ(女将)

関所に隣接する宿屋を営む美女。裏では盟約者団を支援する連絡役を務めていたが、イタリア側からの伝令少女を救った際に正体が露見。ヴォルフラムの手により絞首刑に処され、見せしめとして晒された。

ヒルデ

「シュヴァイツの切り裂きヒルデ」の異名を持つ女戦士。月鎌の二刀流で敵を圧倒する。かつては評判の美女だったが、夫をハプスブルク家に殺され復讐鬼となった。攻城戦で猛威を振るうも、潜伏していたヴォルフラムの不意打ちに遭い命を落とした。

ヘルマン

盟約者団の領内同志を束ねる恰幅の良い中年男性。ウーリ民会議長を務め、「ウーリのかしら」と仰がれる人望の持ち主である。攻城戦の末に捕らえた仇敵ヴォルフラムに対し、毅然とした態度で三邦共有の総意として処遇を通達し、凄惨な処刑開始の合図を送った。冷静かつ厳格に民衆の怒りを代弁した人物だ。

ハインツ

右頬に十字の傷を持つ、シュヴァイツの戦闘指揮官。戦乱の中で最愛の妻カタリーナを殺された悲劇の過去を持つが、女性には優しい一面も見せる。ヴォルフラムの処刑では執行人を務め、その後の州代官所襲撃でも農民兵を率いて最前線に立った。レオポルト率いる1万の大軍を前に、奪還した城塞と運命を共にし、壮絶な戦死を遂げた。

ロルフ

顎鬚を蓄えた精悍な顔立ちの代表者。ヘルマン、ハインツらと共にヴォルフラムの処刑に立ち会い、自らも杭を打ち込む執行人を務めた。三邦が結束してハプスブルク家の圧政を打ち破るための重要な一翼を担い、現場での実務と士気向上に大きく貢献した。

ユヴェール

イタリア側から決起準備完了の報を届けるため、母ツェーデルと共に険しい道のりを越えてきた少女。関所で母を失うという悲劇に見舞われながらも、母から託された「合言葉」を頼りに女将の元へ辿り着き、歴史を動かす重要な伝令を果たした。その後は盟約者団に保護され、戦いの行く末を見守ることとなる。

ヨハンナ

主人の命令により重要な紋章を届ける任務を帯びていた女性。女将グレーテの知己でもあったが、運悪く関所での検問に掛かり、非情なヴォルフラムの手によって命を落とした。

クルト

ウンターヴァルデンの山羊飼い。男手一つで育てた愛娘をハプスブルク側に殺された復讐心から、自作の凧(カイト)に乗って空から関所への潜入を試みる。しかし、騎士ブルクトーによって無慈悲に撃ち落とされ、本懐を遂げることなく散った。

バルバラとアルベルトの兄妹

幼い頃、目の前で両親をヴォルフラムに殺された兄妹。その際、ヴォルフラムから「まだ小さいから」という歪んだ慈悲で命を救われるも、代償として片目を潰されるという呪いを受けていた。成長した二人はヴァルターの山越えを成功させるため、自ら囮となって関所に突入。凄惨な拷問の末に殺害されたが、その犠牲が反撃の狼煙となった。

『狼の口 〜ヴォルフスムント〜』の用語

ハプスブルグ家

史実の欧州史でも重要な役割を持つ貴族。11世紀に興り、ドイツ・オーストリア・スペインなど西欧諸国に勢力を伸ばし、その隆盛は18世紀までも続いた。

盟約者団

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