役職ディストピアリ(役職物語)のネタバレ解説・考察まとめ

『役職ディストピアリ』とは、ヤングガンガンにおいて2014年16号から2016年18号まで連載された千賀史貴の漫画作品。元は原作者のサイトで掲載していたweb漫画「役職ディストピアリ」であったが、人気が出たことでプロットをリメイク、新たに作画者をつけてヤングガンガンにて連載された。連載終了後は「役職物語」と名を改め再び原作者のサイトで連載されるようになった。コンセプトは「夢も希望もないダークファンタジー」。
役職とレベルによって完璧に管理された社会で「討伐士」トルザは「魔王」討伐に挑む。

アルルジャーノ

「抜刀士」の魔王ライツ。
「抜刀士」の役職は、軌道計算をし、その軌道上にあるものを切断するという能力を持つ。
軌道計算はレベルが上がるごとに複雑なものを扱えるようになり、高レベルの「抜刀士」はただのペーパーナイフ1本でビルを両断できるほどになる。
アルルジャーノは魔王ライツとなったことでその能力が強化され、軌道上の物体だけでなく空間そのものを断ち切れるようになった。

本名はアルというが、魔王ライツとして生まれ変わる際に「アルルジャーノ」に改名した。

『役職ディストピアリ』『役職物語』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「最強で最悪の勇者様」

「討伐士」のことを指して作中でよく言われる言葉。

「主人公補正」を使えば(一時的とはいえ)いくらでもレベルをあげることができることから「最強」であり、また「主人公補正」のために仲間を殺さなければならないということから「最悪」でもある。また、「主人公補正」によって魔王を唯一討伐できる役職であり、「童話などの物語では魔王を討伐するのは勇者の役目」という概念から「勇者様」である。
魔王を唯一討伐できる役職だが、それでも「討伐士」の役職が「勇者」と呼ばれないのは、「討伐士」が勇ましくない(=仲間をあえて殺さなければならない)からである。

トルザをはじめとし、イドカワや「報道都市」の市長など「討伐士」の能力をよく知っているキャラクターは「討伐士」を指して皮肉を交えて「最強で最悪の勇者様」と呼んでいる。
「討伐士」がどういうものであるかを象徴する言葉として作中で言われており、「役職ディストピアリ」1話の出だしからこのフレーズが登場するなど、「役職ディストピアリ」「役職物語」のキャッチコピーとしても使われている。

「絵本通りの結末だろう」

魔王ライツとなったアルミにとどめを刺す時にトルザが言ったセリフ。

アルミが魔王ライツとして「報道都市」に現れた際、童話を引用して巨大なキノコに変身したという展開が伏線となっている言葉である。
「絵本通りの結末」とは、悪の存在が勇者に倒されるという童話の展開をなぞり、また魔王討伐のシナリオとしてここで魔王ライツの一人が倒されなければならないというイドカワの目論見と両方を指している。

この台詞は、「この世界が中央調律局によってまるでゲームのように設計された理想的なディストピアであり、あらゆる出来事はすべて中央調律局によって仕組まれた筋書きである」ということを象徴する台詞として、読者に名言として語られている。

「あの街は俺にしか救えないだろ」

「直前まで「討伐士」がいた街が襲われる」という演出によって人々に後味の悪さと魔王への嫌悪感を与えるため、中央調律局によって「水枷の街」は破壊され住民は殺される運命にあった。その演出のため、アゾットは「水枷の街」に誘導され、魔王襲撃を知らされたラキアによって事前に出立するように指示されていた。
それを無視し、破壊されゆく「水枷の街」を前にしたアゾットのセリフ。

アゾットは与えられた役職である「討伐士」ではなく、肉親の役職「錬金術師」のスキル(ホムンクルス製造)を使用したり、観測所から派遣されてきた「観測士」を魔王討伐の手段に用いるという「討伐士」として推奨されない行為をするなど、徹底的にこの世界の仕組みに反発しているキャラクターである。
そのアゾットが、滅びのシナリオを定めた観測所の命令に反して「水枷の街」に舞い戻り、この世界の仕組みに反するポリシーを貫いた。
見出しのセリフは、アゾットの生き様を象徴するセリフである。

「役職物語」ではさらりと流されたセリフであるが、「役職ディストピアリ」としてリメイクされた時には気合の入った作画、大ゴマとなり、アゾットを象徴するセリフとして描かれた。
それゆえに読者からの人気が高いセリフとなっている。

『役職ディストピアリ』『役職物語』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「イエローイボイノシシ」

作中で何度かネタにされている言葉。元ネタは「役職ディストピアリ」3巻の巻末に付属したおまけ漫画から。
その漫画の内容は、トルザがブルーフェニックスというモンスターを討伐した時のことを語る内容であり、「ブルーフェニックスというが体色が黄色い」「フェニックスという名前なのに姿が鳥ではなくイボイノシシのようだった」というトルザのセリフに、インタビュアーが的確にツッコミを入れていくというもの。
「ブルーフェニックス(イエローイボイノシシ)」というネタが原作者にウケたのか、その後も「ブルーフェニックス(イエローイボイノシシ)」という存在が(主に巻末のおまけ漫画で)登場する。

こういった外見と名称のミスマッチは作中でもよくあるネタで、「ブルーフェニックス(イエローイボイノシシ)」はその代表である。
他にも、スライムの見た目をした「ブルードラゴン」、金色の球体の「ブルードラゴン」などがいる。

死亡描写の差

「役職物語」では花ではなく断末魔の代わりに「うんこ」と言うという設定になっている。
この「うんこ」は作中ではマーカーワードと言われ、「うんこ」と言ったことで死んだということを確認できる。

さすがに「うんこ」と言うのは下品すぎるということで、「役割ディストピアリ」では死者にはユリのような花(マーカートピアリー)が咲くように変更された。
マーカートピアリーは死に際の感情によって色が変わり、自らの死を受け入れた場合は白、未練を残して死んだ場合は赤い花が咲く。

マーカートピアリーは観賞用の花としても流通しており、「死体に咲いた花なんて不吉だ」と嫌がる人もいるが、民衆には広く受け入れられているようである。

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