LOST SONG（ロスト ソング）のネタバレ解説・考察まとめ

『LOST SONG』の概要

『LOST SONG』（ロスト ソング）とは、LIDENFILMS・ドワンゴ共同制作によるアニメ作品。
「その歌は星の運命すら変える、2大歌姫による幻想叙事詩（ファンタジーオペラ）」と題している。
2018年4月より地上波で放送されるのを前に、動画配信サイト・Netflixで2018年3月31日より先行配信された。
また2018年夏には、同じNetflixで全世界配信が予定されている。
原作・監督・脚本は『オカルティック・ナイン』や『信長協奏曲』等に携わる森田と純平が、キャラクター原案は『ROBOTICS;NOTES』の福田知則が手掛ける。

舞台は空に巨大な星が浮かぶ、とある星の大陸ヌーナシア。
辺境の村・ダンデラでは、のどかで平穏な毎日を過ごすリンと、ゴルト王国の首都・王都では、民衆の誰もから愛されている歌姫・フィーニスを中心に物語は展開していく。
一見、それぞれ幸せな日々を送っているように見える2人だが、リンは王都への憧れを、フィーニスは王宮の外への憧れをと、その心中では互いに物足りなさを感じているのが印象的だ。
そんななにからなにまで対照的な2人には共通した、ある特別な力がある。
それは、さまざまな奇跡を生む『歌』を歌うこと。
そしてその『歌』の力は皮肉にも、それぞれ2人を過酷な旅へと駆り立てる。

主人公のリンとフィーニスの役に、数々のアニメ主題歌を担当する鈴木このみと、声優でも歌手でも定評のある田村ゆかりという、現実でもアニソン界の歌姫である2人が熱演する。
特にリン役の鈴木このみは、初めての声優初挑戦となる。
またこの他に、作中に登場する宮廷楽団の演奏を行うのは、一線で活躍している本物のオーケストラによるものとのことで、歌から演奏の細部に至るまで、音楽に相当の拘りを感じる。

『LOST SONG』のあらすじ・ストーリー

リンの旅立ち

主人公のリンは、赤ん坊の頃にダンデラの村の長老タルジア・ホークレイに拾われ育てられてきた。歌が大好きで元気いっぱいの少女に育ったリンは、発明好きな弟のような存在・アルと、優しい姉のような母のような存在・メルとタルジアと共に暮らしていた。リンはいつかゴルト王国の王都で歌うことを夢見ていたが、タルジアによってリンは歌うことを固く禁じられていた。

ある時、リンとアルが森へ出かけて村に帰ってくると、村は炎をに包まれていた。タルジアは既に亡くなっており、リンとアルは瀕死の状態をメルを見つける。メルはリンに夢を諦めないでほしいと言い残して亡くなった。リンとアルは絶望に打ちひしがれながらも立ち上がり、メルとの約束を果たすために王都を目指すのだった。

王都の”歌姫”フィーニス

王都には”歌姫”と崇められるフィーニスという美しい女性がいた。フィーニスの歌う歌には不思議な力があり、心の優しいフィーニスはその力を民のために使いたかった。しかしゴルト王国王子のルード・ベルンシュタイン4世はフィーニスの歌の力を国のため、ひいては自分のために使うよう命令した。戦争で傷ついた兵士を「癒やしの歌」で治し、何度も戦争へ送る。終いにはフィーニスの想い人である心優しい騎士ヘンリー・レオボルドを傷つけたくなえれば自身の歌の力を持って敵を殲滅しろとルード王子は言い出した。フィーニスはヘンリーを守るために、敵の野営地を炎で包み、敵を殲滅していく。愛しいヘンリーを守るためとは言え、自分の歌の力で多くの人を傷つけてしまったという目の前の現実にフィーニスは膝をつき絶望するのだった。

「灰の街」へ

リンはアルと共に王都への旅を始める。自身の歌で人を笑顔にできることを知ったリンは、リン楽団を結成。道中、吟遊詩人のポニー・グッドライト、王都軍所属の律動士のアリュー・ルックス、そしてその妹のモニカ・ルックスが仲間になった。そしてリンは自分と同じように歌の力を持つフィーニスの存在を知る。リンは王都に行くことを一旦中止し、フィーニスを探すことにした。そしてフィーニスがいるという「灰の街」に辿り着くのだった。

絶望に堕ちるフィーニス

フィーニスは戦争の前線で離れ離れになっていたヘンリーと再会を果たす。しかしルード王子の策略にハマり、フィーニスは最愛のヘンリーを自らの手で殺してしまった。絶望したフィーニスは「終滅の歌」を歌う。歌の力によって引き寄せられた隕石は、王都軍を始めとする世界を滅ぼした。その時からフィーニスは不老不死の身体になり、人の歴史が繰り返される様をずっと見ていた。いつか自分が殺してしまったヘンリーに会えるかもしれない。そんな淡い期待を抱いてフィーニスは黒い精霊となって生き続けるのだった。

フィーニスの過去

「灰の街」のやってきたリン達はフィーニスが利用されていることを知り助けようとした。そこでリンはフィーニスが今まで歩んできた悠久の年月を見ることになる。そこでフィーニスはヘンリーへの思いを断ち切るために「癒やしの歌」を捨てた。その「癒やしの力」はみるみる形を変えていき、やがて赤ん坊の姿になった。リンはその赤ん坊を抱き上げて笑う1人の男の姿を見て涙を流す。それは自分を拾って育ててくれたタルジアだったのだ。

フィーニスの生きてきた歩みを全て見終わったリンは現実の世界に引き戻される。そしてそこでフィーニスの「助けて」という言葉を聞いた。フィーニスはずっと「助けて」と叫んでいた。リンはその声をようやくはっきりと聞くことができたのだ。

リンの最後の歌

王都に戻ったフィーニスは「終滅の歌」を歌ってしまった。隕石がどんどんと落下してくる中、リンはそんなフィーニスに助けに来たと告げる。フィーニスは何故リンがそこまでするかわからなかった。しかしリンがもともと自分が捨てたはずの「癒やしの歌」だったことがわかると腑に落ちたようだった。「終滅の歌」はもともと「癒やしの歌」と1つだった。リンは「癒やしの歌」をフィーニスは「終滅の歌」を歌う。やがて2つの歌は溶け合って1つとなり、リンは光の精霊となって消えた。隕石の落下は止まることなく、世界はそのまま消えてしまったかに見えた。しかし世界の全てが光に包まれ、失われた大地や生き物は精霊の力によって蘇っていく。ただリンは消えたままだった。リンはフィーニスの中へと帰っていったのだ。アルの耳にはリンの歌が聞こえていた。

『LOST SONG』の登場人物・キャラクター

主人公

リン

CV：鈴木このみ
真っ直ぐで前向き、食いしん坊で元気な女の子。
とにかく歌が好きで、人々の傷を癒やす不思議な力を持つ。
王都へ行くことに憧れており、いつかそこで自分の歌を歌うことが夢。
赤ん坊の頃、ダンデラの村の長老・タルジアに拾われ、アルやメルと一緒に家族として育てられた。

フィーニス

CV：田村ゆかり
王都で、奇跡の力をもつ歌姫として民衆から愛されている少女。
そのため、彼女の歌の力を利用しようとするルード王子の花嫁候補となっている。
外への憧れがあり、王宮での暮らしに寂しさを感じている。
一見おしとやかな外見に反して活動的であり、また方向音痴な気質から、しばしば迷子になってしまう様子。

ダンデラの村