『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』とは、1998年より『ヤングマガジンアッパーズ』で連載が開始された一色まことの青年漫画である。2018年にはアニメの第1シリーズが、2019年には第2シリーズが放送された。
森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公・一ノ瀬海。彼はかつて天才ピアニストと呼ばれた阿字野壮介や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平との運命的な出会いを経て、世界的なピアノコンクールであるショパンコンクールに挑んでいく。
『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の概要
『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』とは、一色まことによる青年漫画である。1998年に『ヤングマガジンアッパーズ』で連載を開始し、2002年からの連載休止や掲載誌の休刊を経て、2005年からは『モーニング』へ移籍して連載を再開。2015年まで足掛け18年の歳月をかけて完結を迎えた。単行本は全26巻。2008年には、(第12回)文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞している。
メディアミックス展開も盛んに行われており、2007年には上戸彩主演でアニメーション映画化され、第31回日本アカデミー賞の優秀アニメ作品賞に選出された。また、2018年4月からはガイナックススタジオ制作によるテレビアニメ第1シリーズが放送され、2019年1月からは第2シリーズが放送された。監督はこの作品が日本でのTVシリーズ初監督となる中谷学。エンディングテーマは悠木碧の「帰る場所があるということ」が起用されている。
作中では、森に捨てられた1台のグランドピアノをおもちゃ代わりにして育った一ノ瀬 海(いちのせ かい)が主人公として描かれる。母1人子1人の家庭でピアノの購入やレッスン費用すら賄えない境遇にありながら、かつて事故でピアニスト生命を絶たれた元天才ピアニストの音楽教師・阿字野 壮介(あじの そうすけ)や、偉大なピアニストを父に持つ雨宮 修平(あまみや しゅうへい)との出会いを通じてその才能を開花させ、やがて世界最高峰のショパン国際ピアノコンクールへと挑んでいく。
テレビアニメ版のピアノ演奏シーンでは、モーションキャプチャーを導入して実際のピアニストの指遣いを忠実に再現している。さらに、登場キャラクターごとに異なるピアニストをメインモデルとして起用する細やかな演出が施されており、主人公である一ノ瀬海のメインピアニストのみ「非公表」とされている。
『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』のあらすじ・ストーリー
森のピアノ
複雑で過酷な成育環境に育つ一ノ瀬 海(いちのせ かい)は、近所の森に捨てられた古いグランドピアノをおもちゃ代わりにして触れ、独学で弾くことを楽しんで育った。その森の近くにある森脇小学校には、かつて不慮の事故で現役を引退した天才ピアニスト・阿字野 壮介(あじの そうすけ)が、音楽教師として赴任していた。
ある日、海の通うクラスに、東京から雨宮 修平(あまみや しゅうへい)という少年が転校してくる。有名なピアニストである雨宮 洋一郎(あまみや よういちろう)を父に持ち、幼少期から徹底したピアノの英才教育を受けてきた修平の目標は、父のような立派なピアニストになることだった。そんな修平に対し、クラスのガキ大将である金平(かねひら/通称きんぴら)は、「男のくせにピアノなんて」と難癖をつけ、男子の仲間に入れて欲しければ森にある「おばけピアノ」を弾いてこいと無理難題を突きつける。そのおばけピアノこそが、かつて森に放置され、海以外の人間が弾こうとしても一切音が出ないと言われている、海にとっての大切なピアノであった。
困り果てている修平を前に、海は「森のピアノは壊れてなんかいない、ちゃんと音も出る」と主張し、きんぴらと激しい殴り合いの喧嘩を始める。音楽教師の阿字野が止めに入ったことで喧嘩は収まり、阿字野も「あの壊れたピアノから音が出るはずがない」と言って生徒たちを帰宅させる。その後、一人で悔し涙を流す海を落ち着かせるため、阿字野は音楽室のピアノでジャズのスタンダード曲「茶色の小瓶」を自らアレンジして弾き始めた。しかし、演奏を途中でやめた阿字野に対し、海は「そんな下手くそなピアノは聞きたくない」と言い放ち、阿字野が音を外した回数や場所を正確に指摘してみせたのだった。
選ばれた手
修平は学校での出来事を母親には言い出せずにいた。翌日の登校中、海に出会った修平は喧嘩させたことを謝り、かばってくれた礼をいう。そしてこのままでは何も解決しないだろうという海に誘われるまま学校をさぼり、森へと向かう。手を怪我するわけにいかないからと手袋をする修平を連れ、森の奥へと進む海。すると鬱蒼とした茂みの中に、1台のグランドピアノがあった。喜び勇んでピアノに触れる修平であるが、いくら鍵盤を叩いても音が出ない。やはり壊れていると海に訴えるが、代わって海が弾き始めるとちゃんと音が出た。「俺のピアノだから、俺にしか心開かないんだよ」との海の言葉に疑問を持ちつつも、二人は学校に戻ることにした。
森のピアノを弾いてきたと告げる修平だが、きんぴらは信用しない。海が証人だとなおも言い募る修平に対し、海では証人にならないという。そして母親の悪口を言われた海がきんぴらに殴りかかり、またもや取っ組み合いの喧嘩になってしまう。クラスの女子たちが職員室に担任を呼びに行くが、教師たちの間でも海が片親であること、住んでいる「森の端」が歓楽街で治安状態が悪いこと、母親の職業が水商売であることについて陰口が叩かれていた。
きんぴらたちにズボンを脱がされ、屈辱的な思いをさせられた修平は、再び森のピアノのもとに向かう。するとピアノを覆う大樹の上に海がいた。「この上が俺んち。遊びに来いよ」という言葉に人生初めて木登りをする修平。やっとの思いで登り切ると隣接する建物の窓が開き、海の母、怜子(れいこ)が現れる。怜子に擦りむいた膝小僧を手当てしてもらった後、海に送ってもらい帰路につく修平は彼を自宅に招く。レッスン室まで完備した修平の自宅であるが、そのピアノの鍵盤は軽すぎて、普通に弾いても音量が抑えきれない。あまりの音量に苦情を言いに来た修平の母親であったが、2人が音楽教師の阿字野の話をするとそんなことはすっかり忘れ、古いスクラップブックを持ち出してくる。
元音大生の彼女の話では阿字野は日本を代表するピアニストであったが、交通事故により左腕を負傷し、自身のピアニスト生命と婚約者をも失ったということであった。これ幸いと母親は修平の個人レッスンを阿字野に頼みに行くが、すげなく断られてしまった。放課後、修平は森で海がピアノを弾いてみせた話を阿字野にする。
その話に動揺をみせる阿字野。実は森のピアノは怪我をしてピアノが弾けなくなった阿字野が捨てたものであり、彼用に調整されたものであった。自分以外に弾けるはずのないピアノ。その音色が再び聞けるなら、と夜の森に向かう阿字野。その森で彼が聞いたのは確かに自分のピアノの音であり、自身がアレンジした「茶色の小瓶」のメロディだった。さらに歩みを進めるとそのピアノを弾いているのは海であった。阿字野は思わず海の左手を掴み、「この手は、選ばれた手だ」とつぶやいた。
目標はショパンピアノ国際コンクール
森のピアノがきっかけで、海は成り行きでコンクールに出場することになった。そこで熱狂的な演奏を披露するも、コンクールの趣旨には合わずに落選してしまう。このコンクールで海は人前でピアノを披露することに快感を覚えるが、森のピアノが落雷により焼失してしまったことで失意に暮れる。だがホコ天ライブで再度ピアノに触れたことでピアノへの情熱を取り戻すと、阿字野に弟子入りを志願した。2人は「師弟関係は6年後のショパンピアノ国際コンクールまで」という約束をして、二人三脚でコンクールを目指し、修平のライバルへと成長していく。
『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の登場人物・キャラクター
主要人物
一ノ瀬 海(いちのせ かい)
CV:斉藤壮馬(テレビアニメ)、白石涼子(テレビアニメ・小学生時代)/上戸彩(アニメ映画)
本作の主人公。通称「カイ」。母親の怜子と二人、高架下の風俗街・歓楽街である通称「森の端(もりのはた)」のバーの2階で暮らしている。父親は不明。幼少期から「森の端」の近くの森に捨てられていたグランドピアノをおもちゃ代わりにして育ち、誰も音を出せないそのピアノを唯一自在に奏でることで天才的な才能を育んだ。
母親に似て非常に美しい容姿を持ち、幼少期から女性と見間違えられることが多い。複雑な家庭環境から、小学5年生の時点で風俗店の雑用や客引きを手伝わされるなど不遇な境遇に身を置いており、同級生からは過酷な偏見やいじめの標的にされていた。転校生の雨宮修平との出会いや、かつて天才ピアニストと謳われながらも事故で夢を絶たれた小学校の音楽教師・阿字野壮介との運命的な出会いを経て、本格的に音楽の道を志すようになる。初めて出場したコンクールではその天才性を発揮して観客を圧倒したものの、既成の評価基準に収まらず落選。その後、大切な「森のピアノ」を落雷による火災で失うという悲劇に見舞われるが、失意を乗り越えて阿字野に師事することを決意。数々の困難や変装してのピアノ演奏バイト(マリア名義)を経て、世界最高峰とされるショパン国際ピアノコンクールに挑み、見事優勝を果たす。
阿字野 壮介(あじの そうすけ)
CV:諏訪部順一(テレビアニメ)/宮迫博之(アニメ映画)
ピアノ演奏:反田恭平
海のピアノの師であり、彼を導くもう一人の主人公とも言える存在。現役時代は日本国内の主要な音楽コンクールを総なめにし、世界最高のピアニスト・指揮者であるジャン・ジャック・セローからもその才を認められていた伝説の天才ピアニスト。しかし、人気絶頂期に遭遇した凄惨な交通事故により、最愛の婚約者とピアニストの命である「左手の自由」を同時に失ってしまう。
失意と諦観に沈んだまま、表舞台から姿を消して森脇小学校の音楽教師として無気力な日々を送っていた。だが、自分が手放したかつての愛器「森のピアノ」を弾く一ノ瀬海と出会い、その規格外の才能に圧倒されて彼の師となることを決意。海をプロの表舞台へ引き上げるための強力な後ろ盾となるべく、のちに桐山音楽大学のピアノ科教授に就任した。海にとって絶対的な父親代わりかつメンターであり続け、最終的には彼自身の後押しもあって左手の手術と懸命なリハビリを乗り越え、奇跡のピアニストとして再起を果たす。
雨宮 修平(あまみや しゅうへい)
CV:花江夏樹(テレビアニメ)/大地葉(テレビアニメ・小学生時代)/神木隆之介(アニメ映画)
ピアノ演奏:高木竜馬
海の無二の親友であり、生涯のライバル。国内屈指の有名ピアニストである雨宮洋一郎を父に持ち、幼少期からクラシック音楽の英才教育を受け、一切の妥協なく育てられた。小学5年生の時に「森脇小学校」に転校してきたことで海と出会う。
早くから海の天賦の才能を目の当たりにし、その恐るべき才能に対して崇拝と強い嫉妬心を同時に抱く複雑な関係となる。海という天才の存在に押し潰されることを懸念した父親の勧めでオーストリアへピアノ留学を果たすが、自らの音楽が「他人との比較や模倣」でしかないことに悩み、一時は重度のスランプに陥った。一時帰国時に海と再会して己の音楽を取り戻し、ショパン国際ピアノコンクールに出場。コンクール中に海のあまりにも純粋な演奏と自らの実力差に直面して一度は二次予選で敗退し、深い確執と孤独に陥るものの、最終的には自身の弱さを認め、海との絆を修復して真のピアニストとして歩み始めた。
主要人物の家族
一ノ瀬 怜子(いちのせ れいこ)
CV:坂本真綾(テレビアニメ)/池脇千鶴(アニメ映画)
海の母親。生まれも育ちも「森の端」であり、昼夜を問わず水商売で生計を立てて海を女手一つで育ててきた。15歳の時に海を出産した若き母親であり、父親が不明であることから周囲からは激しい偏見に晒されている。しかし、喜びも悲しみも分かち合う息子への愛情は非常に深く、常に海を信じて寄り添っている。海の並外れたピアノの才能を純粋に認め、彼を差別することなく心から尊重してくれる阿字野を深く信頼し、大切な息子を預ける決断を下した。コンクール優勝後は「森の端」の住民仲間たちと喫茶店を経営している。
目次 - Contents
- 『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の概要
- 『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』のあらすじ・ストーリー
- 森のピアノ
- 選ばれた手
- 目標はショパンピアノ国際コンクール
- 『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 一ノ瀬 海(いちのせ かい)
- 阿字野 壮介(あじの そうすけ)
- 雨宮 修平(あまみや しゅうへい)
- 主要人物の家族
- 一ノ瀬 怜子(いちのせ れいこ)
- 雨宮 奈美恵(あまみや なみえ)
- 雨宮 洋一郎(あまみや よういちろう)
- 小学校篇
- 田山(たやま)
- 金平 大学(かねひら だいがく)
- 亜理沙(ありさ)
- 丸山 誉子(まるやま たかこ)
- 佐賀 武士(さが たけし)
- 司馬 高太郎(しば こうたろう)
- ベンちゃん
- ピエロのバイトの仲間たち
- カイの成長期篇
- 岸上 冴(きしがみ さえ)
- ジャン・ジャック・セロー
- ショパン・コンクール篇
- 平田 光生(ひらた こうせい)
- 龐 威(パン ウェイ)
- レフ・シマノフスキ
- ソフィ・オルメッソン
- カロル・アダムスキ
- アン・チャンウ
- アン・チャンス
- その他
- ヴィクトリア
- パン・ハオ
- 『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の用語
- おばけピアノ
- 森の端
- 『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 阿字野「この手は、選ばれた手だ」
- 『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 高田純次は本作のファン
- 『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):『海へ』
- ED(エンディング):悠木碧『帰る場所があるということ』(第1期)
- ED(エンディング):村川梨衣『はじまりの場所』(第2期)
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