博多豚骨ラーメンズ(小説・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『博多豚骨ラーメンズ』とは、木崎ちあきによる小説、およびそれを原作とした漫画・アニメなどのメディアミックス作品。
人口の3%が殺し屋の街・博多。犯罪が蔓延するこの街には、殺し屋を専門に殺す『殺し屋殺し』がいるという都市伝説がある。殺し屋業の激戦区で、博多を愛する私立探偵・闇組織に囚われた女装の殺し屋・天才ハッカーの情報屋・殺人請負会社の崖っぷち新人社員・美しすぎる復讐屋・腕ききの拷問師など、個性豊かな裏稼業の男たちが今夜も暗躍する。

『博多豚骨ラーメンズ』の 概要

『博多豚骨ラーメンズ』とは、第20回電撃小説大賞で〈大賞〉を受賞した木崎ちあきの原作小説をもとに、コミック化、アニメ化と広がりをみせる人気作品である。
一見穏やかにみえる博多の街には、人口の3%にも及ぶ殺し屋が潜んでいる。平和な表の街とは一転して、裏では犯罪が蔓延る博多の街は、今や殺し屋業の激戦区となっていた。さらに、殺し屋を専門に殺す『殺し屋殺し(コロシヤゴロシ)』がいるという都市伝説まであった。博多を愛する私立探偵・闇組織に囚われた女装の殺し屋・天才ハッカーの情報屋・殺人請負会社の崖っぷち新人社員・美しすぎる復讐屋・腕ききの拷問師など、個性豊かな裏稼業の男たちがおりなす群像劇。
この作品で作家デビューした木崎ちあきは、福岡出身で趣味はプロ野球観戦ということもあり、作中には実在する福岡の街並みが登場したり野球用語になぞらえて物語が展開したりと木崎の独自性が活かされた小説になっている。
監督は安田賢司、制作はサテライトで作られるアニメでも、博多(福岡)に実在する街並みが数多く描かれ、小気味のいいジャズが流れるなか、テンポよく展開される物語を楽しむことができる。アニメは2018年1月から放送される。

『博多豚骨ラーメンズ』のあらすじ・ストーリー

博多の殺し屋たち

斎藤は元高校球児だったが、就職活動で死球で相手を殺しかけたという話をしたところ、なぜか殺人請負会社に入社してしまった新入社員だ。そんな斎藤は、人口の3%が殺し屋という殺し屋激戦区の博多に左遷されてしまう。博多では殺し屋殺しの「にわか侍」に気を付けるように言われたが、斎藤にはピンとこなかった。

博多で探偵事務所を営む探偵の馬場善治は、刑事の自殺についての調査を依頼されていた。一方、新興マフィア「華九会」に雇われている女装の殺し屋の林は、1日で3件の殺しの依頼を受ける。博多市長に雇われた殺し屋の宗方・麗子・紫乃原・イワノフは、道楽息子の世話を任されており、いつものように女を殺してしまった息子の不始末の片付けを頼まれていた。復讐屋のジロー、復讐屋助手のミサキ、拷問師のホセは、外国人の男から復讐の依頼を受け、斎藤は村瀬純という大学生の殺しを依頼されるのだった。

馬場が情報屋の榎田に自殺した刑事に関係する写真を調べてもらうと、そこに写っていた美人が朝倉麗子という毒殺専門の殺し屋であることがわかった。斎藤は標的である村瀬の家に潜んでいたが、親子を装ってやってきたジローとミサキに村瀬だと勘違いされ、連れ去られてしまう。一方、刑事殺しの報酬に納得がいかない林が事務所へ向かうと、ボスの張に「刑事が死んだのはお前の手柄じゃない。他の殺し屋の仕業だ」と教えられる。そして怒る林に対して張は「金が欲しいならそいつを殺せ」と名刺を渡す。

馬場が探偵事務所に戻ると、殺し屋の林が待っていた。馬場は近くにあった棒で林に殴りかかるが、林はヒールで受け止めると、「確かに俺はお前を殺すように依頼をされたが、殺しに来たんじゃない。守りに来たんだ」と言ったのだった。

にわか侍

林は張に馬場を殺すよう命令されたが、刑事殺しの問題が解決するまで馬場を殺さないと言う。さらに、これから張がよこす殺し屋は自分が殺すと言い、そのまま事務所に居座ってしまった。二人の奇妙な同居生活が始まったが、馬場は裏で榎田に林の身元を調べてもらっていた。そして林が、林憲明(リンシェンミン)という中国の農村部の生まれで、借金のせいで中華系の組織に雇われて殺し屋をしていることを知る。

人違いでジローたちに朝方まで拉致されていた斉藤は、村瀬純ではないことがわかり、解放される。本物の村瀬純は、すでに紫乃原とイワノフに殺されていた。解放された斎藤は、村瀬殺しの報酬して大金が振り込まれたことに喜び、豪遊する。しかし翌日、高級ホテルで目を覚ました斎藤は、隣で裸の女が死んでいるのを見て慌てて逃げ出したのだった。

その頃、林の事情を知った馬場は、林に組織から自由になれるだけの金を渡すという提案をする。林は提案を受け入れ、借金の500万円が用意できたと張に電話をするが、同時にニュースで中国人留学生がホテルで殺されていたというニュースが流れる。斎藤の隣で死んでいたのは、林の実の妹だったのだ。

林は何年も前から自分を裏切り、妹が死ぬ元凶となった張へ復讐するため、華九会の事務所に殴りこんだ。しかし殺し屋のイワノフに襲われ、間一髪で危機を脱する。そこへ林を心配した馬場が現れる。「博多もんはお節介とよ」と言いながら自分に協力してくれる馬場に、林は悔し涙を流すのだった。

一方、斎藤は助けを求めてジローの店を訪れていた。そして「自分に殺しの罪を擦り付けた奴に復讐してほしい」と依頼し、ジローはその依頼を受ける。林殺しに失敗した張は、今度は博多で「殺し屋殺し」と噂の「にわか侍」に林の殺害を依頼する。

林の妹を殺した市長の息子だと知り、復讐を誓う林。馬場と林はブローカーと商品の女性である振りをして、取引現場に向う。上手く市長に雇われた殺し屋の紫乃原に買われた林だったが、閉じ込められていたスーツケースが開くと、そこには張と宗方の姿があった。二人の作戦は敵に筒抜けだったのだ。さらに目の前に馬場の首が転がされ、馬場を殺した「にわか侍」もその場にいた。窮地に陥る林だったが、実はにわか侍の正体は馬場であり、馬場は張や宗方を含めたその場の敵全員をあっという間に切り殺してしまったのだった。

馬場の偽装用の死体の工作でその場に居合わせたジローは、馬場たちの話を聞き、斎藤からの依頼の犯人が市長の息子であることを知る。市長の息子の元へ向かう馬場たち。市長所有のマンションには息子だけでなく麗子がいたが、にわか侍が来るとわかると市長の息子を見捨てた。しかし逃げようとしたところを捕まり、市長の息子は銃を林へ向けて抵抗する。林に煽られ、息子は発砲しようとするが、外から元高校球児の斎藤が投げ込んだ剛速球が直撃し、ダウンした。そして市長の息子は生中継されながらすべてを自白させられ、あとの始末はジローと拷問師のホセに委ねられたのだった。

復讐を終え、林は正式に馬場と組むことになる。そして林はなぜか、ジローやホセ、斎藤など、馬場率いる殺し屋ばかりの草野球チーム「博多豚骨ラーメンズ」に加入させられるのだった。

サブマリン忍者

博多の三大祭りである山笠の季節になり、この時期は馬場も仕事を休む。一方その頃、殺人請負会社のエースである猿渡は代わり映えのない仕事に嫌気が差し、会社を辞めて殺し屋激戦区の博多へ向かっていた。博多でかつて野球の相棒だった新田に再会した猿渡は、殺し屋コンサルタントとしている新田からにわか侍との対戦を持ちかけられる。猿渡をスカウトしてきた華九会が、にわか侍をターゲットにしているというのだ。話を聞いた猿渡は承諾し、新田の指示でアンダースローで手裏剣を投げる「サブマリン忍者」というキャラクターを確立した。一方、馬場の元へも依頼が来るが、山笠で浮かれている馬場の代わりに林がにわか侍として対戦に挑むことになるのだった。

慣れない武器に苦戦する林だったが、勝負の途中でに車に詰め込まれて連れ去られてしまう。猿渡は怒って車を追うが、そこで自分が戦っていたにわか侍が偽物であることを知る。林を攫った男達は、林を囮に本物のにわか侍を呼び出すことを提案した。連絡を受けた馬場は祭りの格好のままにわか侍としてやってくるが、そこへやってきた華九会が馬場を連れて行ってしまった。捕らえられていた林はよく似た死体とすり替えられて逃げ出していたが、馬場が華九会に連れていかれたと知って馬場を元へ向かう。しかしそれよりも先に猿渡が馬場を助けており、敵を全て倒した二人は、ビルの屋上で勝負の仕切り直しをするのだった。

勝負で猿渡はビルから落ちそうになったが、馬場が猿渡の手を掴んで助けた。馬場も猿渡に助けられた恩があったからだ。二人には「野球」という共通点があったこともあり、結局殺し合うようなことにはならなかったのだった。

馬場探偵事務所に人探しの依頼が舞い込んでくる。8年前に行方不明になった少年を探してほしいと言われ、馬場と林が写真を見ると、その少年は見覚えのある独特の髪型をしていた。ちょうどその頃、情報屋の榎田が馬場探偵事務所にやってくる。実は探し人は榎田で、執事だった依頼主の老人は、無事に主人の息子が見つかったことを喜んでいた。一方その頃、サイバーテロ組織がハッカー狩りを行っていた。ターゲットにされてしまった榎田は賞金をかけられ、博多の街を逃げ回る。榎田の身を案じる馬場たちのもとへ、榎田からの暗号の含まれたメッセージがきた。その後、榎田は攫われたが、それは背丈の近い林が入れ替わっており、殺し屋を返り討ちにしていた。こうして榎田の作戦によって、サイバーテロ組織は公安に捕まったのだった。

過去との決別

馬場たちは福岡に残る華九会の幹部を一掃することを決めた。一方その頃、猿渡の友人である新田は海外組織との交渉を進めており、猿渡を組織専属の殺し屋にしようと話を進めていた。そんな新田に提案された条件は、華九会の幹部を始末することだった。幹部を殺された華九会は緋狼(フェイラン)と名乗る腕利きの殺し屋を雇い、殺し屋への報復を始める。そして緋狼は報酬の他に、ある人物を探してほしいと頼むのだった。

緋狼によって殺し屋への報復が始まり、猿渡がターゲットになってしまう。一方、林は平穏な生活の中で殺し屋として訓練を受けていた頃のトラウマを思い出すようになっており、馬場の事務所を出てネットカフェに潜伏していた。そんな時、福岡市内に住む林と同名の男性が次々に殺されるという事件が起こる。緋狼が目的の人間である林に辿り着いたのだ。それが自分へ向けられたメッセージだと気付いた林は、緋狼の元へと向かった。

林は幼い頃から殺し屋としての訓練を受けており、辛い日々を過ごしていた。しかしその頃、心を許せる相棒・緋狼と会った。しかし辛い訓練を乗り越えた最終試験で、二人は殺し合うことになってしまう。林は何とかして二人で乗り越えようとするが、緋狼は林を刺した。緋狼は最初から林のことを邪魔だと思っており、林を殺して一人で施設を出るつもりだったのだ。しかし林は決死の覚悟で緋狼を倒し、試験に合格したのだった。

その緋狼が生きていた。緋狼と再会した林は緋狼を説得しようとするが、緋狼は林に刃を向ける。一度は逃げ出すものの、駆け付けた馬場も捕まり、華九会の本部に連れ去られてしまった。檻に閉じ込められた林と馬場は、かつての緋狼と林のように殺し合うように命じられる。二人は何とかして切り抜けようとするが、その時、建物で大きな爆発が起きた。博多豚骨ラーメンズのメンバーが助けに来たのだ。馬場と林が閉じ込められている場所を榎田が突き止め、馬場と林がロッカーの中に退避している間に爆弾で爆破した。そして乱入した博多豚骨ラーメンズの殺し屋や猿渡たちが雑魚を倒し、凜は過去と決別するために緋狼と戦い、今度こそ緋狼を殺したのだった。

全て終えて戻ってきた林を、博多豚骨ラーメンズのメンバーが出迎える。そして今日も博多豚骨ラーメンズは、猿渡と新田が作った草野球チームと野球の試合をするのだった。

『博多豚骨ラーメンズ』の登場人物・キャラクター

チーム 博多豚骨ラーメンズ

馬場善治(ばんば ぜんじ/CV:小野大輔)

【探偵】博多をこよなく愛する私立探偵で「馬場探偵事務所」を営む。生まれも育ちも博多で、普段から博多弁を話す生粋の九州男児。穏やかな雰囲気の持ち主でいつも猫背。好きなものは、豚骨ラーメンと明太子、そして野球。彼の発案で「博多豚骨ラーメンズ」という野球チームが結成され、現在も練習や試合などの活動を行っている。

林憲明(リン シェンミン/CV:梶裕貴)

【殺し屋】19歳の殺し屋の青年。ロングの金髪で女装をしているがこれはあくまで趣味であり、勝気な性格で言葉も男言葉を話す。刃物使いで、主にピストルを仕込んだナイフを使っている。
流暢に日本語を話すが、出身は中国。幼い頃は母と妹の3人で暮らしていたが、貧困から2人を救うため自らの身を売る。9歳から殺し屋の訓練を受け、新興マフィア「華九会」で殺しの仕事をしていた。家族へ仕送りを続けていたが、実は母親は5年前に既に死亡しており、組織の幹部に金を横取りされていた。さらに大切な妹・僑梅(チャオメイ)も、組織による人身売買の末に無残に殺害されたことから、組織と妹を殺した犯人へ復讐することを決め、実行する。その際、馬場に力を借りる。その時の報酬である「明太子5年分」を払うため、現在は馬場の探偵事務所に居候し、彼の手伝いやフリーで殺し屋の仕事をしている。

榎田(えのきだ/CV:小野賢章)

【情報屋】福岡のネットカフェを根城に活動する、天才ハッカーの情報屋。かつて海外のハッカー集団に所属していた。金髪のマッシュルームヘアーで派手な服装の小柄な青年。小型の発信機などを作ることも得意。

斉藤(さいとう/CV:小林裕介)

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