ガヴリールドロップアウト(ガヴドロ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ガヴリールドロップアウト(Gabriel DropOut)』は、うかみによる漫画作品。『コミック電撃だいおうじ』にて連載中。2017年7月現在でコミック単行本は4巻まで発売されている。そして2017年1月から3月には、これを原作としたアニメ作品が全12話にわたり放送された。修行のために下界(=人間の住む世界)に下り立った天使と悪魔の少女たちの、明るく、コミカルで賑やかな日常を描いている。

サターニャの天敵とも言うべき、何の変哲もない、普通の白い中型犬。
サターニャの弁当やメロンパンを奪取すべく、どこからともなくあらわれ、サターニャを翻弄する。
原作とは異なり、アニメでは大幅に登場回数が増えており、最終的には保健所に引き取られそうになったところをサターニャに助けられ、彼女に使い魔として飼育されるようになっている。

先生(CV:小山 剛志)

出典: colorful01.com

ガヴリール達のクラスの担任教師。サングラスをかけ、しかもスキンヘッドなので、見た目はとても怖い印象を与える。
サターニャのふざけた態度に対しては、しっかりと叱り、罰を与えている。
ただ一方で、ハロウィンに自宅にやって来たガヴリール達に対してはお菓子を渡すなど、律儀な性格の持ち主でもある。

『ガヴリールドロップアウト』のあらすじ・ストーリー

天界(天使や神々が住まうとされている世界)から下界(人間が住む世界)へと、修行のために下り立ったガヴリール。
天使学校を首席で卒業した彼女は、下界でも品行方正な態度で人々のためになる行為に励んでいた。
そんなある日、ガヴリールはパソコン画面の中で助けを呼ぶ人の姿を目撃してしまう。
それは不特定多数の人が集い、協力プレイを繰り広げていくネットゲームで回復を求める人だった。
困っている人を放っておくことなどできない、真面目な天使であった彼女は、その人を助けるためにネットゲームに挑戦する。
回復ができるキャラクターでネットゲームの世界に飛び込んだガヴリール。
回復を求めていた人を助けたガヴリールに対し、その見た目の可愛らしさもあいまって、ゲームに参加していた人からは称賛の声が寄せられる。

そしてガヴリールは、見事にネットゲームの世界にのめり込んでしまう。
天使としての姿など微塵も感じさせない、自堕落極まりない駄目な天使へと変貌してしまったガヴリール。
そんなガヴリールを何かと気にかけてくれているのが、下界で同じ学校に通う、地獄から修行にやって来ている悪魔の少女、ヴィーネだった。

ガヴリールが下界で通っている学校には、他にも悪魔の少女、サターニャと天使の少女で、天使学校ではガヴリールと同期であったラフィエルも在籍していた。
ある時、ラフィエルは道すがら、メロンパンを犬に奪われそうになりあたふたしているサターニャを目撃する。
他人をからかうのが大好きなラフィエルは、サターニャのその姿に、いじり甲斐があり面白そうとひとり頬を緩ませる。

ガヴリールを勝手にライバル視しているサターニャは、昼ごはん時になるといつも教室から姿を消してしまう。
それが気になっていたガヴリールとヴィーネがサターニャの後をつけると、サターニャは屋上に続く階段でひとり、ご飯を昼食をとっていた。
そんなサターニャをヴィーネは学食に誘う。
しかしそこで、サータニャは唐辛子を山盛りにかけたうどんを美味しいと食してしまうほどの味覚音痴であることが明らかにされる。
サターニャの味覚音痴は、調理実習の授業で作り上げた、もはや何だかわからない料理を美味しく平らげてしまうほどのものだった。

サターニャをいじりたくて仕方ないラフィエルは、ある晩、こっそりとサターニャが生活しているマンションの一室に忍び込む。
ラフィエルを警戒しているサターニャだが、ラフィエルを自分の手下にすることで、あっさりとその警戒心を緩めてしまう。
かくして手下であるラフィエルに使い走りを命令するが、逆にラフィエルから、その見本を見せて欲しいと頼まれる。
そして気がつけば、サターニャがラフィエルの手下のような扱いになってしまっていた。

ネットゲームにはまってしまい、課金(ネットゲームでは、攻略やゲーム進行に有利なアイテムなどを購入することができる)を続けていたガヴリールは、お金を稼ぐためにアルバイトを開始する。バイト先は喫茶店。
だが勤労意欲がないガヴリールは、お客さん相手にまともに注文を取ることすらできない。
それでも喫茶店のマスターはやさしく指導するが、とうとうガヴリールは、本来、約束していたはずの週2日以上働く、と言う話を完全に拒否してしまう。
落ち込むマスターだったが、ある日、客としてやってきたヴィーネにコーヒーの味を誉められ、どうにかマスターの心は癒やされたのだった。

夏休みを前に、海に行く計画で盛り上がるガヴリール、ヴィーネ、ラフィエル。
その仲間に入れて欲しいサターニャは、3人の前で露骨に、夏休みは暇だとアピールする。
誘ってほしいと言うサターニャの気持ちを見抜いたガヴリールとラフィエルは、あえてサターニャを誘わず、自分たちだけで海に行くことを告げる。
しかし最後は、ヴィーネがしっかりとサターニャを誘い、サターニャは喜ぶ。

海にやってきたガヴリール達は海を満喫する。そして夏休みも終盤。
しっかり宿題を終えていたヴィーネのもとに、ガヴリールとサターニャ、ラフィエルがやって来る。
宿題をまだ終わらせていないガヴリールとサターニャは、ヴィーネとラフィエルの力を借りつつ、宿題を終わらせるために奮闘する。
そんな中、ヴィーネから語られたのは、ヴィーネとガヴリール出会いだった。

まだ天使らしい天使だったガヴリールが、道に迷っていたヴィーネに道案内をしたのが、ふたりの出会いのきっかけだった。
そこでガヴリールが、ヴィーネに対して友達になって欲しい、とお願いしたことで、ふたりの関係はスタートしたのだ。

ガヴリールに強い憧れを抱く天使の少女、タプリスが下界へとやって来た。
だがガヴリールと再会を果たしたタプリスは、真面目で品行方正だったガヴリールの、自堕落な姿にショックを受ける。
そんなタプリスに、ラフィエルは、ガヴリールがあれほど堕落しきってしまったのは、悪魔サターニャがガヴリールをたぶらかしたせいだと嘘を吐く。

かくしてサターニャとタプリスは、互いがラフィエルに騙されているのだと知らないまま、ガヴリールの命運をかけてババ抜き対決をすることになる。
勝負は、真面目ゆえポーカーフェイスを作ることができず、ババを持っていることを見抜かれてしまったタプリスの負け。
傷心のタプリスを、ヴィーネがやさしく癒やす。
ガヴリールの面倒を見て、また自分にも優しくしてくれたヴィーネが悪魔だと知り、タプリスはまた衝撃を受けるのだった。

ガヴリールにいつも馬鹿にされ、無下に扱われているサターニャは、ガヴリールに一泡吹かせるべく、魔界の通販で銃を購入する。
それは撃たれると笑いが止まらなくなると言う銃だった。
脅しのつもりでそれをガヴリールに向けるサターニャ。
するとガヴリールはおとなしく降参し、サターニャは一矢報いた、と大満足。
しかしその直後、サターニャはガヴリールに言いくるめられ、あっさり銃を手渡してしまい、ガヴリールにその銃で撃たれてしまう。
かくしてサターニャは笑いが止まらなくなってしまい、授業中、担任教師である先生にひどく叱られてしまう。

ハロウィン。
コスプレ衣装に身を包んだガヴリール、ヴィーネ、サターニャ、ラフィエル。
そこでサターニャは、自分をひどく叱った担任教師の先生に逆襲すべく、その自宅を訪れる。
しかし担任教師の先生は、ガヴリール達にお菓子をプレゼントする。更にサターニャに対しては、メロンパンまで用意してくれていた。
だがそのメロンパンは、いつものようにどこからともなくやってきた犬によって強奪されてしまう。

退廃的とも言えるほど、自堕落でネトゲ三昧の日々を送るガヴリール。
彼女とは対照的に、規則正しく、丁寧な生活を送るヴィーネ。
しかし天使であるのに奉仕活動を全く行っていないガヴリールは天界からの入金が、そして悪魔であるのに悪いことを全く行っていないヴィーネは地獄からの入金が全く行われていないことに危機感を抱く。
(天使は良いことをすることで、天界からお金が振り込まれる。そして悪魔は、悪いことをすることで地獄からお金が振り込まれる。修行中の天使、悪魔は、そのお金をもとに、下界での生活を送っていると言う仕組み。)

早速、悪いことをしよう、と意気込むヴィーネ。
しかし根が真面目な彼女は、ボールペンの芯を出しっぱなしにする、授業中にノートをとらないと言ったことにすら、強い躊躇いを覚えてしまう。
だが、そんなヴィーネの小さな悪事に、サターニャだけは気が付いていた。
サターニャから、小さな悪事を指摘されたヴィーネは喜ぶも、地獄からの入金はゼロのままだった。

そんなヴィーネは風邪をひいてしまい、サターニャ、ラフィエル、そしてガヴリールが見舞いに訪れる。
ガヴリールの見舞いの目的が、宿題をやってもらうことであるのを知ったヴィーネは、呆れてしまう。
だがそれでも、お金がない中、自分のためにお見舞いの品を購入してきてくれたことをヴィーネは知る。

ガヴリール達の学生生活は、毎日がとても賑やかなものだった。
先生との予行面談では、ガヴリールがわざと渡したおもしろ面接大全集と書かれた本を参考にしたサターニャが、先生を前にとんちんかんな会話を繰り広げる。そして最後は、当然、先生にこっぴどく叱られる。
食費がピンチのガヴリールは、料理部にお邪魔し、他人丼とパフェを食べる。ガヴリールは、天使である自分を助けたお礼だと、料理部の部員に天国行きを約束する。
そしてある雨の日。傘を持っていなかったため、ラフィエルと相合傘で帰宅することになったサターニャ。ラフィエルが何かしかけてくるのではないか、と警戒心一杯のサータニャだったが、それに反して、ラフィエルは特に何もしかけてはこなかった。だが、普段からラフィエルにおもちゃ扱いされているサターニャは、ラフィエルが苦手としている蛙を捕まえ、ラフィエルに近づくことで少しだけ、復讐を果たすことができたのだった。

クリスマス、お正月も仲良く、4人で過ごしたガヴリール達。
お正月では、初詣先で甘酒をふるまわれたガヴリールが酔っぱらってしまい、世界を滅亡させるラッパを取り出し、危うく人類は滅亡の危機にさらされた。
そして年明け早々、ガヴリールとラフィエルは天界へ、ヴィーネとサターニャは地獄へと里帰りすることになる。

天界にゲーム機を持ち込もうとしていたガヴリールの目論見は、天界の入り口で行われる持ち物検査であえなく破れてしまう。
実家へと帰宅したガヴリールを出迎えたのは、妹のハニエル。
おはじきやあやとりと言った、古すぎる遊びに喜ぶハニエルに悲しい思いを抱きつつ、ガヴリールは妹とのひと時を過ごす。
一方、サターニャは父親、母親、そして弟ともに楽しいひと時を過ごしていた。

そしてヴィーネは、一年前に拾ったペットのチャッピーの成長した巨大な姿に驚く。
お嬢様であり、立派なお屋敷に住むラフィエルは、自分の着替え、更には入浴まで覗こうとする執事に怒りをあらわにする。
その後、ガヴリールとラフィエルは、天使学校の校長に下界での生活の様子を報告しに行く。
ガヴリールはネットゲームでの人助けを実社会での人助けとして報告し、見事、仕送り額の増額にこぎつけることに成功する。

下界へと戻ってきたガヴリール達。
ある日、サターニャの天敵である犬が、保健所に連れて行かれそうになってしまう。
それを目撃していたサターニャは、天敵であるはずの犬を引き取り、自分で面倒を見ようと決心する。
しかし現在の住まいでは犬を飼うことはできない。
新しい住まいを得たくてもお金がないサターニャはどうすることもできず、犬と共に放浪の旅に出ることに。

サターニャが現在、住んでいるアパートのオーナーが、バイトしている喫茶店のマスターであったことを知ったガヴリール。
サターニャと犬が一緒に生活する代わりに、自分のバイトの日数を週2日に増やしてもいい、と言う条件をガヴリールはマスターに提案し、マスターはそれを了承する。かくしてサターニャは、無事、犬と生活できるようになった。

そんなガヴリールに、タプリスから衝撃の情報が告げられる。
それはガヴリールの姉であるゼルエルが、ガヴリールのもとにやって来ると言う情報だった。
天使として強力な力を持ち、また非常に他人に対しても、自分に対しても厳しいゼルエルの来訪予定に、ガヴリールは慌てふためく。

そして下界へと下り立ったゼルエルは、ガヴリールの住むアパートを訪れる。
猫耳を付け、可愛らしい妹を演じて、ゼルエルを迎えるガヴリール。その場には、ヴィーネとラフィエルも同席していた。
大量のごみは押入れの中に突っ込み、それと同時に、同席していると色々とうるさいことになりそうだと言う理由のため、サターニャも押し入れの中に押し込まれていた。
しかし飛び出してきた大量のごみとサターニャに、ゼルエルは、ガヴリールが自堕落な生活を送っていたことなど見抜いていたと告げる。
ガヴリールはゼルエルに渾身の土下座をするも、ゼルエルにより天界へと連れ戻されてしまう。

一週間後。
皆の前に姿を見せたガヴリールは、真面目で思いやりにあふれ、天使らしい天使、天使学校主席卒業生の頃の姿に戻っていた。
だがヴィーネやサターニャは、どうもそんなガヴリールに物足りなさを感じてしまう。

しかしこれは、ガヴリールの、ゼルエルを騙すための演技だった。
それをヴィーネ、サターニャ、ラフィエルの前で告白したガヴリールの前に、ゼルエルが降臨。
ガヴリールの演技も見抜いていた、と告げ怒りをあらわにするゼルエル。
そんなゼルエルに対し、ガヴリールは、天界には戻りたくない、下界でできた大切な友達と別れたくない、と訴える。

するとゼルエルは、涙を流してガヴリールの言葉を受け入れる。天界に連れ戻されなくて済んだ、と喜ぶガヴリール。
しかしゼルエルは、ならば自分も下界で、ガヴリールと共に生活をして、ガヴリールを見守ると告げる。
信じられない展開に言葉を失うガヴリール。
だが、その直後、やって来た犬にゼルエルは怯える。
犬がとても苦手であったゼルエルは、天界へとあっさりと戻ってしまい、こうしてガヴリールの自堕落な生活は守られたのだった。

作品の見どころ

天使と悪魔のイメージを覆す登場人物・キャラクターが繰り広げる日常

真面目で清らか。品行方正で、一途で、慈愛に満ち、迷える人間を正しき道へと導いてくれる天使。
不真面目で堕落しており、狡猾で悪知恵を働かせ、人間に対して悪しき誘いを行おうとする悪魔。
勿論、一概に断定することはできないが、多くの人は天使と悪魔に対して、そのようなイメージを持っているのではないだろうか。

そんなイメージを逆手にとって、それとはまったく正反対のキャラクターたちが繰り広げる物語こそが、今作の最大の見どころである。
天使なのに不真面目なガヴリール。天使なのに人をからかいトラブルを引き起こすのが大好きなラフィエル。
悪魔なのにやさしく真面目なヴィーネ。悪魔なのに単純ですぐに乗せられ、騙されてしまうサターニャ。

4人の天使と悪魔の少女たちが繰り広げる物語は『ガヴリールとヴィーネ、本当に天使なのはヴィーネなんじゃないの?』『実は誰よりも悪魔なのは、ラフィエルの方じゃないの?』『こんなにも単純で騙されやすいサターニャが悪魔なんて信じられない』と言った、イメージとキャラクターのギャップがもたらす驚きすら感じさせるくらいである。

ガヴリールの魅力が堪能できる回

出典: pbs.twimg.com

もともとはこんなにも清らかな天使だったガヴリール。

ガヴリールは本作の主人公なので、全編通して、彼女の魅力はたっぷりと描かれていると言える。
だがやはり、第1話における天使らしい天使だったガヴリールと、その僅か数分後に描かれる、自堕落な駄天使になってしまったガヴリールの姿、そのギャップは、相当に強烈なものがあるので見ものである。

堕落しきっており、ネトゲ以外には興味がないガヴリール。
しかしそんな彼女でも厳しい姉、ゼルエルの訪問に怯え、慌てふためく。
12話では、ゼルエルを騙すべく、天使らしい振る舞いを演技するガヴリールも見ることができるので、これまでの自堕落極まりないガヴリールに慣れていた視聴者にとっては、新鮮さすら覚えることだろう。

ヴィーネの魅力が堪能できる回

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