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tobe0or0nottobe8のレビュー・評価・感想

戦車闘争
8

コマーシャルフィルム出身の辻豊史監督が初めて撮った社会派の傑作ドキュメンタリー『戦車闘争』

『戦車闘争』は、2020年製作・公開の辻豊史監督の日本映画です。副題は『SAGAMIHARA, YOKOHAMA 1972-20XX』。プロデューサーの小池和洋が企画、調査を行い、54人の証言者を集め、インタビューを行いました。1972年、神奈川県相模原市から横浜市にかけて起こった戦車搬出阻止闘争に関する政治ドキュメンタリーとして仕上がっています。
1972年の政治闘争・戦車搬出阻止闘争に参加した一般市民をはじめ、当時、運動を阻んだ機動隊(警察官)、米軍から依頼されて搬出を行った日本の輸送業者、また運動の中心となった相模原・西門交差点付近の地元商店の人々などにインタビューを行い、戦車闘争という事象をどのように捉え得るかについて、政治評論家、研究者、歴史家、ジャーナリスト、政治家、政治家秘書、作家などに意見を求めています。当時に撮影された8ミリフィルムの映像をはじめ、写真、新聞記事、図表、イラスト、テロップなどが使用されています。情報集めは、本作の構想を数年にわたり温め、入念に準備を重ねて来たプロデューサー小池和洋が、居住している相模原市の人脈や地の利を活かしたことで実現しました。ナレーターの泉谷しげるも、映画に登場し、当時の相模原や新宿フォークゲリラの様子などを語っています。
マエキタミヤコは、「きわどい内容なのに、ほのぼのした不思議なテイスト」と評し、「リズミックな編集、BGMにトボけたピアノ、超絶技巧のドラム、引き伸ばされたような音のギター」を使用したことに特色を指摘しました。また、通常は隠されるべき照明やマイク、カメラ、インタビュアなどが平気で画面に映り込むマルチカメラの撮影方法などを「隙があり、フレームが溶けている」と評してもいます。

Kitri / キトリ
8

懐かしくも新しい、唯一無二の音楽

Kitri(キトリ)は、姉のMonaと妹のHinaから成るボーカルユニット。
ピアノの連弾と姉妹二人のボーカルが奏でる、切なくもあたたかな音楽が特徴です。
姉妹ともにクラシックピアノを学んでいたことから、クラシックの技法をポップスに落とし込むという、斬新な手法で多くの楽曲を生み出しています。

一台のピアノと、二人の女性の声だけで構成されているとは思えない深みのある楽曲は、聴いているととても清らかでリラックスした気持ちにさせてくれます。
クラシックが元ということで、とっつきにくい印象を持たれるかもしれませんが、そこはきちんと現代人に向けた音楽にアレンジされており、個性的だがすっと耳に馴染むメロディーは、聴く人を瞬時にKitriの世界観へと引き込み虜にしてくれるでしょう。

ピアノ一辺倒というわけではなく、二人を見出した大橋トリオがアレンジに参加した楽曲や、妹のHinaがギターやパーカッションを担当した楽曲もあり、常に新しいことに挑戦しているユニットでもあります。

2019年に日本コロムビアからメジャーデビューを果たしたばかりで、映画「“隠れビッチ”やってました。」の主題歌や、アニメ「古見さんは、コミュ症です。」のEDテーマに起用されるなど、じわじわと人気を集めています。

ハマる人にはハマる、そんな独特の世界観を持っているので、興味がある方はぜひ一度楽曲を聴いてみてください。
youtubeで何曲か視聴することが可能です。

おじさまと猫
4

猫を飼っていないなら楽しめる

最愛の妻を無くし人生に落胆していた元ピアニストが、ブサイクを理由に処分寸前で人生に落胆していた猫とペットショップで運命の出会いをし、お互いに寂しかった人生が変わっていく。という理想的なストーリーで始まる漫画。主人公の「おじさま」こと神田冬樹も「ブサイク猫」のふくまるも心優しい性格で、ストーリーも非の付け所がないような美しい話だ。読んでいるだけで幸せな気分になる良い内容である。
だが、おじさまの描写も猫の描写もあまりにも夢物語すぎて、実際に猫を飼ったことのある人には、ここぞという楽しみ方や共感ができない。猫がいるだけで癒やされるという生活の満ち足り方や、要所要所で描かれる猫の可愛い仕草には共感できるが、ふくまるのモノローグに流れるあまりにも人間チックな語り草にはまるで猫らしさが感じられない。また主人公のおじさまやその周辺人物、亡くなった元妻などが聖人すぎて、日常の一コマという場面にもリアリティが一切感じられない。その上でお涙頂戴ストーリーを展開してくるので、読んでいる最中に白けてきてしまうというのが正直な感想だ。
しかし2020年から始まったテレビ東京が実写化したドラマは秀逸である。そのリアリティのなさを、草刈正雄というまたリアリティのないダンディな俳優と、ぬいぐるみを使ったふくまるの再現というリアリティのなさで、上手にパロディ化していて、余計な事を考えずにすんなりと感情移入ができるようになった。見るならドラマがおすすめである。