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stranger3のレビュー・評価・感想

メイドインアビス / Made in Abyss
8

深淵(アビス)へ挑む少年少女たちのスペクトラム冒険譚

ゲーム会社コナミの元イラストレータであるつくしあきひと氏が美麗に描き上げた『メイドインアビス』。
年2回程度の不定期連載でありながら、アニメ2期放送、映画化、さらにはゲーム化もなされるなど、根強い人気をもつファンタジーマンガである。
過去の勤務経験が生かされているのか、アビスに現れる怪物たちはいずれも恐ろしいながら魅力的な見た目をしている。
孤児院に暮らす主人公・リコは、探窟の最中命の危機に見舞われたところを、人間そっくりのロボット・レグに助けられる。
その後、大物探窟家である母・ライザから「奈落の底で待つ」と書かれた封書が孤児院に届くと、リコは行方知れずの母親に会うために、そして、レグの正体を知るために、危険だとされるアビスの深層に潜っていく。
アビスと呼ばれるこの物語の舞台は深い深い縦穴で「遺物」を多く持つことから、何人もの探窟家が挑んでいる。
この蠱惑的な空間では、さまざまな困難によって行く手が遮られる。
恐ろしい魔物、上昇負荷によるめまいと吐き気など通称「アビスの呪い」。
待ち受ける苛烈な運命と、たくさんの人やモノとの出会いで物語は深度を増していく。
絵本のような美しいカラーの表紙と、繊細な絵はぜひ電子書籍の大きな画面で見てみてほしい。
また、特筆すべきはカバー裏のおまけ。見る人を選ぶものの、つくしあきひと先生のキャラクター愛のつまった絵を見ることができる。コミックスならではの遊び心も楽しみたい。

モンスターハンターライズ / モンハンライズ / MONSTER HUNTER RISE / モンスターハンターライズ:サンブレイク / MONSTER HUNTER RISE:SUNBREAK
9

前作に比べて圧倒的なボリューム!

『モンスターハンターライズ:サンブレイク』は、結論からいうと、とても面白いです。
前作の『モンスターハンターライズ』では、ボリュームの少なさが問題視されており、私もボリューム不足により、すぐに飽きてしまいました。
しかし、『モンスターハンターライズ:サンブレイク』はボリューム満載です。
多くの新モンスター、復活モンスター追加によって、前作よりも多くのクエスト、狩猟を楽しめます。
また、モンスターの追加にともなって、装備も多く追加されました。
新スキルなどの登場もあり、今まではテンプレートの装備しか火力がなく、強いモンスターに挑むことはできませんでした。
しかし、『モンスターハンターライズ:サンブレイク』は、自分の好きな装備構成で戦うことができ、戦闘スタイルも多く増えました。
例えば、私は太刀を使います。
前作は、飛翔居合抜刀型の戦闘スタイルしかありませんでした。
それが今作では、円形飛翔居合抜刀型、桜花威合特化型、剛鬼刃威合特化型、円形水月型など、太刀だけでも戦闘スタイルがとにかく多いです。
また、傀異化モンスターも追加され、この傀異化モンスターがとても強いです。
油断するとすぐに力尽き、クエスト失敗になります。
その傀異化モンスターをいかに速く倒すことができるかなどの、タイムアタックもとても面白いです。
『モンスターハンターライズ:サンブレイク』は、とにかくやり込み要素が多く、自分だけの戦闘スタイルを編み出すことができるので、おすすめです。

ヨルシカ / Yorushika
8

心を揺さぶる歌声とメロディー

ヨルシカは、作曲家であるn-buna、ボーカルのsuisによる男女二人組のロックバンドである。ジャンルはjポップではなく、ロックバンドとして扱われる。初めは敷居が高いと思い敬遠していたが、一度アルバムを手に取ってから、ヨルシカの大ファンになってしまった。ロックといっても、曲調は本当に様々。バラードだったり、日常を歌ったような素朴なものもあるが、曲の全てにギターが入っている。このギターが絶妙なメロディーを奏でる。Cメロを担当していたり、大切な歌詞の中に合わさるその音は、何度聞いていても鳥肌が立ってしまう。私は音楽的なものに疎いが、この人の曲は胸を揺さぶられるようなフレーズが、必ずどこかに存在する。ハッキリ言ってしまえば、好きな部分、という意味だ。ボーカルsuisの歌い方も良い。ヨルシカは考察が必要な歌詞も多い。一つのアルバムごと、テーマがあり、そこにはキャラクターが存在し、まるで小説を読んでいるかのような心持になる。「だから僕は音楽を止めた」「エルマ」は二枚で一つの小説となっている。アルバムを聞き終えてから涙が流れる。ボーカルのsuisはそれらの歌詞を心から奏でようとする。激しい曲は激しく、低い声で、優しい曲はささやかな朝陽のような、柔らかさをもって歌う。それら全てが一つに凝縮し、この世に一つとも存在しない作品となる。ぜひ一度、聞いてみて欲しい。

3月のライオン / March Comes in Like a Lion
9

自分の居場所を探す長い長い冒険譚

はじめに、本作品は将棋を題材にしていますが、将棋のルールを知らなくても楽しむことができる作品になっています。
主人公の男の子は中学生で将棋のプロになった天才少年。物語は主人公が17歳で高校に編入した所から始まります。
一人暮らしで生活していましたが、とある出来事がきっかけで可愛らしい3姉妹(年少、中学生、社会人)+おじいちゃんの4人で暮らしている家庭と仲良くなることに。どちらの家庭も父母がおらず、特に主人公である少年は心に深い傷と孤独を抱えながら生きてきましたが、3姉妹と接する事で徐々に自身の居場所を得られていきます。
人間関係にスポットをあてている作品ですので、将棋の対戦相手になる人物一人ひとりにも細かな背景があり魅力的かつ個性的なキャラがたくさんいます。将棋のルールを知らなくても楽しめると最初に書きましたが、知っているとさらに楽しめるのは間違いありません。明らかに実際の棋士をモデルにしていると思われるキャラもたくさん登場します。
作品が進むことで孤独から少しずつ解放されていく主人公。ただ、孤独だからこそ得られていた強みを失うことへの葛藤。
私は男ですが、女性作家はここまで人の心理描写を細かく描くのかと感動すら覚えます。
間違いなく、男女問わずおすすめできる作品です!