自分の居場所を探す長い長い冒険譚
はじめに、本作品は将棋を題材にしていますが、将棋のルールを知らなくても楽しむことができる作品になっています。
主人公の男の子は中学生で将棋のプロになった天才少年。物語は主人公が17歳で高校に編入した所から始まります。
一人暮らしで生活していましたが、とある出来事がきっかけで可愛らしい3姉妹(年少、中学生、社会人)+おじいちゃんの4人で暮らしている家庭と仲良くなることに。どちらの家庭も父母がおらず、特に主人公である少年は心に深い傷と孤独を抱えながら生きてきましたが、3姉妹と接する事で徐々に自身の居場所を得られていきます。
人間関係にスポットをあてている作品ですので、将棋の対戦相手になる人物一人ひとりにも細かな背景があり魅力的かつ個性的なキャラがたくさんいます。将棋のルールを知らなくても楽しめると最初に書きましたが、知っているとさらに楽しめるのは間違いありません。明らかに実際の棋士をモデルにしていると思われるキャラもたくさん登場します。
作品が進むことで孤独から少しずつ解放されていく主人公。ただ、孤独だからこそ得られていた強みを失うことへの葛藤。
私は男ですが、女性作家はここまで人の心理描写を細かく描くのかと感動すら覚えます。
間違いなく、男女問わずおすすめできる作品です!