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serra4442のレビュー・評価・感想

Blu-BiLLioN / ブルビリ
10

逆境を乗り越えるバンド

2020年4月5日に解散をするはずのバンドがいた。
それがレジスターレコーズ所属のBlu-BiLLioNだ。
彼らはバンドの節目となるライブで記録的大雪に見舞われ、バースデーライブでは台風で延期など、度重なる様々な不遇を乗り越えながら活動を行ってきた。
だが、ドラマーであるSeikaのジストニアが悪化し、2019年1月に活動休止。
同年5月に活動再開をするが、Seikaよりジストニア悪化のため脱退を申し入れるも「このメンバー以外では考えられない」と言う残されたメンバーの強い意志から惜しくも2020年をもって活動の幕を下ろすこととなった。
ボーカリストであるミケの歌声は、クリアで真っ直ぐな「歌もの」の楽曲に相応しいものであり、楽曲やサウンドはその歌声を引き立てるものが多く、心地良く耳触りの良いサウンドに恵まれている。
キラキラとした存在の彼らの楽曲は、自分たちの夢や目標を歌ったものから、ファンへ対するラブレターをはじめ、聴いた人の手を取って一緒に歩んでくれるあたたかさを感じる。
特に、音源化としては最後になってしまった「Best-BiLLioN」に収録されている「HOME」には、バンド自身だけでなくファンへの想いやメッセージも感じ取れる言葉が連なり、作詞者であるミケの強い意志や想いを感じた。
ライブでは、バンドのカラーである青いペンライトでファンがフロアを輝かせたり、タオルを回して走り回ることもある。EDMを取り込み「S.O.S.ダンス」と呼ばれるダンスをすることもある。
また、音源化された楽曲の多くがリメイクをされ、全く異なった印象を与えることもあり、楽曲が育てられていく楽しみを感じ取ることもできる。
ライブの代表曲である「Ready?」では、落ちサビではじめはミケがオーディエンスに向けて言っていた「上手のみんなでせーの!」などの煽りをファンであるcoloursが茶化して真似をすることが定着し、イベントライブなどで他のバンドのファンを驚かせることもあり、それもひとつの風物詩となっている。
楽しむことは勿論、バンドとファンの絆が強く互いに信頼し合っていることが伝わってくる、そんなステージを魅せてくれるBlu-BiLLioNの解散ライブツアーは、ツアーファイナルのチケットが即日完売したことにより、O-EASTでの追加公演が決定した。
また、新型コロナウイルスの影響によりツアー自体も中止の危機に直面したが、残り公演(大阪・名古屋・北海道・下北沢)は延期となった。
時は無限ではないが、Blu-BiLLioNによる無限の可能性を、20年以上最前線で活躍してきたSeikaのドラマー人生のすべてを、是非目撃しに来てほしい。

終焉ノ栞
8

都市伝説に翻弄される少年少女の悲劇

都市伝説を題材にしたホラー&ミステリー。主人公はある高校で活動している「オカルト研究会」の四人の生徒。噂とオカルトが好きな少年・A弥を筆頭に、B子、C太、D音が旧校舎の音楽室に集まり、一つの都市伝説「終焉ノ栞」を調べていた。ある日、十年前に死んだ生徒達の交換日記を元に「終焉ノ本」及び「終焉ノ栞」を入手する方法を試すが、その後「失敗した」彼らは死の「終焉ゲーム」に巻き込まれ……。この終焉ゲームの中で「ひとり隠れんぼ」「ドッペルゲンガー」「メリーさんの電話」「猿の手」と四つの有名な都市伝説が出て来るので、オカルトや都市伝説好きにはオススメのマンガ。
ゲームの中に潜む「裏切者」「キツネ」という存在によって四人の少年少女は疑心暗鬼に陥り、ついには四人の中で殺し合いが始まってしまう。
また、物語の中盤では十年前に旧校舎で活動した「映画研究会」の五人の生徒が登場し、「十年前編」として事件当時の出来事が次々に明かされていく。
元々はニコニコ動画で発表されたボカロの楽曲シリーズ「終焉ノ栞プロジェクト」で、アルバム・書籍化もされている。マンガだけでなく、楽曲や小説と照らし合わせるとなお面白いものになるはず。
個人的には楽しめた作品だが、読む人を選ぶ作品でもあるため好き嫌いが分かれるかもしれない。

封神演義 / Hoshin Engi / Soul Hunter
10

古代中国の歴史を現代でもわかりやすく表現した漫画

舞台は古代中国、殷。妖怪と仙人、人間たちが存在している物語。主人公は一人の道士、太公望。
それまで栄えていた殷王朝に妖怪仙人である絶世の美女:妲己とその部下達が現れ、殷の国王は魅入られ操り人形にされてしまう。
王は妲己の望むままに悪逆非道を続け、民は虐げられていく。
その妲己の行いにとうとう仙人の長が動き出す。
自分の弟子である太公望に、人間の世界で悪さをする妲己、その部下達である妖怪仙人を倒す「封神計画」を命じた。
最大の敵である妲己を倒すため仲間を集めながら奔走する太公望。
ただし妲己を倒すだけでは済まないところまで来てしまった。
操られているとはいえ、悪逆非道の数々を行ってきた殷の国王に、民の信頼はもはやどこにもなかった。
新しい王を立てなければ。太公望が新しい王に選んだのは西の地方を統治する姫昌という皆に慕われた人物。
だが彼は過去、妲己の策略により食を受け付けず、衰弱死してしまう。
その後彼の後継者として次男:姫発(武王)が矢面に立つことになった。
太公望は妲己と殷の国王を倒し新たな王を立てればこの国はよくなる、そう思い邁進していたが敵対するのは妲己だけではなかった。
300年以上殷の王に仕えてきた仙人、聞仲。そしてバックには妖怪仙人達。
彼らを倒すべく頭脳を駆使し、仲間と戦っていく。
当初の目的である殷の国王は倒し、新しい王が立った。
だがそれで終わりではなかった。
妲己の本当の目的、そして主人公、太公望の真実が明かされる。