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rule-hikoz5のレビュー・評価・感想

パプリカ / Paprika
8

圧倒的映像の波に乗れ

今敏監督のアニメ長編映画。夢の世界を舞台にしたサスペンス。見どころは夢ならではのシュールな世界や、現実ではありえない世界を縦横無尽に描きつくした映像!特に主人公がホテルである人物を追いかけるシーンは後のクリストファー・ノーラン監督が『インセプション』でオマージュしたほどの完成度で必見。
物語はすこしわかりづらく、つじつまもあっているのかよくわからない所もあるが、全体として映像の勢いに圧倒され、そんなことは気にならない。
夢の世界も象徴的で、鑑賞後の考察が楽しい。秘めた欲望やトラウマ、精神的な混乱など、心で起きる様々な現象を視覚的に、わかりやすく、そして面白く表現している。
ほかの今敏作品(ディープ・ブルー)にも見られる、人間の二重性というテーマにも言及されたシナリオ。表の顔と裏の顔、建前と本音、冷静さを装った顔と裏に潜む混沌…。他人には見せられない、自分の秘めた内側が知らず知らずのうちに、夢の世界へと表出していく。もし他人がその夢の世界へ足を踏み入れるようになったら…?誰もが一度は想像し、それはあり得ないことだと安心しもした空想の世界を、今敏監督がアニメの利点を存分に生かして描ききる力作!

King Gnu / キングヌー
10

聴いたことがない曲を提供するプロ集団

常田大希を中心とする4人から成るミクスチャーバンドである。楽曲によって洋楽、邦楽、ジャズのようにも聴こえる多様なジャンルの曲に取り組んでおり、各メンバーが様々な音楽から影響を受けている事から、トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイルと称される。メンバーは、プロデューサーの役割である常田大希、ドラム・コーラスの勢喜遊、ベース・コーラス・コントラバスの新井和輝、ボーカル・キーボードの井口理である。尚、常田大希においては、作詞作曲、ギター・ボーカル・ピアノ・チェロなど担当し、前述の通りバンドのプロデューサーのような役割を果たす。過去に小澤征爾のオーケストラに参加した事もある。常田は東京藝術大学を中退、井口は声楽科を卒業している。
ドラマの主題歌になった「白日」で有名になるが、メジャーデビュー前から海外でライブを行い、圧倒的な人気があった。常田の確実な曲作りとリズム隊と称される勢喜と新井の突出したリズム感覚、そして、ハイトーンボイスで豊かな音楽性のある井口からなるプロ集団のKing Gnuは、メジャーデビューに関わらず多くのファンを作り、まさにGnuのように大きな群れをなした事だろう。
どの楽曲も今までに聴いたことがないような曲だと評価は高い。
また、井口の剽軽であり繊細な性格、他メンバーの優しさと仲の良さがより一体感を持って楽曲に表現されているようである。

シャドウハーツ・フロム・ザ・ニューワールド / Shadow Hearts: From the New World
5

正統派RPGソフト感想

2005年にプレイステーション2用ソフトとして発売されたRPGソフトで、第一次世界大戦後の現実世界を舞台としたPRG「シャドウ・ハーツ」シリーズの3作目にあたり、前作「Ⅱ」の直接の続編となっていて、「Ⅱ」で悪意のエネルギー「マリス」が解き放たれた世界で数奇な運命に巻き込まれた主人公ジョニーがアメリカ合衆国や中南米を舞台に冒険を繰り広げるものという流れになっています。
本作ではタイトル通り、部隊が前2作から一新されていて、中でも特に目立った変更点が主人公の交代となりました。
これに関してはシリーズものの宿命として賛否両論点となりましたが、ファン的には前作の主人公ウルに思い入れがある反面、休ませてほしかったという意見もあり、またジョニーの物語としても一人の少年の成長ものとしては王道の出来といえました。
戦闘システムや難易度に関してもⅡから比較的改善が図られている事が全体的に感じられ、旧作のキャラクターも存在するファンサービスも徹底している印象がありました。
一方でシナリオ面に関しては本作でパーティを組むのは7人ですが、中には数人くらい仲間になる経緯が弱い印象があったり、また会話シーンで空気なのが目立ったり、本作の敵キャラ・キラーは同情の余地のない殺人鬼の筈がラストダンジョンで突然純愛が描かれてそこまで悪人ではないみたいな描写があったりと、粗が目立ったのが気になりました。
とはいえ、パーティキャラでギャグをこなすものも多かったのでその辺りのギャグシーンは素直に楽しめました(笑)。
本作の売れ行きが今一つだったようでシャドウハーツシリーズが本作で事実上打ち止めになったのはやや残念な結果になってしまいました。