パプリカ / Paprika

パプリカ / Paprika

パプリカとは今敏監督によるアニメ映画である。原作は筒井康隆作の小説「パプリカ」。2006年11月25日に劇場公開された。
千葉敦子は夢を共有できる装置DCミニの中で別人格「パプリカ」となって活躍するサイコセラピスト。ある日、研究所からDCミニが奪われてしまい悪用される事件が起こる。なんとか解決策を模索する敦子と研究所の仲間たちだが、事件の影響により夢が現実世界にも影響を及ぼし始める。

rule-hikoz5のレビュー・評価・感想

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パプリカ / Paprika
8

圧倒的映像の波に乗れ

今敏監督のアニメ長編映画。夢の世界を舞台にしたサスペンス。見どころは夢ならではのシュールな世界や、現実ではありえない世界を縦横無尽に描きつくした映像!特に主人公がホテルである人物を追いかけるシーンは後のクリストファー・ノーラン監督が『インセプション』でオマージュしたほどの完成度で必見。
物語はすこしわかりづらく、つじつまもあっているのかよくわからない所もあるが、全体として映像の勢いに圧倒され、そんなことは気にならない。
夢の世界も象徴的で、鑑賞後の考察が楽しい。秘めた欲望やトラウマ、精神的な混乱など、心で起きる様々な現象を視覚的に、わかりやすく、そして面白く表現している。
ほかの今敏作品(ディープ・ブルー)にも見られる、人間の二重性というテーマにも言及されたシナリオ。表の顔と裏の顔、建前と本音、冷静さを装った顔と裏に潜む混沌…。他人には見せられない、自分の秘めた内側が知らず知らずのうちに、夢の世界へと表出していく。もし他人がその夢の世界へ足を踏み入れるようになったら…?誰もが一度は想像し、それはあり得ないことだと安心しもした空想の世界を、今敏監督がアニメの利点を存分に生かして描ききる力作!