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lowslayerl7のレビュー・評価・感想

シン・仮面ライダー / Shin Kamen Rider
8

庵野監督「シン」シリーズ三作目 令和に蘇る仮面ライダーの原点

ゴジラとウルトラマンに続く庵野秀明監督による「シン・」を冠する映画の三作目「シン・仮面ライダー」のレビューです。

「変わるモノ。変わらないモノ。そして、変えたくないモノ。」というキャッチコピーを持つこの作品は、ゴジラやウルトラマンと比べると一見には優しくありませんでしたが、「仮面ライダー」というヒーローの在り方と原点を丁寧に紐解いた作品であるように感じました。
「イー!」と叫ぶ黒タイツの戦闘員……と多くの人がイメージを抱いているであろうショッカーという存在、その根幹である組織について新たな解釈を示してくれたのも興味深かったです。シン・仮面ライダーにおけるショッカーという組織は「最も深い絶望を抱えた人間を救済する行動モデルが、最大多数の最大幸福であり、人類の目指すべき幸福」を軸に持ち、そのため人間社会に適合できなかった人間が改造手術を受け、幹部として各々の幸福実現に向けた非合法的な活動に従事しています。人類を脅かす悪人たちも元を正せば幸せになりたかった只の人間であり、絶望によって拗れた思想からくる手段と、それがもたらす結果の歪さにはどこか物悲しさすら覚えます。そして、利己性と絶望に屈した彼らがいてこそ、自分以外の誰かのために戦う「仮面ライダー1号」の姿に胸を打たれるのです。

ジャッカー電撃隊
1

ただの番場無双

戦隊シリーズの偉大なる原点である『秘密戦隊ゴレンジャー』の後発ということもあり、凄く実験要素の多い尖った作品です。
まずメンバーが五人ではなく四人、しかも改造を受けたサイボーグであり、全員がクライムに何かしらの因縁があるなど、凄くハードな高年齢層向けのスパイ活劇を意識した感じはありました。狙いとしては恐らく前作「ゴレンジャー」との対比から「一人一人を「仮面ライダー」のように圧倒的に強いヒーローにしてしまおう」というものだったのでしょう。
前作「ゴレンジャー」は集団ヒーローの雛形としては凄く出来が良いですが、一方でそれはメンバー間の格差という弊害も生み出しました。
そうした格差を生まないようにするために、四人全員がサイボーグという設定を持ち出したのでしょう。
シリーズでもこの設定は他に「フラッシュマン」位です。
しかし、そうした前作との差別化は悉く裏目に出てしまいました。
四人がサイボーグ(人間ではない)という設定は逆にキャラの没個性化に繋がってしまい、またサイボーグである故に内面に踏み込んだドラマを描くことも出来ず、かといって前作のようにキャラのバリエーションによる個性の強さを押し出すことも出来ない。演出もアクションも地味で子供人気は直ぐ奪われていきます。
そしてこれが一番の問題ですが、後半そんな問題点を解決するためにテコ入れとして投入された番場壮吉は作品を盛り上げる所か諸共沈んでしまう大惨事となってしまったのです。
一人だけ圧倒的に強い全てをこなしてしまう完璧超人を入れてしまったせいで余計に没個性化が進んでしまい、四人のサイボーグとしての苦悩など番場壮吉の脳天気な明るさの前では何の意味も成さず、折角盛り上げるドラマ(桜井とカレンの恋愛など)を入れたのに、それら全て悪い意味で番場壮吉の引き立て役にされてしまいました。
結果として本作は3クールで打ち切り、以後「バトルフィーバーJ」までしばらく待たないといけなくなります。
前作「ゴレンジャー」の大成功の代償を打ち切りという形で払わされた何ともいたたまれない悲劇の産物、それがこの「ジャッカー」です。

DAYS / デイズ
8

くじけない前向きな主人公の姿に感動

主人公である柄本つくしは中学時代からいじめられている少年であった。ある日中学時代同じ学校であった少年たちにファーストフード店で絡まれているところに「変人」風間陣が登場し、助けてもらう。そのことがきっかけで風間からフットサルに誘われる。初心者ではあるため何もできないが、ひたすら走り続けるつくしの姿に風間は心を動かされる。しばらくして高校進学をすることになり、つくしが選んだ高校はずっとつくしの面倒を見てくれていた橘小百合がいる聖蹟高校。その聖蹟高校に風間も入学しており、二人は再開することになる。風間はサッカー部に入部することになっていたため、つくしもサッカー部に入部。しかし、聖蹟高校サッカー部は全国でも有名な名門校であり周りの部員との差は明らかであった。それでもつくしは「部活が楽しい」という気持ちから練習に必死についていき、自分のミスでのペナルティ分であるランニングを全て一人でこなすなどしていた。そんな姿を見て他の部員のつくしに対する評価が少しずつ変わっていった。つくしの日々の努力が報われ、夏のインターハイ予選のメンバーになった。つくしが出場すると他の部員が「素人の柄本には負けられない。」と気合が入り、動きがよくなり、試合に勝つようになる。なんとか予選決勝まで進むも決勝の相手は「天才」犬童を擁する桜木高校。一進一退の中、リードを許す聖蹟高校。試合後半で柄本にビッグチャンスが訪れ、シュートを撃つもポスト直撃。そこで試合終了となりインターハイ出場は叶わなかった。その責任を感じ、様子が変わってしまう柄本をマネージャーである生方や風間が接していく中で徐々に元に戻っていく。そして、前よりも練習に励むようになり、聖蹟高校サッカー部に必要な戦力となっていく。作中で何度も挫折を味わうもそれを前向きに捉え、力に変えていくことができる主人公柄本つくしの姿に感動した。