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kiyo065のレビュー・評価・感想

ブエノスアイレス
8

仄暗い映像美。

離れ難い恋人同士、ファイとウィンの醜くて粘着質でドロドロした感情を、仄暗い映像美で耽美な芸術作品として昇華させている。間違いなく見るべきだと思う。同性愛を描いているからではなく、お互いに惹かれあっているにも関わらず、どうしてもうまくいかない二人の関係をうまく切り出したロードムービーになっているからである。初めに目標の地をイグアスの滝と定めて旅をするにも関わらず、喧嘩別れをし、結局二人はうまくいかぬまま浮気をしたり、再会しては衝突する。そういった日常のシーンに、アストルピアソラのタンゴとイグアスの滝の映像が妙にマッチするのだ。倦怠感と停滞感が漂ってくるなか、突然現れる好青年のチャンが物語を先へ先へと押し進める。彼は中華料理店でファイと出会い、彼の悲しみを昇華させる手助けをする。ファイとウィンが暮らすボロアパートの共同キッチンでおどる二人のタンゴ、それが映画の中の一番のハイライトだと言えるだろう。『ブエノスアイレス』の魅力は、旅の倦怠感と諦め、そしてそれらを吹っ切って、日常生活に戻るまでにあるのだ。The Turtlesの「Happy Together」のカバーがエンドロールで流れる。その時にあなたは何を思うだろう。

Bob Dylan / ボブ・ディラン
10

進化し続けるビッグスター

ボブ・ディランはミュージシャンとして初めてノーベル文学賞を受賞したアーティストです。
このことだけでも彼がいかに偉大なミュージシャンであるかがわかります。
彼はとても長い間活躍を続けてきました。
その魅力はどこにあるのでしょうか?
その一つは、哲学的、文学的で深い詞の内容とその文体だと思います。
初期にはプロテストソングを歌っていましたが、やがてそういった狭い世界から離れて、バンドを従えてロックビートに乗って歌うようになりました。
そのことにより彼は一部の若者に非難されましたが、彼はもっと遠くを見ていたのです。
政治批判や公民権運動などの狭い主題に留まらず、より深く人間を見つめた世界観をもって、彼は長く活躍するために必要な幅の広さを手に入れたと思います。
彼はロックが退潮してヒップホップの時代になっても、フォークロックなどを主調として流行にとらわれずに歌っています。
しかもその世界観は年々深みを増しています。
これは驚くべきことですね!
また他のアーティストに提供して
今後ともその活動から目が離せませんね!

アジョシ
10

韓流イケメン映画だと思ってみたら最高の意味で裏切られました。

タイトルのアジョシは韓国語で「おじさん」という意味。主演は韓国四天王の1人、ウォンビン。ウォンビン扮するおじさんとと少女のちょっぴり切ないハートフルストーリー。と思って観たら気持ちいいくらいに裏切られました。最高の意味で。
物語の始まりは人目につかない質屋ではたらくどこか闇の香りのするおじさんウォンビンと、麻薬中毒の母を持つ明るいけどどこかさみしげな少女の出会い。2人は会話こそ多くないものの確かなあたたかさを感じる関係性。おじさんには大切なものを失った過去。また大切なものを失ってしまうのか?それだけは、それだけは、というおじさんの心の悲鳴が聞こえてきます。悪者たちもとてもいい。キリスト教が主流の韓国において人身売買をして金儲けをする極悪非道の悪者たちがなす術なくウォンビンに殺されていく姿はスカッとします。ウォンビンの目が綺麗なこと。人を殺しても血がついても綺麗な目をしているウォンビンが逆に恐ろしい。後半のセリフの、「お前は明日を生きる。明日を生きるものは今日を生きるものに殺される。それがどんなに悲惨なことか思い知らせてやる。俺は今日を生きる」最初はかっこいいセリフだけど、どういう意味だ?とおもっていましたが、ウォンビンはきっと昔は明日を夢見て生きていたんですね。それを後のない今日を生きるテロリストに奪われた。今はもう明日じゃなく今日を生きてるんですね。あぁ、最高。

らいか・デイズ
10

4コマ漫画で最高作品です

この作品は、4コマ漫画です。
主人公は小学6年生の春菜来華(はるな らいか)。頭脳明晰なスーパー小学生です。基本的には、彼女をめぐる日常について、ほのぼのとしたギャグ8割、シリアス2割といった感の展開です。
彼女は学力・思考力・判断力、果ては腕力などが教師顔負けな女の子です。しかも、人望も厚く、児童会長を務めています。それでいて、いやな感じはなく、みんなに好かれています。これだけだと、できすぎな人間ですが、家事全般が得意ではなく、マフラーを編んだ時には鍋敷きだと評され、家庭で食事をつくったときには家族全員が体調不良になるなどです。
彼女のパートナーとして、竹田くんが登場しています。彼も、彼女と同じく頭脳明晰ですが、いつも彼女に一歩及びません。しかし、家事全般が得意で料理の腕はピカイチです。彼女とは、つき合うでもなく、なんとなくお互いの感情を察していて、周囲はお互いの両親を含めて公認、といった少年漫画のような設定になっています。
季節感のある題材と、その2人の関係とのストーリーがむずがゆくもあり、ほほえましくもあり、周囲の人間との関係も相まって、心が温かくなるエピソードが随所に現れています。